HOLOLIVE COMBAT〜Skyblue Triangle〜 作:ブラウ隊
中央都市部エリア③。エリア④の境界線付近でも小競り合いが続く中、合間を縫って友人Aは聞き込みを続けていた。
自分の目では見えない領域の情報だけあり、それなりに苦労していると聞く。まずは食堂。
自分の親友とスバルとすいせいに聞いてみる。
「そらとスバルさんは?」
「んー…すいちゃん見た?」
「撃墜したくて仕方なかったし見てない」
「スバルも見てないなぁ」
続いてラウンジ。ここでも五目並べの一戦が繰り広げられていた。
相変わらずフブキにオーバーキルされるみこ。その絶叫はモ◯ハンの咆哮にも勝るとも劣らない。
が、ここで思いもよらない情報が手に入る。
「白上は機体がデフォで速いし何とも…」
「あ、みこ知ってるよ」
「詳しくいいですか?」
一対一で話すだろうな、という雰囲気を察してフブキは五目並べのセットを持って奥に引っ込む。
「お先にー」の一言と共に手を振り、風のように去って行った。
「確かすいちゃんが来る前、かな?」
「エリアの境界に行った時ですね」
「うん、あいつら、声が妙に無機質だったよ」
「ふむふむ」
自販機でオレンジジュースを買い、近くのテーブルに対面で座る。
友人Aは応接室のようなシチュエーションはこちらの土俵、聞き逃せないと自分に言い聞かせてインタビューを続ける。
「撃墜したヤツね、山肌に突っ込んだんだよ。普通は助けて、って言うじゃん」
「まぁ、そうですよね」
「それさえ聞こえなかったよ、無人機なら納得」
「……」
「社長に伝えといてよ、有益か分かんないけど」
「有益すぎます!さすがエリート!」
にへへ、と笑うみこに一礼。こんなチョロいのにここ一番で一筋の光明をくれる。
残りはハンガー。哨戒に出る前のAZKiとクロヱにも一応話を聞いてみる。
実際に『最初に』無人となったMiG-21bisと戦ったクロヱからも同じような話を聞けたのは裏付けになる。
「沙花叉がまた聞いとくよ?でも他のメンバーが撃墜したのを見た感じだと…いないかも」
「私も見てない、囮で精一杯だったし」
「感謝です!では私はこれで!今日の哨戒、お願いします」
機体も増え、ローテーションで哨戒任務に就くことでメンテナンスの余裕も生まれた。
今日の担当はAZKiとクロヱ。滑走路にF-14DとSu-35Sが並び、離陸していく。
AZKi《機体に異常なし AZKiより管制塔へ》
AZKi《トムキャット 行きます》
Control tower《了解 期待してます》
Chloe《チャチャっと終わらせますかぁ》
Chloe《沙花叉クロヱ フランカー 行くよ》
Control tower《高度制限を解除 気をつけて》
エリア④との境界付近に到達、周辺の警戒を開始。夕暮れに近づく青空は逆光が視界の邪魔をする。
幸いにも雲はそれなり、いざとなれば雲の中を突っ切りながら戦える。
Chloe《景色は綺麗なんだけどなぁ》
AZKi《アイマスクしてる感じだよね》
Control tower《こちら友人A》
Control tower《前方から味方機が接近中!》
Kanata《クッソ まだ追ってくる》
Kanata《こちら天音かなた》
Kanata《お土産持参で合流するよ!》
最強の戦闘機は何か。この話題は人それぞれ、様々な答えが出てくる。
F-22A、Su-35S、F-14D、タイフーンなど上げればキリがない、永遠に続く熱い議題でもある。
──だが、空中戦において『無敗』の機体が存在する。
♪片羽/天音かなた(official)
初飛行は1972年7/27。テニスコートに例えられる大きな主翼、空対空に振り切ったような性能。
エンジンが片方潰れようとも。空中衝突で片方の主翼を失おうとも。
それでも生きて帰ってきた鋼鉄の鷲だ。逸話には事欠かない。
F-15C『イーグル』。この機体は──
かつて『世界最強』の四文字を背負った戦闘機。語り継がれる空の不敗神話である。
かなたの機体は白と青を基調とし、右主翼の先端をオレンジ色に染めた機体だ。
Kanata《あれ かなけん揃った?》
AZKi《ホントだ こんな事あるんだね》
Chloe《そんじゃ 一仕事しますか》
Control tower《後方から6機 例のMiGです》
MiG-21bisの残存部隊が接近。おそらくこれで全滅するはず。むしろそう願いたい、と誰もが思った。
事実、各地でそれなりに空中戦をこなしてきた面子の前ではMiG-21bisなど狩り慣れた獲物。
AMRAAMで、フェニックスで、その機動性で。次々に食い破られて残骸と化していく。
Control tower《お見事です 反応が全て消失》
Kanata《まぁこんなもんよ》
AZKi《待って 増援が来てる その数9機》
Chloe《時間外労働かよぉ! サビ残は勘弁》
Control tower《沼にようこそ…》
不名誉な渾名を付けられた機体がいる。
それは特定の機体を指す愛称ではなく、有名どころではMV-22『オスプレイ』も含まれる。
が、未亡人製造機(ウィドウ・メーカー)と呼ばれる機体には相応のエピソードが必ずある。
センチュリーシリーズ。それはF-100『スーパーセイバー』を筆頭とする戦闘機群。
その中でもマッハ2級の戦闘機の先駆者となり、未亡人製造機と呼ばれた機体こそF-104『スターファイター』。
主翼も極端に小さく、ミサイルに似た外見から──最後の有人戦闘機とも称された。
スピードに全振りしたようなそれは文字通り『突っ込んで』きた。
Chloe《この見た目で戦えなくない?》
AZKi《見た感じスピード特化だね》
Kanata《あっぶね 正面衝突する気かよ》
Chloe《あー 多分コイツ無人機っすね》
なぜ未亡人製造機と呼ばれた機体がここに投入されたか。それこそミサイル的な扱いを前提として選ばれたようにしか見えない。
機体トラブルに関して信頼と実績があるF-104はまさに『鉄砲玉』には最適。
さらに撃墜されても墜落しても──デフォで性能が劣るなら『こんなもんか』と割り切れる。
Kanata《無人機なら手加減いらないか》
Kanata《各機 残業対象には容赦すんな!》
AZKi&Chloe《了解!》
♪天界弩級オシゴトロード/かなけん
AZKi《FOX3! よし guess!》
Unknown《スピード低下 スピード低下》
Unknown《地表に接近 地ひょ》ザァァァ
AZKiが見舞ったAIM-54『フェニックス』は先頭の2機に命中。
エンジンから黒煙を吐いて墜落する2機の傍らで機体トラブルか何かで地面に突っ伏して爆発するF-104もいくつか見て取れる。
Kanata《曲がれないなら射的の的だっての!》
Unknown《被弾 被弾》
Unknown《戦闘続行不可能》
かなたはAIM-9『サイドワインダー』を使用、スピード特化の主な弱点、旋回性能の貧弱さに目を付け、容赦なく追撃。
トラブルで墜落する個体は放置、少ない手数で確実に数を減らしている。
Chloe《やっぱ沙花叉はインファイトだな》
Unknown《ダメージ80%以上を確認》
Unknown《失敗 失敗》
唯一機関砲だけで撃墜スコアを伸ばし続けるクロヱはF-104の尾翼に機関砲を叩き込み、バランスを崩させてから仕留める。
撃墜するまでもなく墜落していく個体もいるため、捕食者としては半ば退屈そうにしていた。
Control tower《友人Aより各機へ》
Control tower《敵機の反応なし お疲れ様です》
Control tower《着陸にだけ気をつけて RTB》
F-104も全滅。MiG-21bisよりも雑に扱われる分、トラブルという情報を計算に入れて対応しないと厄介な機体となる。
古いからこそ新しいモノに与えるインパクトは強い。逆も然りとはいえ実際に目撃するとまさに目を奪われる。
AZKi《了解 かなけん 帰還します》
Kanata《後から来たヤツ 動きが読めない》
Chloe《なんか苦手だなぁ》
予測不可能な挙動に集中力を削がれ、咄嗟の判断ができない、となれば軍用機乗りにはその一瞬が命取りになりかねない。
『ある意味一番タチの悪い機体』とも言えるF-104と一戦交えた感想を共有しながら3機は着陸、ハンガーに入った。
その頃──高度6500m。夕闇に紛れて忍び寄る影が1機。
Unknown《やっぱり無人機じゃ限界がある…》
Unknown《次の策を考えないと》
恨めしそうに呟くその声は──
誰もがよく知る声と瓜二つだった。
そろそろ黒幕を数人出そうかなと考えてます!
あと2〜3話のうちに一人は出したいなと。
今まで出てきた厄介な架空機にいずれ乗せる気満々なのでお楽しみに!
ちなみに自分が一番苦戦した架空機はフェンリアとヴィルコラクな気がしますw