HOLOLIVE COMBAT〜Skyblue Triangle〜   作:ブラウ隊

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Mission06"海と蝶を描くパレット"

「うん、やっぱ空にも目があると近いますねぇ」

「あはは…恐縮です」

 

軍港エリア⑦。ここには対空機銃やSAMの他、座礁したり建造途中で放棄された空母などがそのまま残されている。

配属された基地はまた別に用意されているが、オーシャンビューという条件もあり、実家のような扱いでホロメンが出入りできるように解放したという。

 

今日もドックに放置された空母のブリッジで昼間から宝鍾マリンが褒めちぎる人物がそこにいた。

春先のどか──彼女こそ不知火建設が建造し、ここに配備されたAWACS『スプリングヘッド』を務める人物でもある。

 

「先輩に比べたらまだまだ…背中は大きいです」

「自信持っていいですよぉ?このこのぉ」

「えぇ…『深紅の幻』からそんな…」

 

事実、マリンはこの軍港エリアで7機ものAV-8Bを撃墜し、エースの条件でもある5機の撃墜を既に達成している。

誰が言い始めたか『深紅の幻』の異名を持ち、操縦技術や広い視野も含めて軍港エリア⑦のエースの座を手にした。

その時、ガチャ…というドアの音。そこから恐る恐る顔を出す見知った顔が。

 

「船長、お茶置いてくね?ぁ…のどかちゃ…」

「あくあちゃーん?無理しなくていいですよ?」

「お邪魔してまーす」

 

湊あくあ。軍港エリア⑦のナンバー2であり、撃墜数も4機とエース目前に迫っている。

カートに乗せてきた紅茶を順番に淹れて口に運ぶも熱すぎたらしく、あくあが悶絶し始めた。

一方、少し離れた基地にあるハンガーには緑のお団子ヘアーがトレードマークの影があった。

 

「ふぅ、こんなとこかな」

 

潤羽るしあ。メカニックを主にする人物だが、たまにシミュレーターに入り浸っている姿が見られるという。

その時の彼女は小柄な見た目からは程遠い、同じ人物とは思えない口調に変貌すると噂されている。

台パンは日常茶飯事、プレイスタイルは執念深く追い詰めるヤンデレ街道を独走する。

 

「この子ももうすぐ…」

「窮屈だよね、天井しか見てないんだもん」

 

とある機体の前で立ち止まり、未使用と言ってもいい前輪に触れる。

まるで自分の分身を見るような──この機体を飛ばす事が目的にして手段というような真剣さで見上げてみる。

色はもう塗ってある。あとは空を見せるだけ。内なる野望を秘めながら黙々と整備。

 

「ただいまー。お、船長の相棒もいい感じじゃないですかぁ」

「あてぃしのも、あ、ありがと」

「私は先に上がってますね!春先のどか、頑張ります!」

 

AWACS『スプリングヘッド』が離陸し、その圧倒的な存在感を示して青空に溶け込む。

軍港エリア⑦は左右を未開放エリアに挟まれた激戦区。それだけにAWACSの配備は急務だった。

また、エリア⑤と⑨に行くには空中給油だけでなく、空母の運用も鍵になるのは必然。そのためにも放置された空母は防衛するべき、というのが全員の認識だ。

 

AWACS《スプリングヘッドから各機》

AWACS《急ぎスクランブルを 敵機を確認》

AWACS《その数12機 油断は禁物です》

 

約30分ほど後に早速──今日の『獲物』が掛かった。のどかの声も真面目モード、紅茶を飲んでいた時の緩さはない。

スクランブル発進するくらいの距離はある。だが、スクランブルだけあって気持ち的に余裕はない。

 

従来の任務を一手に担った機体が存在する。

元々は空軍のライト級戦闘機を目指したが、開発を引き継いだのは艦載機に造詣が深い会社だった。

そのため、全天候型というアドバンテージを獲得。対空は当然ながら対地、対艦能力も有する攻撃機ポジションとしても活躍した。

 

F/A-18C『ホーネット』。F-14シリーズの補佐役として、やがて海軍の主役として甲板を文字通り『蜂の巣』に変えたマルチロール機の代表だ。

F/A-18E/Fが登場してからは旧型を意味する『レガシー』とも呼ばれるが、残した遺産は余りにも大きい。

空母を巣とするスズメバチは──これまでの機体を集約した『働き蜂』に他ならない。

 

「あくあ、行くよ」

「了解っ」

 

ハンガーに駆け込み、自分の機体にその身を預けて滑走路にタキシング。目視こそできないがあくあの機体にはそれが見えていた。

できるだけ早く離陸して迎撃態勢を整える。それだけを考えてあくあが先陣を切る。

 

Aqua《こちら湊あくあ すぐに出るから》

Aqua《トムキャット 出すよ》

AWACS《了解 気負わないでください》

 

紺色に紫、水色、白の模様がスプリンター状に配置されたF-14Dが離陸した。

それを追って離陸したのは深紅に染められ、主翼、尾翼にマントのような迷彩を採用、ノーズがダークグレーという塗装の機体だった。

 

半世紀以上飛び続ける機体がいる。

それはミサイル万能論に振り回された結果、20mm機関砲の重要性を改めて認識させた事でも知られる。

数々の実績や販売の成功に裏打ちされた『傑作機』であり、MiG-21bis同様に冷戦を代表する存在としてあまりにも有名な──『古参兵』。

 

F-4E『ファントムⅡ』。多くの国家に好まれ、時には偵察機へと用途を変え、今でも退役が進みながらも3カ国が運用する機体。

そして特筆すべきは生産数。その数、5195機。これは超音速機で歴代4位、西側戦闘機で見れば最多記録。

最初こそ本調子ではなかった。が、採用した軍により方向性は違えど解決策を見出し、冷戦の空に返り咲いた機体である。

 

Marine《宝鍾マリンからAWACS 聞こえる?》

Marine《ファントムⅡ 行きます 出航ォ!》

AWACS《高度制限を解除 大漁を!》

 

F-14Dのレーダーに反応したのは2機でペアを組んで侵入してくるF/A-18C。この波状攻撃で集中力を削ぎ、精神力を消耗させる。

結果的に重包囲となり、四方八方から撃たれた敵機の末路は言うまでもない。

 

Marine《よし 何とか間に合った》

Aqua《船長 ツーマンセルで来てる》

Marine《ミサイルは無駄にできないか…》

 

まずはマリンが機関砲で敵機の主翼に見えるミサイルを攻撃、暴発した敵機はそのまま墜落。

あくあも手こずりながら1機を撃墜。これでエース認定、かと言って喜ぶにはまだ早い。

全機にAGM-84『ハープーン』を積んでくるあたりは放置された空母を沈めに来たと見て間違いない。

 

Marine《いやー ハチ退治も楽じゃないワ》

Aqua《ホント 終わりが見えない》

Marine《今何機だっけ… あぶなっ》

Aqua《船長 大丈夫!?》

 

Unknown《ターゲット『赤』》

Unknown《了解 状況開始》

 

ツーマンセルを強いられて何機撃墜したか。次々に出てくるF/A-18Cに感覚がバグる。

状況は次第に良くなってきた。が、その実感がまるで湧かない。レーダーには5機の反応、次第にそれが狭まってくる。

 

Unknown《包囲開始 各機合流》

Unknown《了解 合流開始》

Marine《嘘 まだ残ってんの!?》

Aqua《ねぇぇぇ!》

 

──蜂球。ニホンミツバチが対スズメバチに用いる熱で息の根を止める戦術である。

これをオマージュしたかのような戦い方はまるで自分達がスズメバチの側に立たされたような錯覚さえ覚える。

そして基地の滑走路でも一悶着が起きていた。

 

AWACS《こちらスプリングヘッド》

AWACS《離陸許可は出してませんよ!》

 

Rushia《るしあからAWACSへ 止めんな!》

Rushia《スーパーホーネット 出るよ!》

Rushia《もう待ってるだけなんて 嫌だ…!》

 

滑走路に1機、機体が姿を現す。正体は紺色に緑色の蝶が主翼の両端に描かれたF/A-18E。

その声は鬼気迫るものがあり、普通なら「あ、これやべー奴だ」と怯えるレベルかもしれない。

それはこのAWACSも例外ではない。ビビった直後にF/A-18Eは離陸し、AMRAAMで1機を撃墜した。

 

Marine《るしあ!? 助かったけど何で…》

Rushia《上手く言えないけどさ》

Rushia《せめて隣で戦わせてよ…!》

 

Marine《そっか じゃ残り2機ずつ山分けで》

Rushia《うんっ… 了解!》

Rushia《全部スクラップにしてやんよォ!》

 

F-4EとF/A-18Eが目の前に陣取るF/A-18Cに突っ込む中、のどかが通信回線を開く。

それは招かざる来客を告げる内容。よりにもよって爆撃機の一個小隊、空母の甲板に絨毯爆撃はシャレにならない。

これをイチ早く察知したF-14Dは機首を上げ、高高度まで上昇する。

 

AWACS《12時方向から爆撃機が3機》

AWACS《高度2000m 多分ラストです!》

Aqua《オッケー あてぃしが行く!》

 

『死の鳥』と呼ばれた機体が存在する。

運用開始は1955年、実に70年もの間飛び続け、2025年現在も未だに現役。主力爆撃機の一翼を担う存在だ。

なぜ数世代前の機体がこれほど長く使われるか。その理由はシンプル。完全な上位互換が未だにいない事。

今までも、これからも改修を行いながら運用されるその名は『成層圏の要塞』。

 

B-52『ストラトフォートレス』。

かつては第二次世界大戦で投下された爆弾の量を上回る量の爆弾を投下、地上を火の海に一変させた機体でもある。

予定通り2050年まで運用されればギネス記録と同時に──歴史に名を刻む機体となる。

 

Marine《じゃあコイツら 護衛機か》

Rushia《邪魔だからさぁ 墜ちろ! FOX2!》

Marine《るしあ やってんなぁ?》

 

初陣とは思えないほど苛烈な攻撃で敵を撃墜していくるしあを視界の端に捉え、マリンは既に2機を撃墜。

機動を制限するため後方にピタリと迫り、旋回させた先にはるしあのF/A-18Eがヘッドオンで出迎える。

AMRAAMが正面からエアインテークに突き刺さり、護衛機のF/A-18Cは全滅した。

 

Marine《ナイスキル やるじゃん》

Rushia《っしゃラストォォォ!》

 

Unknown《目標 残り60km》

Unknown《前方 敵機確認》

Aqua《見えた 本体が無防備なんだよぉ!》

 

B-52をレーダーに捉えたF-14Dが少し低い高度から背後に突き抜け、インメルマンターン。後ろからAIM-54『フェニックス』を見舞う。

次々に主翼やエンジンに直撃、死の鳥と呼ばれた機体は火の鳥と化して海に墜落。水柱を断末魔にして敵の反応は消失した。

 

AWACS《こちらスプリングヘッド》

AWACS《周囲に敵機の反応なし》

AWACS《お疲れ様です RTB》

 

Marine《了解 これから帰りますよぉー》

Marine《るしあ これから期待してんぞ》

Rushia《もちろん》

Aqua《あてぃしは!?》

 

オーシャンビューの空母を通り過ぎ、基地の滑走路に向かう。海上に機首を向けるため一度Uターンする形になる。

F-4E、F-14Dと着陸していく中、のどかが敢えてドスの効いた声で通信を開いた。

 

AWACS《スプリングヘッドからるしあさん》

Rushia《ヒィッ!》

AWACS《罰として皿洗い5日ですよ》

 

翌日、3食分をキッチンで洗うるしあの姿があった。




どの爆撃機をボス枠にしようか考えてたら結構な間が…。
という事で元メンが早速2名、船長も参戦です!
ファントムは船長って決めてたんだ…w

今回ファントム、トム猫、スパホと歴代の海軍機で固めてみました!
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