HOLOLIVE COMBAT〜Skyblue Triangle〜   作:ブラウ隊

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Mission07"白と黒の共鳴"

中央都市部エリア③。いつものように紹介ローテーションを確認する姿があった。

もはやバイトのシフト表、管理しているのは友人Aだ。こういった分野は丸投げしても1を10にして返してくれる。

 

「あ、今日は白上かぁ」

「みこも入ってるー」

「スバルもじゃん。珍しいなこの組み合わせ」

 

今回は夜間に出撃、とのこと。それまで各々がフリーになる。

買い出しに出るもの、機体のチェックに勤しむもの、それを見上げるもの──過ごし方は様々だ。

そして今もかなけん、イノナカの4人が哨戒から帰還、高度を下げながら主脚を展開。滑走路に着陸していく。

 

Kanata《今回も異常なしだったよ》

Chloe《拍子抜けっすよねー》

Suisei《ホント つまんなかったなぁ》

AZKi《まあまあ》

 

「みこち、機体は?」

「今から見るとこー」

 

同じMiGとはいえ使い勝手は大きく異なる。片やスピード狂の化身、片やドッグファイト向きのインファイター。

すぐ横のハンガーではそらもF-22Aの整備を自分でできる所だけでも、と奮闘していた。

ただでさえ高価かつ高性能な機体が相棒、という事もあってか愛着が湧いたらしい。

 

「そうは言ってもよく分かんないにぇ」

「みこち、キャノピー磨くだけでも違うよ」

「そらちゃん、ありがとにぇ」

 

たまに雨が降ったり着氷したりと水アカが乾いてその痕がちらほら見える。

気付いてはいた。が、いつも離陸する時間帯は昼間だったため気づかない。

タオルを受け取ってキャノピーを磨くと鏡面のようにピカピカになってきた。

 

「おぉー…」

「ね?車と同じだよ」

「走るベイ◯レードって思ったでしょ」

「ないない」

 

にへへ、と笑いながらキャノピーを磨き続け、新品には及ばないにしてもピカピカになった。

不知火建設にも所属しているからか妙に似合うこの光景。ヨシ!と親指を立ててから一度ラウンジへ。

そこにはフブキの姿が。今回、なぜかヨットを用意して出迎えてきた。その後の展開は察しの通り。

 

「あァァァ!また負けたにぇぇぇッ」

「まだまだですなぁw」

「お、いたいた。今から何か食っとく?」

 

スバルがハンバーガーを買ってラウンジに到着、軽食だけ食べてハンガーに向かう。

ちなみに全てチーズバーガーとゼリー飲料だったらしい。

ちなみにこの3人は全員が夜間飛行の経験者、いい感じに肩の力が抜けている。

 

『友人Aからローテーション各員へ』

『各自、機体で待機。1855にタキシングを』

 

各々がコクピットで待機し、時間になり次第タキシング、滑走路に機体を出す。

異なるエンジン音の不協和音が出撃の合図となり、次々に離陸する。やや雲が多いとはいえ、満月が見えるとの予報らしい。

今回の目的地は東、エリア④との境界付近。①、②、③、⑦とそれなりに連携が取れる今、押さえるべきと考えられる最優先の場所だ。

 

Subaru《こちらスバル えーちゃんへ》

Subaru《スーパーホーネット 出るぞ!》

Control tower《様になりますねぇ 署長》

 

Miko《みこからえーちゃん 機体に異常なし》

Miko《ファルクラム 行ってくるにぇ》

Control tower《高度制限を解除 気をつけて》

 

Fubuki《白上フブキからコントロールタワー》

Fubuki《フォックスハウンド 行きます!》

Control tower《未解放エリアの探索 頼みます》

 

見た感じでは砂漠気候に近い印象を持つのがこの東にある境界。実際にその境界を超えたことはない。

が、砂丘のような砂地だけが延々と続き、高度の感覚をバグらせる。旅行で来るなら自然が作った一瞬の絶景、と紹介されたかもしれない。

が、今いるのは旅客機や爆撃機より遥かに低い高度。高速道路のアスファルトのように同じ光景が続く。

唐突に無線が開かれ、握力に定評のある天使の声が聞こえてきた。

 

Control tower《こちらかなたそ 聞こえる?》

Control tower《その辺なら油田っぽいのがあったよ》

Control tower《港はどうだったかな…》

 

Miko《ウチの社長に言ってみようかな》

Fubuki《せっかくだし要所にしたいですなぁ》

Subaru《ところでかなた お前えーちゃんは?》

 

Control tower《貸してくれないから腕相撲で》

Subaru《分かった それ以上はオーバーキルや》

 

もう何したか分かった。スバルの悟ったような声色が模範回答となったように友人Aは魂が抜けたかと間違うレベルでダウンしていた。

代打でかなたが通信機器を握る。もちろん物理的にではない。

 

Control tower《1時方向に反応あり》

Control tower《ドラケンが6機接近中 注意》

Control tower《ヤバいと思ったら回避優先で》

 

Subaru《えーちゃんより的確じゃね?》

Miko《署長 多分それ聞こえてんで》

Subaru《ホワァァァァァ!?》

Fubuki《とりあえず2機ずつかな ブレイク》

 

先陣を切ったのはフブキのMiG-31。マッハ2.83の豪速はそのまま上昇。

雲を突き抜けるこのスピード狂を追うJ35Jには限界がある。

時としてそれは技術的な要因から致命的なミスにも繋がる。

 

Fubuki《スバル 白上の後ろにいる奴を》

Fubuki《もうすぐ失速するはず》

Subaru《マジだ スゲェ… 貰ったぁ!》

 

J35J。それは確かに名機には違いない。が、その弱点は『現在だからこそ考えられない』ものだった。

フライ・バイ・ワイヤの補助がない時代に登場したこともあり、パイロットは熟練のエースに近い技量を要する。

さらに航続距離は短く、飛行安定性にも難あり、縦スピンも発生しやすいという癖の強い、今風に言えばピーキーな機体だ。

 

Fubuki《ナイス これが世代の違いじゃい!》

Subaru《やっぱ敵に回したくねぇ…》

Fubuki《みこち スバルの後ろにいる奴を》

Miko《真上なら任せるにぇ》

 

そんな機体がスピード特化の機体を、しかも真上に追いかければどうなるか。

当然ながら縦スピンが発生、決定的な差が生まれ、レースで言えば周回遅れの状態になる。そして──これ以上ない隙を晒し、絶好の餌食になる。

下からスバルに狙われた2機がまずは機関砲を喰らって墜落した。

 

Miko《前にコツは掴んだから 大丈夫っしょ》

Miko《ここォォォ!》

Subaru《みこち 手慣れてんな》

 

プガチョフ・コブラ。J35Jが不可能だった挙動を当てつけのように披露、スバルを追う2機のエンジンに1発ずつミサイルをぶち込んだ。

スバルはそれをスプリットSでやり過ごす。残るのはみこの後方から迫る2機。

が、それは『反応あったっけ?』と思えるほどに素早くレーダーから消えた。

フブキのMiG-31が猛追、残りの2機を文字通り『秒殺』。その後、各々宙返りで高度を調整。V字隊形へ。

 

Fubuki《追い詰めるのは得意なもんで》

Miko《フブさん 助かったにぇ》

Fubuki《明日の夕飯出してほしいなー》

Subaru《よし レーダークリア》

 

Control tower《ちょい待ち さっき何か…》

Control tower《いた 12時方向に10機!》

Control tower《コイツら ステルス機だ》

 

存在自体が極秘扱いだった機体が存在する。

その正体は戦闘機ではなく──実際、攻撃機として運用された経歴を持つ。

外見はまるで多角形のUFO、武装は完全に機体のウェポンベイに内蔵する形になった。

攻撃機のため当然ながら速度は遅い。が、操縦系統、コクピット機能などは他機種の技術を取り入れている。

 

F-117A『ナイトホーク』。

機銃も搭載せず、レーダーも搭載せず、離陸した後は無線交信も行わないという。

漆黒の機体は視認性を下げ、異常なまでに徹底した夜間専用機はまさに孤高の存在。

 

F-22A、B-2、F-35シリーズ──これらの機体は本機なくして存在し得ない。

ステルスの礎を築いた機体は太陽に背を向け、闇に溶け込む盲目の夜鷹である。

 

Fubuki《雲に入られたら厄介なのが…》

Miko《チートだろコレぇ!》

Subaru《待った 味方機が突っ込んできた》

Subaru《機体は… MiG-31…!?》

 

F-117Aの後方から高速で接近するMiG-31。黒い機体の機首部分には大きな牙をペイント。

機体側面には紅白の縄を描いた塗装が目を引くそれは大回りに旋回、フブキの右斜め前にピタリと機体を付けて通信を開く。

 

Mio《ウチウチ! ウチだよ 大神ミオだよー》

Subaru《ミオしゃ!? 助かる》

Miko《少しは楽になるにぇ》

Fubuki《いい所に! 待ってた!》

 

♪【Original MV】Howling/【ホロライブ/大神ミオ】

 

10機のF-117Aがウェポンベイを解放、AIM-9『サイドワインダー』を一斉に発射してきた。

そしてすぐにウェポンベイを閉じ、各々の方向に散開、次の機会を伺う。

レーダーに映りにくく、背後を取られた日にはトラウマ級のミサイルアラートが鳴り響く。

 

Mio《どこ行った? まるで見えない》

Subaru《ミオしゃ さっき映った》

Subaru《弾薬庫の中までステルスじゃない!》

 

Fubuki《了解 リスキーだけど唯一の隙ですな》

Fubuki《みこち 分かった?》

Miko《分かった …わがんない》

Subaru《おいw》

 

完全無欠はこの世にあるか──否。完全無欠は存在しない。

どんなものでも弱点や欠点の一つや二つは抱えている。例えばF-117A。

いくらステルス機と言えどウェポンベイの中は通常塗装のオフホワイト、下から見れば全体像は仮に見えないとしても『いる』事はバレる。

 

Subaru《しゃーねぇ スバルが指揮を取る》

Subaru《みこち 囮頼む 逃げるだけでいい》

Subaru《フブキ先輩とミオしゃは遊撃へ!》

Subaru《スバルは低空から攻める!》

 

Miko《避けまくってやんよぉぉぉ!》

Fubuki《署長の椅子は伊達じゃないぜ》

Mio《やっぱ頼りになるよね》

 

スバルは下から見上げる形になり、みこは囮になってサイドワインダーを誘発。

その一瞬を見逃さないようにフブキとミオは上空で眼を光らせる。

ここで新たな反応が出現、中央都市部エリア③から飛来するのは紺色と白のF-22A。

 

Sora《そらより全機 無事だね》

Sora《私スバルと組むね みこち 囮お願い》

Miko《チックショオォォォ!》

 

速度を調整しながらMiG-29が囮を続行、4機に狙われ、ウェポンベイを開いてレーダーに映った一瞬をF-22AとF/A-18Eは逃さない。

AMRAAMを叩き込み一度に4機を葬った瞬間、雲が晴れた。予報の通り満月。

F-117Aを目視で捉えた2機のMiG-31は後ろから機関砲をエンジンに撃ちまくり2機を撃墜。

 

Subaru《スバルから各機 敵機の残り4》

Subaru《月があるうちにケリ付けるぞ》

Subaru《みこち こっから攻めていい》

Subaru《残りはポジションを継続 オーバー》

 

Miko《あいよぉ!》

Fubuki《了解 任せなぁ!》

Mio《こっちも把握》

Sora《隊長 了解です》

Miko《そらちゃん!?》

 

ステルスは光学迷彩か。否。その機体の反応を限界まで小さくする手段に他ならない。

事実、こうして撃墜されている。透明人間のように視界から完全に消える、とはいかない。

そして──F-117Aはその特殊さ故に『戦闘機では』あり得ない弱点があった。

 

Mio《よし 貰った FOX2!》

Fubuki《ミオ ナイスキル!》

Miko《ここォォォ! よっし ドンピシャ!》

 

F-117Aのコクピットは後方の視界が皆無。つまりは『後ろを取られたらヤバい』という機体でもある。

キャノピーだけを見ても4本の柱が設けられ、F-4EやMiG-21bisとは比較にならないくらいに視界そのものが狭い。

今また2機が墜落、残りはフブキに撃墜されたらしく反応はなくなっていた。

 

Control tower《かなたそから各機へ》

Control tower《敵機の反応なし RTB》

Control tower《待った 不明機が1機接近!》

 

Sora《了解 対処するね》

Fubuki《この中に単騎で?》

Subaru《ってか今更かよ》

Mio《油断できないね》

Miko《今度は何だよぉ!》

 

『初代』が存在する機体がいる。

Su-27『フランカー』の派生型であり、元はSu-27Mと呼ばれた機体としても知られる。

カナード翼を採用し、機首や主翼は太くなり、前輪はダブルタイヤになるなど大小の違いがある。

 

Su-35『スーパーフランカー』。

コードネームをフランカーE1。主翼の強化により最大搭載量は約8tほどまで増加。

ハードポイントも追加され、合計12基もの豊富な武装を積むことも可能になっている。

 

Unknown《見つけた あのラプター》

Unknown《この頭痛の原因…》

 

Sora《何これ 頭が痛い》

Miko《そらちゃん 大丈夫?》

 

Su-35はダークグレーに差し色でコバルトブルーを主翼、水平尾翼、垂直尾翼の先端に採用。

まるで昔の学生服を連想させる色合いで他の機体は眼中にない、と言うようにF-22Aめがけて突っ込んできた。

 

Sora《私を狙ってる!?》

Unknown《頭痛の元凶 墜ちてよ FOX2》

 

今までと決定的に違う。それはノイズが走りながらも聞こえる『ヒトの声』。

これまで聞こえてきたのは読み上げソフト、もしくはAIに似た無機質な声ばかりだった。

だがこのSu-35は違う。多少聞きにくいが憎悪や敵意──マイナスの感情を剥き出しにして追ってくる。

 

Sora《くっ しつこいなぁ》

Unknown《当然 私が墜とすんだから》

Unknown《もう一人の『私』》

 

この一言でノイズが消えた。声の主は自分たちもよく知る人物、他のメンバーも当然困惑する。

それは飄々としながらも冷静なフブキでさえも動揺するほどだ。

同じ声が二人いる。ドッペルゲンガーでも見たような焦りがそらを含めて全員に伝播する。

 

Miko《そらちゃんが…もう一人…?》

Subaru《何が起こってんだよ!?》

Fubuki《落ち着けスバル! 現実なんだから》

Mio《やっぱり裂け目が原因かも…》

 

Sora《じゃあ敵だね》

Sora《全機ブレイク この子は私が受け持つよ》

 

♪【cover】コンプレックス・イマージュ【歌ってみた/ときのそら/ホロライブ】

 

Unknown《逃がさない》

Sora《最後まで気は抜かない…!》

Unknown《クルビット!? 攻守交代か》

Unknown《やっぱりね 『同じ顔』なんだ》

 

クルビットで一瞬だけとはいえSu-35のパイロットと目が合った。それこそ『自分』そのもの。

ゲームで言うミラーマッチ。そらも驚きを隠せず、数秒だけ放心状態となっている所に通信が割り込んできた。

 

Unknown《もう一人の『私』 聞こえる?》

Unknown《私は時乃 美空時乃》

Shino《私達は『エラーズ』 よろしく》

 

こんな呑気な自己紹介の最中にも背中の取り合いは続き、誰も割って入れないようなオーラが2機から発されている。

時としてインメルマンターンやスプリットSを使い、何度も攻守が入れ替わる。

そして何より──どちらも被弾しないままドッグファイトが未だに続いている。

Su-35も確かに疲労は蓄積しているはず。だがそれを感じさせない機動でピタリと後ろに機体を付ける。

 

Shino《絶対に私達はこの世界を飲み込む》

Shino《片方に統合しないと 不安定すぎるの》

 

Sora《でも相容れないなら 私達も負けない》

Shino《じゃあ敵だね さよなら》

Shino《あと何回会えるか 楽しみにしてる》

 

後ろからSu-35がF-22Aを追い抜いてエリア④の方向に撤退、今度こそ反応は全て消失した。

ほぼ同じタイミングで友人Aから通信が入る。さすがにこれ以上は燃料的にもキツい、と判断してかその指示に全機が従う。

 

Control tower《こちら管制塔 友人A》

Control tower《敵機の反応消失 キャプチャークリア》

Control tower《各機お疲れ様でした RTB》

Control tower《そら 空いた時に詳しく聞かせて》

 

おそらく聞けても数日後。友人Aは紅茶を飲みつつ着陸、タキシングの後でハンガーに入る機体と今回のメンバーを眼下に見下ろす。

ちなみに、かなたはロープでぐるぐる巻きにしたという。イモムシのような動きで必死に抵抗する姿が視界の端に見える。

 

「そらの欠片、か…」

 

もしかしたら。その懸念は今はまだ小さい。が、遭遇した時のマニュアルのようなものは必須になる。

それを作るため、友人AはPCを立ち上げた。




ハイ、誰を黒幕にしようか悩んだ結果ERRORの面々になりました!
最初は時乃をSu-35に乗せてみましたが…やっぱ5でオヴニルが乗ってただけあって敵に似合う機体ですなぁw
もう5のオヴニル戦、何回壁に突っ込んだか()
あと書いてて思ったのがスバル署長、隊長機に向きすぎてて楽しかったなぁ…w
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