HOLOLIVE COMBAT〜Skyblue Triangle〜 作:ブラウ隊
山岳地帯エリア①。沙花叉が派遣で留守の間の穴を埋める必要性が出てきた。
AWACSはAIこよりが担当、空域の全方位に睨みを効かせるという点では問題ない。
が、一つの基地が有する戦力として見た場合あまりにも少なく、心許ない。
分散するにしても2機のペアで捌けるレベルの話ではなく、この前のMiG-21bisのような大群で押し寄せたら間違いなく全滅の憂き目に遭う。
ちなみに現在、夕食を終えて会議室に全員が集まっている。
「いや、キツいだろこれ…」
「追われる立場が怖いでござるな」
「ラプ、いろいろ試すのもアリだよ」
「クロたんが遊撃担当だったもんね」
いくら各々の得意分野を理解したholoXでも機体の得意分野まで同じ、とはいかない。
ラプラスとルイのF-22Aで組めば制空権の確保は容易になるが対地、対艦に隙ができる。
とは言ってもエラーズ側から戦車や対空兵器がコピーされて送り込まれたことは一度もない。ましてや軍艦は海なしエリアの①ではまず見ない。
「吾輩に一つプランあるんだけどさ」
「何でござる?」
「気になるかも」
「ラプ、変なの食べた?」
完全に弄られる末っ子ポジの総帥なりに案はあるらしい。ハンバーグに釣られる雰囲気は今はない。
秘密結社のボスらしくスクリーンを展開、ちゃんと自分で作ったと思われるプレゼンを引っ提げてきた。
だがまずは形から。メガネを装着、ドヤァの文字が具現化しそうな雰囲気で着席。
「まず今の戦力。ラプター2機とラファール、あとライトニングⅡか。まぁバランスはいい」
「ラプちゃんが…総帥やってる…」
「それ酷くね?まぁアレだ、制空権の掌握だけなら余裕なんだ。でも最高速度を揃えて、ってなると厳しい」
「明日はミサイルでも降るでござるか」
「侍、次の配信ホラゲ耐久な。だから今回の出撃は幹部と侍で組んで制空権の確保、吾輩とこよりは試験的にステルスの混成部隊だ」
「今度ハンバーグ食べる?」
「それって…最高じゃん!」
チョロい。誰もが脳内に浮かべた一言だが口には出さない。
中央都市部エリア③に倣って夜間飛行の哨戒を増やし、同時刻に観測される敵機の共通点および弱点の共有に動きだした。
今夜は2030にミッション開始。席を立って各自でハンガーに向かい、機体のシートと一体化する。
AWACS《AWACS『ビーストアイ』から各機》
AWACS《これより夜間ミッションを開始》
AWACS《風向き 天候よし 離陸を許可します》
滑走路にまずはラファールとF-35Cがタキシング。続いて2機のF-22Aが後を追う。
満月とはいかない。が、雲を利用すれば奇襲を仕掛けられる『いい夜』だ。
Iroha《こちら風真 機体に異常なし》
Iroha《ラファール 参る!》
Koyori《本人からAI》
Koyori《ライトニングⅡ 行きます》
Lui《鷹嶺ルイよりAWACS》
Lui《ラプター 行くよ》
La+《ラプラス・ダークネスよりAWACSへ》
La+《ラプター 出るぞ!》
ラプラス、こよりは左へ。ルイ、いろはは右へ向かって旋回。
荒々しい山肌も慣れたもの、夜間だろうとここはholoXのホームベースと化していた。
元から滑走路さえ山をくり抜いたようなもの。危険性も逆手に取れば天然のバリケードとなる。
La+《こっちは特に異常なしか》
Koyori《だね いつもと同じ》
Lui《同じくレーダーも異常なし》
Iroha《油断は禁物でござるなぁ》
その一言が現実となった。レーダーに捉えた敵機はMiG-21bis。またコイツか、と言いたくなるくらいには見慣れた顔だ。
やはりコスパ最強の物量特化、数を揃えるだけならこの機体がエラーズ側には最適解だと思われる。
AIこよりからの通信が助け船となり、今回の敵の全容が明らかになった。
AWACS《ビーストアイから各機》
AWACS《10時方向と2時方向から敵機が10ずつ》
AWACS《うち4機は未確認 警戒を》
La+《確認した 戦闘機は護衛機か囮だぞ》
優先的に電子機器を充実させたジェット攻撃機が存在する。
この傾向は本機が世界初となり、時にはこの機体しか動けない作戦さえ経験している。
間違えようのない大きな機体前部には車と同じく横一列にパイロットが座る、という珍しさも特徴の一つだ。
A-6E『イントルーダー』。
就役期間中において採用国の海軍機が関わった紛争、および戦争のほとんどに参加した常在戦場の機体でもある。
驚くべきはその兵装搭載量。艦載機でありながら約8tものミサイル、爆弾、ロケット弾ポッドで武装できる。
なお、この8tという数字は───第二次世界大戦時の爆撃機に匹敵する。
その名の通り、低空からの『侵入者』は爆弾を抱え、少し遅れて2機のペアに別れて滑走路を狙ってきた。
Iroha《ルイ姉 何機か抜かれた!?》
Lui《いろは 今は制空権に集中して》
Iroha《ぶっつけ本番でござるか!》
Lui《そういう事 こっちも暴れるよ!》
ミーティングでの采配に従って確実に撃墜数を更新するが重包囲の終わりが見えない。
ジリ貧もいいところ、腕前で言えばエース級のholoXの二人でも集中力が切れてくる。ここで雑な機動にはなりたくない。
Lui《よし もう1機 …喰らった!?》
Iroha《ルイ姉!》
Lui《大丈夫 掠っただけ》
Iroha《レーダーに感あり 味方機!》
赤を基調に青と白、クリーム色という超ド派手なカラーリングで存在感に全振りしたMiG-29が侵入直後に後方の2機を撃墜。
初っ端からプガチョフ・コブラを披露、ルイといろはの前に陣取り、回線を開いて聞こえた声はハイテンションそのものだった。
Polka《こちらポルカ 舞台に上がるよ!》
Polka《空中サーカスの開幕だ!》
♪【ORIGINAL SONG+MV】ペルソナ-Omaru Polka【尾丸ポルカ/ホロライブ】
Polka《あれー?結構減ってる?》
Lui《ポルカ先輩 まだ残ってます》
Iroha《ここから巻き返すでござるよ》
時として囮になり、奇抜な挙動でMiG-21bisを撹乱し、撃墜のチャンスを作り出す。
その一方で隙あらばエンジンを機関砲で抉り取り、アグレッシブに攻め立てる。
アタッカーもサポートも自然とこなす手際の良さは『ある人物』と被る部分があった。
Lui《クロヱ こんな感じだったよね》
Iroha《負けてられないなぁ》
Polka《鈍足なんだよ はい プレゼント!》
爆弾をそのままぶら下げ、2機で行動する攻撃機など容易に撃墜できる。主翼の下の爆弾に直撃、誘爆した1機は墜落。
回避行動を取った片割れもミサイルの餌食に。これで2時方向の残りはMiG-21bisのみとなった。
La+《こっちから仕掛ける 合わせろ》
Koyori《了解 クレー射撃みたい》
La+《よし 3機撃墜した》
Koyori《後ろの遅い2機 滑走路が狙い?》
F-22Aの信条は先手必勝。先に見つけ、先に撃ち、先に撃墜する。
少しでもMiG-21bisを減らすことに成功し、残り5機だと油断した瞬間、罰ゲームのようにAWACSから増援の知らせが来た。
AWACS《こちらビーストアイ》
AWACS《10時方向にF-5Eが3機接近》
La+《ハァァ!?》
Koyori《何でこっちばっかり!》
La+《こより 攻撃機は頼んだ》
Koyori《待って 味方機が1機》
その機首はよく知っている機体のものだった。だが機体の形状がまるで違う。胴体は延長され、主翼はデルタ翼と化した。
垂直尾翼はそのままに、F-117Aに似た雰囲気を漂わせたままF-5Eに突っ込み、3機全てを葬った。
実現するはずだった機体のプランがある。
それはF-22Aの爆撃機バージョンとなるはずだった幻の機体。遂に実現しなかったペーパープランとなった代物だ。
生産ラインが閉じられ、次世代爆撃機は共同開発が決まり、モックアップさえなかった機体がここにいる。
FB-22『ストライクラプター』。
常に闇へと葬られ続けた猛禽は黒、白、紫の迷彩でラプラスのF-22Aの隣に姿を現す。
Towa《ラプラス 苦戦してんの?》
La+《トワ様!?》
Koyori《攻撃機やっちゃうよー》
Towa《各機 確実に食い千切れ》
♪ANEMONE/常闇トワ(official)
Towa《残り5機なら ラプラス》
Towa《同時にクルビットやるよ》
La+《了解!》
Koyori《こちらこより 攻撃機は全滅》
A-6Eは滑走路に侵入することなく、全て墜落して残りはMiG-21bisの各個撃破のみ。ここまで来れば後は狩り慣れた機体。
後方に2機が張り付き、機関砲を撃ってきた次の瞬間。急激に加速、そして失速ギリギリまで減速。
Towa&La+《せーの!》
Koyori《ナイス! こよも1機貰うね》
2機の猛禽がバク転を披露、無人機とはいえキャノピーに機関砲を叩き込まれては墜ちるしか道はない。
F-35Cのミサイルも突き刺さり、1機減ったところで両方の部隊が合流を始める。
Polka《ポルカから各機 そろそろ合流するわ》
Lui《今度はこっちが包囲するよ》
Iroha《飲み込むでござる》
Towa《了解 聞いたね》
La+《勝ち確だわこんなん》
Koyori《フラグやめよっか?》
現在レーダーに映るだけで敵は4機。逆にこちらが悪役に見えるくらいには世代、性能共にかけ離れていた。
MiG-21bisも無人機ながら撤退を開始、それは無謀にも背中を向けて工場エリア②方面へと向かう。
Errors UAV《撤退 撤退》
Errors UAV《脅威レベル更新》
Polka《逃がすワケないじゃん》
Towa《全機 ミサイルぶち込んでやれ!》
ツーマンセルで追撃し、トワとポルカの第一陣はそのまま発射、ブレイク。
ラプラス、こよりの第二陣はワンクッション置いて発射。低空からステルス性を活かして接近する。
ルイ、いろはがトドメにと機関砲を撃ちながら猛追。至近距離からミサイルをエンジンに見舞う。
La+《撃墜を確認 さっきので全部だな》
Koyori《滑走路も被害なし 完璧だよ》
Lui《敵機の反応ロスト 全機RTB》
Iroha《了解 神経すり減ったでござる》
Towa《エスコートよろしく》
Polka《終わったぁー》
各機が慎重に滑走路へ着陸。トンネル内のハンガーに機体を入れて各々が降り、ラウンジに集まってミーティング兼歓迎会が始まる。
むしろ歓迎会にしか見えないが気にしたら負けである。特にラプラスが今回自重しない。
「トワ様ァァァ」スリスリ
「痛いわディア◯ロス!部位破壊するよ!?」
「ウチの総帥がホント申し訳ないです」
「ってな訳でポルカもおるよー」
「いきなりコブラは真似できないでござるな」
「こよも見たかったなぁ」
ミーティングとは。忘れ去られたプロジェクターとスクリーンは何のために出したのかと誰もツッコミを入れないこのカオス。
テーブルに置ききれなかったスナック菓子がとりあえず置いてある程度にはプロジェクターが埋もれている。
使われなくなった健康器具に洗濯物が掛けてある。まさにあんな感じである。
「はい!余ったスナックは徹夜のお供にでもどうぞ!」
こよりがパン、と手を叩いて解散。結局スクリーンもプロジェクターも出番がないまま終了。
各自が部屋に戻る中、こよりだけはノートPCを立ち上げる。
通信を繋げたのは工場エリア②。要するに不知火建設の社長に用がある。
『あれ、珍しいとこから連絡来たじゃん』
「フレア先輩、ちょっと大掛かりな要件で」
『ふむ…どんなの?』
「ウチのハンガーってトンネル内なんですね」
『要するに広さが欲しいと』
トンネル潜り。もはや恒例となった初見キラーをまさか後輩の基地が採用するとは。
不知火建設の頭を悩ませるこの案件、なかなかに面白いとフレアは脳内に設計図を描いてみる。
確かに地形は厳しい。だがそれ以上に防御力で考えれば鉄壁の部類に入る基地だ。
『やるだけ挑戦してみますか』
「ホントですか!?」
『どう仕上げようかな…一回視察させてよ』
通常の基地や空母のように出ればすぐ外、という構造ではない。故に『航空機のシェルター』が最初から使えている。
天然のバリケード内だからこそ──ミサイルでは簡単に届かない。戦車で制圧しようにも先に見つかって吹っ飛ばされる。
水面下で拡張工事の協議が進む中、ラプラスはとある一室の前にいた。
「何で吾輩とトワ様が別室なんだよォォォ…」
ドンマイ、としか言えないこの光景は食堂から漂うハンバーグのソースの匂いで吹き飛んだ。
今回はトワ様、ポルカ参戦でした!
これに乗せよう、が決まってるメンバーと決まってないメンバーが混在して頭がカオス状態ですw
まだ出てない強機体も割と組み合わせは決まってますよ!