HOLOLIVE COMBAT〜Skyblue Triangle〜   作:ブラウ隊

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Mission09"烏の羽音、青空へ"

工場エリア②。ここは様々なパーツの製造や機体の建造を受け持つ不知火建設の縄張りだ。

新メンバーがラッシュで来るとの一報を受け、昼間から急ピッチで機体の建造が進められている。この次はholoXの基地の視察。

分刻みではない。が、フレアはラウンジでかなり忙しいスケジュールに目を通して工廠にいるラミィに連絡を取る。

 

「いきなりでゴメン、そっち進んでる?」

『ちょっと数が多いかなぁ』

「そっか。合計10機はキツいかな…」

『あ、もう2機は動かせる』

「マジ!?」

 

まさかの2機ロールアウト。この調子なら一組目はギリギリ間に合うかもしれない。次はハンガーで整備の指揮を任せたノエルとぼたんに連絡。

一個小隊程度とはいえ急なスクランブルに対応、というケースも当然ながら想定しないといけない。

戦えるのは現在4機。だからこそ周到に、入念に準備する。

 

「ノエル、整備って終わってる?」

『バッチリ終わってる太郎〜』

「了解、それならハンガーの方は大丈夫かな」

『こちらぼたん、キャノピー磨いといたよ』

『ありがと、助かる』

 

さらに友人Aへ管制塔の申請をしてやっと休憩。主要メンバーも続々と集まってきた。

中でもぼたんはシミュレーターを人一倍こなし、弱点の飛行機恐怖症を克服したキャリアがある。

 

「ししろん、よく乗れたよね」

「あー、脳内でゲームって認識だったから」

「そういえば団長たちの他に2機いたなぁ」

「先に上がれる精鋭だよ、楽しみにしてて。あ、えーちゃんからだ」

 

『こちら友人A、1700よりタキシングお願いします』

『中央都市部と山岳地帯でこの時間帯に遭遇する機体の機種を調べてまして』

「うん、その動きは把握してる。こっちもシフト増やそうかなって」

『一応サーチライトは増やしても良さげですね』

「うん、担当も振り分けるつもり」

 

横に置いたスマホのスピーカー機能。これで周囲にも聞こえる。とりあえず前衛と後衛に分配。

これでミッションに幅が出た。使える機体は少なくても最終防衛ライン程度のものは設定できる。

通信を終え、時計を見るとそろそろ出撃の時間が迫ってきた。各々ハンガーに散り、相棒に身を委ねてタキシングする。

 

Control tower《友人Aから各機》

Control tower《17時方向から敵機が接近》

Control tower《AV-8Bが16機 スクランブル》

 

Flare《了解 不知火フレアより管制塔》

Flare《タイフーン 行ってくるよ》

 

Noel《こちら白銀ノエル 機体に異常なし》

Noel《フランカー 行きます》

 

Lamy《雪花ラミィからえーちゃんへ》

Lamy《シーフランカー 出ますッ》

 

Botan《獅白ぼたんから管制塔 聞こえる?》

Botan《トムキャット 出るよ!》

 

少しおかしい。このエリアはアナザー側に通じる裂け目が存在しない。東は中央都市部エリア③、となれば唯一隣接するエリア⑥が主な原因だと思われる。

ここから飛来するなら納得が行く。そして激戦区となり得る可能性も相対的に高まる。

 

Flare《不知火フレアより各機》

Flare《ここからのプランを共有しとく》

Flare《私とノエル ラミィとぼたんで行動》

Flare《ハリアーが全滅したら合流!ブレイク》

 

Noel《はいよー》

Lamy《了解!》

Botan《ウィルコ》

 

ノエフレ、ししラミで分担、AV-8Bを順調に撃墜していく。だが──やはり理解できない部分もある。

『なぜ今』AV-8Bなのか。戦闘機並みのスピードも有さず、母艦さえ持たない。

いくら垂直離着陸機が可能、とはいえAV-8Bが活躍できるのは『拠点ありき』の場所であることが多い。

 

Errors UAV《目標発見》

Errors UAV《了解 攻撃開始》

 

Noel《ハリアーってこういう機体じゃっけ》

Flare《違う 揚陸艦とかで真価が発揮される》

 

Botan《ラミちゃん あたしが先に仕掛ける》

Botan《FOX3! FOX3!》

Lamy《ナイス直撃! 上手くバラけた》

 

下手をすればMiG-21bisの方が苦戦するかもしれない、というくらいには追いつく事が容易な機体がこうも大挙してくる。

単に敵情視察か、もしくは陽動の一角か。または──本命は別にいるか。

 

Control tower《管制塔より各機へ》

Control tower《これから2機上がります》

Control tower《頼りになりますよ!》

 

Flare《もう動かして大丈夫!?》

Lamy《今動ける機体は大丈夫》

 

未だに作られ続ける機体が存在する。

その数、4600機以上。並み居る対抗馬を下し、改良が続き、コスパも良く『ベストセラー戦闘機』として多くの採用国に恵まれた機体だ。

主翼と胴体を一体化させるブレンデッドウィングボディ、フライ・バイ・ワイヤの搭載など当時としては革新的な技術も多く取り入れている。

 

F-16C『ファイティングファルコン』。

高コストなF-15シリーズとは相対的なハイ・ロー・ミックスの『ロー』を担当する。

20カ国以上で採用され、その入手のハードルの低さから主力戦闘機の座を射止めた国さえ存在するほど。

対地、対空、アクロバット、何でもござれの機体としても有名な一面も合わせ持つ。

そのF-16Cはダークグレーにモスグリーンの和風な迷彩。主翼の縁だけがベージュで塗装されていた。

 

Raden《こちら儒烏風亭一門は前座見習い》

Raden《儒烏風亭らでん ファルコン 開演!》

 

単発エンジンの力強い轟音と共にAV-8Bに突っ込み、持ち前の軽快さで後方から機関砲を連射。まずは1機を撃墜した。

このミサイルアラートの中、時として体を圧迫するGが負荷となる中、割と余裕そうな通信が聞こえてきた。

 

Raden《ReGLOSSが一人 まずは謎かけを》

Raden《試合前に気合を入れる時とかけまして》

Raden《飛行機の弱点と解きます》

 

Lamy《その心は?》

Raden《どちらも円陣(エンジン)です! そこォ!》

Lamy《座布団一枚》

 

声色以上にエキセントリックな後輩が来た。いつか大喜利配信に呼んでみたいくらいにはウマが合う。

儒烏風亭らでん。強烈なキャラに反して博識な人物でもある。時には冷静に、時には飄々としながら敵を翻弄するトリックスター枠を期待されている。

 

ししラミにらでんが合流、同時刻。タキシングを終えて即座に離陸する機体がいた。

ライトグレーとブルーで塗装され、スーツを彷彿とさせるF-15C。垂直尾翼の青い薔薇が一際目を引く。

それは双発エンジンの轟音と共にノエフレに向かって進路を取る。

 

Ao《火威青からコントロールタワー》

Ao《イーグル 出ます オーダーも多そうだ》

 

火威青。地上や配信では芸人扱いされる方が多いが、工場エリア②に来た当初は技術者を目指していたという。

そのキャリアもあって『戦える技術者』という貴重なポジションでもある。

そして何より『彼』ではなく『彼女』。れっきとしたホロメンの、ReGLOSSの一角だ。

 

Ao《うわぁ まるで姫騎士だな》

Raden《いや全く》

Ao《こっちにも4機 やろうか ブレイク!》

Raden《はいよー》

 

Errors UAV《アンノウン確認》

Errors UAV《射程内に捕捉 攻撃開始》

 

♪【歌ってみた】サンドリヨン(Cendrillon)【火威青×儒烏風亭らでん/ReGLOSS】

 

Ao《悪いね ここは招待制なんだ》

Ao《それとも 『落とされに』来たのかな!》

 

Errors UAV《直撃を確認 誘爆》

Errors UAV《1機ロスト 作戦続行》

 

左右に散開。AIM-9『サイドワインダー』でヘッドオンしたAV-8Bを撃墜、マッハ2.5で突き抜けて大回りに旋回、後方から猛追。

相手は攻撃機。F-117Aのようにステルス性に秀でた訳でもなく、マッハ2級のスピードがある訳でもない。

故に『追い付く』など造作もなく、キツく言うなら場違いな機体にF-15Cは負けない。

 

Ao《どこまで逃げる気かな》

Ao《貰ったよ FOX2》

 

Errors UAV《ダメージ80%超過 航行不》ザァァァ

 

一方のらでんは既に1機を撃墜数に加算。垂直に機体を傾けながらAIM-9を叩き込み、次の獲物に目線を移す。

高度は気持ち上。下から狙えるにも関わらずらでんはマッハ2で大きくインメルマンターン。有人であれば思わず減速、衝突を避ける。

が、これは無人機。そのままのスピードを維持して飛ぶ分、上から斜め下に攻撃できるポジションからAV-8Bの背中にAIM-9を突き刺した。

 

Raden《フフン 鷲とは違うのだよ 鷲とは》

Raden《こっちは終了でござい》

 

ErrorsUAV《航続距離 減少 減》ザァァァ

 

青、らでんが4機を全滅させたと同時に通信が入る。当然ながらこれで終わる訳がない。

今までのAV-8Bは囮、脚の遅いヘリ部隊こそが今回の本命。生産拠点を叩くなら対地攻撃に特化した機体を送り込むのは定石だ。

 

Control tower《こちら友人A》

Control tower《工場上空にヘリ部隊が10機接近》

Control tower《近くの機体は急行を!》

 

Noel《こっちが本命だった…!?》

Flare《やられた ぼたん ラミィ!》

Lamy《了解!やったるわ!》

Botan《だろうね 給料上乗せで》

 

『空飛ぶ戦車』と形容される機体が存在する。

対地攻撃は当然、陸なら強力な兵器となる戦車にとっても天敵となり得る存在だ。

AGM-114『ヘルファイア』やハイドラ70ロケット弾ポッドなど豊富な武装も搭載できる。

 

AH-64『アパッチ』。

固定武装は30mmチェーンガン。この口径は卓球のボールより一回り小さい程度。それが上空から文字通り『降ってくる』。

戦車を含めた軍用車両、建造物、果てはヒトまで──万物全てを瓦礫に変える先住民である。

 

Ao《こちら青 僕たちで向かいます》

Raden《ヘリだけに『回転率』重視ですなぁ》

Noel《頼めるなら助かる太郎 FOX2!》

Ao《お見事 敵の撃墜を確認》

 

Raden《青くん 特殊兵装は?》

Ao《まだ使ってない なるほど 読めたよ》

 

F-15CとF-16Cはアパッチに機首を向け、速度を合わせて急行。横っ腹を狙って特殊兵装に切り替える。

AIM-120『AMRAAM』。各々が4発ずつ発射してエラーズ側の本命を次々と撃墜、残りは2機。

最高速度も約300kmのヘリにとって戦闘機の──超音速のスピードは自転車とF1の違いのようなもの。近くで爆発音が連続して聞こえた。

 

Flare《こっちも遅れは取れないか》

Flare《各機 思うように暴れな!》

Noel《待ってました!》

Botan《はいよ》

Lamy《ししろん 行くよ》

 

ラミィが前衛、ぼたんが後衛のポジションは崩さないままに前へ出る。後方に下がれば生産ラインに接近させる。

ノエル、フレアはドッグファイトに持ち込み、自分たちで撃墜できるだけのAV-8Bを片っ端から叩き落としていた。

 

Noel《一騎討ちにしては 反応が遅い!》

Flare《ナイスキル こっちも1機仕留めた》

 

Errors UAV《被弾 被弾》

Errors UAV《作戦継続不可能》

 

Lamy《追われるのも飽きたなぁ》

Lamy《そろそろ墜ちなー!》

Botan《なるべく遠くへ…》

Botan《FOX3! 当たれぇ!》

 

ほぼ全滅したと思われたAV-8B。その中で1機だけ様子がおかしい。エンジンを損傷しながらも工場上空を飛んでいる。

徐々に機首を下げ、狙いなど二の次。文字通り突っ込むつもりらしい。

ぼたんのAIM-54は既に弾切れ、青とらでんも距離的に心許ない中、Su-35Sが動いた。

 

Flare《ノエル!?》

Noel《団長だってこれくらい…》

Noel《クルビットくらい …行けぇぇぇ!》

 

フルスロットルでAV-8Bのやや前方へ。背中を向ける形から失速寸前まで減速。

プガチョフ・コブラの体勢から機体を一回転、すぐ目の前にAV-8Bの機首を捉えてミサイルを全弾ぶち込む。

主翼にも命中したのかAV-8Bの軌道が工場から逸れて地上に激突、ドス黒い花火が上がった。

 

Flare《やりやがった お手柄だよ》

Noel《団長 やったよフレア》

Flare《敵機の反応全て消失 RTB》

 

Lamy《了解 まずは祝杯かな》

Botan《ほどほどにね》

Noel《じゃあ牛丼で …ダメ?》

 

Ao《これからお世話になります!》

Raden《お酒を飲みまァす!》

 

Flare《韻踏んでて草》

 

このエリアも賑やかになってきた。まずは各機が滑走路に着陸。真っ先に着陸した青が自分に続く機体を見て目を輝かせていた。

そしてここは食堂。フレア曰く『今日は奢る』とのこと。目の前に並ぶメニューの大群は統一感の欠片もない整然としたカオス。

 

「ここかぁ、牛丼の場所はぁ…いただきますッ」

「ノエル、ホントによく食べるね…」

「ふぇ?」

「ま、さっきは助かったよ。お疲れ」

 

紫のコブラのデッキでも拾ったようにゆらり、と現れた割に牛丼を見つけると目の色が変わったノエル。

さっきクルビットを決めたとは思えない食欲で既に2杯目。実際、これがあのフランカーの別の原動力でもある。しらけん社長が財布の中身を気にしている。

 

「今日は飲みなー!ほらほらァ!」

「ここに酒豪が集合!まだまだ飲みまァす!」

「二人だけやないかァァァい!座布団没収」

「うわぁぁぁやっちまったぁぁぁ」

 

ラミィ、らでんは缶のハイボールを6本は平らげ、バタピーをつまみに芋焼酎に突入。顔が肝臓とはよく言ったもの。

コレ明日大丈夫かな。この場にいる誰もがそう思っていた。しかし本人たちが心底楽しそうにしているため口は出さない。

 

「楽しそうですねぇ…ところでぼたん先輩」

「どした?」

「後で機体の方、見たいなって」

「そっか、技術者志願だっけ」

「あ、把握してました?」

「酔い覚ましに今からでもいいよ」

 

青とぼたんはカクテルもそこそこに夜風を浴びながらハンガーへ。自分の機体と違う機体が博物館のようにズラリと並ぶ。

タイフーン、Su-35S、Su-33、そしてF-14D。ぼたんの機体はかつての飛行機恐怖症もあってか非常に状態が良い。

興味深そうにそれぞれの機体を様々な角度から見て回り、「うんうん」と満足げに頷く。

 

「何かあれば言ってくださいね、カスタマイズくらいなら何とか」

「あ、助かる!あたしはシミュレーターで自分の弱点っぽいとこ出しとくわ」

「了解です!参考にしてみますね!」

 

「あと青、戻ろうぜ?もう少し飲みたいし」

「いいですねぇ」

 

外はすっかり暗くなり、さすがに寒い。酔い覚ましどころか目覚ましになりそうだ。

二人分の影が食堂に続く入り口に吸い込まれてドアが閉まった。




ハイ、遂にReGLOSS参戦です!
まずは2月生まれの二人を。一気に全員か2回に分けるか考えてたらね…この間ですわw
あと今回のボス枠にしてはあっさりすぎたアパッチ。
この登場の仕方が7のストーンヘンジ防衛で北東から侵入してくるヘリ部隊のオマージュだったりします。
次はもう誰が来るか分かる…はず!
一人は初手から「この機体にしよう」で決まってたホロメンです!

でんちゃんとF-16Cの共通点が分かった人は凄い…!
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