正義の味方を目指した生徒、黄昏ヨナ   作:お昼寝【スタジオホルス】

2 / 7
初投稿です、よろしくお願いします。
※youtubeにて動画化している自作SSを小説用に編集したものです。
台本ほぼそのままなので読みにくいかもしれません。
動画をご視聴していただければより楽しめると思われます。
https://youtu.be/-N1oyYTFGFY


私の原点

…暗闇

襲ってくる恐怖感

ああ、まただ

またこの夢

私の過去、そして原点

幼い頃の記憶

私は幼い頃、死にかけたことがある

倒壊した建物に、生き埋めになっていた

理由はわからない、幼かったから覚えていないのかもしれないし、なにか別の理由があったのかもしれない

…死にかけたってことは、死ななかったということだ

そう、この後私は助けられる

…正義の味方から

 

ヨナ「…あなた、だあれ?」

??「私?」

??「私は…」

??「正義の味方だよ」

ヨナ「せいぎの…みかた?」

ヨナ「…わたししってる」

ヨナ「けーさつの、ひと?」

??「え?」

ヨナ「けーさつかんの人…ヴぁるきゅーれ…」

ヨナ「そうでしょ?」

??「…うん、そうだよ」

??「私は警察官だ」

??「…君にこれを」

ヨナ「…これはなあに?」

??「これは逆十字…色んな意味が込められている」

??「ただ、私は君に持っていてもらいたい」

??「…受け取ってくれるだろうか?」

ヨナ「…うん」

ヨナ「きれい…」

??「あはは、ありがとう」

ヨナ「…ねえ」

??「ん?」

ヨナ「なんで、泣いているの?」

 

そう、彼女は泣いていた

泣きながら笑っていた

私を安心させるためだったと思う

でも、当時の私にはそれもわからなくて

不思議に思って聞いていた

 

??「…嬉しいからだよ」

ヨナ「?うれしいときにもなくの?」

??「そうだよ、嬉しい時にも悲しい時にも」

??「…泣いたっていいんだ」

ヨナ「…そんなにうれしい?」

??「…うん、嬉しい」

??「君も多分、解るときがくるよ」

??(…願わくばそれまでに君が折れずに)

??(君の祈りが、叶いますように…)

 

…その後、救護所に私を送り届けた後、彼女はいつのまにか消えていた

何度この夢を見ても彼女の見た目も名前も思い出せない

そもそも名前を聞いてはいないのかもしれない

…それでも私の生き方はここで決まった

私は警察官を目指した

人のために身体を張り、命を懸けて助ける

あの人のような私の英雄…

正義の味方になりたかったんだ

…でも

現実はそんなに甘くない

正義の味方なんて幻想

私が見ていたこの夢も、幼い頃の妄想

現実には存在しない

…そう、幻想と夢だと

私は、思い知ったんだった

 

生徒「おい、ヨナ?大丈夫か?」

生徒「巡回パトロール行くぞ?」

ヨナ「…大丈夫っすよ、先輩」

ヨナ「行きましょう、それが役目ですから」

生徒「お、おう…いくか」

生徒「…お前、まだ調子悪いんだろ?服装それだし…」

 

【挿絵表示】

 

生徒「運転は私がしておくから、隣で休んでろよ」

ヨナ「そんなわけには…」

…いや、もうどうでもいいか

…私がいたところで、何も変わらない…

 

 

…私の名前は黄昏ヨナ!

ヴァルキューレ警察学校公安局の1年生っす!

 

【挿絵表示】

 

将来の夢は正義の味方!その為にこの学校に入ったっす!

…え?正義ならトリニティじゃないのかって?

何言ってんすか!正義の味方と言ったら警察でしょう!

悪を挫き弱気を助ける正義の味方っす!

 

…入学当初の私

この時はやる気に満ちていたっけ

夢を叶えるんだって、人を助けるんだって

そう、張り切ってたんだと思う

…都合の良い妄想に踊らされていたんだ

新入生はそれぞれ隊に分けられ、教育係となる先輩とバディを組まされる

私のバディとなってくれた先輩は…

…非常に厳しい、けれど素晴らしい先輩だった

 

ヨナ「は、初めまして!黄昏ヨナと申しますっす!」

生徒「おー、よろしくな新入生!」

生徒「なにか特技とかあるのかー?」

ヨナ「これといって特技は…あ、でも夢ならあるっす!」

生徒「夢?なんだなんだ?」

ヨナ「正義の味方になることっす!」

生徒「…正義の味方?」

ヨナ「皆さんもそのためにここに入ったんすよね?!」

生徒「あ、あー…まぁそんな時期もあったかもな」

ヨナ「よろしくお願いしますっす!」

生徒「あはは…まぁよろしく」

カンナ「さて、教育係だが…」

カンナ「薄明、頼んでもいいか?」

薄明シロ「…ご命令でしたら」

 

【挿絵表示】

 

生徒「えっ、薄明先輩がバディ?」

生徒「おいこのラッキーガールめ!先輩が教育係なんて!」

生徒「羨ましいぜこの野郎!…野郎じゃないけど」

生徒「わ、私はあまり羨ましくはないかな…薄明先輩怖いし…」

生徒「…まぁ厳しくはある」

ヨナ「え?え?」

シロ「…薄明シロだ、よろしく頼む」

ヨナ「あ、はい!よろしくお願いしますっす!」

 

初対面の印象は…そうだな

不愛想な人、だったと思う

笑うことなんて全く無かったし

叱責の声ぐらいしか聴いてなかったかな…

 

シロ「ヨナ!装備の点検はしたのか!」

ヨナ「はい!皆さんの分もやっておきましたっす!」

シロ「この馬鹿もんが!!」

ヨナ「痛いっす!」

シロ「装備点検は自分の分だけやればいい、各自各々で調整しているんだ」

シロ「もしお前に任せていた者の装備に不備があった場合、どう責任を取る気だ?」

ヨナ「うう…すみませんっす…」

シロ「以後気をつけるように」

シロ「ヨナ!この日誌だが…」

ヨナ「はい!事細かに記載しておいたっす!」

シロ「この馬鹿もんが!!」

ヨナ「あうちっす!」

シロ「細かすぎだ!」

シロ「一日分の日誌で一体何枚読ませる気だ?!」

シロ「紙だってただじゃないんだ、うちの予算の事などお前は知らないだろうが…」

シロ「一枚で納めろ!効率的に記すのも仕事の内だ」

シロ「他の者が書いた日誌を参考にするように」

ヨナ「申し訳ありませんっす…」

シロ「ヨナ!お前の掃除担当は1階トイレだけだろうが!どこまでやってる!」

シロ「ヨナ!その書類はお前が作るもんじゃない!それは上司の仕事だ!というか局長の…」

シロ「ヨナ!」

シロ「ヨナ!!」

シロ「ヨオオオオナアアアアアアア!!」

 

…薄明先輩は至らない私をよく名指しで叱った

叱られて当然の事ばかりしてたし、無理もないことだった

でも、薄明先輩は規則とかには非常に厳しかったけれど

…技術面に関しては、全く怒ることがなかった

私はあまり実技の成績が良くなかった

身体を上手く使うことができなかったのだ

体力には自信があったのだけれど…明らかに人より不器用だった

人の数倍繰り返さなければ動きの型を覚えることができなかった

 

ヨナ「…すみませんっす、また逮捕術の成績はほぼ最下位っす…」

ヨナ「先輩の評価にも影響するっすよね…」

シロ「…構わん、それより復習はしているのか?」

ヨナ「え?」

シロ「反復練習はしているのかと聞いている」

ヨナ「それはしてるっす!毎日繰り返してるっす!」

シロ「そうか、愚問だったな」

シロ「…やり過ぎは逆効果だ、時間をかければいいってもんじゃない」

シロ「身体を休めるのも仕事の内だ、私たちはいつ出動がかかるかわからないんだからな」

ヨナ「で、でもやらないと…」

シロ「…そう気負うな、周りと比べる必要はない」

シロ「お前はお前だ、お前なりに努力を続けていけばいい」

シロ「以上だ、仮眠を取るといい」

ヨナ「…はいっす」

ヨナ「…でも先輩、他の人はそうは見ていないんすよ」

 

そう、私は特別だった

特別な出来損ない…

”用無しのヨナ”だった…

 

 




"用無しのヨナ"へ続く
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。