【完結】吉良吉影は静かに暮らせない 作:ようぐそうとほうとふ
吉良吉影は静かに暮らしたい
M県S市杜王町。
人口約50000人。東北地方の中心都市から外れたニュータウン。町の花はフクジュソウ。特産品は牛たんのみそづけ。
平穏を絵に描いたようなその町に
しかし「植物の心のような生活」を志す吉良吉影にとっては理想の町だった。
1983年、吉良吉影。高校三年生の春のことである。
吉影はいつものようにぶどうヶ丘高校から帰校途中、杜王駅から出ている自宅近辺まで行くバスに乗ろうとしていた。
しかしバスは定刻よりも前だったにも関わらず、目の前で発車してしまった。なんだよとため息をつき時刻表を見ると次のバスはちょうど40分後だった。40分もバス停でただぼんやりとバスを待つと言うのは少し退屈に思えた。
吉影はふと空を見る。ちょうど春らしい気候で気持ちがいい風が吹いていた。夕暮れも近いが少し歩いて、何個か先のバス停まで行ってからバスに乗るのも悪くない。
そうやってちょっと気まぐれに歩こうと思ったのが悪かった。この時バスを駅前で待っていれば、吉影はこれから平穏ではない4ヶ月を過ごさずに済んだのかもしれない。
そんなことを知る由もなく、吉影はほとんど散りかかった桜を横目にロータリーを渡った。駅前から放射状に伸びる道の真ん中を通る。一番栄えている通りで、喫茶店やブティック、居酒屋やスーパーなどが立ち並び人通りは多い。いかにも平凡な繁華街。
しばらく喧騒を歩くと、辺りはいきなり静かになる。道の両端は戸建て住宅がずらっと立ち並び、小学生が走り回ったり主婦が立ち話をしていたり、といかにもな住宅街にかわる。駅回りだけ栄えた典型的な郊外の町。それが杜王町だ。
吉影の家は住宅密集地からはだいぶ離れたところに立っている。別荘などの立ち並ぶリゾート地帯で、夏場を除けばかなり静かな土地だ。すぐそばに岬があるが、大きな岩と柵があるくらいであまり開発はされていない。近々ホテルが建つらしいが、それでも徒歩で20分以上かかる場所だ。
早く免許が欲しい。車なしで暮らすにはあまりに不便だ。
しかし母親はきっといい顔をしないだろうな。車に乗ってどこかへ走り去ってしまうかも。なんて本気で心配するような人だ。吉影自身にはこの町から出る気なんて毛頭ない。しかし、母はそれをわかってはくれない。
家のことを考えていたら次第に気分が暗くなっていくのがわかった。吉影は自分の思考にかかった雲を振り払う。吉影の目指す平穏な生活に、こんな暗い気持ちは持ち込むべきではない。
静かに、そして穏やかに暮らす。
吉影にとってそれは幼少期からの願いであり目標だった。
吉影は優秀な子どもだった。どんなことをやっても大体すぐ人並み以上にできるようになったし、学校の勉強で苦労した記憶は一度もない。
しかし優秀であることは名声であれなんであれ、自分を平穏から遠ざける。
故に吉影はごく幼い頃から、決して1番を取ろうとはしなかった。むしろ徹底的に1番を避けた。家の棚にあるのはどれも3位のトロフィーや賞状ばかり。どんなに楽勝のテストでもうっかり1番にならないようわざと間違えた。
そうして吉影は成績はいいけど目立たない、つまらないやつという評価を受けながら実に静かな学校生活を送っていた。それは吉影の目論見通りでもあった。
今のところは完璧に自分をコントロールできている。そう感じていた。
志望校もそろそろ決めなければならない。あまり有名でもなく、でも偏差値はそこそこ高め。ほどほどの会社に就職できるような大学がいい。そんなことを考えながら歩いているうちに、あたりは家々もまばらになり、より一層人気がなくなっていた。
日差しもだいぶ傾いてもう逢魔時と言ってもいいほどだった。
紅く染まる帰り道。バス停まであと少し。
もう駅前の停留所からバスが出てる時間だ。ここで乗り逃したら本末転倒だ。
少し早歩きになってバス停を目指す。
そして目的のバス停にちょうどたどり着いた時、不意に影が視界に映り込んだ。
ちょうど向かいの道路だった。新築の住宅が密集して立ち並んで伸びる一本の道。5メートルは先だったと思う。逢魔時の日差しに照らされた影が、ぬうっと吉影の方へ伸びていた。
その影は奇妙な形をしていた。片腕が異常に長い。
吉影はその影の根元を辿る。そこに立っていたのは、
見間違いかと思い目を細めたその時、バスが来た。
乗り込みもう一度その道を見ると、そこにはもう誰もいなかった。
まるでちょっとした怪談のような瞬間だった。もしかしたら通りすがりの人がそう見えただけで、なんの変哲もない日常風景だったのかもしれないが。
吉影は奇妙な心地で座席に座り、しかしだからと言ってそれ以上考えることもなく家路についた。そしてこのことはすっかり忘れてしまっていた。
それだけで終わればよかった。
それを目撃してから5日が経って、4月13日。吉影が昼食をとっていると、隣の席の溝呂木みぞれが困った顔をして話しかけてきた。
「吉良くん。吉良くん、何か大変なことをしちゃった?」
溝呂木みぞれは高校3年間同じクラスで、しかも3年間同じ図書委員会に所属していた。いかにも図書委員という感じの地味な女子で、強いて言うなら小柄で眼鏡をかけているのが特徴といえば特徴か。
しかし吉影にとってもっとも重要なのは、彼女はものすごく綺麗な手をしているという点だった。
真っ白な肌にすらっと伸びた指。桜貝のように美しい爪。手の甲はつるりと美しいカーブをしていた。その手で本を捲る姿ときたら、かつてモナリザを見た時と同じような感動を想起させる。
「大変なことね。心当たりはない」
「だったら…だったらこれはミステリーかもしれないね」
みぞれはそう言うと周りに見えないようにこっそりと封筒を差し出し、吉影に囁いた。
「宛名を見て」
吉影が封筒を裏返すと、そこには間淵マヒルと書かれていた。
間淵マヒル。その名前は嫌でも聞き覚えがあった。
というのも間淵マヒルという女は吉影とはまったくもって正反対の性質を持っている人物だからだ。
間淵マヒルを知っていますか?
ぶどうヶ丘高校3年生100人にインタビューすれば誰しも口を合わせてこう言うだろう。
「ああ、あの間淵さんね」
もしくは
「彼女、目立つよね」
そう、間淵マヒルは目立つ。
それは彼女がこの高校にあるすべての運動部に入部しエースを務めているからでもなく、成績が2年間ずっと4位をキープしているからでもなく、間淵マヒルがこの町を越えS市の中でも飛び抜けて可愛いからでもない。
彼女が常に、片手に金属バットを携えているからだ。
理由はわからない。誰も怖くて聞いていない。おそらくは4番打者だからではないかと言われているが、真相は不明である。とにかく彼女は高校一年生の入学式からずっと同じバットを持って登校を続けている。
そんな変わった女が何故自分に手紙を?
そしてここでようやく、5日前に見たあの奇妙な人影と、間淵マヒルというバット女が結びついた。
吉影は封筒を開けた。そこにはこう書かれていた。
間淵マヒル
罫線を無視して書かれた大きな丸い文字。まるで男子ってこういう女の子っぽいのが好きなんでしょ?と言いたげな押し付けがましい花柄の便箋だった。
みぞれを見ると、彼女は手紙の中身を覗かないように気を遣ってかそっぽを向いていた。
吉影はその手紙をしまってため息をついた。
「溝呂木さん。この事は誰にも言ってない?」
「当たり前だよ。言うわけないよ」
「よかった」
「ミステリーだった?」
「まあ…そうとも言える」
吉影はその手紙をしまって、弁当の残りを食べ続けた。みぞれはその態度をどうとったのか知らないが、少し心配そうな顔をしてまだ吉影の方を見ていたが、すぐに自分の鞄から本を出して読み始めた。
しかしみぞれを介して手紙をよこすとは。いやまだみぞれでよかったかもしれない。彼女は不用意に噂を流すような性格でもないし吉影同様クラスではあまり目立たない。その辺に咲いてる小さな花のように無視されている。彼女が目立つ間淵マヒルと話していてもきっと誰も気にしてないだろう。
吉影はそんな溝呂木みぞれの目立たなさを気に入っていた。彼女は吉影が努力して手に入れようとしている植物のように平穏な日々を体現しているかのように見えた。
だからこそ、この手紙は本当に厄介だった。
結論から言って、吉影はその手紙を無視することにした。
吉良吉影にとって目立つ事は最も忌避すべき事で、平穏から遠ざかる最悪の道だった。その道を地で走りつづけている間淵マヒルという女はまさに吉影にとっての天敵だった。
そんなやつに関わり合いになるなんてごめんだ。
ハートマークなんて付けてあったが、吉影の心当たりでは告白なんかではない事は明白だった。まさか恋愛沙汰で釣られるような浅はかな人間だと思われているとは、かなり屈辱的だが。
とにかく、間淵マヒルの思惑にのるつもりはなかった。
それ故の無視。
吉影は放課後になるといつも通りすぐに学校を出て杜王駅へ向かった。そして駅から自宅付近まで出るバスに乗る。帰宅部で塾にも通っていない吉影は毎日ほとんど同じ時間のバスに乗る。吉影の家の方面はこの時間に乗る人間は少なく、いつも1人か2人老人が乗っているくらいだったが、今日は同じぶどうヶ丘高校の生徒が1人だけ乗ってきた。
吉影はその乗客を見てぎょっとした。
今日の放課後、自分を裏庭に呼び出した間淵マヒルその人だったからである。
間淵マヒル。
身長165センチ。体重…女子の体重なんて吉影には知る由もない。体格は、ガゼルのようにしなやか。運動部だからか分厚いシューズで足元を固めて、脚にはところどころテーピングがある。眠そうな垂れ目は吉影を真っ直ぐ捉えており、その筋肉質で長い脚で跳ねるようにこちらへ歩いてくる。
そしてその手には例の金属バット。
「来てくれたんだね」
何が?と聞きたくなるのをグッと堪え、吉影は無視を貫いた。来てくれた?ここが裏庭に見えるのか?そんな吉影の心を読んだかのようにマヒルは続けた。
「ああ。確かにここは裏庭じゃあないね。でもボクが君に会いたくて、実際こうして会えたなら場所なんて大した問題ではないよ。来てくれてありがとう」
そう言ってマヒルは吉影の横の座席に腰を下ろした。どうやら話の通じないタイプらしい。薄々そう思っていたが。
「別のところに座ってくれないか」
吉影がそういうと、マヒルはまるで聞こえてなかったかのように話し続けた。
「吉良吉影くん。帰宅部。成績は優秀だけどクラスでは目立たない。それなりに顔はいいけど、女子人気はあんまりだ。男子からもつまらない奴と思われてる。町外れに住んでいて、塾とかには通ってない。少し高い時計をしている以外、これと言って特徴のない男子。それが君だね」
返事を待つような間があった。吉影はチラリとマヒルの方を見た。もちろん顔ではなく、そこに添えられている手を。
吉影にとってはムカつくことに、マヒルの手はそこそこ美しい形をしていた。惜しむらくは、その左手には大きなケロイド状の傷跡がある点だった。
「どうして?」
とマヒルは聞く。吉影はその質問の意図がいまいち分からず、聞き返す。
「何が」
「質問を質問で返さないでよ」
「どうして?なんて曖昧な質問をされる心当たりがないもんでね」
「じゃあもっと具体的に聞こうか。そうだな…どうしてそんなふうに演技を続けてるの?」
「演技だって?」
「どうしてとぼけるの?」
マヒルは笑った。全てわかってるんだよ?と言いたげな笑みに吉影は思わず、かなりイラつく。吉影の苛立ちを煽るようにマヒルは言う。
「吉良吉影くん。3年前の県の中学陸上大会、ハードル走200メートル3位だったよね。ボクも出てたんだよ。女子部門で全て一位だった。それにたしか、去年の高校ヴァイオリンコンクールでも3位だった。そして君はいつも学校のテストで3位をキープし続けているよね。面白いから調べちゃった。君って小学生の頃からずーっと3位を取り続けてる」
「だからなんだ?」
「本気で言ってる?あのさ、全部で3位をとってるなんて目立ちすぎるよ」
全ての運動部でエース、テストでもずっと4位、金属バット片手に徘徊している女には言われたくなかった。
しかしマヒルは"調べた"と言った。これは吉影にとってはかなり不快で、よくない傾向だ。これまで目立たず、他人の余計な干渉を徹底的に避けて生きてきた吉影にとって自分の腹を探られるのは土足でベッドに上がられるよりも無礼な振る舞いに思えた。
「
感謝だと?悪魔に出会ったような気分だ。
「それで間淵マヒル。次はぼくからの質問だが…結局君は何が目的でぼくを呼び出した。探偵ごっこを披露するためか」
「心当たりないの?」
マヒルはバットをバスの床に叩きつけた。カン、カンという音が車内に響く。
「ないね」
吉影の嘘を問い詰めるかのように。カン、カン、カン。音はどんどん大きくなる。
「ふうん?おかしいな君は目撃したはずだよ。5日前に、道端で人を襲う不審者を」
思っていたよりもまっすぐ切り込んできた。吉影はその度胸に感心しつつも、それを悟られないように極めて冷静に返す。
「残念ながら君の言う5日前、杜王町では事件なんて
「へえ?でもどうしてこうは考えないのかな。つまり、事件が発覚してないだけだって」
まるでかえす刀。マヒルはイタズラっぽく笑った。その顔のすぐ横でバットが握られていた。いまから振り下ろします、と言いたげに。
すっかり塗装が剥げてところどころ凹んでいる年季の入った金属バット。あの夜見た鈍色のそれを。
「じゃあ君は口封じしにきたのか」
「ぶっぶー…違うよ」
そう言うマヒルの背後に突如巨大な影が現れた。それはあきらかに
長い。振り上げられたその腕は膝から先が天井につくほどに長い。そう、まるであの夜見たバットを掲げる人影のように。
「…馬鹿馬鹿しい。結局何が言いたいんだ?もう君の無駄なおしゃべりに付き合ってられない」
吉影はそんな奇妙な光景を振り払うようにマヒルから目を逸らした。彼女の影を見間違えたに違いない。今もちょうど夕暮れ時。あたりに遮るものが何もないから、西陽がバスの中に差し込んできているのだ。
吉影はマヒルを押しのけ立ち上がり、手すりのボタンを押した。車内のボタンが一斉に赤く灯り、音の割れたアナウンスが流れる。
「まったくひどいな。ボクはさあ。君を助けにきてあげたのに」
助けに?一体なんでそんな事になる。
吉影の中でぐらり、と何かが揺らいだ。強いストレスを感じた時に時々鎌首をもたげる感覚だった。まるで自分の影が勝手に動き出すような。自分の中身が分離して動き始めるような、そんな気味の悪い感覚だ。
間淵マヒルは座ったまま、手すりに捕まり出口のすぐそばに立つ吉影を見ていた。幸いもうすぐ最寄りのバス停だった。
見飽きた景色。
そしてバスはゆっくり減速し、バス停に停まる。
はずだった。
しかしバスはそのバス停を通り過ぎ、そしてあろうことが突然加速した。降りようとしていた吉影は危うく体勢を崩しかける。しかしグラつく吉影を支えるようにバットが伸び、バスの窓にがつんとぶつかった。
「ちょっと、すみません。降ります」
吉影は苛立ちながら運転手に声をかけた。しかし運転手は何も言わない。バスはさらに加速する。海沿いのゆるやかなカーブの道が窓越しにビュンビュンと流れていくのがわかった。
明らかに異常だ。
吉影はマヒルを無視して運転席に駆け出した。そこにはぼんやりとした顔で運転手が座っていた。
「スピードの出し過ぎだ」
そう声をかけても運転手は何も言わなかった。いや、ぴくりとも反応しなかった。そしてその足はものすごい力でアクセルを踏んだ。
吉影は今度こそ転んでしまう。そして立ち上がり、バスの向かう先を見た。そこには暗闇が広がっていた。
そう、
「おい、バスを止めろ!」
吉影は強い口調でそういい、運転手の肩を掴んだ。しかしその肩はクシャッと、まるで紙でできたハリボテのように潰れた。
「…は?」
カツーン。
バットが手すりに当たる音がした。
「吉良吉影くん。この町は今ちょっとおかしいんだよ」
間淵マヒルが立ち上がり、バットを手すりにぶち当てながら後ろの席へ向かっていた。
カツ、カツ、カツ。
そして、一番後ろの隅の席に座っていた老人の胸ぐらを不意に掴んだ。吉影は他にもまだ乗客がいた事に驚く。まるで隠れていたかのように気配がなかった。
「そうだよねぇ。運転手さん」
間淵マヒルはそう言うと、怯えるその老人に向かって
吉影は唖然とした。止める暇もない本気のスイング。そして老人の頭は弾け飛んだ。それと同時に足元が突然クシャッという音を立てて凹んだ。いや、
死という言葉が頭によぎった。
そしておもわず目を瞑る。
こんな訳のわからない事故で死ぬなんて絶対に納得できない。また自分の中で何かが揺らいだ。何かが、大きく動いた。
だがそこから何が起きたのかもよくわからないうちに、全ての感覚が消え失せて自分が無傷で地面に座り込んでいるのがわかった。
まばらに電灯で照らされた、周りに何もない道路。雑草と薮が広がる暗闇に、遠くからの潮騒が聞こえてくるだけ。そして吉影の前には間淵マヒルと老人がいた。
間淵マヒルの足元に倒れる老人。あの時頭が弾け飛んだように見えたのは錯覚だったのか、無傷だった。そして間淵マヒルも。
例の鈍色の金属バットを肩に担ぎ、仁王立ちで吉良吉影を見ていた。
「あの世行きのバスなんて怪談が流行ってたけど、まさにこれはそれだったね」
マヒルは言う。吉影が何も言わないのをいい事に。吉影はなんとか言葉を搾り出す。
「今のはなんだ?」
「これがさっき言ったおかしい事だよ」
マヒルは吉影に向かって歩き出した。老人は恍惚とした顔で天を見上げ、動かなかった。
マヒルはバットをくるりと手のひらで回転させ、持ち手を吉影の方へ差し出した。
「吉良吉影くん。君はこの町が好き?」
「あ…ああ…」
「吉良吉影くん。君はある脅威に狙われているんだよ。ボクはそれから君を守るために君を呼び出したんだ」
「ぼくを守るだと?」
「そうだよ。一緒に敵をぶちのめそう!」
マヒルは微笑んだ。その笑顔はこの町で一番可愛いと言われているだけあって、こんな不気味なシチュエーションにも関わらず輝いて見えた。
だが、
「断る」
これが吉良吉影にとって平穏とは言い難かった4ヶ月間の始まりだった。
そして、吉良吉影が人を殺すに至るまでの物語でもある。