機動戦士Gundam GQuuuuuuX 蒼の炎獄 作:ミトコンドリアン
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みなさま、ジークアクスの特別映像はもうご覧になりましたか?私は見ました。……もう、情報で脳みそ破裂しそう!
さて、今回でいちおうひと段落、あとは本放送までごくたま〜に小話を投稿しながらの待機となります。
今回、最後の方にジークアクス特別映像の微ネタバレが含まれます。十分にお気をつけください。
「照準合わせ……ここ!」
もたもた飛ぶ白いMS…マチュの機体に向かってザク・マシンガンを構える。ひとまずの様子見で断続的に指切り撃ちをし、ぱらぱらと弾をばら撒くが…引き金を引いたときには銃口から外れている。
「…ホントに初めてかよ?」
『4時の下方向、ハンマー!』
「了解ッ!!」
妖精さんの忠告の通り、下から飛んでくる鉄球。機体をずらし、展開したスパイクシールドで滑らすように受け…鎖部分を掴む。そのまま引っ張り、ガンダムを手繰り寄せる!
「すまんなあ、こっちは“二人乗り”なんだよッ!」
頭部バルカンをガンダムの頭部に向かってばら撒きつつ、ヒートソードを抜き、振り下ろし…それはビームサーベルで受け止められた。鍔迫り合いの中、通信が繋がる。
『キミは…やはり邪魔をするんだね』
「そうさなあ、お前がマチュを巻き込まないって約束するならやめてやる!」
『それはできない。彼女も一緒だとガンダムも言っている』
「なら決裂だ!悲しいなぁ、シュウジ!!」
『後ろからあの子が来てる』
「はいよ!」
膠着状態を脱すべく、ガンダムを蹴り飛ばす。スラスターを噴かし急激に加速すれば、先程までいた場所にヒートホークを振り下ろそうとしていたマチュのMSが、誤って赤いガンダムに激突!
「…っぱ俺を選んだ方がよかったんじゃないのかね」
『でもコンビでの動きはなかなかいいわ。ニュータイプの感応を活かしてる』
「そう。…やっぱ腹が立つな、ニュータイプめ!」
もんどりうつ二者に向かってマシンガンを構え、撃った頃には互いを押し合って離れている。勘がいい、やはりこれもニュータイプの力…
「恨めしいな…もっとキツめにやってやるか!!」
ーーーーー
「ジークアクスは素人が乗ってるみたいな…でも、あのイフリートの動き…ああっ、あんな無茶な!」
「高G負荷どんとこいの機動、確実に内臓にもダメージが入るはず。それでも操縦に曇りがない…これは、ますますきな臭くなってきましたね」
ーーーーー
『…避けるのがひたすら上手い!』
「おいボウズ、どうする?」
『どんどん詰めていくしかないだろ…まずは白い方をやる!援護頼むよ!』
「チッ、急造MAVでいけるかよそんなの…!」
『大丈夫、射線はわかる!!』
「そうか、チクショウ信じるしかねえか!」
回線が切れ、側にいた
「この辺に…行けっ!!」
相手の白い方のMSに格闘戦を仕掛けるボウズを援護するため、ザクマシンガンを断続的に撃つ。ボウズのMSは宣言通り、射線に被らず、被っても撃った時にはずれている。そのおかげでどれも直撃弾で撃てているはずだが…あの白いのは盾で塞いだり機体を捻って避けたりで当たりやしねえ。
「すばしこい…だが手練れでもない。奇妙なこった」
あの白い方、機体性能も機体制御も申し分無い…が、いかんせん動きが素人臭すぎる。スラスター光で開幕位置をバラしたときも思ったが、なんだかチグハグだ。
「ん………そろそろ来ると思ってたぜ赤いの!!」
熱源レーダーに反応が引っかかるのを確認しそちらにカメラを向けると、牽制のためかこちらに迫る赤いMS。ザクマシンガンをそちらに向けてばら撒きながらヒートホークを抜く時間を稼ぎ…すっ飛んできた
「チッ、釘付けにするつもりか…仕方ねえ、白いのはボウズが抑えるだろ!」
俺の逃げる位置に飛んでこようとする鉄球の軌道から見るに、奴さんは俺を行かせたくないらしい。この赤い
「見せてもらおうか、シャア気取りの実力ってやつを!!」
ーーーーー
「な、なんで!?なんでアキが攻撃してくるの!?」
『マチュ、タタカエ!マチュ!』
「で、できるわけないじゃ、わっ!!」
丸くて白いマスコットにそう返した途端、全身に衝撃が走る。なんかよくわかんないギザギザの軌道で突っ込んできたアキの蒼いMSが組みついてきたみたいだ。
『マチュ、聞こえているなら降参して!』
「や、やっぱりアキだ!なんで攻撃してくるの!?やめてよ!!」
『降参してくれるならすぐやめる!』
カメラに映る真紅のモノアイの向こう側から接触回線で聞こえる友人の声。通信越しでも、その心配そうな、しかし覇気の強い声色ははっきりと聞こえてきた。
「こ、降参なんてできない!もう宇宙に出ちゃってるんだよ!?」
『…身バレだとかで脅されてるなら、俺がなんとかする!このMSがあれば簡単だ!だから心配しなくていい!』
「わ…分かんないから、そんなこと!!」
『待て、落ち着け!』
右腕に握った
「落ち着かない!シュウジのインストーラー代だって、ニャアンに払わなきゃいけない!それに、スマホ代弁償させなきゃ!!」
『……そんなこと気にしてたのかよ!』
「ッ……
通信の向こうのアキの口ぶりに、少しカチンと来た。だけれどそんなことはつゆ知らず、アキは喋り続ける。
『あの子たちとは出会ってたかだか一日二日だろ!そのために、なんで君はこんなに危ない橋を!』
「でも…ニャアンだって仕事で受け取らなきゃなんだし、シュウジだって!」
『……怪我するかもしれないんだよ!?それに、これがもし親御さんにバレてみろ!地球にだって行けなくなるかもしれないだろ!!!』
私がつられて大声になると、アキはもっともらしい理由を並べて説教をしてくる。そして…こんなことを言ってきた。
『そんなくだらん理由なんかのために、人生を棒に振る気かよ!!』
脳内でその言葉が反響する。紫やオレンジの光が渦巻いて…私の頭の中のなにかが、ぷつん、と切れた。アドレナリンが出ているせいでハイになってしまっていたのか、頭にかっと血が上る。
「………嫉妬してるんでしょ」
『あ?』
「マヴ断られたから怒ってるんだ。ガキみたい」
『……それもある!けど、マチュ、君のことも心配なんだってなぜ分からない!!』
私の言葉を受け止め認めつつも、まだぐちゃぐちゃ言うアキに腹がたった。
「私のことは私が決める。アキはさっきからああしろこうしろって…私のお父さんにでもなったつもり!?」
『…何をいきなり!!』
「ぜんぶ私が決めたこと!文句なんて言わせない!」
『意味が分からない…地球に行けなくなってもいいのかよ!!』
頭に血が上って、アキに向かって普段は絶対に言わないこともぶちまける。
「そうやって、友達だって言いながらいつもいつも一歩離れたような口をきいて!」
『俯瞰してものを見て何が悪いか!』
「私の気持ちは後回しなのに私の将来ばかり気にして…ほんとに周りの大人みたいじゃん!」
『それならそれでいい!頼むから降参してくれ!』
「嫌だ!私はもう一度…あの
一点張りのアキに嫌気がさして、とうとう目の前が真っ赤になって、昂るままに言い放つ。
「もういい!アキ…アキなんて知らない!どっか行ってよ!!!」
『………!!!』
「さよなら、アキト!!!!!」
それに呼応するように、ジークアクスが膝を折りたたんで大きく前に蹴り出す。予想だにしない反撃だったのか、アキのMSはそれで簡単に剥がれた。それに向かって大きく斧を振り上げ…
ーーーーー
『アキなんて知らない!』
脳内でその言葉が反響している。とうとう、マチュに嫌われた。
『アキなんて知らない!』
ついこの間まで友達だったのに、彼女からすれば俺はもう邪魔者でしかない。
『アキなんて知らない!』
父親気分だなんてとんでもない。ただ、友達の将来を案じただけなのに。
『アキなんて知らない!』
………もう、彼女にとっては俺なんて、シュウジや運び屋ちゃんとの
『「わからずや」』
ーーーーー
「マチュ…そろそろ助けた方がいいかな」
ザクを相手にしながらマチュの方を見やれば、アキトのイフリートと組み合いになっている。なにやら対話をしている様子だが…
「……アキト。残念だ…キミも向こう側を見ることができたのにね」
鬱陶しいザクを蹴り飛ばし、マチュ達の方へ向かう。ハンマーを振り回し遠心力をかけ、マチュに蹴り飛ばされたイフリートへ投げ飛ばそうとした……その時だった。
突然、アキトのイフリートから
「……あれは?」
見たことのない現象に警戒していると…コクピットに異音が鳴り響く。それに驚いて振り向くと、なにやらコクピット後ろの幾つものモニターがびかびかと赤く点滅しているではないか。
「これ…ビットの?」
おかしい。これはガンダムでビットを使うときの装置のはずだ。今はビットを装備していないのに、何故…。そして、異変はそれだけではなかったことに気がつく。
「操縦が…ゔっ…!!!」
後ろの機械はガンダムの操縦自体には影響しないはずなのに、操縦が効かない。そして、背後のモニターが点滅するに従って、激しい頭痛が襲ってくる。耐え難いそれに思わず操縦桿から手を離し頭を抱えてしまった。
「な…何が…ガンダム…なんだって…!?」
ガンダムがシュウジに語りかけた。その内容は、彼にとっても初めて聞く単語であった。
「サイコミュ…ジャック……!?」
ーーーーー
「え…な、何…!?」
突然赤いオーラを噴き出したアキのMS。それに思わず振り下ろす手を止めてしまい…すぐさま異変が起こった。ばつん、という音と共にコクピット内の照明が落ち…少しして、赤い光で照らされる。
『「わかった…わかったよマチュ。もう何も言わないよ」』
動悸がする。冷や汗が止まらない。目の前の赤いモノアイと目があったまま外せない。………
『「だからねマチュ…今からキミを怖い目に遭わせる」』
ひどく冷徹な、何かが重なったようなノイズが入った彼の声が脳内に響く。…無線通信ではなく、直接脳内に。
『「マチュのためなんだ。だから…降参するまでやめないよ」』
突然、機体が動き出す。…私は何もしていない、なにか考えてもいない!
「ま、待って!待ってよ!」
ジークアクスは私の意思も受け取っているのか動きが鈍るが…ゆっくりと、手斧の刃を自分に向け、左手で斧の背を掴んだ。そのまま、赤熱する刃を…ジークアクスの頭部に向けてゆっくりと近づけ始めた。
『ヤバイ!ナントカシロ!ナントカシロ!』
「なんとかしろってどうやって…!!」
必死でコクピットの
「は、あ゛、あ゛…!!!」
じわじわと、視界の淵から真っ赤に染まっていく。恐怖で息ができない。頭痛がする。ひどい、脳内が切り刻まれているかのような、とてもひどい頭痛。耐えきれずに頭を抱えてうずくまる。
『「ごめん…マチュ…ごめんね…!」』
泣きそうにうわずる彼の声が聞こえた。辛いならやめてくれればいいのにと思った。必死に機体制御を考えても、ジークアクスは止まらない。手斧の赤熱した刃が、もう目の前まで迫ってきている。
『「ああ…やっと…!」』
勝利を確信したような彼の声が頭に響く。あまりの痛みに瞼をギュッと閉じてしまい、何も見えない。耳鳴りがして何も聞こえない。暗くて、怖くて…不安だった。
「シュウジ…どこにいるの…シュウジ…!」
「近くにいるよ」
シュウジの声がした。瞬間…辺りが
ーーーーー
「な…なんだ…?」
怒りと悲しみで、自分から何かが溢れ出すのに任せて、マチュのあの機体を金縛りにできていたはず。しかし…この空間は何だ?
『光の…渦』
妖精さんが呟いた。そう。俺たちは真っ暗な、星のない宇宙のような空間に浮かんでいるが…正面に、縦になった光の渦が見えた。あれは、展望台で見たものだとすぐに分かった。しかし、自分はシュウジとは敵対関係にある…まさか、アレは…!
『シュウジ…!!』
『マチュ…もっと自由になっていいんだ。海を泳ぐ、魚みたいに』
光の渦の中で、彼らが通じ合うのがわかる。二人の距離が急速に縮まる。ニュータイプの感応、魂と魂の触れ合い…それは、二年ほどの付き合いを軽々と超えていってしまう。
「…ふざけるな」
たかが二年だと言われるかもしれない。だが、俺にとっては十分に長い期間だった。友情だって、絆だって、きっとあると信じていたのに。俺は真っ暗闇に
「やめろ…やめろやめろやめろやめろ!!!!!」
マチュとの絆が錆びつくのにしたがって、二人の絆が一瞬にして醸成されていくのを、側から見ていることしかできない。嗚呼、ニュータイプ、ニュータイプめ…………
「この…化け物どもめえええええ!!!!!」
ーーーーー
叫びと共に、目の前の空間が晴れた。それと同時に俺から溢れ出ていたものが途切れ、赤いガンダムと白い機体が解き放たれる。先に動かれてたまるか…!
「まずはお前だ、ガンダム!!!!!!!!」
機体負荷も気にせず急激にスラスターを吹かし、肩部スパイクシールドによるぶちかましを仕掛ける。拘束から抜けて間もないせいか、赤いガンダムは回避行動も取らずそのまま胴体で受けた。衝撃で握っていたハンマーが宙に投げ出される。
『ぐっ…』
『シュウジ!』
「オイオイちょっとは頑張れよ…マチュを心配させやがって!!!」
ニュータイプ同士の会話を傍受しながら、そのまま吹き飛ぶガンダムに追い打ちを掛けるように、圧倒的なスラスタースピードで背後に回り…背部にストンプをぶち当て、
グレッグのザクは俺に向かって、追撃は任せろと言わんばかりにヒートホークを構え、待ち構え…額の奥に閃光が走る!
『いけない、白いのをやめさせて!!!』
「何ッ!?」
妖精さんの声に従ってマチュのMSの様子を見やれば、グレッグのザクの方を見つめている…オーバーヘッドスローの体勢で、ヒートホークを振りかぶった状態で!!
『ゔお゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙ぉ゙ぉ゙ぉ゙!!!!!』
「よけろグレッグ!!!」
マチュの雄叫びを聴いて咄嗟にそう口に出してしまうが、ミノ粉が撒かれた環境で通信ができるはずもなく…マチュはそのまま、ヒートホークを勢いよく投擲した!
「さすがマチュ、機転が効くけど…まだ甘いな!」
飛んでいくヒートホークに頭部バルカンで狙いをつけ、掃射。どばばばば、と飛んでいく機関砲の弾の幾つかがヒートホークに辺り、軌道をグレッグのザクからそらした。
「よし、マチュの武器は無くなった…じゃあガンダムを先に潰す!!」
吹き飛ばした赤いガンダムは、なんとかビームサーベルで攻撃を受け止めたようだ。だが、そのガラ空きの背中にぶち込んでやる…!
「すまんが、お前はもう生かしておけない…!!!」
ヒートソードを腰だめに構え、一気にスラスターを吹かす。ザクも貫いてしまわないように、
「死ね、シュウジィィィィィイイイイ!!!!」
『危ない、避けて!!』
「な、チィッ!!!」
鳴り響いた妖精さんの声と、脳に響く静電気に従って軌道をずらす。すると、それに従って赤いガンダムも組み合いから抜け出し…そこに、何かが高速で飛来した!
『なっ、おわぁあああああ!!!!!』
ミノ粉の環境でも通信が届く距離まで詰められたのに、ガンダムは抜け出し…グレッグのザクの
「グレッグ!!クソ…あれは!?」
グレッグのザクの頭部を破壊した物の正体、それは…
『ありがとうマチュ、すごいね。びっくりした』
『え!?エヘ…なんか見つけたから、これしかないって思って』
「…イラつくなあ。二人の世界に入りやがって!!!」
グレッグという心強いマヴは退場してしまったが、一人で自由に動けるようになったとも言える。まだ慌てるような時間ではない…!
「ちと大人気ないが、そんなことは言ってられない…!」
バックパックからビームガトリングを抜き、ザクマシンガンと二丁に構えた。そのまま二人に銃口を向け…フルバースト!!
「落ちろ、落ちろ落ちろ落ちろおォォオオオオオオ!!!!!!」
『シュウジ!』『マチュ!』
感応で通じ合い、二人は弾幕を抜けてくる。それはわかっている。だが…お前ら、遠距離武装はもうないだろ!!
「そういう手合いには
『…ビットがないと追いつけない』
『シュウジ…任せて!!』
感応を傍受できることはまだ知られていないのだろうか。マチュは何かを仕掛けてくるようだ。…ならば答えてしんぜよう!
「狙うは手脚…そら、グミ撃ちだ!!」
二つの銃口をいっぺんにマチュに向け、引き金を引き絞る。隙を窺って回り込もうとしているのか、マチュは軌道を大きく曲げるのを繰り返している。甘い、あまちゃんが…!!
「で…来てるよな妖精さん!」
『ええ、8時の方向!』
「ほいさ!!」
予感通り、シュウジのガンダムが急襲してくる。馬鹿が…!!
「丸わかりなんだよ!!」
弾の切れかけたザクマシンガンをガンダムに向けて投擲。弾倉を頭部バルカンで狙い…弾けさせる!!シュウジのガンダムはビームサーベルを抜いていたが、炸裂をかわすために軌道を逸らした。これでもう一度隙をつく必要があるな…隙などもう作らんが。
「じゃあマチュ…そろそろその頭をぶっ壊したげよう!」
左腕部のスパイクシールドを展開し、ビームガトリングを撃ちながら逆噴射。そのままマチュのMSに接近する。…マチュはそのまま突っ込んでくる。白兵戦武装を失ってるくせに!!
「さあ、普通の日常に戻れマチュ…!!!!」
突貫してくるマチュに向かって、左の拳を振り上げ…!!!!
『危ない、避けて!』
「え、何、ごあっ…!?」
機体に衝撃が走る。思わず動作を止め、何があったのか確認すると…右腕部の肩関節辺りに
「…嘘だろ、軌道を読んで誘い込まれた!?」
『落ち着いて、赤いのも来るわ!』
「チッ、馬鹿にする…っ!」
右腕は満足に使えなくなったが、まだ負けたわけではない。向かってくるマチュのMSをそのまま左腕スパイクシールドで打ち据える。盾で受け止められるが、反作用で少し距離を取れた。そして…
「追撃に来るよな、ガンダム!」
またもやビームサーベルを握って突進してくるガンダム。だが丁度いい、利用させてもらう…!
「左は空いてるんだよなあ…!」
右肩に突き刺さったヒートホークを左手で抜き取れば、電力が供給されて刃が赤熱する。こいつでガンダムのビームサーベルを防ぐため、打ち合うような軌道で振り…………
すぱっ、と、ヒートホークが
「は?」
困惑の渦の中、受け止めて組み合うはずだったガンダムに背後に回られる。ガンダムはビームサーベルを投げ出し、俺の機体を羽交締めするように抑えた。クソ…右手が使えないのに!!
『残念だったねアキト。これで防御はできないね』
「ヒートホークも粗悪品かよ、貧乏人め!!!」
『そうだね。でも…これで賞金は貰えるね』
「なにを煽って…な、不味い…ッ!!!!!」
羽交締めにされたお陰で回線が繋がり、シュウジの
「ぬ、抜け出せ…ご、ふぁっ!!?!?」
急いでスラスターを吹こうと操縦桿をぎゅと握った拍子に、込み上げてきた咳をした。ヘルメットのバイザーにべちゃ、と広がる赤い液体。…吐血…!?
「さっきの反動か…ゔ、まず、い…!!!」
急に頭痛がして、ぐら、と視界が揺れる。まともに操縦桿が握れない…抜け出すことが、できない!
『ゔお゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙ぉ゙お゙お゙ぉ゙ぉ゙ぉ゙お゙ぉ゙ぉ゙!!!!!!!!』
「や、やめ…やめろオオォォォオオオオォォオオ!!!!!!!!」
彼女の魂の叫びが木霊する。何もできずに、彼女のビームサーベルがメインカメラに突き刺さり…コクピットがその閃光に包まれた。
「嘘だァァァァァァアァァァァァァア!!!!!!」
受け入れられずに叫んだその言葉は…暗く冷たい、宇宙の闇に吸い込まれていった。
「おーいボウズー…まだいるんだろ、出てこいよ」
とあるクランのMSデッキにて…クラン所属のパイロット、“グレッグ”はコンコン、と首なしの蒼いMSのコクピットハッチをノックした。間も無くして、ハッチが開き…強烈な
「うおっ!………まぁだ呑んでやがるのかよ、ガキのくせに」
「…………………まだ酔えてないんだ」
「そんだけ呑んで酔えねえならメチルアルコールでも酔えねえよ!!あーあー、瓶も放り出しちまってよ…美味い酒なのにこんながぶ飲みして、もったいねえ」
パイロットスーツのヘルメットを脱ぎ捨て、血涙の跡を残したまま、綺麗だったソプラノボイスもすっかり消えた、酒焼けしたハスキーボイスで“アキト・ミチナガ”は言う。グレッグは呆れたように言い放って酒瓶を拾い集めている。どうやらこの状態は結構な時間続いているようだ。
「お前なあ…右腕も頭もぶっ壊されて、負けたのが悔しいならわかる。負けちまって俺らに申し訳ねえのもわかる。だけどよ…お前、賞金の分きちんと
「………ギャンブルでだぞ。運が良かっただけだよ…」
「でも返してくれたもんはきっちり耳揃えて返してくれたんだ。それに、ザクの修理までできた…だからまあ、気に負うなよ!」
ニカ、と笑ってグレッグはアキトを励まそうとする。しかし、アキトはそれを鼻で笑った。
「…何も責任に感じてない。思いあがんなよ」
「あ?おいこんガキ……!!!!」
「……………でも、後悔してるんだ」
怒鳴ろうとしたグレッグは、アキトのその言葉に思いとどまる。アキトはそのまま目を酒瓶を握っていない左手で覆い、天を仰いで口を開いた。
「俺が弱かった…あの子を、マトモな道に戻してやらなきゃだったのに…止められなかった。もう、どうなるかわかったもんじゃない…!」
「ボウズ…お前、そんな理由で」
「友達だったんだ!!友達が非行に走るのを止めたいって思うのは、そんなにいけない事かよ!!嫌われたのはショックだ。だけど…悪い奴に誑かされて、行ってしまった。もう、止められないんだ…」
アキトの目から大粒の雫がぽたぽたと流れ落ち始めた。ぐす、と鼻を啜る音まで聞こえ始め、グレッグはそれを気まずく見届ける…かに思われたが。
「感傷に浸ってるとこ悪いがなボウズ、こっちゃ来い」
「え、ちょ、わっ……!!!!」
アキトの手を勢いよく引っ張り、コックピットから引き出すグレッグ。
「オイ、いきなり何するんだ!」
「ガキが泣いてんの見るのは嫌いなんだ…お前に渡すもんが二つある。一つはこれ」
ぴっ、と指に挟んだものを差し出すグレッグ。彼の手から恐る恐るそれを受け取り、見てみれば…それは手紙の封筒だった。
「これ…なんだ?」
「お前宛だよ。なんでも、今ウワサの
「…魔女?」
「そそ。お前に用事があるんだと…」
アキトはそれをじっと見つめてから、パイロットスーツの中にしまう。そしてグレッグの方を見やり、質問を投げかけた。
「で…もう一つは?」
「ああ、それはな…お、来たぞ、アレだ」
「アレ?」
蒼いMSの上を指差して言い放ったグレッグ。それに従ってアキトが上を向くと…そこには、作業用のクレーンに吊るされた
「リーダーが“賞金も補填してくれた礼だ”とよ。後で
「……これ、なんの頭だよ」
「ああ、これにゃあちと逸話があってなあ…」
グレッグが腕を組んで、吊るされたMSの頭がイフリートEXの首の箇所に降ろされるのを見上げながら話し始める。
「ウチのメンバーは元ジオンが多いんだが…メカニックマンにも一人いてな。そいつぁ、戦争の末期も末期に、廃棄される予定だったコレを
「………いやダメだろそれ」
「バレなきゃいーの!…こいつは凄えんだぞ、なんせ、あの“シャア・アズナブル”のキルスコア、
メカニックたちが首のあたりで配線を繋げ、関節を接合し…びっ、と親指を立ててから降りていく。その様子をじっと見ていたアキトが質問を投げかけた。
「で…結局、なんてMSの頭なんだ」
「………“RX-78-01”。またの名を………
接続された頭部のクアッドアイが、バイザー越しに紅く輝いた。
【To Be Continued…】
アキト:負けてしまった。自暴自棄になった。どうやら肝臓まで“強化”されているらしい。
妖精さん:アキトは自暴自棄になってしまったけれど、マチュとの縁が切れそうで少し嬉しい。
マチュ:元友人を跳ね除け、新しい友人と共に行くことを決めた。罪悪感はあるが仕方ないんだ。
サイコミュジャック:イフリートEXの機能ではなく、アキトと“妖精さん”の力が作用したもの。某叫んだら来る白いのとは違い、マヴが力を合わせれば振り切れるし、使った当人にめちゃくちゃな負荷がかかる。
トメノスケ・ヒートホーク:劣化版ヒートホーク。明らかに切れ味悪い描写あったし、ビームサーベルとは撃ち合えないんじゃないかと思った故の描写。
01ガンダムヘッド:廃棄予定だったのに、流れに流れて奇妙な縁で再びガンダムと対峙することとなる。…さすがにジム頭にはできないからね、仕方ないね。
ーーーーー
いかがでしたか?
よければ感想・評価などよろしくお願いします。
感想は特に嬉しい。すごく。とても。