石世界の錬金術師   作:ポンタ ponta

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 無事修論審査を合格し、色々溜まっていたものも消化できたので、生存報告がてらの投稿となります。一気に駆け抜けていくので短いです。
 あと名前を変えました。


第22話 宇宙の錬金術師

 科学王国は大きく3つのチームに分かれた。

 1つはアラシャに残ってロケットエンジンを造るチーム。

 もう1つは世界を旅して素材を集めるチーム。

 最後の1つはアメリカの人類復興チーム。

 

 科学の二代巨塔である千空とゼノは二手に分かれ、日々ラボに籠もって工作をしていた。

 途中、インドで復活させた龍水の実の兄にして数学の寵児、SAIを仲間に加えレイと共にプログラミングの一員となった。

 

 世界中を復活させ、ロケットを組み立てる。

 世界規模のマンパワーで科学レベルは現代のレベルまで手が届きかけてきた。

 ボロスの多大な助力によりインターネットが敷設され、主要国や都市同士に通信ケーブルが繋がれた。これによって情報は瞬く間に行き交うようになり、結果科学は更に加速する。

 

 復活させた世界の科学者の前で演説をするのは――もちろん遠隔だが――千空とゼノだ。2人が矢面に立ち、これまでの出来事を語り、科学を牽引する。

 錬金術の存在についても解禁しているが、3度目の『錬金術など眉唾物』という言葉を聞いてボロスは堪忍袋の緒が切れ、リモート会議には参加しなくなった。そして司会者であったゲンは、ボロスの殺意と敵意と害意を全身に浴びて、次の日寝込んだ。

 

 ロケット本体の作製とエンジンの作製が終わり、合体と打ち上げは日本で行われる事になり、主要なメンバー達は石神村にて久方振りの交流を楽しんでいた。

 

 そして夜からは月面での行動について会議が開かれた。

 

「宇宙に行くのは、俺とゼノとボロス。この3人は確定だ。だがゼノは管制塔に残ってロケットとやり取りをする必要がある」

「無事ロケットが軌道に乗ったあと、ボロスがゼノと共に宇宙に行き、合流する」

「私は宇宙空間でも宇宙服無しで生存できるから、石化させたゼノを抱えて宇宙へ飛ぶだけだ」

 

 そして付け加えるように、千空がレイを指差した。

 

「黎、テメーにしかできねぇスペシャルミッションを任せたい」

「はい! お任せください!!」

 

 勢いの良い返事を返したレイに頷きを返したゼノは、幼なじみのスタンリーに目を向けた。

 

「最後に、スタン。君にはレイと共に任務をこなしてほしい」

「オーケー、任せな」

 

 その他細々とした報告や意見交換を行ったのち、会議は終了した。

 

 

 

【第22話 宇宙の錬金術師】

 

 

 

 ロケットとエンジンの設計図は完璧だ。

 だが組み立てにおけるヒューマンエラーまでは取り除けない。数度ロケットが爆発し、そのたびにどこが間違っていたのか、どこでエラーを起こしたのか、爆散した鉄材を掻き集めて額を合わせる日々。

 

 打ち上げた監視衛星より、月面に奇妙な建築物があるのは確認済み。

 更に、月面での戦闘を鑑みて、復活時計――リザレクション・ウォッチの作製と、ネットガングレネードの製造は着々と進んでいる。

 加えて、ボロス・フラメル主導の秘密工作も進行中。

 

 ロケット製造から数年、ついにその日は訪れた。

 

 千空、龍水、コハクを載せたロケットが、轟音を立ててその巨体を空へ空へと押し退ける。

 皆の期待と祈りを乗せて、空へ、宇宙へ、月へと目指す。

 

 そしてついに、人の知恵と科学で3700年振りに人類は宇宙へと飛び出した。

 

「千空達が地球を飛び出して3日、そろそろ行くか」

 

 賢者の石はもはや不要。ボロスは両手を合わせ、宇宙服を纏ったゼノの肩に触れた。

 

「後は任せたよ、皆」

 

 石化しながらクロムやスイカ、チェルシー達に伝えたゼノは穏やかな笑みを浮かべながら石となった。

 

「じゃあ、行ってくる」

「おう行ってこい!!」

「頑張ってなんだよ!!」

 

 石化したゼノを担ぎ、皆の声援を背中に受けながらボロスは宙を舞い、そしてあっという間に空へと消えていった。

 

 地球と宇宙の境目であるカーマラインにて、肉体の慣らしを終えたボロスは、秒速2000キロで航空を始めた。

 理論上、ボロスは光速で動けるが、宇宙空間におけるデブリや宇宙服の影響を考え、この速度を採用した。

 そして地球からおよそ1時間半でロケットに追いついた。

 

「よう」

「おう」

 

 ロケットの中に入り軽く挨拶を交わした後、ボロスはゼノの石化を解いた。

 最終的な打ち合わせを済ませれば、もはや月は目と鼻の先。

 

「予定通り、司令船には俺が残る」

「あ゛ぁ、任せた」

 

 腕を組み、不敵な笑みを浮かべた龍水に見送られ、千空、ゼノ、コハク、そしてボロスは月面探査船へと乗り込み本船から切離された。

 

 かつて月を踏んだ偉大なる宇宙飛行士はこう言った。

 

『人間にとっては小さな一歩前だが、人類にとっては偉大な一歩だ』

 

 なら、石の世界から十数年で月まで辿り着いた偉大なる科学者は――

 

「唆るぜこれは……!!!」

 

 ――目指すはタウルス・リットロウ渓谷。

 宇宙車を走らせて数十分、目的地は火を見るよりも明らかだった。

 

 

【挿絵表示】

 

 

「……デカいな」

「周りに浮かんでるのは賢者の石か?」

 

 距離感がうまく掴めず、どれほどの大きさか把握できない。そしてその建築物が月面から浮いているのが、何よりもニコラ・フラメルの存在を示していた。

 

 緊張を高めたまま近付くと、その建築物――人工衛星がゆっくりと明滅し、赤と緑の光を一際大きく放ったかと思えば、壁が引っ込みそこから黒いシルエットが身を乗り出した。

 

「よう……テメェがニコラ・フラメルか? 会いたかったぜ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 千空達を見送って数分経った頃。

 たった1人しかいない司令船で龍水は奇妙な感覚に襲われた。

 

 視線……!?

 

「誰だ!!?」

『不純物が混ざったか』

 

 辺りを見渡しても姿は見えず。

 しかし声だけは龍水の鼓膜を震わせていた。

 

『排除する』

「くそっ!」

 

 一番手っ取り早いのが司令船の破壊。それすら済ませてしまえば、たとえ生きていようと放置すればそのうち死ぬ。

 龍水は慌ただしく扉を開き、宇宙空間に身を投げ出した。

 

 そして見えた。

 

「そうかお前が……! お前がニコラ・フラメルだったのか…! ずっと俺たちの側に――」

『無駄な足掻きを』

 

 どういう科学か、グシャリと潰された司令船から月面へと降り立ち。龍水は睥睨する。

 

「ハッ、1秒粘れば一歩! 2秒粘れば二歩!! 千空たちは科学の未来へと進むだろう」

 

 もはや自身の死は確実。

 だが個人の死がチームの敗北を示す訳じゃない。

 

「忘れたのか? 科学の神髄は未来へとただ地道に楔を打ち続けることだ。違うか!!?」

『負け犬はよく吠える』

「道半ばで誰が倒れようとも最後に勝つのは俺たちだ!!!」

『力を伴わない理想は妄想に等しい。それ程夢を見たければ、永遠に眠らせてやろう』

 

 あとは任せた。

 龍水は挑発的な笑みを浮かべたまま、動かなくなった。




 核兵器宇宙駄目らしい……どうしよう。
 多分あと2,3話で完結かと思います。
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