機動戦士Gundam GQuuuuuux 逆転した世界 作:ボルメテウスさん
トーリスリッターのコックピットを開け、機体から降り立った俺は、砂埃の舞う地面を踏みしめた。周囲の空気は異様なほど静まり返り、緊張感が肌を刺すように感じられる。
視線の先には、彼がいた。
金色の髪が風に揺れ、鋭い眼差しが俺を射抜く。クワトロ・バジーナ。
いや、シャア・アズナブルだ。
「・・・なるほど、君がランガか」
彼の声は静かだが、その響きには俺の名を呼ぶ確かな認識が込められていた。
「シャア……」
俺は無意識に腰の銃に手を伸ばしかけたが、そこで止めた。今は機体を降りた状態だ。だが油断はできない。この男が相手なら、一瞬の隙が命取りになる。
彼と対峙する間合いを保ちながら、俺は警戒を解かずに立ち尽くした。砂を踏む音だけが響く静寂の中、互いの呼吸さえ聞こえるような錯覚を覚える。
「君がここにいるとはな……」
「偶然じゃないんだろう? 俺がこの世界に来たことと、お前の存在は関係があるのか?」
シャアは微かに微笑んだが、その眼差しは依然として鋭い。
「いや、君がここにいるのと、私がここにいるのはまるで関係ない。あえて言うならば、全ては彼女の仕業だろう」
「・・・ララァさんか」
すると、頷く。
そして。
「君も理解しているはずだ。このまま、彼女を放っておけばどうなるのか」
「・・・」
それと共に、シャアの言葉は理解出来る。
あの時、この世界に戻る際に聞いた世界を滅ぼす事。
それは。
「ゼクノヴァを意図的に起こし続ければ、世界がいずれ限界を迎えて消滅する事を」
「・・・だったら、それを起こしているのを止めれば「彼女がいる限り、それは止まらないぞ」っ」
俺の言葉を遮るように言われた言葉。
それと共に、シャアはこちらを見る。
「どうする」
その言葉に対して、俺は。
「・・・まだ、諦めるつもりはない」
「・・・」
我が儘である事は分かっている。
けれど。
「マチュが守りたいと言っていた彼女の事を諦めるつもりはない」
そうしながら、俺達は構えていると。
「ほぅ、まさかこんな所で二人、姿を見せるとはな」
それを呟いた人物に、俺達は自然と目を向ける。
そこに立っているのは。
「・・・キシリア・ザビか」
銃口が俺たちに向いている。
キシリア・ザビ――ジオン軍の幹部で、シャアの上司だ。長いオレンジ髪を風になびかせながら、冷徹な視線で俺たちを見据えている。その手に握られた銃は、確実に俺たちの命を脅かすものだった。
「ふん、シャアだけではなく、あの未知の機体のパイロットもいるとはな」
彼女の唇が弧を描く。その笑みは美しくも冷酷で、俺の背筋に冷たいものが走った。
シャアは動じることなくキシリアを見据えているが、その手は腰の辺りで微かに動いている。俺もまた、隙あらば反撃できるよう意識を集中させていた。
「ランガ……君は知っているはずだ。この世界の均衡がどれほど危ういものか」
シャアが静かに言う。その言葉には真実が含まれている。
「知っているさ。だからこそ、今ここで簡単に死ぬわけにはいかない」
俺の言葉にキシリアが眉を上げた。
「面白い。では、生き延びるためには何ができる?」
彼女は銃を少し下げるが、決して撃てる位置ではない。
それは挑発だった。俺たちに考える余地を与えながらも、選択肢を絞り込もうとしている。
ドゥー・ムラサメは生存する?
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生存する
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死亡する