騎士王転生の天之河光輝、異世界に降り立つ。(元 天之河光輝成り代わり物)   作:ゼロさん

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なろうで原作読みながら描いてるけど主人公の会話を挟めない…後主人公の光輝くんは割と性根がチンピラです。主人公の発言はカスです


ありふれた展開で獣人討論

前の話から少し後。私たちはハウリア族と合流した。

 

正直特筆すべき事は無かった。多分そろそろ帝国兵士に襲われるくらいの時間かな?

 

 

 

 

「帝国兵はまだいるでしょか?」

 

「ん? どうだろうな。もう全滅したと諦めて帰ってる可能性も高いが……」

 

「そ、その、もし、まだ帝国兵がいたら……ハジメさん……どうするのですか?」

 

「? どうするって何が?」

 

質問の意図がわからず首を傾げてるハジメ…闇落ちしたからって別に鈍くならないでいいと思うんだけど。囲の兎人族も聞きウサミミを立てているようだ。

 

「今まで倒した魔物と違って、相手は帝国兵……人間族です。ハジメさんや光輝さんと同じ。……敵対できますか?」

 

「残念ウサギ、お前、未来が見えていたんじゃないのか?」

 

「はい、見ました。帝国兵と相対するハジメさん達を……」

 

「だったら……何が疑問なんだ?」

 

「疑問というより確認です。帝国兵から私達を守るということは、人間族と敵対することと言っても過言じゃありません。同族と敵対しても本当にいいのかと……」

 

 

 

シアの言葉に周りの兎人族達も神妙な顔付きでハジメを見ている。小さな子供達はよく分からないとった顔をしながらも不穏な空気を察してか大人達とハジメを交互に忙しなく見ている。可愛いですね(ボンドルド)

 

 

「「それがどうかしたのか(かい)?」」

 

「えっ?」

 

「だから、人間族と敵対することが何か問題なのかって言ってるんだ」

 

「同感だね。」

 

「そ、それは、だって同族じゃないですか……」

 

「お前らだって、同族に追い出されてるじゃねぇか」

 

「それは、まぁ、そうなんですが……」

 

「大体、俺達の根本が間違っている」

 

「根本?」

 

「いいか? 俺は、お前等が樹海探索に便利だから雇った。んで、それまで死なれちゃ困るから守っているだけ。断じて、お前等に同情してとか、義侠心に駆られて助けているわけじゃない。まして、今後ずっと守ってやるつもりなんて毛頭ない。忘れたわけじゃないだろう?」

 

「うっ、はい……覚えてます……」

 

「だから、樹海案内の仕事が終わるまでは守る。自分のためにな。それを邪魔するヤツは魔物だろうが人間族だろうが関係ない。道を阻むものは敵、敵は殺す。それだけのことだ」

 

「な、なるほど……」

 

 

何ともハジメらしい考えに、苦笑いしながら納得するシア。〝未来視〟で帝国と相対するハジメを見たといっても、未来というものは絶対ではないから実際はどうなるか分からない。見えた未来の確度は高いが、万一、帝国側につかれては今度こそ死より辛い奴隷生活が待っている。表には出さないが〝自分のせいで〟という負い目があるシアは、どうしても確認せずにはいられなかったのだ。

 

「はっはっは、分かりやすくていいですな。樹海の案内はお任せくだされ」

 

 

カムが快活に笑う。下手に正義感を持ち出されるよりもギブ&テイクな関係の方が信用に値したのだろう。その表情に含むところは全くなかった。

 

 

一行は、階段に差し掛かった。ハジメを先頭に順調に登っていく。帝国兵からの逃亡を含めて、ほとんど飲まず食わずだったはずの兎人族だが、その足取りは軽かった。亜人族が魔力を持たない代わりに身体能力が高いというのは嘘ではないようだ。

 

 

 

そして、遂に階段を上りきり、ハジメ達はライセン大峡谷からの脱出を果たす。

 

 

 

登りきった崖の上、そこには……

 

 

 

「おいおい、マジかよ。生き残ってやがったのか。隊長の命令だから仕方なく残ってただけなんだがなぁ~こりゃあ、いい土産ができそうだ」

 

「(知ってた。)」

 

三十人の帝国兵がたむろしていた。周りには大型の馬車数台と、野営跡が残っている。全員がカーキ色の軍服らしき衣服を纏っており、剣や槍、盾を携えており、ハジメ達を見るなり驚いた表情を見せた。

 

 

 

だが、それも一瞬のこと。直ぐに喜色を浮かべ、品定めでもするように兎人族を見渡した。

 

 

「小隊長! 白髪の兎人もいますよ! 隊長が欲しがってましたよね?」

 

「おお、ますますツイテルな。年寄りは別にいいが、あれは絶対殺すなよ?」

 

「小隊長ぉ~、女も結構いますし、ちょっとくらい味見してもいいっすよねぇ? こちとら、何もないとこで三日も待たされたんだ。役得の一つや二つ大目に見てくださいよぉ~」

 

「ったく。全部はやめとけ。二、三人なら好きにしろ」

 

「ひゃっほ~、流石、小隊長! 話がわかる!」

 

「(すんごいお手本みたいなチンピラ兵士だ…)」

 

帝国兵は、兎人族達を完全に獲物としてしか見ていないのか戦闘態勢をとる事もなく、下卑た笑みを浮かべ舐めるような視線を兎人族の女性達に向けている。兎人族は、その視線にただ怯えて震えるばかりだ。

 

 

 

帝国兵達が好き勝手に騒いでいると、兎人族にニヤついた笑みを浮かべていた小隊長と呼ばれた男が、ようやくハジメの存在に気がついた。

 

 

「あぁ? お前達誰だ? 兎人族……じゃあねぇよな?」

 

 

 

ハジメは、帝国兵の態度から素通りは無理だろうなと思いながら、一応会話に応じる。

 

 

 

「ああ、人間だ」

 

「同じく人間だよ」

 

「はぁ~? なんで人間が兎人族と一緒にいるんだ? しかも峡谷から。あぁ、もしかして奴隷商か? 情報掴んで追っかけたとか? そいつぁまた商売魂がたくましいねぇ。まぁ、いいや。そいつら皆、国で引き取るから置いていけ」

 

 

勝手に推測し、勝手に結論づけた小隊長は、さも自分の言う事を聞いて当たり前、断られることなど有り得ないと信じきった様子で、そうハジメに命令した。

 

 

 

当然、ハジメ達が従うはずもない。

 

 

 

「「断る」」

 

「……今、何て言った?」

 

「断ると言ったんだ。こいつらは今は俺のもの。あんたらには一人として渡すつもりはない。諦めてさっさと国に帰ることをオススメする」

 

「大胆な告白かな?」

 

「……小僧共、口の利き方には気をつけろ。俺達が誰かわからないほど頭が悪いのか?」

 

「十全に理解している。あんたらに頭が悪いとは誰も言われたくないだろうな」

 

「チンピラだろう?知ってるよ。」

 

ハジメ達の言葉にスっと表情を消す小隊長。周囲の兵士達も剣呑な雰囲気でハジメ達を睨んでいる。その時、小隊長が、剣呑な雰囲気に背中を押されたのか、ハジメの後ろから出てきたユエに気がついた。幼い容姿でありながら纏う雰囲気に艶があり、そのギャップからか、えもいわれぬ魅力を放っている美貌の少女に一瞬呆けるものの、ハジメの服の裾をギュッと握っていることからよほど近しい存在なのだろうと当たりをつけ、再び下碑た笑みを浮かべた。

 

 

「あぁ~なるほど、よぉ~くわかった。てめぇらが唯の世間知らず糞ガキだってことがな。ちょいと世の中の厳しさってヤツを教えてやる。くっくっく、そっちの嬢ちゃんえらい別嬪じゃねぇか。てめぇの四肢を切り落とした後、目の前で犯して、奴隷商に売っぱらっt「変態は死んでくれ」ギャフッ」スパーン

 

「そんな事言うって事はつまり敵ってことでいいよな?なぁ光輝。」

 

「勿論!2〜3人情報を聞くために残しとこうか、ハジメ。」

 

「はあぁ!?なんだてめぇらはッ!?」

 

ドパンッ!!

 

 

そこからは一瞬の殺戮だった。光輝が聖剣で突っ込み、ハジメが銃と手榴弾で牽制。一瞬で帝国兵士は殆どが殺された。

 

「うん、やっぱり、人間相手だったら〝纏雷〟はいらないな。通常弾と炸薬だけで十分だ。燃焼石ってホント便利だわ」

 

「私もただ剣を振っているだけでどうにでもなるね。」

 

兵士がビクッと体を震わせて怯えをたっぷり含んだ瞳をハジメに向けた。ハジメはドンナーで肩をトントンと叩きながら、光輝は剣を素振りしながらゆっくりと兵士に歩み寄る。黒いコートと青の鎧の装飾を靡かせて死を振り撒き歩み寄るその姿は、さながら死神だ。少なくとも生き残りの兵士には、そうとしか見えなかった。

 

 

 

「ひぃ、く、来るなぁ! い、嫌だ。し、死にたくない。だ、誰か! 助けてくれ!」

 

 

 

命乞いをしながら這いずるように後退る兵士。その顔は恐怖に歪み、股間からは液体が漏れてしまっている。ハジメは、冷めた目でそれを見下ろし、おもむろに銃口を兵士の背後に向けると連続して発砲した。

 

 

 

「ひぃ!」

 

 

 

兵士が身を竦めるが、その体に衝撃はない。ハジメが撃ったのは、手榴弾で重傷を負っていた背後の兵士達だからだ。それに気が付いたのか、生き残りの兵士が恐る恐る背後を振り返り、今度こそ隊が全滅したことを眼前の惨状を持って悟った。

 

 

 

振り返ったまま硬直している兵士の頭にゴリッと銃口が押し当てられる。再び、ビクッと体を震わせた兵士は、醜く歪んだ顔で再び命乞いを始めた。

 

 

 

「た、頼む! 殺さないでくれ! な、何でもするから! 頼む!」

 

「そうか? なら、他の兎人族がどうなったか教えてもらおうか。結構な数が居たはずなんだが……全部、帝国に移送済みか?」

 

 

 

ハジメが質問したのは、百人以上居たはずの兎人族の移送にはそれなりに時間がかかるだろうから、まだ近くにいて道中でかち合うようなら序でに助けてもいいと思ったからだ。帝国まで移送済みなら、わざわざ助けに行くつもりは毛頭なかったが。

 

 

 

「……は、話せば殺さないか?」

 

「お前、自分が条件を付けられる立場にあると思ってんのか? 別に、どうしても欲しい情報じゃあないんだ。今すぐ逝くか?」

 

「ま、待ってくれ! 話す! 話すから! ……多分、全部移送済みだと思う。人数は絞ったから……」

 

〝人数を絞った〟それは、つまり老人など売れそうにない兎人族は殺したということだろう。兵士の言葉に、悲痛な表情を浮かべる兎人族達。ハジメは、その様子をチラッとだけ見やる。直ぐに視線を兵士に戻すともう用はないと瞳に殺意を宿した。

 

 

「待て! 待ってくれ! 他にも何でも話すから! 帝国のでも何でも! だから!」

 

 

ハジメの殺意に気がついた兵士が再び必死に命乞いする。しかし、その返答は……

 

 

 

ドパンッ!

 

 

 

一発の銃弾だった。

 

 

 

息を呑む兎人族達。あまりに容赦のないハジメの行動に完全に引いているようである。その瞳には若干の恐怖が宿っていた。光輝は半笑いである。そして恐怖はシアも同じだったのか、おずおずとハジメに尋ねた。

 

 

「あ、あのさっきの人は見逃してあげても良かったのでは……」

 

 

はぁ? という呆れを多分に含んだ視線を向けるハジメに「うっ」と唸るシア。自分達の同胞を殺し、奴隷にしようとした相手にも慈悲を持つようで、兎人族とはとことん温厚というか平和主義らしい。ハジメが言葉を発しようとしたが、その機先を制するようにユエが反論した。

 

 

「……一度、剣を抜いた者が、結果、相手の方が強かったからと言って見逃してもらおうなんて都合が良すぎ」

 

「そ、それは……」

 

「……そもそも、守られているだけのあなた達がそんな目をハジメに向けるのはお門違い」

 

「……」

 

 

ユエは静かに怒っているようだ。守られておきながら、ハジメに向ける視線に負の感情を宿すなど許さないと言わんばかりである。当然といえば当然なので、兎人族達もバツが悪そうな表情をしている。

 

 

「ふむ、ハジメ殿、申し訳ない。別に、貴方に含むところがあるわけではないのだ。ただ、こういう争いに我らは慣れておらんのでな……少々、驚いただけなのだ」

 

「ハジメさん、すみません」

 

 

シアとカムが代表して謝罪するが、ハジメは気にしてないという様に手をヒラヒラと振るだけだった。

 

 

ハジメは、無傷の馬車や馬のところへ行き、兎人族達を手招きする。樹海まで徒歩で半日くらいかかりそうなので、せっかくの馬と馬車を有効活用しようというわけだ。ハジメは魔力駆動二輪を〝宝物庫〟から取り出し馬車に連結させる。馬に乗る者と分けて一行は樹海へと進路をとった。

 

 

無残な帝国兵の死体はユエが風の魔法で吹き飛ばし谷底に落とした。後にはただ、彼等が零した血だまりだけが残された。

 

(ハウリア)騎士王天之河光輝異世界に降り立つ(遭遇?)Part72

266:屋根ゴミカス

此処から暫くはハウリア族の訓練とかだったか…大変だな、応援してるぞ、頑張ってくれ。

 

267:名無し転生者

よおカス

 

 

268:害悪トレント

割と本気でカス。

 

 

269:名無し転生者

お前サタナエル呼び過ぎなんだよカス。原作の感動返せカス、わかってんのかカス、死ね。氏ねじゃなくて死ね。

 

 

270:屋根ゴミカス

酷くないか皆…というか何故俺がスレッドに来た途端怒られるんだ…

 

 

271:騎士のプーさん

>>270

原作の屋根ゴミの10又を超えた17又をしたせいじゃない?正直私もちょっとやり過ぎだと思う。

 

 

272:名無し転生者

屋根ゴミカスのバレンタインデーの修羅場のTS明智

 

TS明智「…ッハハ…わかって…いたはずなんだけどね………所詮どんなに上辺を取り繕ってもボクは『皆』の中の一人でしかないことなんて、ボク一人が特別じゃないなんて…色んなヤツと付き合ってる最低なヤツだって事なんて…前から知ってたのに…バカだなぁ…」

 

 

273:名無し転生者

ちょっと目元が潤んでたの本当可哀想。死んでくれ

 

おいカス聞いてんのか、テメェに言ってんだぞカス。

 

 

274:暗殺剣

その後包丁で刺された時そのまま死んどきゃぁ良かったのにな…

 

 

275:性王ワンサマー

俺が言えた事じゃねえけど一回拷問とか掛けられた方が良いと思うよお前

 

 

276:屋根ゴミカス

既に取調室で受けたぞ、というか全員仲直りはしたから大丈夫だ。

 

 

277:名無し転生者

テメェの仲直りはS◯Xだろうが!明智の初めては美味かったかよエエ!?

 

 

278:屋根ゴミカス

ああ、最高だった。

 

 

279:名ありのGOD

正直反省した方が良いよ。

 

 

280:名無し転生者

俺等は神に頼んで明智がお前を殺した後の中継見てたの知ってるからな。

 

 

281:名無し転生者

 

〜〜〜(獅童との電話後)〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「…………………………蓮…………ハハッ…馬鹿なヤツ…ハハッ………蓮…」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

カス「最高だな。」

 

冴さん「いきなりどうしたの…?」

 

 

282:名無し転生者

取調室の内での取調トークで冴さんを惚れさせたのだけは本当に尊敬する。

其れはソレとして反省しろ。

 

 

283:名無し転生者

例のコピペ貼ったのはまじでカスだと思う

 

 

284:名無し転生者

バレンタインのコピペのコピペ

 

378:屋根ゴミカス

双葉が一番だめだわ*1

ハーレム状態でバレンタインイベント迎えると他の女は圧かけてきたり怒るだけなのに対して

こいつは泣く。泣かれるとまるでこっちが悪いみたいな感じになって気分悪いわ。最悪

……コレがやりたかった

 

285:名無し転生者

迫真の『……コレがやりたかった』まじでカス以外言い表せない

 

 

286:名無し転生者

コイツこれをバレンタインで16又がバレた修羅場真っ最中で書いてるんだよな。

 

 

287:名無し転生者

だとしてもコイツは決める所は決めるから責めきれな………やっぱカスだよコイツ

 

 

288:名無し転生者

大罪の徹甲弾*2連射したのはちょっと面白かった。

 

 

289:騎士のプーさん

 

そろそろ話戻すね…今はシアに私達の過去話した所だよ。

 

「うぇ、ぐすっ……ひどい、ひどすぎまずぅ~、ハジメさんもユエさんもがわいぞうですぅ~。そ、それ比べたら、私はなんでめぐまれて……うぅ~、自分がなざけないですぅ~」

 

号泣してて草。滂沱の涙を流しながら「私は、甘ちゃんですぅ」とか「もう、弱音は吐かないですぅ」と呟いている。そして、さり気なく、ハジメの外套で顔を拭いている。どうやら、自分は大変な境遇だと思っていたら、私達が自分以上に大変な思いをしていたことを知り、不幸顔していた自分が情けなくなったらしい。

 

 

しばらくメソメソしていたシアだが、突如、決然とした表情でガバッと顔を上げると拳を握り元気よく宣言した。

 

 

「ハジメさん! ユエさん! 私、決めました! お二人の旅に着いていきます! これからは、このシア・ハウリアが陰に日向にお二人を助けて差し上げます! 遠慮なんて必要ありませんよ。私達はたった三人の仲間。共に苦難を乗り越え、望みを果たしましょう!」

 

何で急に仲間ズラしてるんだろう………

 

 

290:名無し転生者

仲間になりたいからですね…

 

 

291:魔王志望

で、そういえばお前大丈夫だったかプーさん。初殺人だった訳だが?

 

 

292:騎士のプーさん

精神力Aは偉大だよねホントに

 

 

〜〜〜(カット*3)〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

「お前達……何故人間といる! 種族と族名を名乗れ!」

 

虎模様の耳と尻尾を付けた、筋骨隆々の亜人。

 

樹海の中で人間族と亜人族が共に歩いている。

その有り得ない光景に、目の前の虎の亜人と思しき人物はカム*4達に裏切り者を見るような眼差しを向けた。その手には両刃の剣が抜身の状態で握られている。周囲にも数十人の亜人が殺気を滾らせながら包囲網を敷いているようだ。

 

 

「あ、あの私達は……」

 

 

カムが何とか誤魔化そうと額に冷汗を流しながら弁明を試みるが、その前に虎の亜人の視線がシアを捉え、その眼が大きく見開かれる。

 

「白い髪の兎人族…だと? ……貴様ら……報告のあったハウリア族か……亜人族の面汚し共め! 長年、同胞を騙し続け、忌み子を匿うだけでなく、今度は人間族を招き入れるとは! 反逆罪だ! もはや弁明など聞く必要もない! 全員この場で処刑する! 総員かッ!?」

 

 

ドパンッ!!

 

 

 

虎の亜人が問答無用で攻撃命令を下そうとしたその瞬間、ハジメの腕が跳ね上がり、銃声と共に一条の閃光が彼の頬を掠めて背後の樹を抉り飛ばし樹海の奥へと消えた。

 

 

 

理解不能な攻撃に凍りつく虎の亜人の頬に擦過傷が出来る。もし人間のように耳が横についていれば、確実に弾け飛んでいただろう。聞いたこともない炸裂音と反応を許さない超速の攻撃に誰もが硬直している。

 

 

そこに、気負った様子もないのに途轍もない圧力を伴ったハジメの声が響いた。〝威圧〟という魔力を直接放出することで相手に物理的な圧力を加える固有魔法である。ついでに光輝も威圧している。

 

「今の攻撃は、刹那の間に数十発単位で連射出来る。周囲を囲んでいるヤツらも全て把握している。お前等がいる場所は、既に俺のキルゾーンだ」

 

「な、なっ……詠唱がっ……」

 

「(なんでこういう奴らって急に殺そうとしてくるの?そういうキャラなの?)」*5

 

詠唱もなく、見たこともない強烈な攻撃を連射出来る上、味方の場所も把握していると告げられ思わず吃る虎の亜人。それを証明するように、ハジメは自然な動作でシュラークを抜きピタリと、とある方向へ銃口を向けた。その先には、奇しくも虎の亜人の腹心の部下がいる場所だった。霧の向こう側で動揺している気配がする。

 

「殺るというのなら容赦はしない。約束が果たされるまで、こいつらの命は俺が保障しているからな……ただの一人でも生き残れるなどと思うなよ」

 

 

威圧感の他にハジメが殺意を放ち始める。あまりに濃厚なそれを真正面から叩きつけられている虎の亜人は冷や汗を大量に流しながら、ヘタをすれば恐慌に陥って意味もなく喚いてしまいそうな自分を必死に押さえ込んだ。

 

 

 

(冗談だろ! こんな、こんなものが人間だというのか! まるっきり化物じゃないか!)

 

恐怖心に負けないように内心で盛大に喚く虎の亜人など知ったことかというように、ハジメがドンナー・シュラークを構えたまま、言葉を続ける。

 

 

「だが、この場を引くというのなら追いもしない。敵でないなら殺す理由もないからな。さぁ、選べ。敵対して無意味に全滅するか、大人しく家に帰るか」

 

 

 

虎の亜人は確信した。攻撃命令を下した瞬間、先程の閃光が一瞬で自分達を蹂躙することを。その場合、万に一つも生き残れる可能性はないということを。

 

 

 

虎の亜人は、フェアベルゲンの第二警備隊隊長だった。フェアベルゲンと周辺の集落間における警備が主な仕事で、魔物や侵入者から同胞を守るというこの仕事に誇りと覚悟を持っていた。その為、例え部下共々全滅を確信していても安易に引くことなど出来なかった。

 

 

 

「……その前に、一つ聞きたい」

 

 

 

 虎の亜人は掠れそうになる声に必死で力を込めてハジメに尋ねた。ハジメは視線で話を促した。

 

 

 

「……何が目的だ?」

 

 

 

 端的な質問。しかし、返答次第では、ここを死地と定めて身命を賭す覚悟があると言外に込めた覚悟の質問だ。虎の亜人は、フェアベルゲンや集落の亜人達を傷つけるつもりなら、自分達が引くことは有り得ないと不退転の意志を眼に込めて気丈にハジメを睨みつけた。

 

 

 

「樹海の深部、大樹の下へ行きたい」

 

「大樹の下へ……だと? 何のために?」

 

 

 

てっきり亜人を奴隷にするため等という自分達を害する目的なのかと思っていたら、神聖視はされているものの大して重要視はされていない〝大樹〟が目的と言われ若干困惑する虎の亜人。〝大樹〟は、亜人達にしてみれば、言わば樹海の名所のような場所に過ぎないのだ。

 

 

 

「そこに、本当の大迷宮への入口があるかもしれないからだ。俺達は七大迷宮の攻略を目指して旅をしている。ハウリアは案内のために雇ったんだ」

 

「本当の迷宮? 何を言っている? 七大迷宮とは、この樹海そのものだ。一度踏み込んだが最後、亜人以外には決して進むことも帰る事も叶わない天然の迷宮だ」

 

「「いや、それはおかしい」」

 

「なんだと?」

 

 

 

妙に自信のあるハジメ達の断言に虎の亜人は訝しそうに問い返した。

 

 

 

「大迷宮というには、ここの魔物は弱すぎる」

 

「弱い?」

 

「そうだ。大迷宮の魔物ってのは、どいつもこいつも化物揃いだ。少なくとも【オルクス大迷宮】の奈落はそうだった。それに……」

 

「なんだ?」

 

「大迷宮というのは、〝解放者〟達が残した試練なんだ。亜人族は簡単に深部へ行けるんだろ? それじゃあ、試練になってない。だから、樹海自体が大迷宮ってのはおかしいんだよ」

 

「……」

 

 

 

ハジメの話を聞き終わり、虎の亜人は困惑を隠せなかった。ハジメの言っていることが分からないからだ。樹海の魔物を弱いと断じることも、【オルクス大迷宮】の奈落というのも、解放者とやらも、迷宮の試練とやらも……聞き覚えのないことばかりだ。普段なら、〝戯言〟と切って捨てていただろう。

 

 

だがしかし、今、この場において、ハジメが適当なことを言う意味はないのだ。圧倒的に優位に立っているのはハジメの方であり、言い訳など必要ないのだから。しかも、妙に確信に満ちていて言葉に力がある。本当に亜人やフェアベルゲンには興味がなく大樹自体が目的なら、部下の命を無意味に散らすより、さっさと目的を果たさせて立ち去ってもらうほうがいい。

 

 

虎の亜人は、そこまで瞬時に判断した。しかし、ハジメ程の驚異を自分の一存で野放しにするわけには行かない。この件は、完全に自分の手に余るということも理解している。その為、虎の亜人はハジメに提案した。

 

 

「……お前が、国や同胞に危害を加えないというなら、大樹の下へ行くくらいは構わないと、俺は判断する。部下の命を無意味に散らすわけには行かないからな」

 

 

その言葉に、周囲の亜人達が動揺する気配が広がった。樹海の中で、侵入して来た人間族を見逃すということが異例だからだろう。

 

 

「だが、一警備隊長の私ごときが独断で下していい判断ではない。本国に指示を仰ぐ。お前の話も、長老方なら知っている方もおられるかもしれない。お前に、本当に含むところがないというのなら、伝令を見逃し、私達とこの場で待機しろ」

 

 

 

冷や汗を流しながら、それでも強い意志を瞳に宿して睨み付けてくる虎の亜人の言葉に、ハジメは少し考え込む。

 

 

虎の亜人からすれば限界ギリギリの譲歩なのだろう。樹海に侵入した他種族は問答無用で処刑されると聞く。今も、本当はハジメ達を処断したくて仕方ないはずだ。だが、そうすれば間違いなく部下の命を失う。それを避け、かつ、ハジメという危険を野放しにしないためのギリギリの提案。

 

 

 

ハジメは、この状況で中々理性的な判断ができるヤツだと、少し感心した。そして、今、この場で彼等を殲滅して突き進むメリットと、フェアベルゲンに完全包囲される危険を犯しても彼等の許可を得るメリットを天秤に掛けて……後者を選択した。大樹が大迷宮の入口でない場合、更に探索をしなければならない。そうすると、フェアベルゲンの許可があった方が都合がいい。もちろん、結局敵対する可能性は大きいが、しなくて済む道があるならそれに越したことはない。人道的判断ではなく、単に殲滅しながらの探索はひどく面倒そうだからだ。

 

「……いいだろう。さっきの言葉、曲解せずにちゃんと伝えろよ?」

 

「無論だ。ザム! 聞こえていたな! 長老方に余さず伝えろ!」

 

「了解!」

 

 

 

 虎の亜人の言葉と共に、気配が一つ遠ざかっていった。ハジメは、それを確認するとスっと構えていたドンナー・シュラークを太もものホルスターに納めて、〝威圧〟を解いた。空気が一気に弛緩する。それに、ホッとすると共に、あっさり警戒を解いたハジメに訝しそうな眼差しを向ける虎の亜人。中には、〝今なら!〟と臨戦態勢に入っている亜人もいるようだ。その視線の意味に気が付いたのか光輝が不敵に笑った。

 

 

 

「お前達が攻撃するより、私が全員斬り殺す方が早い……試してみるかい?」

 

「……いや。だが、下手な動きはするなよ。我らも動かざるを得ない」

 

「わかってるさ」

 

 

包囲はそのままだが、ようやく一段落着いたと分かり、カム達にもホッと安堵の吐息が漏れた。だが、彼等に向けられる視線は、ハジメに向けられるものより厳しいものがあり居心地は相当悪そうである。

 

 

しばらく、重苦しい雰囲気が周囲を満たしていたが、そんな雰囲気に飽きたのか、ユエがハジメに構って欲しいと言わんばかりにちょっかいを出し始めた。それを見たシアが場を和ませるためか、単に雰囲気に耐えられなくなったのか「私も~」と参戦し、光輝も「暇だから何か食べるかい?」と誘う。苦笑いしながら相手をするハジメに、少しずつ空気が弛緩していく。敵地のど真ん中で、いきなりイチャつき始めた(亜人達にはそう見えた)ハジメに呆れの視線が突き刺さる。

 

 

 

時間にして一時間と言ったところか。調子に乗ったシアが、ユエに関節を極められて「ギブッ! ギブッですぅ!」と必死にタップし、それを周囲の亜人達と光輝が呆れを半分含ませた生暖かな視線で見つめていると、急速に近づいてくる気配を感じた。

 

 

場に再び緊張が走る。シアの関節には痛みが走る。

 

 

霧の奥からは、数人の新たな亜人達が現れた。彼等の中央にいる初老の男が特に目を引く。流れる美しい金髪に深い知性を備える碧眼、その身は細く、吹けば飛んで行きそうな軽さを感じさせる。威厳に満ちた容貌は、幾分シワが刻まれているものの、逆にそれがアクセントとなって美しさを引き上げていた。何より特徴的なのが、その尖った長耳だ。彼は、森人族いわゆるエルフなのだろう。

 

 

ハジメは、瞬時に、彼が〝長老〟と呼ばれる存在なのだろうと推測した。その推測は、当たりのようだ。

 

 

「ふむ、お前さんたちが問題の人間族かね? 名は何という?」

 

「天之河光輝だよ、覚えないで構わない」

 

「ハジメだ。南雲ハジメ。あんたは?」

 

 

ハジメ達の言葉遣いに、周囲の亜人が長老に何て態度を! と憤りを見せる。それを、片手で制すると、森人族の男性も名乗り返した。

 

 

「私は、アルフレリック・ハイピスト。フェアベルゲンの長老の座を一つ預からせてもらっている。さて、お前さんらの要求は聞いているのだが……その前に聞かせてもらいたい。〝解放者〟とは何処で知った?」

 

「うん? オルクス大迷宮の奈落の底、解放者の一人、オスカー・オルクスの隠れ家だ」

 

 

目的などではなく、解放者の単語に興味を示すアルフレリックに訝しみながら返答するハジメ。一方、アルフレリックの方も表情には出さないものの内心は驚愕していた。なぜなら、解放者という単語と、その一人が〝オスカー・オルクス〟という名であることは、長老達と極僅かな側近しか知らない事だからだ。

 

 

「ふむ、奈落の底か……聞いたことがないがな……証明できるか?」

 

 

あるいは亜人族の上層に情報を漏らしている者がいる可能性を考えて、ハジメに尋ねるアルフレリック。ハジメは難しい表情をする。証明しろと言われても、すぐ示せるものは自身の強さくらいだ。首を捻るハジメに光輝が提案する。

 

 

「……ハジメ、魔石とかオルクスの遺品はどうだい?」

 

「ああ! そうだな、それなら……」

 

 

ポンと手を叩き、〝宝物庫〟から地上の魔物では有り得ないほどの質を誇る魔石をいくつか取り出し、アルフレリックに渡す。

 

 

「こ、これは……こんな純度の魔石、見たことがないぞ……」

 

 

アルフレリックも内心驚いていてたが、隣の虎の亜人が驚愕の面持ちで思わず声を上げた。

 

 

 

「後は、これ。一応、オルクスが付けていた指輪なんだが……」

 

 

そう言って、見せたのはオルクスの指輪だ。アルフレリックは、その指輪に刻まれた紋章を見て目を見開いた。そして、気持ちを落ち付かせるようにゆっくり息を吐く。

 

 

「なるほど……確かに、お前さんはオスカー・オルクスの隠れ家にたどり着いたようだ。他にも色々気になるところはあるが……よかろう。取り敢えずフェアベルゲンに来るがいい。私の名で滞在を許そう。ああ、もちろんハウリアも一緒にな」

 

 

アルフレリックの言葉に、周囲の亜人族達だけでなく、カム達ハウリアも驚愕の表情を浮かべた。虎の亜人を筆頭に、猛烈に抗議の声があがる。それも当然だろう。かつて、フェアベルゲンに人間族が招かれたことなど無かったのだから。

 

 

「彼等は、客人として扱わねばならん。その資格を持っているのでな。それが、長老の座に就いた者にのみ伝えられる掟の一つなのだ」

 

 

 

アルフレリックが厳しい表情で周囲の亜人達を宥める。しかし、今度はハジメの方が抗議の声を上げた。

 

 

 

「待て。何勝手に俺の予定を決めてるんだ? 俺は大樹に用があるのであって、フェアベルゲンに興味はない。問題ないなら、このまま大樹に向かわせてもらう」

 

「いや、お前さん。それは無理だ」

 

「なんだと?」

 

 

あくまで邪魔する気か? と身構えるハジメに、むしろアルフレリックの方が困惑したように返した。

 

 

「大樹の周囲は特に霧が濃くてな、亜人族でも方角を見失う。一定周期で、霧が弱まるから、大樹の下へ行くにはその時でなければならん。次に行けるようになるのは十日後だ。……亜人族なら誰でも知っているはずだが……」

 

 

アルフレリックは、「今すぐ行ってどうする気だ?」とハジメを見たあと、案内役のカムを見た。ハジメは、聞かされた事実にポカンとした後、アルフレリックと同じようにカムを見た。そのカムはと言えば……

 

 

 

「あっ」

 

 

 

まさに、今思い出したという表情をしていた。ハジメの額に青筋が浮かぶ。

 

 

 

「カム?」

 

「あっ、いや、その何といいますか……ほら、色々ありましたから、つい忘れていたといいますか……私も小さい時に行ったことがあるだけで、周期のことは意識してなかったといいますか……」

 

 

 

しどろもどろになって必死に言い訳するカムだったが、ハジメとユエのジト目に耐えられなくなったのか逆ギレしだした。

 

 

 

「ええい、シア、それにお前達も! なぜ、途中で教えてくれなかったのだ! お前達も周期のことは知っているだろ!」

 

「なっ、父様、逆ギレですかっ! 私は、父様が自信たっぷりに請け負うから、てっきりちょうど周期だったのかと思って……つまり、父様が悪いですぅ!」

 

「そうですよ、僕たちも、あれ? おかしいな? とは思ったけど、族長があまりに自信たっぷりだったから、僕たちの勘違いかなって……」

 

「族長、何かやたら張り切ってたから……」

 

 

 

 逆ギレするカムに、シアが更に逆ギレし、他の兎人族達も目を逸らしながら、さり気なく責任を擦り付ける。

 

 

 

「お、お前達! それでも家族か! これは、あれだ、そう! 連帯責任だ! 連帯責任! ハジメ殿、罰するなら私だけでなく一族皆にお願いします!」

 

「あっ、汚い! お父様汚いですよぉ! 一人でお仕置きされるのが怖いからって、道連れなんてぇ!」

 

「族長! 私達まで巻き込まないで下さい!」

 

「バカモン! 道中の、ハジメ殿の容赦のなさを見ていただろう! 一人でバツを受けるなんて絶対に嫌だ!」

 

「あんた、それでも族長ですか!」

 

 

 

亜人族の中でも情の深さは随一の種族といわれる兎人族。彼等は、ぎゃあぎゃあと騒ぎながら互いに責任を擦り付け合っていた。情の深さは何処に行ったのか……流石、シアの家族である。総じて、残念なウサギばかりだった。

 

 

 

青筋を浮かべたハジメが、一言、ポツリと呟く。

 

 

 

「……ユエ」

 

「ん」

 

 

 

ハジメの言葉に一歩前に出たユエがスっと右手を掲げた。それに気がついたハウリア達の表情が引き攣る。

 

 

 

「まっ、待ってください、ユエさん! やるなら父様だけを!」

 

「はっはっは、何時までも皆一緒だ!」

 

「何が一緒だぁ!」

 

「ユエ殿、族長だけにして下さい!」

 

「僕は悪くない、僕は悪くない、悪いのは族長なんだ!」

 

 

 

 喧々囂々と騒ぐハウリア達に薄く笑い、ユエは静かに呟いた。

 

 

 

「〝嵐帝〟」

 

 

 

―――― アッーーーー!!!

 

 

 

 天高く舞い上がるウサミミ達。樹海に彼等の悲鳴が木霊する。同胞が攻撃を受けたはずなのに、アルフレリックを含む周囲の亜人達の表情に敵意はなかった。むしろ、呆れた表情で天を仰いでいる。彼等の表情が、何より雄弁にハウリア族の残念さを示していた。

 

「ええ…(原作で知ってたけど)残念すぎでしょ…」

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

「……なるほど。試練に神代魔法、それに神の盤上か……」

 

 

 

 現在、ハジメとユエは、アルフレリックと向かい合って話をしていた。内容は、ハジメがオスカー・オルクスに聞いた〝解放者〟のことや神代魔法のこと、自分が異世界の人間であり七大迷宮を攻略すれば故郷へ帰るための神代魔法が手に入るかもしれないこと等だ。

 

 

 

アルフレリックは、この世界の神の話を聞いても顔色を変えたりはしなかった。不思議に思ってハジメが尋ねると、「この世界は亜人族に優しくはない、今更だ」という答えが返ってきた。神が狂っていようがいまいが、亜人族の現状は変わらないということらしい。聖教教会の権威もないこの場所では信仰心もないようだ。あるとすれば自然への感謝の念だという。

 

 

 

ハジメ達の話を聞いたアルフレリックは、フェアベルゲンの長老の座に就いた者に伝えられる掟を話した。それは、この樹海の地に七大迷宮を示す紋章を持つ者が現れたらそれがどのような者であれ敵対しないこと、そして、その者を気に入ったのなら望む場所に連れて行くことという何とも抽象的な口伝だった。

 

 

 

【ハルツィナ樹海】の大迷宮の創始者リューティリス・ハルツィナが、自分が〝解放者〟という存在である事(解放者が何者かは伝えなかった)と、仲間の名前と共に伝えたものなのだという。フェアベルゲンという国ができる前からこの地に住んでいた一族が延々と伝えてきたのだとか。最初の敵対せずというのは、大迷宮の試練を越えた者の実力が途轍もないことを知っているからこその忠告だ。

 

 

 

そして、オルクスの指輪の紋章にアルフレリックが反応したのは、大樹の根元に七つの紋章が刻まれた石碑があり、その内の一つと同じだったからだそうだ。

 

 

 

「それで、俺は資格を持っているというわけか……」

 

 

 

アルフレリックの説明により、人間を亜人族の本拠地に招き入れた理由がわかった。しかし、全ての亜人族がそんな事情を知っているわけではないはずなので、今後の話をする必要がある。

 

 

 

ハジメとアルフレリックが、話を詰めようとしたその時、何やら階下が騒がしくなった。ハジメ達のいる場所は、最上階にあたり、階下にはシア達ハウリア族が待機している。どうやら、彼女達が誰かと争っているようだ。ハジメとアルフレリックは顔を見合わせ、同時に立ち上がった。

 

 

 

階下では、大柄な熊の亜人族や虎の亜人族、狐の亜人族、背中から羽を生やした亜人族、小さく毛むくじゃらのドワーフらしき亜人族が剣呑な眼差しで、ハウリア族を睨みつけていた。部屋の隅で縮こまり、カムが必死にシアを庇っている。シアもカムも頬が腫れている事から既に殴られた後のようだ。

 

 

 

ハジメとユエと光輝が階段から降りてくると、彼等は一斉に鋭い視線を送った。熊の亜人が剣呑さを声に乗せて発言する。

 

 

 

「アルフレリック……貴様、どういうつもりだ。なぜ人間を招き入れた? こいつら兎人族もだ。忌み子にこの地を踏ませるなど……返答によっては、長老会議にて貴様に処分を下すことになるぞ」

 

 

 

必死に激情を抑えているのだろう。拳を握りわなわなと震えている。やはり、亜人族にとって人間族は不倶戴天の敵なのだ。しかも、忌み子と彼女を匿った罪があるハウリア族まで招き入れた。熊の亜人だけでなく他の亜人達もアルフレリックを睨んでいる。

 

 

 

しかし、アルフレリックはどこ吹く風といった様子だ。

 

 

 

「なに、口伝に従ったまでだ。お前達も各種族の長老の座にあるのだ。事情は理解できるはずだが?」

 

「何が口伝だ! そんなもの眉唾物ではないか! フェアベルゲン建国以来一度も実行されたことなどないではないか!」

 

「だから、今回が最初になるのだろう。それだけのことだ。お前達も長老なら口伝には従え。それが掟だ。我ら長老の座にあるものが掟を軽視してどうする」

 

「なら、こんな人間族の小僧が資格者だとでも言うのか! 敵対してはならない強者だと!」

 

「そうだ」

 

 

 

 あくまで淡々と返すアルフレリック。熊の亜人は信じられないという表情でアルフレリックを、そしてハジメを睨む。

 

 

 

フェアベルゲンには、種族的に能力の高い幾つかの各種族を代表する者が長老となり、長老会議という合議制の集会で国の方針などを決めるらしい。裁判的な判断も長老衆が行う。今、この場に集まっている亜人達が、どうやら当代の長老達らしい。だが、口伝に対する認識には差があるようだ。

 

 

 

 アルフレリックは、口伝を含む掟を重要視するタイプのようだが、他の長老達は少し違うのだろう。アルフレリックは森人族であり、亜人族の中でも特に長命種だ。二百年くらいが平均寿命だったとハジメは記憶している。だとすると、眼前の長老達とアルフレリックでは年齢が大分異なり、その分、価値観にも差があるのかもしれない。ちなみに、亜人族の平均寿命は百年くらいだ。

 

 

 

 そんなわけで、アルフレリック以外の長老衆は、この場に人間族や罪人がいることに我慢ならないようだ。

 

 

 

「……ならば、今、この場で試してやろう!」

 

 

 

 いきり立った熊の亜人が突如、光輝に向かって突進した。あまりに突然のことで周囲は反応できていない。アルフレリックも、まさかいきなり襲いかかるとは思っていなかったのか、驚愕に目を見開いている。

 

 

 

そして、一瞬で間合いを詰め、身長二メートル半はある脂肪と筋肉の塊の様な男の豪腕が、光輝に向かって振り下ろされた。

 

 

 

亜人の中でも、熊人族は特に耐久力と腕力に優れた種族だ。その豪腕は、一撃で野太い樹をへし折る程で、種族代表ともなれば他と一線を画す破壊力を持っている。シア達ハウリア族と傍らのユエ以外の亜人達は、皆一様に、肉塊となった光輝を幻視した。

 

 

 

しかし、次の瞬間には、有り得ない光景に凍りついた。

 

 

 

ズシャンッ!

 

 

 

衝撃音と共に振り下ろされた拳は、あっさりと光輝の光り輝く剣(約束された勝利の剣)に切り落とされていたからだ。

 

 

 

「(此処は原作だとハジメじゃ?間違って切り落としちゃったよ)……温い拳だね。」

 

 

 

そう言って、光輝は剣の血を降って落とす。熊の亜人の地面に落ちた腕からズシャッと音が響いた。驚愕と苦悶の入り交じった表情を浮かべながらも危機感を覚え、必死に距離を取ろうとする熊の亜人。

 

 

 

「ぐっう!クソッ!」

 

光輝は無言で剣を宝物庫に納めた。そのまま後退る熊の亜人の懐へ一気に踏み込んだ。

 

 

 

「ふっ飛んでくれ」

 

 

 

ドパンッ!

 

 

 

〝豪腕〟を発動しながら突きを放つ。

 

 

絶大な威力を込められた拳が、遠慮容赦なく熊の亜人族の腹に突き刺さり、その場に衝撃波を発生させながら、文字通り猛烈な勢いで吹っ飛ばす。熊の亜人は、悲鳴一つ上げられず、体をくの字に折り曲げながら背後の壁を突き破り虚空へと消えていった。しばらくすると、地上で悲鳴が聞こえだす。

 

 

誰もが言葉を失い硬直していると、ガシュン! と二丁拳銃を向けた光輝が長老達に殺意を宿らせた視線を向ける。

 

 

 

「で?次は誰だい?」

 

 

 

その言葉に、声を上げるものはいなかった。

 

 

 

 

 

光輝が熊の亜人を吹き飛ばした後、アルフレリックが何とか執り成し、光輝達による蹂躙劇は回避された。熊の亜人は内臓破裂、ほぼ全身の骨が粉砕骨折。そして肝心の腕はなくなったままであったが、何とか一命は取り留めたらしい。高価な回復薬を湯水の如く使ったようだ。もっとも、もう二度と戦士として戦うことはできないようだが……

 

 

現在、当代の長老衆である虎人族のゼル、翼人族のマオ、狐人族のルア、土人族(俗に言うドワーフ)のグゼ、そして森人族のアルフレリックが、ハジメと向かい合って座っていた。ハジメの傍らにはユエとカム、シアと光輝が座り、その後ろにハウリア族が固まって座っている。

 

 

長老衆の表情は、アルフレリックを除いて緊張感で強ばっていた。戦闘力では一,二を争う程の手練だった熊の亜人(名前はジン)が、文字通り手も足も出ず瞬殺されたのであるから無理もない。

 

 

「で? あんた達は俺等をどうしたいんだ? 俺は大樹の下へ行きたいだけで、邪魔しなければ敵対することもないんだが……亜人族・・・としての意思を統一してくれないと、いざって時、何処までやっていいかわからないのは不味いだろう? あんた達的に。殺し合いの最中、敵味方の区別に配慮する程、俺はお人好しじゃないぞ」

 

 

 

ハジメの言葉に、身を強ばらせる長老衆。言外に、亜人族全体との戦争も辞さないという意志が込められていることに気がついたのだろう。

 

 

 

「こちらの仲間を再起不能にしておいて、第一声がそれか……それで友好的になれるとでも?」

 

 

 

グゼが苦虫を噛み潰したような表情で呻くように呟いた。

 

 

 

「ん?私はゴミ掃除しただけだけど…というか向こうから喧嘩を売ってきたし…」

 

「き、貴様! ジンはな! ジンは、いつも国のことを思って!」

 

「それで?いきなり殺そうとする奴は殺されそうになっても良いと思うけど…」

 

「そ、それは! しかし!」

 

「勘違いしないでほしい。キミ達を皆殺しにしたっていいんだよ?こっちはさ…キミたちが殺しに来たんだからこっちだって殺しに行っても良いんだよ?」

 

 

原作ではグゼはジンと仲が良かったらしい。しかし光輝はガワだけ転生者。原作プロトアーサー程お人好しではない。

 

「グゼ、気持ちはわかるが、そのくらいにしておけ。彼の言い分はキツイ言い方だが正論だ…」

 

 

アルフレリックの諌めの言葉に、立ち上がりかけたグゼは表情を歪めてドスンッと音を立てながら座り込んだ。そのまま、むっつりと黙り込む。

 

 

 

「確かに、この少年は、紋章の一つを所持しているし、その実力も大迷宮を突破したと言うだけのことはあるね。僕は、彼を口伝の資格者と認めるよ」

 

 

 

そう言ったのは狐人族の長老ルアだ。糸のように細めた目でハジメを見た後、他の長老はどうするのかと周囲を見渡す。

 

 

 

その視線を受けて、翼人族のマオ、虎人族のゼルも相当思うところはあるようだが、同意を示した。代表して、アルフレリックがハジメに伝える。

 

 

「南雲ハジメ。我らフェアベルゲンの長老衆は、お前さんを口伝の資格者として認める。故に、お前さんと敵対はしないというのが総意だ……可能な限り、末端の者にも手を出さないように伝える。……しかし……」

 

「絶対じゃない……か?」

 

「ああ。知っての通り、亜人族は人間族をよく思っていない。正直、憎んでいるとも言える。血気盛んな者達は、長老会議の通達を無視する可能性を否定できない。特に、今回再起不能にされたジンの種族、熊人族の怒りは抑えきれない可能性が高い。アイツは人望があったからな……」

 

「それで?」

 

 

 

 アルフレリックの話しを聞いてもハジメの顔色は変わらない。すべきことをしただけであり、すべきことをするだけだという意志が、その瞳から見て取れる。アルフレリックは、その意志を理解した上で、長老として同じく意志の宿った瞳を向ける。

 

 

 

「お前さんを襲った者達を殺さないで欲しい」

 

「……殺意を向けてくる相手に手加減しろと?」

 

「そうだ。お前さん達の実力なら可能だろう?」

 

「あの熊野郎が手練だというなら、可能か否かで言えば可能だろうな。だが、殺し合いで手加減をするつもりはない。あんたの気持ちはわかるけどな、そちらの事情は俺にとって関係のないものだ。同胞を死なせたくないなら死ぬ気で止めてやれ」

 

 

奈落の底で培った、敵対者は殺すという価値観は根強くハジメの心に染み付いている。殺し合いでは何が起こるかわからないのだ。手加減などして、窮鼠猫を噛むように致命傷を喰らわないとは限らない。その為、ハジメがアルフレリックの頼みを聞くことはなかった。それに光輝も『気に入らない奴はカリバーする』が信条のクズであった。

 

 

 

しかし、そこで虎人族のゼルが口を挟んだ。

 

 

 

「ならば、我々は、大樹の下への案内を拒否させてもらう。口伝にも気に入らない相手を案内する必要はないとあるからな」

 

 

 

その言葉に、ハジメは訝しそうな表情をした。もとより、案内はハウリア族に任せるつもりで、フェアベルゲンの者の手を借りるつもりはなかった。そのことは、彼等も知っているはずである。だが、ゼルの次の言葉で彼の真意が明らかになった。

 

 

 

「ハウリア族に案内してもらえるとは思わないことだ。そいつらは罪人。フェアベルゲンの掟に基づいて裁きを与える。何があって同道していたのか知らんが、ここでお別れだ。忌まわしき魔物の性質を持つ子とそれを匿った罪。フェアベルゲンを危険に晒したも同然なのだ。既に長老会議で処刑処分が下っている」

 

 

 

ゼルの言葉に、シアは泣きそうな表情で震え、カム達は一様に諦めたような表情をしている。この期に及んで、誰もシアを責めないのだから情の深さは折紙付きだ。

 

 

 

「長老様方! どうか、どうか一族だけはご寛恕を! どうか!」

 

「シア! 止めなさい! 皆、覚悟は出来ている。お前には何の落ち度もないのだ。そんな家族を見捨ててまで生きたいとは思わない。ハウリア族の皆で何度も何度も話し合って決めたことなのだ。お前が気に病む必要はない」

 

「でも、父様!」

 

 

 

 土下座しながら必死に寛恕を請うシアだったが、ゼルの言葉に容赦はなかった。

 

 

 

「既に決定したことだ。ハウリア族は全員処刑する。フェアベルゲンを謀らなければ忌み子の追放だけで済んだかもしれんのにな」

 

 

 

 ワッと泣き出すシア。それをカム達は優しく慰めた。長老会議で決定したというのは本当なのだろう。他の長老達も何も言わなかった。おそらく、忌み子であるということよりも、そのような危険因子をフェアベルゲンの傍に隠し続けたという事実が罪を重くしたのだろう。ハウリア族の家族を想う気持ちが事態の悪化を招いたとも言える。何とも皮肉な話だ。

 

 

 

「そういうわけだ。これで、貴様が大樹に行く方法は途絶えたわけだが? どうする? 運良くたどり着く可能性に賭けてみるか?」

 

 

 

それが嫌なら、こちらの要求を飲めと言外に伝えてくるゼル。他の長老衆も異論はないようだ。しかし、光輝が動いた。

 

「キミ、アホだろ?」

 

「な、なんだと!」

 

 

 

光輝の物言いに、目を釣り上げるゼル。シア達も思わずと言った風に光輝を見る。ハジメは光輝の考えがわかっているのかすまし顔だ。

 

 

 

「なんでキミがこっちに言う事を聞かせられる立場だと思っているんだい?キミ達の事を纏めて全員吹き飛ばせるこっちにさ、後正直キミ達が自分が害されないと思っているのがムカつくんだ。」

 

「あー…そういう訳だ…俺らは、お前らの事情なんて関係ないんだ。俺達からこいつらを奪うってことは、結局、俺の行く道を阻んでいるのと変わらないだろ?………俺らから、こいつらを奪おうってんなら……覚悟を決めろ」

 

「ハジメさん……」

 

 

 

ハジメにとって今の言葉は単純に自分の邪魔をすることは許さないという意味で、それ以上ではないだろう。しかし、それでも、ハウリア族を死なせないために亜人族の本拠地フェアベルゲンとの戦争も辞さないという言葉は、その意志は、絶望に沈むシアの心を真っ直ぐに貫いた。

 

 

 

「本気かね?」

 

 

 

 アルフレリックが誤魔化しは許さないとばかりに鋭い眼光でハジメ達を射貫く。

 

 

 

「当然だ」

 

 

 

しかし、全く揺るがないハジメ。そこに不退転の決意が見て取れる。この世界に対して自重しない、邪魔するものには妥協も容赦もしない。奈落の底で言葉にした決意だ。

 

 

 

「フェアベルゲンから案内を出すと言っても?」

 

 

 

ハウリア族の処刑は、長老会議で決定したことだ。それを、言ってみれば脅しに屈して覆すことは国の威信に関わる。今後、ハジメ達を襲うかもしれない者達の助命を引き出すための交渉材料である案内人というカードを切ってでも、長老会議の決定を覆すわけにはいかない。故に、アルフレリックは提案した。しかし、ハジメは交渉の余地などないと言わんばかりにはっきりと告げる。

 

 

 

「何度も言わせるな。俺達の案内人はハウリアだ」

 

「なぜ、彼等にこだわる。大樹に行きたいだけなら案内人は誰でもよかろう」

 

 

 

アルフレリックの言葉にハジメは面倒そうな表情を浮かべつつ、シアをチラリと見た。先程から、ずっとハジメを見ていたシアはその視線に気がつき、一瞬目が合う。すると僅かに心臓が跳ねたのを感じた。視線は直ぐに逸れたが、シアの鼓動だけは高まり続ける。

 

 

 

「約束したからな。案内と引き換えに助けてやるって」

 

「……約束か。それならもう果たしたと考えてもいいのではないか? 峡谷の魔物からも、帝国兵からも守ったのだろう? なら、あとは報酬として案内を受けるだけだ。報酬を渡す者が変わるだけで問題なかろう。」

 

「問題大ありだ。案内するまで身の安全を確保するってのが約束なんだよ。途中でいい条件が出てきたからって、ポイ捨てして鞍替えなんざ……」

 

 

 

 ハジメは一度、言葉を切って今度はユエを見た。ユエもハジメを見ており目が合うと僅かに微笑む。それに苦笑いしながら肩を竦めたハジメはアルフレリックに向き合い告げた。

 

 

 

「格好悪いだろ?」

 

 

 

 闇討ち、不意打ち、騙し討ち、卑怯、卑劣に嘘、ハッタリ。殺し合いにおいて、ハジメはこれらを悪いとは思わない。生き残るために必要なら何の躊躇いもなく実行して見せるだろう。

 

 

 

 しかし、だからこそ、殺し合い以外では守るべき仁義くらいは守りたい。それすら出来なければ本当に唯の外道である。ハジメも男だ。奈落の底で出会った傍らの少女がつなぎ止めてくれた一線を、自ら越えるような醜態は晒したくない。

 

 

 

ハジメに引く気がないと悟ったのか、アルフレリックが深々と溜息を吐く。他の長老衆がどうするんだと顔を見合わせた。しばらく、静寂が辺りを包み、やがてアルフレリックがどこか疲れた表情で提案した。

 

 

 

「ならば、お前さんらの奴隷ということにでもしておこう。フェアベルゲンの掟では、樹海の外に出て帰ってこなかった者、奴隷として捕まったことが確定した者は、死んだものとして扱う。樹海の深い霧の中なら我らにも勝機はあるが、外では魔法を扱う者に勝機はほぼない。故に、無闇に後を追って被害が拡大せぬように死亡と見なして後追いを禁じているのだ。……既に死亡と見なしたものを処刑はできまい」

 

「アルフレリック! それでは!」

 

 

 

完全に屁理屈である。当然、他の長老衆がギョッとした表情を向ける。ゼルに到っては思わず身を乗り出して抗議の声を上げた。

 

 

 

「ゼル。わかっているだろう。この少年が引かないことも、その力の大きさも。ハウリア族を処刑すれば、確実に敵対することになる。その場合、どれだけの犠牲が出るか……長老の一人として、そのような危険は断じて犯せん」

 

「しかし、それでは示しがつかん! 力に屈して、化物の子やそれに与するものを野放しにしたと噂が広まれば、長老会議の威信は地に落ちるぞ!」

 

「だが……」

 

 

 

ゼルとアルフレリックが議論を交わし、他の長老衆も加わって、場は喧々囂々の有様となった。やはり、危険因子とそれに与するものを見逃すということが、既になされた処断と相まって簡単にはできないようだ。悪しき前例の成立や長老会議の威信失墜など様々な思惑があるのだろう。

 

 

 

 だが、そんな中、光輝が空気を読まずに発言する。

 

「黙ってくれ獣共。キミ達の権威とやらでこっちに面倒臭いことを強いるの?皆殺しにするよ?」

 

空気が凍り静まりかえる。

 

「……………ああ~、盛り上がっているところ悪いが、シアを見逃すことについては今更だと思うぞ?」

 

 

 

この空気を変えようと発言したハジメの言葉に、どういうことだと長老衆がハジメに視線を転じる。

 

 

 

ハジメはおもむろに右腕の袖を捲ると魔力の直接操作を行った。すると、右腕の皮膚の内側に薄らと赤い線が浮かび上がる。さらに、〝纏雷〟を使用して右手にスパークが走る。

 

 

 

 長老衆は、ハジメのその異様に目を見開いた。そして、詠唱も魔法陣もなく魔法を発動したことに驚愕を表にする。ジンを倒したのは左腕の義手型アーティファクトだけのせいだと思っていたのだ。

 

 

 

「俺も、シアと同じように、魔力の直接操作ができるし、固有魔法も使える。次いでに言えばこっちのユエも光輝もな。あんた達のいう化物ってことだ。だが、口伝では〝それがどのような者であれ敵対するな〟ってあるんだろ? 掟に従うなら、いずれにしろあんた達は化物を見逃さなくちゃならないんだ。シア一人見逃すくらい今更だと思うけどな」

 

 

 

しばらく硬直していた長老衆だが、やがて顔を見合わせヒソヒソと話し始めた。そして、結論が出たのか、代表してアルフレリックが、それはもう深々と溜息を吐きながら長老会議の決定を告げる。

 

 

 

「はぁ~、ハウリア族は忌み子シア・ハウリアを筆頭に、同じく忌み子である南雲ハジメの身内と見なす。そして、資格者南雲ハジメに対しては、敵対はしないが、フェアベルゲンや周辺の集落への立ち入りを禁ずる。以降、南雲ハジメの一族に手を出した場合は全て自己責任とする……以上だ。何かあるか?」

 

「いや、何度も言うが俺は大樹に行ければいいんだ。こいつらの案内で「何こっちにルールを課している?うん?」な。………文句はねぇよ」

 

「……そうか。ならば、早々に立ち去ってくれるか。ようやく現れた口伝の資格者を歓迎できないのは心苦しいが……」

 

 

パァン!!

「よーし立場を弁えないゴミ共はお兄さん鏖殺しちゃうぞー!」「落ち着け。黙ってろ光輝」「…了解」

 

 

「コイツは気にしないでくれ。全部譲れないこととは言え、相当無茶言ってる自覚はあるんだ。むしろ理性的な判断をしてくれて有り難いくらいだよ」

 

 

 

ハジメの言葉に苦笑いするアルフレリック。他の長老達は渋い表情か疲れたような表情だ。恨み辛みというより、さっさとそのやべー奴を連れてどっか行ってくれ! という雰囲気である。その様子に肩を竦めるハジメはユエやシア達を促して立ち上がった。

 

 

 

ユエは終始ボーとしていたが、話は聞いていたのか特に意見を口にすることもなくハジメに合わせて立ち上がった。

 

 

 

しかし、シア達ハウリア族は、未だ現実を認識しきれていないのか呆然としたまま立ち上がる気配がない。ついさっきまで死を覚悟していたのに、気がつけば追放で済んでいるという不思議。「えっ、このまま本当に行っちゃっていいの?」という感じで内心動揺しまくっていた。

 

 

 

「おい、何時まで呆けているんだ? さっさと行くぞ」

 

 

 

ハジメの言葉に、ようやく我を取り戻したのかあたふたと立ち上がり、さっさと出て行くハジメの後を追うシア達。アルフレリック達も、ハジメ達を門まで送るようだ。

 

 

 

シアが、オロオロしながらハジメに尋ねた。

 

 

 

「あ、あの、私達……死ななくていいんですか?」

 

「? さっきの話聞いてなかったのか?」

 

「い、いえ、聞いてはいましたが……その、何だかトントン拍子で窮地を脱してしまったので実感が湧かないといいますか……信じられない状況といいますか……」

 

 

 

周りのハウリア族も同様なのか困惑したような表情だ。それだけ、長老会議の決定というのは亜人にとって絶対的なものなのだろう。どう処理していいのか分からず困惑するシアにユエが呟くように話しかけた。

 

 

 

「……素直に喜べばいい」

 

「ユエさん?」

 

「……ハジメ達に救われた。それが事実。受け入れて喜べばいい」

 

「……」

 

 

 

 ユエの言葉に、シアはそっと隣を歩くハジメに視線をやった。ハジメと光輝は前を向いたまま肩を竦める。

 

 

「まぁ、約束だからな」

 

「私は単純に気に入ら無かったし…」

 

「ッ……」

 

 

 

シアは、肩を震わせる。樹海の案内と引き換えにシアと彼女の家族の命を守る。シアが必死に取り付けたハジメとの約束だ。

 

 

 

元々、〝未来視〟でハジメ達が守ってくれる未来は見えていた。しかし、それで見える未来は絶対ではない。シアの選択次第で、いくらでも変わるものなのだ。だからこそ、シアはハジメの協力を取り付けるのに〝必死〟だった。相手は、亜人族に差別的な人間で、シア自身は何も持たない身の上だ。交渉の材料など、自分の〝女〟か〝固有能力〟しかない。それすら、あっさり無視された時は、本当にどうしようかと泣きそうになった。

 

 

 

それでもどうにか約束を取り付けて、道中話している内に何となく、ハジメなら約束を違えることはないだろうと感じていた。それは、自分が亜人族であるにもかかわらず、差別的な視線が一度もなかったことも要因の一つだろう。だが、それはあくまで〝何となく〟であり、確信があったわけではない。

 

 

 

だから、内心の不安に負けて、〝約束は守る人だ〟と口に出してみたり〝人間相手でも戦う〟などという言葉を引き出してみたりした。実際に、何の躊躇いもなく帝国兵と戦ってくれた時、どれほど安堵したことか。

 

 

 

だが、今回はいくらハジメでも見捨てるのではという思いがシアにはあった。帝国兵の時とはわけが違う。言ってみれば、帝国の皇帝陛下の前で宣戦布告するに等しいのだ。にもかかわらず一歩も引かずに約束を守り通してくれた。例えそれが、ハジメ自身の為であっても、ユエの言う通り、シアと大切な家族は確かに守られたのだ。

光輝は思考の外に追いやる事にした。

 

*1
とあるプレイヤーが書き込んだバレンタインの修羅場イベントの感想、因みに双葉とは主人公の仲間であり、彼女である自分以外の女と仲良く歩いているのを目撃して泣いている。

*2
ペルソナ5の原作主人公がラスボス戦で覚醒した際に使用した必殺技。断じて連射するものではない

*3
里までの会話が思いつかないので…ごめんね

*4
ハウリア族の奴

*5
騎士王は訝しんだ




屋根ゴミカス…ペルソナ5が面白過ぎて書いたキャラ。神の特典でペルソナを現実で出せるようにしてもらい、三島(原作の主人公達の協力者)と明智(原作の裏切り系ライバル)を女の子にした。結構歴戦の転生者。ペルソナ5に転生した理由は「明智が女の子になったらとんでもないヒロインになりそうだから」反逆の意識強々であり、伊邪那岐大神(前作主人公の最強ペルソナ)とサタナエル(ラスボス戦か2周目で解放される最強ペルソナ)で大体吹き飛ばした。原作から追加されたヒロインは

ジュスティーヌ(ラヴェンツァが二人に存在を引き裂かれた姿)

カロリーヌ(上に同じく)

ラヴェンツァ(ジュスティーヌとカロリーヌの本来の姿。合体してジュスティーヌとカロリーヌは居なくなる筈だったが、自身をすこーしだけ切り離して三姉妹となった)

明智(TS)

三島(TS)

新島冴(原作ヒロインの姉)

平口(原作ヒロインの新体操のコーチ。ぶっちゃけモブキャラ)

である。尚原作で明智は死亡しているとされているが、普通に屋根ゴミカスが助けた為に生存している。バレンタインで明智に17又がバレて泣きながら刺された。

光輝…気に入らない奴らは殺す。自分が弱いくせに殺されないと思っている奴らは皆殺しにする。ハジメと違って理由が無くても気に入らない奴は殺す奴。羽毛より銃の引き金が軽い。異世界にようやく来れて今まで我慢していたチンピラが顔を出した。ハジメは内心自分を棚に上げて変わりようにドン引きしている。多分神の力で思考と出録される言葉がプロトアーサーになっていなかったら「ヒャッハー!!!」とか叫んでいる。
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