騎士王転生の天之河光輝、異世界に降り立つ。(元 天之河光輝成り代わり物)   作:ゼロさん

15 / 67
そろそろ聖槍を忘れそうだったので

ミレディの迷宮の場所間違えてた…

せ枠の名前変更。術式も修正


ありふれた展開で 『抜錨』

「(私は今はまだミレディの迷宮を攻略しないという事を知っている。だが…あの迷宮がおちょくりまくって来るクソカス迷宮と知っている!)」

 

「どうした光輝?早くこっちに来いよ」

 

「ああ…今行く。(どうにか対策を考えねば…)」

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

 

 

 

遠くに町が見える。周囲を堀と柵で囲まれた小規模な町だ。街道に面した場所に木製の門があり、その傍には小屋もある。おそらく門番の詰所だろう。小規模といっても、門番を配置する程度の規模はあるようだ。それなりに、充実した買い物が出来そうだとハジメは頬を緩めた。

 

 

 

「……機嫌がいいのなら、いい加減、この首輪取ってくれませんか?」

 

「駄目だと思うよ?諦めな?」

 

「そんなぁ…」

 

街の方を見て微笑むハジメに、シアが憮然とした様子で頼み込む。シアの首にはめられている黒を基調とした首輪は、小さな水晶のようなものも目立たないが付けられている、かなりしっかりした作りのもので、シアの失言の罰としてハジメが無理やり取り付けたものだ。何故か外れないため、シアが外してくれるよう頼んでいるのだがハジメはスルーしている。

 

 

 

そろそろ、町の方からもハジメ達を視認できそうなので、魔力駆動二輪を〝宝物庫〟にしまい、徒歩に切り替えるハジメ達。流石に、漆黒のバイクで乗り付けては大騒ぎになるだろう。

 

 

 

道中、シアがブチブチと文句を垂れていたが、やはりスルーして遂に町の門までたどり着いた。案の定、門の脇の小屋は門番の詰所だったらしく、武装した男が出てきた。格好は、革鎧に長剣を腰に身につけているだけで、兵士というより冒険者に見える。その冒険者風の男がハジメ達を呼び止めた。

 

 

「止まってくれ。ステータスプレートを。あと、町に来た目的は?」

 

 

 

規定通りの質問なのだろう。どことなくやる気なさげである。ハジメと光輝は、門番の質問に答えながらステータスプレートを取り出した。

 

 

 

「食料の補給がメインだ。旅の途中でな」

 

 

 

ふ~んと気のない声で相槌を打ちながら門番の男がハジメのステータスプレートをチェックする。そして、目を瞬かせた。ちょっと遠くにかざしてみたり、自分の目を揉みほぐしたりしている。その門番の様子をみて、ハジメは「あっ、ヤベ、隠蔽すんの忘れてた」と内心冷や汗を流した。

 

 

 

ステータスプレートには、ステータスの数値と技能欄を隠蔽する機能があるのだ。冒険者や傭兵においては、戦闘能力の情報漏洩は致命傷になりかねないからである。ハジメは、咄嗟に誤魔化すため、嘘八百を並べ立てた。

 

 

 

「ちょっと前に、魔物に襲われてな、その時に壊れたみたいなんだよ」

 

「こ、壊れた? いや、しかし……」

 

 

 

困惑する門番。無理もないだろう。何せ、ハジメのステータスプレートにはレベル表示がなく、ステータスの数値も技能欄の表示もめちゃくちゃだからだ。ステータスプレートの紛失は時々聞くが、壊れた(表示がバグるという意味で)という話は聞いたことがない。なので普通なら一笑に付すところだが、現実的にありえない表示がされているのだから、どう判断すべきかわからないのだ。

 

 

 

ハジメは、いかにも困った困ったという風に肩を竦めて追い討ちをかける。

 

 

 

「壊れてなきゃ、そんな表示おかしいだろ? まるで俺が化物みたいじゃないか。門番さん、俺がそんな指先一つで町を滅ぼせるような化物に見えるか?」

 

 

 

両手を広げておどける様な仕草をするハジメに、門番は苦笑いをする。ステータスプレートの表示が正しければ、文字通り魔王や勇者すら軽く凌駕する化物ということになるのだ。例え聞いたことがなくてもプレートが壊れたと考える方がまともである。

 

 

 

実は本当に化物だと知ったら、きっと、この門番は卒倒するに違いない。いけしゃあしゃあと嘘をつくハジメに、ユエとシアは呆れた表情を、光輝は(アッヤベ忠告すんの忘れてた)という表情を向けている。

 

 

 

「はは、いや、見えないよ。表示がバグるなんて聞いたことがないが、まぁ、何事も初めてというのはあるしな……そっちの三人は……」

 

 

 

門番がユエとシアにもステータスプレートの提出を求めようとして、二人に視線を向ける。そして硬直した。みるみると顔を真っ赤に染め上げると、ボーと焦点の合わない目でユエとシアを交互に見ている。ユエは言わずもがな、精巧なビスクドールと見紛う程の美少女だ。そして、シアも喋らなければ神秘性溢れる美少女である。つまり、門番の男は二人に見惚れて正気を失っているのだ。

 

 

ハジメがわざとらしく咳払いをする。それにハッとなって慌てて視線をハジメに戻す門番。

 

 

 

「さっき言った魔物の襲撃のせいでな、こっちの子のは失くしちまったんだ。この男は護衛で〜…こっちの兎人族は……わかるだろ?」

 

「それにしても随分な綺麗どころを手に入れたな。白髪の兎人族なんて相当レアなんじゃないか? あんたって意外に金持ち?」

 

 

未だチラチラと二人を見ながら、羨望と嫉妬の入り交じった表情で門番がハジメに尋ねる。ハジメは肩をすくめるだけで何も答えなかった。

 

 

「まぁいい。通っていいぞ」

 

「ああ、どうも。おっと、そうだ。素材の換金場所って何処にある?」

 

「あん? それなら、中央の道を真っ直ぐ行けば冒険者ギルドがある。店に直接持ち込むなら、ギルドで場所を聞け。簡単な町の地図をくれるから」

 

「おぉ、そいつは親切だな。ありがとよ」

 

 

門番から情報を得て、ハジメ達は門をくぐり町へと入っていく。門のところで確認したがこの町の名前はブルックというらしい。町中は、それなりに活気があった。かつて見たオルクス近郊の町ホルアドほどではないが露店も結構出ており、呼び込みの声や、白熱した値切り交渉の喧騒が聞こえてくる。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

簡単説明

 

迷宮に入ろうと思ったけど入れなかった。

  ↓

食料とかの補給で街による。(原作)

  ↓

オリ之河の『マーケット』スキルで街に寄らなくて良くなる。

  ↓

どうにか説得して情報収集とかの為に街に寄らせる。

  ↓

原作あんま覚えてないオリ之河が(こっからどうしよ…)ってなる。←今此処

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「どうしたんだ? せっかくの町なのに、そんな上から超重量の岩盤を落とされて必死に支えるゴリラ型の魔物みたいな顔して」

 

「誰がゴリラですかっ! ていうかどんな倒し方しているんですか! ハジメさんなら一撃でしょうに! 何か想像するだけで可哀想じゃないですか!」

 

「……脇とかツンツンしてやったら涙目になってた」

 

「まさかの追い討ち!? 酷すぎる! ってそうじゃないですぅ!」

 

 

 

怒って、ツッコミを入れてと大忙しのシア。手をばたつかせて体全体で「私、不満ですぅ!」と訴えている。ちなみに、ゴリラ型の魔物のエピソードは圧縮錬成の実験台にした時の話だ。決して、虐めて楽しんでいたわけではない。ユエはやたらとツンツンしていたが。ちなみに、この魔物が〝豪腕〟の固有魔法持ちである。

 

 

「これです! この首輪! これのせいで奴隷と勘違いされたじゃないですか! ハジメさん、わかっていて付けたんですね! うぅ、酷いですよぉ~、私達、仲間じゃなかったんですかぁ~」

 

 

シアが怒っているのは、そういうことらしい。旅の仲間だと思っていたのに、意図して奴隷扱いを受けさせられたことが相当ショックだったようだ。もちろん、ハジメが付けた首輪は本来の奴隷用の首輪ではなく、シアを拘束するような力はない。それは、シアもわかっている。だが、だとしても、やはりショックなものはショックなのだ。

 

 

 

そんなシアの様子にハジメはカリカリと頭を掻きながら目を合わせる。

 

 

 

「あのなぁ、奴隷でもない亜人族、それも愛玩用として人気の高い兎人族が普通に町を歩けるわけないだろう? まして、お前は白髪の兎人族で物珍しい上、容姿もスタイルも抜群。断言するが、誰かの奴隷だと示してなかったら、町に入って十分も経たず目をつけられるぞ。後は、絶え間無い人攫いの嵐だろうよ。面倒……ってなにクネクネしてるんだ?」

 

 

 

言い訳あるなら言ってみろやゴラァ! という感じでハジメを睨んでいたシアだが、話を聞いている内に照れたように頬を赤らめイヤンイヤンし始めた。ユエが冷めた表情でシアを見ている。

 

 

 

「も、もう、ハジメさん。こんな公衆の面前で、いきなり何言い出すんですかぁ。そんな、容姿もスタイルも性格も抜群で、世界一可愛くて魅力的だなんてぇ、もうっ! 恥かしいでっぶげら!?」

 

 

調子に乗って話を盛るシアの頬に、ユエの黄金の右ストレートが突き刺さる。可愛げの欠片もない悲鳴を上げて倒れるシア。身体強化していなかったので、別の意味で赤くなった頬をさすりながら起き上がる。

 

 

 

「……調子に乗っちゃだめ」

 

「……ずびばぜん、ユエざん」

 

 

冷めたユエの声に、ぶるりと体を震わせるシア。そんな様子に呆れた視線を向けながら、ハジメは話を続ける。

 

 

 

「あ~、つまりだ。人間族のテリトリーでは、むしろ奴隷という身分がお前を守っているんだよ。それ無しじゃあ、トラブルホイホイだからな、お前は」

 

「それは……わかりますけど……」

 

 

理屈も有用性もわかる。だがやはり、納得し難いようで不満そうな表情のシア。仲間というものに強い憧れを持っていただけに、そう簡単に割り切れないのだろう。そんなシアに、今度はユエが声をかけた。

 

 

「……有象無象の評価なんてどうでもいい」

 

「ユエさん?」

 

「……大切な事は、大切な人が知っていてくれれば十分。……違う?」

 

「………………そう、そうですね。そうですよね」

 

「……ん、不本意だけど……シアは私が認めた相手……小さい事気にしちゃダメ」

 

「……ユエさん……えへへ。ありがとうございますぅ」

 

「まぁ、奴隷じゃないとばれて襲われても見捨てたりはしないさ」

 

「街中の人が敵になってもですか?」

 

「あのなぁ、既に帝国兵とだって殺りあっただろう?」

 

「じゃあ、国が相手でもですね! ふふ」

 

「何言ってんだ。世界だろうと神だろうと変わらねぇよ。敵対するなら何とだって戦うさ」

 

「くふふ、聞きました? ユエさん。ハジメさんったらこんなこと言ってますよ? よっぽど私達が大事なんですねぇ~」

 

「ね〜www」

 

「……ハジメが大事なのは私だけ」

 

「ちょっ、空気読んで下さいよ! そこは、何時も通り『…ん』て素直に返事するところですよ!」

 

「後私の方が知り合ったの先だし『友達』はこの中で私だけだよwww」

 

「……………ん」(反論不可能)(不服)(変えようの無い事実)

 

 

文句を言いながらも嬉しげで楽しげな表情をするシア。いざとなれば、自分のために世界とだって戦ってくれるという言葉は、やはり一人の女として嬉しいものだ。まして、それが惚れた相手なら尚更。

 

 

 

ハジメは、じゃれあっている(ように見える)二人とカス一人を尻目に、シアの首輪について話し始める。

 

 

 

「あとな、その首輪だが、念話石と特定石が組み込んであるから、必要なら使え。直接魔力を注いでやれば使えるから」

 

「念話石と特定石ですか?」

 

 

 

念話石とは、文字通り念話ができる鉱物のことだ。生成魔法により〝念話〟を鉱石に付与しており、込めた魔力量に比例して遠方と念話が可能になる。もっとも、現段階では特定の念話石のみと通話ということはできないので、範囲内にいる所持者全員が受信してしまい内緒話には向かない。

 

 

 

特定石は、生成魔法により〝気配感知[+特定感知]〟を付与したものだ。特定感知を使うと、多くの気配の中から特定の気配だけ色濃く捉えて他の気配と識別しやすくなる。それを利用して、魔力を流し込むことでビーコンのような役割を果たすことが出来るようにしたのだ。ビーコンの強さは注ぎ込まれた魔力量に比例する。

 

 

 

ハジメの説明に、感心の声を上げるシア。

 

 

 

「ちなみに、その首輪、きっちり特定量の魔力を流すことで、ちゃんと外せるからな?」

 

「なるほどぉ~、つまりこれは……いつでも私の声が聞きたい、居場所が知りたいというハジメさんの気持ちというわけですね? もうっ、そんなに私の事が好きなんですかぁ? 流石にぃ、ちょっと気持ちが重いっていうかぁ、あっ、でも別に嫌ってわけじゃなくッバベルンッ!?」

 

「……調子にのるな」

 

「ぐすっ、ずみまぜん」

 

 

 

 美しい曲線を描いて飛来したユエの蹴りが後頭部に決まり、奇怪な悲鳴を上げながら倒れるシア。ユエから、冷ややかな声がかけられる。近接戦苦手だったんじゃ……と言いたくなるくらい見事なハイキックを披露するユエに、シアは涙目で謝る。旅の同行は許しても、ハジメへのアプローチはそうそう許してもらえないらしい。もっとも、シアの言動がアプローチになっているかは甚だ疑問ではあるが。

 

 

 

 そんな風に仲良く? メインストリートを歩いていき、一本の大剣が描かれた看板を発見する。かつてホルアドの町でも見た冒険者ギルドの看板だ。規模は、ホルアドに比べて二回りほど小さい。

 

ハジメは看板を確認すると重厚そうな扉を開き中に踏み込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そのまま受付のキャサリンとかいうおばちゃんに冒険者の登録をして貰った後、素材買取しそのままなんか割と高そうな地図を貰った。

 

「いらっしゃいませー、ようこそ〝マサカの宿〟へ! 本日はお泊りですか? それともお食事だけですか?」

 

「宿泊だ。このガイドブック見て来たんだが、記載されている通りでいいか?」

 

ハジメが見せたオバチャン特製地図を見て合点がいったように頷く女の子。

 

 

「ああ、キャサリンさんの紹介ですね。はい、書いてある通りですよ。何泊のご予定ですか?」

 

あのおばちゃんがキャサリンという名前な事にハジメは驚いたらしい。

 

「あ、ああ、済まない。一泊でいい。食事付きで、あと風呂も頼む」

 

「はい。お風呂は十五分百ルタです。今のところ、この時間帯が空いてますが」

 

 

 

女の子が時間帯表を見せる。なるべくゆっくり入りたいので、男女で分けるとして二時間は確保したい。その旨を伝えると「えっ、二時間も!?」と驚かれたが、日本人たるハジメとしては譲れないところだ。

 

 

 

「え、え~と、それでお部屋はどうされますか? 二人部屋と三人部屋が空いてますが……」

 

「私達3人と*1そっちでどっちも三人部屋で良くない?」

 

「シアがいるとハジメとS(E)Xできないからヤダ…」

 

「ええ…ハジメいい加減シアの事受け入れなよ。」

 

「お前らあのさぁ…」

 

ユエの言葉に、絶望の表情を浮かべた宿にいた男連中が、次第にハジメと光輝に対して嫉妬の炎が宿った眼を向け始める。宿の女の子は既に顔を赤くしてチラチラとハジメとユエ、光輝とニンジャ共を交互に見ていた。ハジメが、これ以上羞恥心を刺激される前に止めに入ろうとするが、その目論見は少し遅かった。

 

シアはユエとハジメに「ええい、女は度胸!」と言わんばかりにキッと睨み返すと大声で宣言した。

 

 

 

「三人部屋がいいですぅ………今日、ハジメさんに私の処女を貰ってもらいますぅ!」

 

 

 

静寂が舞い降りた。ゲラゲラ笑っている転生者以外の誰一人言葉を発することなく、物音一つ立てない。今や、宿の全員がハジメ達に注目、もとい凝視していた。厨房の奥から、女の子の両親と思しき女性と男性まで出てきて「あらあら、まあまあ」「若いっていいね」と言った感じで注目している。

 

 

 

 ユエが瞳に絶対零度を宿してゆらりと動いた。

 

 

 

「……今日がお前の命日」

 

「うっ、ま、負けません! 今日こそユエさんを倒して正ヒロインの座を奪ってみせますぅ!」

 

「……師匠より強い弟子などいないことを教えてあげる」

 

「下克上ですぅ!」

 

 

 

 ユエから尋常でないプレッシャーが迸り、震えながらもシアが背中に背負った大槌に手をかける。まさに修羅場、一触即発の雰囲気に誰もがゴクリと生唾を飲み込み緊張に身を強ばらせる。

 

 

 

 そして……

 

 

 

ゴチンッ! ゴチンッ!

 

 

 

「ひぅ!?」

 

「はきゅ!?」

 

 

 

 

鉄拳が叩き込まれる音と二人の少女の悲鳴が響き渡った。ユエもシアも、涙目になって蹲り両手で頭を抱えている。二人にゲンコツを叩き込んだのは、もちろんハジメである。

 

 

 

「ったく、周りに迷惑だろうが、何より俺が恥ずいわ」

 

「……うぅ、ハジメの愛が痛い……」

 

「も、もう少し、もう少しだけ手加減を……身体強化すら貫く痛みが……」

 

「自業自得だバカヤロー」

 

 

 

 ハジメは、冷ややかな視線を二人に向けると、クルリと女の子に向き直る。女の子はハジメの視線を受けてビシィと姿勢を正した。

 

 

 

「騒がせて悪いな。三人部屋二部屋で頼む」

 

「……こ、この状況で三人部屋……つ、つまり三人で? す、すごい……はっ、まさかお風呂を二時間も使うのはそういうこと!? お互いの体で洗い合ったりするんだわ! それから……あ、あんなことやこんなことを……なんてアブノーマルなっ!」

 

 

 

女の子はトリップしていた。見かねた女将さんらしき人がズルズルと女の子を奥に引きずっていく。代わりに父親らしき男性が手早く宿泊手続きを行った。部屋の鍵を渡しながら「うちの娘がすみませんね」と謝罪するが、その眼には「男だもんね? わかってるよ?」という嬉しくない理解の色が宿っている。絶対、翌朝になれば「昨晩はお楽しみでしたね?」とか言うタイプだ。

 

 

 

何を言っても誤解が深まりそうなので、急な展開に呆然としている客達を尻目に、未だ蹲っているユエとシアを肩に担ぐと、ハジメは、そのまま三階の部屋に逃げるように向かった。しばらくすると、止まった時が動き出したかのように階下で喧騒が広がっていたが、何だか異様に疲れたので気にしないようにするハジメ。部屋に入るとユエとシアをそれぞれのベッドにポイッと投げ捨てると、自らもベッドにダイブして意識をシャットダウンした。

 

 

クソカスオリ主はいちゃつきながら部屋に向かって行った。

 

 

数時間ほど眠ったのか、夕食の時間になったようでユエに起こされたハジメは、お楽しみ(意味深)終わりの光輝とニンジャABとユエとシアを伴って階下の食堂に向かった。何故か、チェックインの時にいた客が全員まだ其処にいた。

 

 

 

ハジメは一瞬、頬が引き攣りそうになるが、冷静を装って席に着く。すると、初っ端からめちゃくちゃ顔を赤くした宿の女の子が「先程は失礼しました」と謝罪しながら給仕にやって来た。謝罪してはいるが瞳の奥の好奇心が隠せていない。注文した料理は確かに美味かったのだが、せっかく久しぶりに食べたまともな料理は、もう少し落ち着いて食べたかったと、ハジメは内心溜息を吐くのだった。

 

 

 

風呂は風呂で、男女で時間を分けたのに結局ユエもシアも乱入してきたり、風呂場でまた修羅場になった挙句、ハジメのゲンコツ制裁で仲良く涙目になったり、その様子をこっそり風呂場の陰から宿の女の子が覗いていたり、のぞきがばれて女将さんに尻叩きされていたり……唯一良かった点は風呂で光輝が出したトリコの水晶コーラ*2が美味かったくらいだった…

 

 

 

夜寝るときも、当然のようにユエがハジメのベッドに入り、定位置というように右手に抱きつくと、シアが対抗して左腕に抱きつき義手の冷ややかさに涙したり、擬似神経は通っているのでシアの感触、特に何処とは言わないが凶器的な場所をダイレクトに感じてしまい、内心その攻撃力にハジメが動揺していると、それがバレたのか超至近距離で無機質なユエの瞳がジーとハジメを見ていたり、それが一晩中続いたり……

 

 

光輝は至って平和に部屋でトリコの食材でニンジャ共とスシを食べていた。

 

「美味しい?」

 

「「「イヤー!」」」(肯定)

 

 

翌朝、ハジメは誓った。次からは問答無用でユエとの二人部屋にしようと。シアが不貞腐れるくらいどうということもない。ユエの無言の方が、よほど精神衛生上よくないのだ。

 

 

 

光輝のテイクアウト*3した朝食を食べた後、ハジメは、ユエとシアに金を渡し、旅に必要なものの買い出しを頼んだ。チェックアウトは昼なのでまだ数時間は部屋を使える。なので、ユエ達に買出しに行ってもらっている間に、部屋で済ませておきたい用事があったのだ。

 

 

 

「用事ってなんですか?」

 

 

 

シアが疑問を素直に口にする。しかし、ハジメは、

 

 

 

「ちょっと作っておきたいものがあるんだよ。構想は出来ているし、数時間もあれば出来るはずだ。ホントは昨夜やろうと思っていたんだが……何故か妙に疲れて出来なかったんだよ」

 

 

 

「……そ、そうだ。ユエさん。私、服も見ておきたいんですけどいいですか?」

 

「……ん、問題ない。私は、露店も見てみたい」

 

「あっ、いいですね! 昨日は見ているだけでしたし、買い物しながら何か食べましょう」

 

「男避けに私もついて行くよ。」

 

サッと視線を逸らし、きゃいきゃいと買い物の話をし始めるユエとシア。自分達が原因だと分かってはいるが、心情的に非を認めたくないので、阿吽の呼吸で話題も逸らす。

 

 

 

「……お前等、実は結構仲良いだろう」

 

 

そんなハジメの呟きも虚しくスルーされるのだった。

 

オバチャン改めキャサリンさんの地図には、きちんと普段着用の店、高級な礼服等の専門店、冒険者や旅人用の店と分けてオススメの店が記載されている。やはりオバ……キャサリンさんは出来る人だ。痒いところに手が届いている。

 

 

 

二人とカスとニンジャは、早速、とある冒険者向きの店に足を運んだ。ある程度の普段着もまとめて買えるという点が決め手だ。

 

 

 

その店は、流石はキャサリンさんがオススメするだけあって、品揃え豊富、品質良質、機能的で実用的、されど見た目も忘れずという期待を裏切らない良店だった。

 

 

 

ただ、そこには……

 

 

 

「あら~ん、いらっしゃい♥可愛い子達ねぇん。来てくれて、おねぇさん嬉しいぃわぁ~、た~ぷりサービスしちゃうわよぉ~ん♥」

 

 

 

化け物がいた。身長二メートル強、全身に筋肉という天然の鎧を纏い、劇画かと思うほど濃ゆい顔、禿頭の天辺にはチョコンと一房の長い髪が生えており三つ編みに結われて先端をピンクのリボンで纏めている。動く度に全身の筋肉がピクピクと動きギシミシと音を立て、両手を頬の隣で組み、くねくねと動いている。服装は……いや、言うべきではないだろう。少なくとも、ゴン太の腕と足、そして腹筋が丸見えの服装とだけ言っておこう。

 

 

 

ユエとシアは硬直する。シアは既に意識が飛びかけていて、ユエは奈落の魔物以上に思える化物の出現に覚悟を決めた目をし、ニンジャ共は武器を構えている。

 

 

 

「あらあらぁ~ん? どうしちゃったの五人共? 可愛い子がそんな顔してちゃだめよぉ~ん。ほら、笑って笑って?」

 

 

 

どうかしているのはお前の方だ、笑えないのはお前のせいだ! と盛大にツッコミたいところだったが、ユエとシアは何とか堪える。ニンジャは「アイエェェェ…」と慄いている。人類最高レベルのポテンシャルを持つ奴らだが、この化物には勝てる気がしなかった。

 

 

 

しかし、何というか物凄い笑顔で体をくねらせながら接近してくる化物に、つい堪えきれずユエは呟いてしまった………という展開の前にこのカスはやりたかった事をやった。

 

 

 

「随分思い切った顔してますね。何類ですか?」*4

 

 

 

その瞬間、化物が怒りの咆哮を上げた。

 

 

 

「人類に決まってんだろうがゴラァァアア!!」

 

「サーセン……」

 

 

 

光輝がふるふると震え涙目になりながら後退る。シアは、へたり込み……少し下半身が冷たくなってしまった。ユエは余りの怒りようで慄き、光輝が咄嗟に謝罪すると化物は再び笑顔? を取り戻し接客に勤しむ。

 

 

 

「いいのよ~ん。それでぇ? 今日は、どんな商品をお求めかしらぁ~ん?」

 

 

 

シアは未だへたり込んだままなので、ユエが覚悟を決めてシアの衣服を探しに来た旨を伝える。シアは、もう帰りたいのか、ユエの服の裾を掴みふるふると首を振っているが、化物は「任せてぇ~ん」と言うやいなやシアを担いで店の奥へと入っていってしまった。その時の、ユエを見つめるシアの目は、まるで食肉用に売られていく豚さんのようだった。

 

 

 

結論から言うと、化物改め店長のクリスタベルさんの見立ては見事の一言だった。店の奥へ連れて行ったのも、シアが粗相をしたことに気がつき、着替える場所を提供するためという何とも有り難い気遣いだった。

 

 

 

 ユエとシアは、クリスタベル店長にお礼を言い店を出た。その頃には、店長の笑顔も愛嬌があると思えるようになっていたのは、彼女? の人徳ゆえだろう。

 

 

 

「いや~、最初はどうなることかと思いましたけど、意外にいい人でしたね。店長さん。」

 

「ん……人は見た目によらない」

 

「ですね~…それはそれとして光輝さんあの発言はちょっと…」

 

「まぁ…うん。」

 

 

そんな風に雑談しながら、次は道具屋に回ることにした五人。しかし、唯でさえ目立つ二人だ。すんなりとは行かず、気がつけば数十人の男達に囲まれていた。冒険者風の男が大半だが、中にはどこかの店のエプロンをしている男もいる。

 

 

 

その内の一人が前に進み出た。ユエは覚えていないが、この男、実はハジメ達がキャサリンと話しているとき冒険者ギルドにいた男だ。

 

 

 

「ユエちゃんとシアちゃんそっちの黒い子はエイちゃんにビイちゃん…*5で名前あってるよな?」

 

「? ……合ってる」

 

「ナンダコイツラー!?カオキッモ(小声悪口)」*6

 

「コロス?…ヤットク?(小声)」*7

 

「やめときな?本当に。」

 

何のようだと訝しそうに目を細めるユエ。シアは、亜人族であるにもかかわらず〝ちゃん〟付けで呼ばれたことに驚いた表情をする。ニンジャ共は自分の主人が無視されたのにキレ散らかしている。

 

 

 

ユエの返答を聞くとその男は、後ろを振り返り他の男連中に頷くと覚悟を決めた目でユエを見つめた。他の男連中も前に進み出て、ユエかシアの前に出る。

 

 

 

 そして……

 

 

 

「「「「「「ユエちゃん、俺と付き合ってください!!」」」」」」

 

「「「「「「シアちゃん! 俺の奴隷になれ!!」」」」」」

 

「「「「「「エイちゃん!俺とエッチな事してくれ!!」」」」」」

 

「「「「「「ビイちゃん!俺の事睨みながら罵ってくれ!!」」」」」」

 

つまり、まぁ、そういうことである。ユエとシアで口説き文句が異なるのはシアが亜人だからだろう。奴隷の譲渡は主人の許可が必要だが、昨日の宿でのやり取りでシアとハジメ達の仲が非常に近しい事が周知されており、まず、シアから落とせばハジメも説得しやすいだろう……とでも思ったのかもしれない。エイとビイは…なぜ主人の前でそんな事を???

 

 

ちなみに、宿でのことは色々インパクトが強かったせいか、奴隷が主人に逆らうという通常の奴隷契約では有り得ない事態についてはスルーされているようだ。でなければ、早々にシアが実は奴隷ではないとバレているはずである。契約によっては拘束力を弱くすることもできるが、そんな事をする者はいないからだ。

 

 

で、告白を受けたユエとシアとニンジャはというと……

 

 

 

「……シア、道具屋はこっち」

 

「あ、はい。一軒で全部揃うといいですね」

 

「「主…助けて…」」ズズズ…*8

 

何事もなかったように歩みを再開した。ニンジャは逃げた。

 

 

 

「ちょっ、ちょっと待ってくれ! 返事は!? 返事を聞かせてく「死ね」パアン ……ぐぅ……」

 

 

返事を聞こうとした瞬間、謎の音が響いた。そう、やめときなとは言ったが、殺すのを静止した訳では無く、割と静かにキレ散らかし殺意を燃やしていた我らが主人公である。

 

「何で人の女と友達の女に粉かけようとしてんの!?ええ!?彼女等に粉を掛けるなら私を殺してから行け!!!」

 

「なら、なら力づくでも俺のものにしてやるぅ!」

 

 

 

暴走男の雄叫びに、他の連中の目もギンッと光を宿す。道具屋に行った二人を逃さないように取り囲み、ジリジリと迫っていく。

 

 

 

「〝抜錨〟」

 

 

 

直後、男が吹き飛ばされた。「グペッ!?」と情けない悲鳴を上げる男。

 

 

 

「まぁ街の被害が大きくなるからコレの完全解放は勘弁してあげるよ…生き残れるといいね。」

 

 

 

―――― アッーーー!! 

 

―――― もうやめてぇー 

 

―――― おかぁちゃーん! 

 

 

 

 

「……二度と女に興奮できないようにしてやる。」

 

 

 

この日、沢山の男が死に、第二のクリスタベル、後のマリアベルちゃん達が生まれた。彼等は、クリスタベル店長の下で修行を積み、暖簾分けされ、チェーン店として全国展開。その確かな見立てでクリスタルベルの名を上げるのだが……それはまた別のお話。

 

 

 

光輝に、〝貫き(意味深)の騎士〟*9という二つ名が付き、後に冒険者ギルドを通して王都にまで名が轟き、男性冒険者を震え上がらせるのだが、それもまた別の話だ。

 

 

 

光輝は、畏怖の視線を向けてくる男達の視線をさらっと無視して買い物の続きに向かった。道中、女の子達が「王子……」とか呟いて熱い視線を向けていた気がするがそれも無視してユエとシアの元に向かった。

 

 

*1
ニンジャCの力で何時もは全員影の中にいる(影の中でも息は出来る)が、情報収集で怪しまれないようにAとBは外に出てる。ちゃんとCも含めて首輪は全員ついてる

*2
グルメ漫画のトリコに出て来る水晶の中に入ったコーラ。ヴィンテージ物のウィスキーみたいな感じのコーラ。

*3
八握剣 異戒神将 農家がトリコ食材で作った物。とてつもなく美味しい。

*4
ワンピースネタである。

*5
元の名前は別だが、自分が『兵士』になった時に名前を捨てた。ちなみにニンジャCの名前はシイ

*6
ニンジャB

*7
ニンジャA

*8
光輝の影に潜る音

*9
フロムゲーに出て来るクソカッコいい騎士。下ネタに使ったらファンに殺されかねない。




ごめん呪術廻戦の転生者出てこなかった…一万文字超えてちょっと長くなって…後ロンゴミニアドこんな使い方でごめんね…

情報開示

禪院葹啾擠(セナオ)
*1

コテハン…せ枠

呪術廻戦のさしす組の伝説の四人目。禪院家当主。夏油は拡張術式で呪霊玉のゲロ雑巾味を使役してるデカい呪霊で呪霊玉を丸呑みする事で回避した。闇落ちしなかった。これには五条もにっこり。リカちゃんはどうにか呪具を使って人間に戻して(人形に憑依する的な)乙骨と結婚した。ミミナナは保護した。上層部は殴り倒した。

術式…焔枯烈(ホカレ)呪法

呪力を燃料に爆発させる事が出来る。あくまで「呪力」なので他人の呪力も燃料に出来る。呪力に「油」「火薬」のような性質があり、物体に染み込む。術師『最速』。

反転術式…どんな物でも『再生させられる』能力。要するに術式がジョジョ4部のキラークイーンで反転がクレイジーダイヤモンドそのまんま。

呪霊を夏油と協力して呪具にしている。この世界の夏油はポケモンマスター(ポケモン)では無くモンスターマスター(ドラゴンクエストモンスターズ)のように呪霊と呪霊で合体する拡張術式を持っている。(要するに特級呪霊無限生産)原作より圧倒的に強い。禪院家は環境がカスなので全員殴り倒して改善した。原作開始直後である。

*1
葹は『オナモミ』とも読み、花言葉は『頑固』『粗暴』『怠け癖』を表し、

啾は鳥や虫などの小さな声、またはそのような声で泣く事、すすり泣く様子を表す。

擠は『押す』『押し退ける』『押し倒す』『陥れる』『挫く』をそれぞれ表す。

セと直のスマートな入れ方が分からなかったので殆ど当て字。元々は直世(なおせ)だったが、セが名前の最初に来ないと微妙だし揃わないので変えた。
名前に込めた意味は当主として傲慢に振る舞い、それでいて鳥や虫の泣き声に耳を傾ける慈悲の心と、敵を押し退け、陥れ、挫く力を持つという意味を込めた名前。

しかし実際は泣き声に耳を傾けるのではなく泣かせる側だし、力はあるが女に押し倒される(!?)という感じのクズ。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。