騎士王転生の天之河光輝、異世界に降り立つ。(元 天之河光輝成り代わり物) 作:ゼロさん
因みにまだ人魚は全然出ないよ!
side愛子
「ホヘェ…」ヌボーン
「愛ちゃん先生……やっぱり、愛ちゃん先生の魔法は凄いですよね! あんなに荒れてた大地もどんどん浄化されていって……あと一週間もあれば元に戻りそうですもんね!」
「……そうですね……よかったです」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「愛子……今日も町長や司教様から何か言われたのか? 本当に困ったら俺に言ってくれ。例え、司教様が相手でも愛子を困らせるような真似は俺が許さない。
「……そうですね……よかったです」
〜〜〜(愛子の自室)〜〜〜〜
ベッドの上にて
(……私が、もっときちんと清水君とお話が出来ていれば……あの子の思いにもっと早く気がついていれば清水君もああまで追い詰められる事も無かった………
突然、赤面しかと思ったら、いきなり枕をペシペシしだす愛子。ちなみに、愛子とて大人。恋愛経験が皆無というわけではない。だが、しかし、見た目や言動の愛らしさに反して本気の恋愛とは縁が極めて薄いというのが実情だったりする。なぜなら、日本には見た目十代前半の少女である愛子に本気になるのは大抵〝紳士〟だけだからだ。愛子の中身を知って、いいなぁと思う男は多くいるが、だれも不名誉さ爆発の〝ロ〟で始まるレッテルを貼られたくないので、大抵いい友達で終わる。
この世界では、十代前半で嫁ぐのは珍しくもなんともないので、愛子の童顔低身長という少女の見た目でも気にする者はいない。故にデビッド達は本気なのだが……恋愛経験の少なさと、自分のようなチンチクリンに興味を持つ男なんていないと割り切ってしまっているため異世界の男性陣から送られるラブコールにも一切気がつかないのだ。
というわけで、光輝のなした救命措置という名の元による
(……大体、彼には五人の恋人*1が……五人もいるなら今更一人増えたところでって私は一体何を言っているの!私は教師!彼は生徒!ってそもそもそういう問題じゃない!別に、私は何とも思ってませんし!それに何故か普通に受け入れてましたけど四股ですよ!学生で不純異性交遊は禁止です!不誠実です!持論ですが*2恋愛は一途であるべきです!……五人いっぺんに何て……ッハレンチな!そんなふしだらな関係は許しません! ええ、許しませんとも!)
枕を叩く音がペシペシからバシバシに変わる。
(……しかし、エイさん達は…私とあまり体型もスタイルも変わらない……ひょっとして彼は、こ、小柄な女性が好みなのでしょうか?た、例えば、わ、私みたいな?いやいやいや、何を言ってるの私ぃ!彼の好みを知ってどうするの!大体、彼は八つも年下だし……正気に戻るのよ畑山愛子!あなたは教師!彼は生徒! ちょっとキスされたくらいで、狼狽えるなんて教師失格です!いくら経験豊富で顔が格好良くっても!)
枕を叩き出したかと思えば、顔を両手で押さえてイヤイヤをし始め、また枕を叩き、またイヤイヤをし、最終的には「私は教師ぃー!」と言いながら枕に額を押し付け始めた。
愛子は、その後、光輝に対して感じたあれこれを、情緒不安定になっていた故の一時的な気の迷いということで自己完結した。そして、光輝達も生徒であることに変わりはない以上、ハジメと光輝の情報が伝わった王国や聖教教会の上層部から万一に備えて生徒の事を守らねばならないと、王国に戻ることを決意した。
愛子は、気がついていない。光輝の事が自己完結ではなく、ただの棚上げであることを。生徒達を心の中で呼ぶとき〝あの子〟などと指示語で表すのに対して、光輝の事は〝彼〟と呼んでいることを。そして何より、彼は節操無しの女癖の悪いクズという事を、愛子は(まだ)知らない。
そして、芽生え始めた気持ちにも。そのことに愛子が気がつくのは、もう少し先の話……多分クズに無理やり気付かされると思う。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
一方その頃。光輝達は街に帰還した。後ついでにシアの首輪がちょっと豪華になった。
「ウィル! 無事かい!? 怪我はないかい!?」
以前の落ち着いた雰囲気などかなぐり捨てて、視界にウィルを収めると挨拶もなく安否を確認するイルワ。それだけ心配だったのだろう。
「イルワさん……すみません。私が無理を言ったせいで、色々迷惑を……」
「……何を言うんだ……私の方こそ、危険な依頼を紹介してしまった……本当によく無事で……ウィルに何かあったらグレイルやサリアに合わせる顔がなくなるところだよ……二人も随分心配していた。早く顔を見せて安心させてあげるといい。君の無事は既に連絡してある。数日前からフューレンに来ているんだ」
「父上とママが……わかりました。直ぐに会いに行きます」
「…ママ?」
「(そういえば本来のウィルのママ呼びバレの時僕がウィルの事半殺しにしてたからハジメ知らないのか…)」
イルワは、ウィルに両親が滞在している場所を伝えると会いに行くよう促す。ウィルは、イルワに改めて捜索に骨を折ってもらったことを感謝し、ついで、ハジメ達に改めて挨拶に行くと約束して部屋を出て行った。ハジメとしては、これっきりで良かったのだが、きちんと礼をしないと気が済まないらしい。
ウィルが出て行った後、改めてイルワとハジメが向き合う。イルワは、穏やかな表情で微笑むと、深々とハジメに頭を下げた。
「ハジメ君、今回は本当にありがとう。まさか、本当にウィルを生きて連れ戻してくれるとは思わなかった。感謝してもしきれないよ」
「まぁ、生き残っていたのはウィルの運が良かったからだろ」
「ふふ、そうかな? 確かに、それもあるだろうが……何万もの魔物の群れから守りきってくれたのは事実だろう?女神の盾に剣様?」
にこやかに笑いながら、ハジメとカスが大群との戦闘前にした演説の内容から文字った二つ名を呼ぶイルワ。ハジメの頬が引き攣る。どうやら、ギルド支部長には、ハジメの移動手段より早い情報伝達方法があるようだ。
「……随分情報が早いな」
「ギルドの幹部専用だけどね。長距離連絡用のアーティファクトがあるんだ。私の部下が君達に付いていたんだよ。といっても、あのとんでもない移動型アーティファクトのせいで常に後手に回っていたようだけど……彼の泣き言なんて初めて聞いたよ。諜報では随一の腕を持っているのだけどね」
そう言って苦笑いするイルワ。最初から監視員がついていたらしい。ギルド支部長としては当然の措置なので、特に怒りを抱くこともないハジメ。むしろ、支部長の直属でありながら、常に置いていかれたその部下の焦りを思うと、中々同情してしまう。
「それにしても、大変だったね。まさか、北の山脈地帯の異変が大惨事の予兆だったとは……二重の意味で君に依頼して本当によかった。数万の大群を殲滅した力にも興味はあるのだけど……聞かせてくれるかい? 一体、何があったのか」
「ああ、構わねぇよ。だが、その前にユエとシアのステータスプレートを頼むよ……ティオは『うむ、二人が貰うなら妾の分も頼めるかの』……ということだ」
「ふむ、確かに、プレートを見たほうが信憑性も高まるか……わかったよ」
そう言って、イルワは、職員を呼んで真新しいステータスプレートを三枚持ってこさせる。
結果、ユエ達のステータスは以下の通りだった。
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ユエ 323歳 女 レベル:75
天職:神子
筋力:120
体力:300
耐性:60
敏捷:120
魔力:6980
魔耐:7120
技能:自動再生[+痛覚操作]・全属性適性・複合魔法・魔力操作[+魔力放射][+魔力圧縮][+遠隔操作][+効率上昇][+魔素吸収]・想像構成[+イメージ補強力上昇][+複数同時構成][+遅延発動]・血力変換[+身体強化][+魔力変換][+体力変換][+魔力強化][+血盟契約]・高速魔力回復・生成魔法・重力魔法
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シア・ハウリア 16歳 女 レベル:40
天職:占術師
筋力:60 [+最大6100]
体力:80 [+最大6120]
耐性:60 [+最大6100]
敏捷:85 [+最大6125]
魔力:3020
魔耐:3180
技能:未来視[+自動発動][+仮定未来]・魔力操作[+身体強化][+部分強化][+変換効率上昇Ⅱ] [+集中強化]・重力魔法
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ティオ・クラルス 563歳 女 レベル:89
天職:守護者
筋力:770 [+竜化状態4620]
体力:1100 [+竜化状態6600]
耐性:1100 [+竜化状態6600]
敏捷:580 [+竜化状態3480]
魔力:4590
魔耐:4220
技能:竜化[+竜鱗硬化][+魔力効率上昇][+身体能力上昇][+咆哮][+風纏][+痛覚変換]・魔力操作[+魔力放射][+魔力圧縮]・火属性適性[+魔力消費減少][+効果上昇][+持続時間上昇]・風属性適性[+魔力消費減少][+効果上昇][+持続時間上昇]・複合魔法
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ついでに光輝のステータス
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天之河光輝 17歳 男 レベル:???
天職:勇者
筋力:841789
体力:29679
耐性:27800
敏捷:27900
魔力:90000
魔耐:70000
技能:全属性適性・全属性耐性・物理耐性・対魔力・騎乗・カリスマ[+人心理解]・複合魔法[+聖剣魔法]・剣術[+聖剣術][+絶命剣][+暗夜剣][+朧一閃][+渾身剣]・剛力[+竜腕][+鎧通し]・縮地・先読[+短予知]・幸運・気配感知・魔力感知・限界突破・言語理解・聖剣使い[+星の加護][+巨獣狩り]・直感[+戦術解答][+明鏡止水]・眩き旅路・
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ハジメには及ばないものの、召喚されたチート集団ですら少人数では相手にならないレベルのステータスだ。勇者は…なんか物騒な文言が並んでいる。もう
流石に、イルワも口をあんぐりと開けて言葉も出ない様子だ。無理もない。ユエとティオは既に滅んだとされる種族固有のスキルである〝血力変換〟と〝竜化〟を持っている上に、ステータスが特異に過ぎる。シアは種族の常識を完全に無視している。驚くなという方がどうかしている。
「いやはや……なにかあるとは思っていましたが、これほどとは……」
冷や汗を流しながら、何時もの微笑みが引き攣っているイルワに、ハジメはお構いなしに事の顛末を語って聞かせた。普通に聞いただけなら、そんな馬鹿なと一笑に付しそうな内容でも、先にステータスプレートで裏付けるような数値や技能を見てしまっているので信じざるを得ない。イルワは、すべての話を聞き終えると、一気に十歳くらい年をとったような疲れた表情でソファーに深く座り直した。
「……道理でキャサリン先生の目に留まるわけだ。ハジメ君達が異世界人だということは予想していたが……実際は、遥か斜め上をいったね……」
「……それで、支部長さんよ。あんたはどうするんだ? 危険分子だと教会にでも突き出すか?」
イルワは、ハジメの質問に非難するような眼差しを向けると居住まいを正した。
「冗談がキツいよ。出来るわけないだろう? 君達を敵に回すようなこと、個人的にもギルド幹部としても有り得ない選択肢だよ……大体、見くびらないで欲しい。君達は私の恩人なんだ。そのことを私が忘れることは生涯ないよ」
「……そうか。そいつは良かった」
ハジメは、肩を竦めて、試して悪かったと視線で謝意を示した。
「私としては、約束通り可能な限り君達の後ろ盾になろうと思う。ギルド幹部としても、個人としてもね。まぁ、あれだけの力を見せたんだ。当分は、上の方も議論が紛糾して君達に下手なことはしないと思うよ。一応、後ろ盾になりやすいように、君達の冒険者ランクを全員〝金〟にしておく。普通は、〝金〟を付けるには色々面倒な手続きがいるのだけど……事後承諾でも何とかなるよ。キャサリン先生と僕の推薦、それに〝女神の剣と盾〟という名声があるからね」
イルワの大盤振る舞いにより、他にもフューレンにいる間はギルド直営の宿のVIPルームを使わせてくれたり、イルワの家紋入り手紙を用意してくれたりした。何でも、今回のお礼もあるが、それ以上に、ハジメ達とは友好関係を作っておきたいということらしい。ぶっちゃけた話だが、隠しても意味がないだろうと開き直っているようだ。
その後、イルワと別れ、ハジメ達はフューレンの中央区にあるギルド直営の宿のVIPルームでくつろいだ。途中、ウィルの両親であるグレイル・グレタ伯爵とサリア・グレタ夫人がウィルを伴って挨拶に来た。かつて、王宮で見た貴族とは異なり随分と筋の通った人のようだ。ウィルの人の良さというものが納得できる両親だった。
グレイル伯爵は、しきりに礼をしたいと家への招待や金品の支払いを提案したが、ハジメが固辞するので、困ったことがあればどんなことでも力になると言い残し去っていった。
広いリビングの他に個室が四部屋付いた部屋は、その全てに天蓋付きのベッドが備え付けられており、テラスからは観光区の方を一望できる。ハジメは、リビングの超大型ソファーにゴロンと寝転びながら、リラックスした様子で深く息を吐いた。
ユエが、寝転んだハジメの頭を持ち上げて何時ものように膝枕をする。シアは、足元に腰掛けた。ティオは、キョロキョロと物珍しげに部屋を見渡し、光輝は恵里達を侍らせながら剣の手入れをしている。
「取り敢えず今日はもう休もう。明日は消費した食料とかの買い出しとかしなきゃな」
ハジメが、髪を撫でてくるユエの手の感触に気持ちよさそうに目を細めながら、翌日の予定を口にする。そこに待ったを掛けたのはシアだ。おずおずと横たわるハジメの体を揺さぶった。
「あのぉ~、ハジメさん。約束……」
「……そうだったな。観光区に連れて行くんだったか……」
頑張ったシアのご褒美に、一日付き合うという約束をしたハジメ。シアが期待したような眼差しでハジメを見つめる。ハジメは、買い出しの必要はあるのでどうしたものかと逡巡するが、その迷いはユエが断ち切った。柔らかな手でハジメの両頬を挟み込むと、優しげに目を細める。
「……買い物は私とティオがしておく。シアを連れて行ってあげて?」
「……いいのか?」
「ん……その代わり……」
「代わりに?」
ユエは、ハジメとの約束を心底楽しみにしていたシアに友人というよりどこか姉のような雰囲気で優しげな眼差しを向けるとハジメを促した。ハジメが、若干、複雑そうな表情で言葉の続きを確認すると、ユエは、優しげな表情をスっと妖艶なものに変えてチロリと舌舐りした。そしてハジメの耳元に顔を寄せると囁くように……
「……今夜は沢山愛して」
そんなことを言った。ハジメは、片手で顔を覆うと一言「…ん」とユエのような返事をする。それで精一杯だった。迷宮最奥のガーディアンにだって勝てる自信があるが、きっと、たぶん、一生、ユエには勝てそうにないと、そんな事を思うハジメだった。
「……気がつけば、ごく自然に二人の世界が始まる……ユエさんッパないです」
「ふむ、それでもめげないシアも相当だと思うがのぉ。まぁ、妾は別に自分のご主人様に苛めてもらえれば満足じゃから問題ないが……シアは苦労するのぉ~」
「あっそうだハジメ、僕は恵里と清水とでデートするよ。せっかく会えたし。」
「デート楽しみだね光輝君!」
「俺をこんなにした
「そうか、まぁ楽しめよ。」
シアは、ユエに「流石師匠ですぅ」と尊敬の目を向け、ティオは互いに嫉妬の感情を感じさせないシアとユエの関係に興味深げな視線を送る。その後、ユエの不意打ちに理性が飛びかけていたハジメも何とか正気を取り戻し、七人はあれこれ雑談しつつ、その日の夜は更けていった。
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デート?中
「ランチ終わりのスイーツ!hoooo〜!」
「こ…光輝…町中で調理は辞めろよ、幾ら音も無いし姿見えないからって…」
「美味しいから良くない?ハイこれキノコプリン*3とクッキーアルパカのクッキー*4お食べ。」
「ポリポリ…美味い…でも
「まぁピクニックみたいな物だよ。恵里はどうかな。」
「僕は結構楽しいよ?眺めも良いし。」
「なんでだよ!?」
「ハッハッハッw…ハァ!?(そろそろか…)」
そう。そろそろミュウがハジメに会う頃である。転生者特典の直感は偉大である。
「ごめん二人共、デートは一旦中断だ。ハジメが面倒事に巻き込まれた。行って来る!
「???なんでいきなりそんな事を?」
「行ってらっしゃい。早めに帰って来てね。」
「「…?」」
「清水君。光輝君なら心配しないで大丈夫だよ。」
「恵里はなんでそんな事分かるんだ?」
「それはね、光輝君は宝くじの当たり番号全部当てたりとか20本連続でガ◯ガリ君の当たり棒当てたりとんでもない直感を誇ってるんだ。」
「………それは直感でいいのか?」
「本人が直感って言ってるから…」
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ちょっとした説明
・なんかロリ(人魚)拾った。
・誘拐されて奴隷にされたっぽい。
・保安所にとりあえず突っ込んどこう。
・誘拐(2度目)された!
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ドォガァアアアン!!!!
背後で爆発が起き、黒煙が上がっているのが見えた。その場所は、
「ハ、ハジメさん。あそこって……」
「チッ、保安署か!」
そう、黒煙の上がっている場所は、さっきまでハジメ達がいた保安署があった場所だった。二人は、互いに頷くと保安署へと駆け戻る。タイミング的に最悪の事態が脳裏をよぎった。すなわち、ミュウを誘拐していた組織が、情報漏えいを防ぐためにミュウごと保安署を爆破した等だ。
焦る気持ちを抑えつけて保安署にたどり着くと、表通りに署の窓ガラスや扉が吹き飛んで散らばっている光景が目に入った。しかし、建物自体はさほどダメージを受けていないようで、倒壊の心配はなさそうだった。ハジメ達が、中に踏み込むと、対応してくれたおっちゃんの保安員がうつ伏せに倒れているのを発見する。
両腕が折れて、気を失っているようだ。他の職員も同じような感じだ。幸い、命に関わる怪我をしている者は見た感じではいなさそうである。ハジメが、職員達を見ている間、ほかの場所を調べに行ったシアが、焦った表情で戻ってきた。
「ハジメさん! ミュウちゃんがいません! それにこんなものが!」
シアが手渡してきたのは、一枚の紙。そこにはこう書かれていた。
〝海人族の子を死なせたくなければ、白髪の兎人族を連れて○○に来い〟
「ハジメさん、これって……」
「どうやら、あちらさんは欲をかいたらしいな……」
ハジメは、メモ用紙をグシャと握り潰すと凶悪な笑みを浮かべた。おそらく、連中は保安署でのミュウとハジメ達のやり取りを何らかの方法で聞いていたのだろう。そして、ミュウが人質として役に立つと判断し、口封じに殺すよりも、どうせならレアな兎人族も手に入れてしまおうとでも考えたようだ。
そんなハジメの横で、シアは、決然とした表情をする。
「ハジメさん! 私!」
「みなまでいうな。わーてるよ。こいつ等はもう俺の敵だ……御託を並べるのは終わりだ。全部ぶちのめして、ミュウを奪い返すぞ」
「はいです!」
「流石ハジメ!カッコいいじゃないか。」
「「……………」」
「「なんで此処に?」」
「勇者的な感で人手が欲しいというハジメの想いを察知したんだよ。」
「感…感ですぅ?」
「直感のスキルは持ってたけどそういう奴か?まぁいいお前も手伝えウチの切り込み隊長だろお前。」
「勿論。その為にデート中断したんだよ。」
それに、今回、相手はシアをも奪おうとしている。ハジメの〝大切〟に手を出そうというのだ。つまり、〝敵〟である。遠慮容赦一切無用。彼等は、ハジメの触れてはならない一線に触れてしまったのだ、光輝が協力しない訳も無い。
ハジメとシアと転生者は武器を携え、化け物を呼び起こした愚か者達の指定場所へと一気に駆け出した。
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「なんだ彼奴等、眼帯のガキと白髪の兎人族それに…報告にあった二人組か、知らん奴も居るが恐らく護衛か何かか?女は上玉だな、男共は殺せ!」
「ハジメ…良いかな?」
「ああ。光輝、『皆殺し』だ。」
〜〜〜(皆殺しタイム)〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「アァ!? てめぇ、もう一度言ってみやがれ!」
「ひぃ! で、ですから、侵入して来た3人組によって壊滅状態です!」
「ふざけた事言ってんじゃねぇ!テメェ等はその辺に居るチンピラか?フューレン最大の裏組織、〝フリートホープ〟の構成員d「死ねぇぁあー!!!!!」なんだぁ!?」
室内で、怒鳴り声が鳴り響く中、ドギャアンッ!と何かが吹き飛ぶ音がして一瞬静かになる。どうやら報告していた男が、塵一つ残さず消し飛ばされたようだ。
次々に新しい死体の山を作り出すのは、この男〜!
〝殺しのニューウェーブ〟
天 之 河 光 輝
「小便は済ませたかい?」
「あ…あぁ?テメェいきなり何を…」
「
ブオォン!
それは、『剣』と言うにはあまりにも大き過ぎた。大きく、分厚く、重く、そして大雑把過ぎた。
それは、正に、『鉄塊』だった。
「ヒィ!?な…なんだそれ…『剣』?ち、近寄るな!今すぐ投降すれば命だけは助けてやる!俺を殺したら拠点に居る構成員が黙ってねえぞ!?」
「『ミュウ』…人魚族の少女の場所と元居た町は…?」
「ヒィ!?…クソッ死にやがれ!」シャキン!
男が大ぶりなナイフを取り出し、斬りつけた。
ガキィン!
「効かない!?クソッ!オラァ!」ゲシィ!
ナイフが効かない事で破れかぶれになった男は蹴りを放つと同時に、光輝に対して巨大な城壁を幻視させた。
「か…壁?」
「人魚族の少女の『場所』と元居た『町』は……!」
「し…知らなn」
ボッゴォ!!!
「ゲフッ、が…がふっ…ふぅ…ゴボォ…」
ガシッ
光輝は男の髪をブチブチと引きちぎる音を立てながら髪をつかんだ。
「人魚族の少女の…!『場所』と元居た『町』は!!!」
「ここにはいねぇ!観光区にある美術館の地下だ!そこに裏オークション会場がある!開始は夕方からだから今から向かえば間に合う筈だ!元居た町はエリセン!」
「そうかい。」
「な、なぁ頼む助k」
メギャ
「用済みだ、ありがとう。」