騎士王転生の天之河光輝、異世界に降り立つ。(元 天之河光輝成り代わり物)   作:ゼロさん

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もう一ッ発ッ!

あんま内容は無い!


ありふれた展開で焼き魚 1

ティオが飛び立った後、中央の島には、最初に見たマグマのドームはなくなっていて、代わりに漆黒の建造物がその姿を見せていた。

 

 

 

 ハジメ達は、灰竜達がハジメ達への攻撃よりも噴出するマグマ柱の回避に必死になり始めたのを尻目に、漆黒の建造物へと近づいた。

 

 

 

 一見、扉などない唯の長方体に見えるが、壁の一部に毎度お馴染みの七大迷宮を示す文様が刻まれている場所があった。ハジメ達が、その前に立つと、スっと音もなく壁がスライドし、中に入ることが出来た。ハジメ達が中に入るのと、遂にマグマが中央の島をも呑み込もうと流れ込んできたのは同時だった。再び、スっと音もなく閉まる扉が、流れ込んできたマグマを間一髪でせき止める。

 

 

 

「一先ず、安心だな……それにしても、この部屋は振動も遮断するのか……」

 

「ん……ハジメ、あれ」

 

「魔法陣ですね」

 

「どんな魔法だろうね?」

 

 

 

部屋に入った途端、大地震クラスの振動を感じなくなったことに驚くハジメ。その呟きに応じながら、傍らのユエが指を差す。その先には、複雑にして精緻な魔法陣があった。神代魔法の魔法陣だ。ハジメ達は互いに頷き合い、その中へ踏み込んだ。

 

 

 

【オルクス大迷宮】の時と同じように、記憶が勝手に溢れ出し迷宮攻略の軌跡が脳内を駆け巡る。そして、マグマ蛇を全て討伐したところで攻略を認められたようで、脳内に直接、神代魔法が刻み込まれていった。

 

 

 

「……これは、空間操作の魔法か」

 

「……瞬間移動のタネ」

 

「ああ、あのいきなり背後に現れたやつですね」

 

「使えるなコレ⋯暗殺剣に良い利用法聞くか…」

 

どうやら、【グリューエン大火山】における神代魔法は〝空間魔法〟らしい。また、とんでもないものに干渉できる魔法だ。相変わらず神代の魔法はぶっ飛んでいる。

 

 

 

ユエが、フリードの奇襲について言及する。最初の奇襲も、おそらく、空間魔法を使ってあの場に現れ攻撃したのだろう。空間転移か空間を歪めて隠れていたのかは分からないが、厄介なことに変わりはない、二度目の奇襲も、咄嗟に、シアが〝未来視〟の派生〝仮定未来〟を行使しなければ、ハジメは直撃を受けていたかもしれない。ファインプレーだ。

 

 

 

ハジメ達が、空間魔法を修得し、魔法陣の輝きが収まっていくと同時に、カコンと音を立てて壁の一部が開き、更に正面の壁に輝く文字が浮き出始めた。

 

 

 

〝人の未来が 自由な意思のもとにあらんことを 切に願う〟

 

                          〝ナイズ・グリューエン〟

 

 

 

「……シンプルだな」

 

 

 

そのメッセージを見て、ハジメが抱いた素直な感想だ。周囲を見渡せば、【グリューエン大火山】の創設者の住処にしては、かなり殺風景な部屋だと気が付く。オルクスの住処のような生活感がまるでないのだ。本当に、ただ魔法陣があるだけの場所だ。

 

 

 

「……身辺整理でもしたみたい」

 

「ナイズさんは、魔法以外、何も残さなかったみたいですね」

 

「そういえば、オスカーの手記に、ナイズってやつも出てたな。すごく寡黙なやつだったみたいだ」

 

 

 

ユエは、拳サイズの開いた壁のところに行き、中に入っていたペンダントを取り出した。今まで手に入れた証と少々趣が異なる意匠を凝らしたサークル状のペンダントだ。それを、そっとハジメの首にかける。

 

 

 

「……さて、魔法も証も手に入れた。次は、脱出なわけだが」

 

「……どうするの?」

 

「何か、考えがあるんですよね? たぶん、外は完全にマグマで満たされてしまってますよ?」

 

「泳いでく?」

 

「いやいや…光輝さんならまだしも私達がやったら死んじゃいますよ〜ねっ!ハジメさん!」

 

「ああ、もちろん。」

 

「ほら〜やっぱり。」

 

「もちろん、マグマの中を泳いで進む」

 

「……ん?」

 

「……はい?」

 

 

 

圧倒的に説明の足りない第一声に、ユエとシアが「ダメージを直しきれなかったのだろうか?」と多少、頭を心配するような表情で問い返した。

 

 

 

「いや、ちゃんと説明するからそんな目で見ないでくれ。えっとな、実は、この建物のすぐ外に潜水艇を用意してある。次のメルジーネ海底遺跡で必要になるだろうと思って作っておいたものだ。果たして、マグマの中でも耐えられるか少々不安ではあったんだが、金剛で覆った小舟が大丈夫だったから、いけると踏んだんだ。やはり大丈夫だったみたいだな」

 

「一体、いつの間にそんなこと……」

 

 

 

シアが呆れたような声を出す、ユエも、瞳に呆れを宿しているようだ。

 

 

 

実は、フリードが要石を破壊したと告げたとき、既に〝宝物庫〟から直接マグマの中に潜水艇を転送しておいたのだ。溶け出すようなら、直ぐに強行突破してティオと一緒に天井から脱出するつもりだったが、しばらく様子を見ても溶け出す様子がなかったので(感応石が組み込んであるので様子がわかる)、マグマに満たされても後から脱出できると踏んだのである。

 

 

 

ただ、明らかにヤバイレベルで【グリューエン大火山】自体が激震し、あちこち崩壊していたことから、スムーズに脱出できない可能性が大いにあった。アンカジへ戻るタイムリミットが迫る中、悠長に脱出ルートを探っている時間はない。なので、その場合に備えてティオを先に脱出させたのである。確実に、タイムリミット内に〝静因石〟を持ち帰るために。

 

 

 

「脱出ルートは、当然、天井のショートカットだ。ユエ、潜水艇の搭乗口まで結界を頼む。出来るよな?」

 

「んっ……任せて」

 

 

ハジメの言葉に頷いて、ユエが念を入れて〝聖絶〟を三重に重ね掛けする。光り輝く障壁がハジメ達三人を包み込んだ。三人は、互いに頷きあって扉の前に立つ。そして、煮えたぎるマグマで満たされた外界への扉を開いた。

 

 

 

〝聖絶〟はしっかりとマグマからハジメ達を守ったが、一瞬にして視界の全てが紅蓮に染まった。マグマの中からマグマを見るという有り得ない体験に、覚悟していたとは言え、流石のハジメ達も言葉に詰まる。世界広しと言えど、このような体験をした事があるのはハジメ達くらいに違いない。

 

 

 

「すぐ外だ。行くぞ!」

 

「んっ」

 

「は、はいです!」

 

ゴボボボボボボボボボボ!ボボボボボボボ…(何で私だけ魔法無いのさ!まあいいけど…)

 

ハジメの号令で、四人は、ゆっくりと部屋の外に出た。何も分からない閉ざされた世界ではあるが、ハジメの言葉通り、本当に出入り口のすぐ傍に待機させていたようで直ぐに〝聖絶〟に当たり場所がわかった。ユエは、障壁を調整しながらハッチまで行き、ようやく三人は潜水艇に乗り込むことができた。思わず、体に入っていた力が抜けるハジメ達。

 

 

 

と、その瞬間、

 

 

 

ドォゴォオオオ!!!

 

 

 

 今までの比ではない激震が空間全体を襲った。そして、突如、マグマが一定方向へと猛烈な勢いで流れ始める。潜水艇は、その激流に翻弄され、中のハジメ達はミキサーにかけられたように上に下に、右に左にと転げまわる事になった。

 

 

 

「ぐわっ!?」

 

「んにゃ!?」

 

「はぅ!? 痛いですぅ!」

 

「痛くないけど酔いそうだなぁ…」

 

それぞれ、船内の壁に体のあちこちをぶつけて、悲鳴を上げる。ユエが、咄嗟に〝絶禍〟の応用版を発動し、自分達を黒く渦く小さな球体に引き寄せることで、何とかシェイクされる状況を脱した。

 

 

 

「た、たすかった。ありがとうな、ユエ」

 

「揺れが激しく…」

 

「有難うございますぅ、ユエさん」

 

「ん……それより」

 

 

 

ユエが、〝絶禍〟を移動させて操縦席らしき場所にまでハジメを運ぶ。ハジメは、魔力を流し込んで、潜水艇のコントロールを試みるが激しい流れとマグマの粘性に、思うように舵が取れなかった。

 

 

 

「ちっ、これが噴火だってなら、外に放り出されて、むしろラッキーなんだが」

 

「……違うの?」

 

 

 

苦虫を噛み潰したような表情をするハジメに、ユエが首をかしげる。

 

 

 

「ああ。マグマの中でも方向を見失わないよう、クロスビットに特定石を仕込んでおいたんだ。自爆する前に、脱出口付近に射出して置いたから、少なくとも天井のショートカットの場所はわかるんだが……この流れ、出口から遠ざかってやがる」

 

「えっ? それって地下に潜ってるってことですか?」

 

「ああ、真下ってわけじゃなくて、斜め下って感じだが……さて、どこに繋がっているのやら……ユエ、シア。やっぱり直ぐには戻れそうにない。このまま行くとこまで行くしかないようだ」

 

 

 

覚悟の決まった表情でそう語るハジメに、ユエとシアはただ優しげに目元を緩めて、そっと寄り添った。

 

 

 

「……最後まで傍にいる。それが叶うなら何も問題ない」

 

「ふふ……文字通り、例え火の中水の中ですね。私も、お二人と一緒にいられるなら〝どこまででも〟ですよ!」

 

「……そうか。そうだな」

 

 

 

ハジメも、そんな二人に頬を緩めると笑みを返した。

 

 

 

ハジメ達三人は、潜水艇の中で寄り添いながら、灼熱の奔流に流されていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いい雰囲気で寄り添ってる所悪いんだけどさ、私外のマグマ泳げるし風王鉄槌(ストライク・エア)で潜水艦無理やり動かせるし食料も転生者ショップで買えるんだけど。生存余裕だし私の事忘れないで欲しいんだけど。」

 

「「「あっ」」」

 

ハジメ達三人は、潜水艇の中で寄り添うのを辞めて、冷めた目の転生者と共に灼熱の奔流に流されていった。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

 

ハジメ達が何処とも知れないマグマが流れる地下道を流されている頃、赤銅色の砂が吹きすさぶ【グリューエン大砂漠】の上空をフラフラと飛ぶ影があった。

 

 

 

言わずもがな、〝竜化〟状態のティオである。

 

 

ようやく前方にアンカジの姿が見えてきた。これ以上、飛行を続ければ、アンカジの監視塔からもティオの姿が見えるだろう。ティオは、一瞬、竜化を解いて行くべきかと考えたが、おそらく生きているであろう魔人族のフリードに知られた事と、きっと、今後、ハジメの旅について行くなら竜化が必要な場面はいくらでもあるだろうと考えて、すっぱり割り切ることにした。

 

 

 

隠れ里はそう簡単に見つかることはないし、万が一見つかっても、竜人族はそう簡単にやられはしない。それに、五百年前の悪夢(迫害)が襲いかかったとしても、ティオが助けを求めれば、きっとハジメと光輝は力を貸してくれるはずである。何だかんだで、ハジメと光輝は身内に甘いのだ。

 

 

 

そんな考え事をしているうちに、遂に、アンカジまで数キロの位置までやって来た。見れば、監視塔の上が何やら非常に慌ただしい。

 

 

 

ズドオオン!!

 

 

 

と、結界を破ってで砂塵を巻き上げながら着地したティオのもとへ、アンカジの兵士達が隊列を組んでやってきた。見れば、壁の上にも大勢の兵士が弓や魔法陣の刻まれた杖などをもって待機している。

 

 

 

もうもうと巻き上がる砂埃が風にさらわれて晴れていく。兵士達が、緊張にゴクリと喉を鳴らす音が響く。しかし、砂埃が晴れた先にいるのが黒髪金眼の美女だとわかると一様に困惑したような表情となって仲間同士顔を見合わせた。

 

 

 

そんな、混乱する兵士達の隙間を通り抜けて、一人の少女が飛び出す。ティオと同じ黒髪の女の子、香織だ。後ろから危険だと兵士達や領主の息子ビィズが制止の声をかけるが、まるっと無視して猛然と、片膝をついて荒い息を吐くティオのもとへ駆け寄った。

 

 

 

監視塔からの報告があった時点で、香織は、ティオが竜人族であると知っていたため、ハジメ達が帰ってきたと察し、急いで駆けつけたのだ。

 

 

 

「ティオ! 大丈夫!?」

 

「むっ、香織か……平気じゃ。ちと疲れたがの」

 

 

 

キョロキョロと辺りを見回し、次第に不安そうな表情になった。

 

 

 

「ティオ……あの、ハジメくん達は? 一人なの? どうして……あの噴火は……」

 

「落ち着くのじゃ、香織。全部説明する。まずは、後ろの兵達を落ち着かせて、話せる場所に案内しておくれ」

 

「あっ、うん、そうだね」

 

 

 

背後で困惑にざわつく兵達に今更ながらに気がつき、香織は不安そうな表情をしながらも力強く頷いた。ティオが悲愴な表情をしていないことも、落ち着きを取り戻した要因だ。

 

 

 

香織は、ビィズや駆けつけたランズィ達のもとへ戻り、事情説明をしながらティオを落ち着いて話のできる場所に案内した。

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

 

「それじゃあ、ハジメ君たちは……」

 

「うむ、あとから追いかけてくるはずじゃ。ご主人様は、微塵も諦めておらんかった。時間がなくて詳しくは聞けんかったが、何か打開策があったのは確かじゃよ」

 

 

 

【グリューエン大火山】で何があったのかを聞いた香織は、顔を青ざめさせて手をギュッと握り締めた。アンカジの人々を震撼させた大噴火を見たときから感じていた不安が急速に膨れ上がっていく。

 

 

 

しかし、そんな今にも倒れそうな香織が必死に握り締めた手に、ティオが、そっと自分の手を重ね合わせる。そして、力強い眼差しで香織を見つめた。

 

 

 

「香織よ。ハジメ殿からの伝言じゃ」

 

「ハジメくんからの?」

 

「うむ。正確には香織とミュウにじゃが……〝あとで会おう〟じゃ」

 

 

 

香織は、〝必ず帰る〟とか〝心配するな〟など、そんな香織やミュウを安心させるための言葉かと思っていたのだが、〝ちょっとコンビニ寄ってくるから後で合流しよう〟みたいな滅茶苦茶軽い言葉だったためにポカンと口を開けて呆けてしまった。

 

 

 

脳裏に、「この程度の何に深刻になればいいんだ?」と不敵な笑みを浮かべるハジメとマジキチスマイルを浮かべる光輝の姿が過る。どんな困難も(光輝は嘲)笑いながら打ち砕いてしまいそうな力強い姿だ。そんな姿をごく自然と思い浮かべてしまうのだから、下手に強い言葉を伝えられるよりも、自分達が一番安心できる伝言だと、香織は苦笑いをこぼした。

 

 

 

「そっか、なら大丈夫だよね」

 

「うむ、例え傍から見れば絶望的な状況でも、ご主人様とハジメ殿なら普通にひょっこりと生還する。無条件にそう信じられるのじゃ……」

 

「うん……ハジメくんなら大丈夫。だから、私も私がやるべき事をやらないとね」

 

「そうじゃな。もちろん、妾も手伝うからの」

 

 

 

香織は、大迷宮でハジメが行方不明になったという事実に目眩を覚えていたものの、ハジメなら大丈夫だと、ティオと同じくギュッと拳を握りながら信じた。そして、先に、ランズィ達に渡しておいた大量の〝静因石〟が、現在、粉末状にされ患者達に配られている頃だと判断し、衰弱した人々を癒すためにグッと瞳に力を入れて立ち上がった。光輝?眼中に無いよ。

 

 

 

その後、宮殿で、領主の娘であるアイリー(十四歳)に構われているミュウとも合流し、事情説明が行われた。ハジメパパがいないことに泣きべそをかくミュウだったが、ハジメパパの娘は、そう簡単に泣いたりしないとティオに言われて、ほっぺをプクッと膨らませながら懸命に泣くのを堪えるということがあった。(アイリーちゃんはもう既に光輝に喰われてるぞ!)

 

 

 

ミュウは海人族ではあるが、〝神の使徒〟たる香織の連れであることと、少し関わればわかってしまうその愛らしさに、アンカジの宮殿にいる者達はこぞってノックアウトされていたらしく、特に、アイリーに至っては病み上がりで外出禁止となっていることもあり、ミュウを構い倒しているようだ。(えっ!?ウチの転生者、病人誑し込んでヤリ捨てしたんですか!?)

 

 

 

ティオが竜人族であるという事についても、ランズィ達は思うところがあるようだったが、命懸けで〝静因石〟を取ってきてくれた事から、公国の恩人であることに変わりはなく、そう大きな騒ぎにはならなかった。

 

 

 

香織達は、患者達を次々と癒していったが、二日経ってもハジメ達が戻ってこないことに、次第に、表情を暗くしていった。ティオは、何度か、【グリューエン大火山】までのルートを探索してみたが、ハジメ達の痕跡はなく途方に暮れた。

 

 

 

そしてティオが戻ってから三日目の晩、香織は、ミュウとティオに提案をした。

 

 

 

「今日で、私の処置が必要な患者さんはいなくなったと思う。あとは、時間をかけて安静にするか、医療院のスタッフに任せれば問題ないよ。だから……ハジメくん達を探しに行こうと思うの」

 

「パパ? お迎えに行くの?」

 

「ふむ、そうじゃな。妾も、そろそろ動くべきかと思っておった」

 

 

 

香織の言葉に、ミュウは嬉しそうに身を乗り出し、ティオは真剣な表情で賛同した。

 

 

 

「でも、流石に、【グリューエン大火山】にミュウちゃんを連れて行く訳にはいかないよね」

 

「そうじゃな。それでは、ご主人様が、ここにミュウを預けていった意味がない。それに、今は噴火の影響で、どちらにしろまともな探索は出来んじゃろ」

 

「うん。私もそう思う。だから、先にエリセンに行ってミュウちゃんをママさんに会わせようと思うの」

 

「ふむ、それが妥当じゃろうな……よかろう。ならば、妾の背に乗っていくがよい。エリセンまでなら、急げば一日もかからず行けるじゃろう。早朝に出れば夕方までには到着できよう」

 

 

 

スイスイと進んでいく話に、ミュウが頭の上で〝?〟の花を大量に咲かせる。香織が、ミュウに、丁寧にわかりやすく説明すると、直接ハジメを迎えに行けないことに悲しげな表情をした。しかし、母親にも会いたかったようで、二人でハジメパパが会いに来るのを待っていて欲しいと伝えると、渋々ではあるが納得をしたようだ。実母と天秤にかけられるとか、どこまでパパなんだと香織とティオは二人揃って苦笑いを浮かべずにはいられなかった。

 

 

 

翌日、引き止めたそうな領主や、特に、熱っぽい眼差しで香織を見つめるビィズに見送られながら、竜化したティオの背に乗って香織達は西の空へと飛び立った。背後で、盛大な感謝や香織を称える人々の声が砂塵をものともせず響き渡る。

 

 

 

香織は、再びはぐれてしまった愛しい人を想い、必ず見つけると決意を胸に秘めて、真っ直ぐ前を向いた。

 

 

 

その先で、拍子抜けするほどあっさり再会するとは夢にも思わず……

 

 

 

 

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