騎士王転生の天之河光輝、異世界に降り立つ。(元 天之河光輝成り代わり物) 作:ゼロさん
ごめんね…小説の書き方忘れてて大苦戦してたんだ。どうにか大学生にはなれたけれども。
「う…うぅ…なんか2ヶ月くらい世界の時間が止まってた気がする…」
「テメェいきなりどうした?もう次行くぞ。」
「あぁごめん待ってホントに受験終わりで疲れてるんだって今行くから。」
「…テメェマジいい加減にしろよ?」
「………」
「言う事あるよな、俺に。」
「チッ、うっせーな反省してまーす…」
「正座ぁ!!!」
「イヤだって直感くんが
「テメェの直感は信頼してるけどなぁ!ウチのユエが被弾したんだぞゴラァ!」
「………そっすか。」
「なんだその『あー、そうなんだ?で?』みたいな態度ォ……」
「被弾は被弾でも服じゃんね…」
「服も体の一部だろうが!」
なんかワチャワチャしてたのでカット
突然、天井付近の大樹の一部が輝き始めた。ユエの服のダメージをチクチク縫って回復しつつそちらに注目していると、メキメキッと音を響かせながら大きな枝が新たに生え始める。
その枝は、新たな通路となってどんどん長さを伸ばすと、上から天へと伸びる階段のように降りてきた。
「ユエ、服終わったよ。」
「…意外と光輝は家庭的。」
「意外って何さ以外って…」
五本目の枝通路を登りきると、そこにはいつものように洞が出来ていた。躊躇いなく進むと、案の定、光が溢れ出し転移陣が起動する。
光が収まったあとハジメ達の目の前に広がっていたのは……庭園だった。
空が非常に近く感じられる。
空気はとても澄んでいて、学校の体育館程度の大きさのその場所にはチョロチョロと流れるいくつもの可愛らしい水路と芝生のような地面、あちこちから突き出すように伸びている比較的小さな樹々、小さな白亜の建物があった。
そして一番奥には円形の水路で囲まれた小さな島と、その中央に一際大きな樹、その樹の枝が絡みついている石版があった。
ティオがスタスタと歩いて庭園の淵に行き眼下を覗き込む。
「ご主人様よ。どうやらここは大樹の天辺付近みたいじゃぞ?」
ティオの言葉に、他のメンバーも庭園の端から下を見やる。すると、眼下には広大な雲海と見紛う濃霧の海が広がっていた。
「ふーむ…直感くんが言うにはマジっぽいね…」
「おいおい、それはおかしいだろ。俺達がフェルニルで樹海の上を飛んで来たときには大樹なんてなかった。濃霧があるところまでで目算しても、この庭園の高さは二百メートルはある。こんなでっかい樹を見逃すはずがないが……」
そこまで言ってから、ハジメは自分の発言のおかしさに気がついた。そもそも、地上で見た大樹の大きさからして、樹海を覆う濃霧を越えて上部が上空に突き出しているのは当たり前のことだ。
にもかかわらず、今の今まで、フェルニルから大樹を確認できなかったことを
「……なるほど。隠蔽する魔法でも働いてるってことか」
「……ん。闇系統にそういう魔法はある……魂魄魔法ならもっと……あるいは空間をずらしてる?」
ハジメの推論に、ユエが魔法の考察をする。闇系統なら認識阻害系の魔法もあるが規模がおかしい。魂魄魔法なら魂魄に干渉して意識させないようにすることもあるいは……と考えた。しかし、違和感すら覚えさせないというのは今のユエでもまだ無理だ。
ハジメ達は感心したような表情になる。用意されていた試練の数々は最低に嫌らしいものばかりだったが、そこはやはり解放者。ただの性悪ではないらしい。
「やっぱり、ここがゴールか」
水路で囲まれた円状の小さな島に、ハジメ達が可愛らしいアーチを渡って降り立つ。途端、石版が輝き出し、水路に若草色の魔力が流れ込んだ。水路そのものが魔法陣となっているのだ。ホタルのような燐光がゆらゆらと立ち昇る。
いつもと同じように記憶を精査されるような感覚と、直後の知識を無理やり刻み込まれる感覚。慣れたものだがやはり気持ち悪い(小並感)
ハジメが、流れ込んできた知識から読み取った新たな神代魔法を口にしようとしたその時、おもむろに目の前の石版に絡みついた樹がうねり始めた。
何事かとハジメ達が身構える。そんなハジメ達を尻目に立ち昇る燐光に照らされた樹はぐねぐねと形を変えていき、やがて、その幹の真ん中に人の顔を作り始めた。ググッとせり出てきて、肩から上だけの女性とわかる容姿が出来上がっていく。
そうして完全に人型が出来上がると、その女性は閉じていた目を開ける。そして、そっと口を開いた。
「まずは、おめでとうと言わせてもらうわ。よく、数々の大迷宮とわたくしの、このリューティリス・ハルツィナの用意した試練を乗り越えたわね。あなた達に最大限の敬意を表し、ひどく辛い試練を仕掛けたことを深くお詫び致します」
どうやら樹を媒体にした記録のようだ。オスカーのような映像の代わりということだろう。どこかリリアーナのような王族に通じる気品と威厳があるように感じる。樹の幹から出来ているのではっきりとは分からないが、ストレートの髪を中分けにした美人に見える。
「しかし、これもまた必要なこと。他の大迷宮を乗り越えて来たあなた方ならば、神々と我々の関係、過去の悲劇、そして今、起きている何か……全て把握しているはずね? それ故に、揺るがぬ絆と、揺らぎ得る心というものを知って欲しかったのよ。きっと、ここまでたどり着いたあなた達なら、心の強さというものも、逆に、弱さというものも理解したと思う。それが、この先の未来で、あなた達の力になることを切に願っているわ」
「悲劇も神も割とどうでもいいだよなぁ…」
一人を除いて神妙な顔でリューティリスの話を聞く一行。しかし、ハジメは既に焦れてきたようだ。御託はいらないという表情である。一応光輝と違い空気を読んで大人しく聞いているが。
「あなた達が、どんな目的の為に、私の魔法―― 〝昇華魔法〟を得ようとしたのかは分からない。どう使おうとも、あなた達の自由だわ。でも。どうか力に溺れることだけはなく、そうなりそうな時は絆の標に縋りなさい」
ハジメがキョロキョロし始めた。どう見ても攻略の証を探している。既に話は聞いていなさそうだ。その視線が石版にチラチラと注がれていることから、その内、勝手に取り出そうとするかも知れない。リューティリスは話を急いだ方がいいだろう。ただの記録なので無理だろうが。
「わたくしの与えた神代の魔法〝昇華〟は、全ての〝力〟を最低でも一段進化させる。与えた知識の通りに。けれど、この魔法の真価は、もっと別のところにあるわ」
ハジメの眼がクワっと見開かれた。ドンナーに掛かっていた手が元に戻り、どういうことだとリューティリスに視線が向けられる。昇華魔法の真価など与えられた知識の中にない。「先にそれを教えろや」と非難的な眼差しを向けている。
「昇華魔法は、文字通り全ての〝力〟を昇華させる。それは神代魔法も例外じゃない。生成魔法、重力魔法、魂魄魔法、変成魔法、空間魔法、再生魔法……これらは理の根幹に作用する強大な力。その全てが一段進化し、更に組み合わさることで神代魔法を超える魔法に至る。神の御業とも言うべき魔法――〝概念魔法〟に」
誰かがゴクリと生唾を飲み込んだ音がやけに大きく響いた。
ハジメも大きく目を見開いて驚きをあらわにしている。その脳裏には、かつて【ライセン大迷宮】でミレディ・ライセンに言われたことが過ぎっていた。確か彼女は、望みを叶えたいのなら全ての神代魔法を手に入れろと言っていた。それは、このことを言っていたのだろう。
「概念魔法――そのままの意味よ。あらゆる概念をこの世に顕現・作用させる魔法。ただし、この魔法は全ての神代魔法を手に入れたとしても容易に修得することは出来ないわ。なぜなら、概念魔法は理論ではなく極限の意志によって生み出されるものだから」
それが魔法陣による知識転写が出来なかった理由。
ハジメは説明を聞いて眉をしかめる。〝極限の意志〟……何て、ふわっとした説明なんだ、と。
「わたくし達、解放者のメンバーでも七人掛りで何十年かけても、たった三つの概念魔法しか生み出すことが出来なかったわ。もっとも、わたくし達にはそれで十分ではあったのだけれど……。その内の一つをあなた達に」
リューティリスがそう言った直後、石版の中央がスライドし奥から懐中時計のようなものが出てきた。それを手に取るハジメ。表には半透明の蓋の中に同じ長さの針が一本中央に固定されており、裏側にはリューティリス・ハルツィナの紋様が描かれていた。どうやら攻略の証も兼ねているようだ。ハジメが、手中のそれをしげしげと見つめているとリューティリスが説明を再開した。
「名を〝導越の羅針盤〟――込められた概念は〝望んだ場所を指し示す〟よ」
ハジメは、その言葉を聞いた瞬間、自分の心臓が跳ねる音を確かに聞いた。
〝望んだ場所を指し示す〟。ならば、それなら……
「どこでも、何にでも、望めばその場所へと導いてくれるわ。それが隠されたものでもあっても、あるいは――別の世界であっても」
「っ……」
きっと、リューティリスの言っている〝別の世界〟とは神のいる世界のことだろう。極限の意志のみによって概念魔法が生み出されるというのなら、解放者達の意志など決まっている。それは当然、神を倒すことだ。
ならば、この羅針盤は神のいる場所を探し出すために作り出されたのだろう。おそらく、オスカー辺りが概念魔法を生成魔法で付与した材料を使って、この羅針盤を作成したに違いない。
だが、別の世界でも、その場所を示して導いてくれるというのなら――それは、故郷でも、日本でも可能なはずだ。
故郷に帰るための一手が手に入った。……ハジメの胸中に、どうしようもない程の歓喜が湧き上がる。それを察したのか、傍らのユエが優しげな眼差しでハジメを見上げながらギュッと手を握り締めた。
「全ての神代魔法を手に入れ、そこに確かな意志があるのなら、あなた達はどこにでも行ける。自由な意志のもと、あなた達の進む未来に幸多からんことを祈っているわ」
伝えることは最低限伝えたということか、リューティリスはそれを最後の言葉に再び樹の中へと戻っていき、後には唯の石版に絡みついた樹だけが残った。
余韻に浸っているような、あるいは、今起きた出来事を咀嚼しているかのような沈黙が場を満たす。そよそよと吹く風が起こす葉擦れの音だけが辺りに響いていた。
やがて、その静寂を破ってハジメが感情を抑えたような抑揚のない声音でユエに尋ねる。
「ユエ、念の為に聞くが……昇華魔法を使えば……空間魔法で………………世界を越えられるか?」
ハジメの背後で、光輝達のハッとする気配が広がった。
ユエは、その言葉の重みを知っているがために即答は避けて、必死にその可能性を探る。刻み込まれた知識と、間違いなく現代において最高最強の魔法使いとしての知識をフル活用する。
その結果、得た答えは……
「…………ごめんなさい」
「そうか……」
そういうことだ。ただ昇華しただけの空間魔法で世界が越えられるなら、きっと解放者達も苦労しなかったに違いない。
リューティリスは言った。三つの概念魔法を作ったと。一つは〝導越の羅針盤〟に付与した概念。ならば、後の二つは異なる神の世界に行く為の概念と打倒するための概念だろう。
つまり、概念魔法の域に達しなければ世界を越えることは至難だということだ。
ハジメの期待に応えられなかったせいか項垂れるユエに、ハジメは優しげな眼差しを向けると、そっとその美しい黄金の髪を指で梳いた。地肌に触れる感触に、ユエはくすぐったそうに首を竦めながら上目遣いでハジメを見つめる。
「なに、問題ないさ。あわよくばって思っただけだ。必要な神代魔法はあと一つ。それを手に入れればいいだけだからな。なんにせよ、ユエがそんな顔をする必要はねぇよ」
帰れるかもしれないという思いに逸っていた心は既に落ち着きを取り戻したようで、ハジメは余裕のある表情で肩を竦める。そんなハジメの様子にユエも安心したのか、「……ん」といつものように返事をしてハジメに擦り寄った。
「ゴホンッ、ゴホンッ! ハジメさ~ん、ユエさ~ん、いいですか? どうやら、下に降りるショートカットの道も出現したみたいなので、そろそろイチャイチャから戻って下さ~い」
シアの「はいはい、いつも通りいつも通り」と言わんばかりの投げやり気味な言葉にハジメとユエが振り返れば、確かに庭園の一角に魔法陣が出現していた。シアの予想通り、地上へ降りるためのショートカットだろう。
「とにかく、一度フェアベルゲンに戻って、少しゆっくりしよう。……ユエに癒されたい」
「くふふ……いっぱいして上げる」
「わ、私も、膝枕とか! いろいろしますよぉ! 何ならその先も!」
「私だって、な、何でもするから! 何でもするから! 大切なことだから二度言うよ!」
「コッチも疲れたかな…*1」
「ふむ、ご主人様は疲れておるのじゃな。よかろう。妾を椅子替わりにしてくつろぐがいい。別に足場でもいいんじゃよ? 好きなだけ踏みつけてくれていいんじゃよ?」
ハジメがユエを抱っこしながら転移陣へと歩いていくと、その左右と後ろを固めながらシア達が頑張ってアピールする。
ハジメは小さく笑いながら、空いた片手でシアの手を包み込んだ。ビクッとしながらも嬉しそうに握り返すシア。何となく、シアが優先されているような気がして香織が羨ましげな眼差しをシアに向ける。
光輝も今回ばかりはぐっすりと眠りたいらしい。目を擦りながら歩いており、その背中にティオがその豊満な体を擦り付けている。その後には忍者兎達が肩を落として歩いている。魔法は習得出来なかったらしい。
ゴキブリ戦があれば習得できたかもしれないが、しかしもしも好感度反転で殺し合いを始めれば確実に死人が出るか迷宮が消し飛ぶのでしょうがないのである。
何はともあれ、こうして七大迷宮の一つ【ハルツィナ樹海】の攻略は終わったのだった。
モチベがキツイ…やる事たくさんだぁ…たいへんだぁ…