ドラゴンボールschwarz rozen 作:ある日そこに居たであろうクマさん
ジュエリ来訪より数週間後〜
時の巣 刻蔵庫内
「え?エイジ756?確かそれって...!!」
「そう。貴方達も知っての通り...悟空君やかつてマジュニアと呼ばれていた頃。つまりは大魔王時代のピッコロが戦った第23回天下一武道会」
「そこで正体不明の巨大な力が一瞬だけ出現した」
「その上、そやつの反応が現れた途端に微量ではあるが時空に歪みが生じておる。今のところ時間差で消える様な小さなものじゃが...そこの娘っ子の件もあるしの」
「そこで貴方達の誰か、できればヴォルカに行ってもらいたいのよ」
「!」
現在、この中では時の界王神、老界王神、トランクス、エース、ヴォルカ。そしてジュエリの計6名が集っていた。内容は最近になって時の巣で観測されたエイジ756における天下一武道会周辺に現れた謎の気の塊。それは時の巻物に今までに無いような反応を見せたが、それも一瞬で収まり、事態は収束したかのように思えた。
だが、実際は違ったのだ。
「謎の気が消えても小さな歪みは未だ消えん。それも一週間たっても未だじゃ。更にお主らとは別に調査に向かったタイムパトローラーが四人行方不明のままでの。どうにかして彼女達も無事に連れて帰りたい」
「なるほど...」
(巨大な気、小さな時空の歪み。それに四名のタイムパトローラーが行方不明...確かにこれはおかしい)
「ですが、何故ヴォルカなんですか?それならオレ達も...」
突如として現れた二つの異常に加え、その調査に向かった結果行方をくらませたタイムパトローラー達。彼女達の行方を探る為にも誰かがその調査に向かわなければならない。そして時の界王神は1番の適任としてヴォルカを選出した訳なのだが...
「それはジュエリの...彼女の話を聞いたこと。そして今回の一件。全てが無関係とは思えない。つまり、これらの事件には共通点があるんじゃないかって」
「それは...やはり『アレ』...ですか?」
「ええ、私はそう睨んでる」
ここに居る皆。正確にはジュエリ以外がその理由を察していた。実際ヴォルカ達も時の界王神達と彼女が話した内容はここにいる皆も共有出来ている。故にこそヴォルカは『エイジ756』という言葉を聞いてある程度は察していた。
確かそこは...
「ロンが...
「そう。あの男...貴女や他のみんなもよく知っているロン・クロイツ。奴が以前知り合った弦巻こころちゃんに化けて武道会に出場していた年代。だからこそ思ったの。今回の事件は奴が絡んでいるんじゃないかって」
そう。この場の皆。特にヴォルカとエース。そしてトランクスは嫌というほど覚えている。あの様な存在...忘れろという方が無理がある。特に最後に見せられた『アレ』は...
だが、そんな思いを抱く様な相手だからこそ...その最後もよく覚えている。彼は...
「でっですが、時の界王神様!あの人は既にこの世界にも、どの異世界にも存在しません!!それに今この世界があるのは...!!」
「ええ、分かっているわ。もちろん今の世界がなぜあるのかもちゃんと覚えてる」
ロン・クロイツ。彼は最後のその時...その場の『人間』全てを見守りつつ消えた。自身のあるべき本当の場所への『帰還』を果たしたのだ。それはあの時その場にいた誰もが知っている。それに現在ある全ての異世界には少なからず彼の力の影響が残っている。何故ならソレがなければこの世界全てが滅んでしまうから。故にもはやこの一件にロンが関わっていることは無いだろう。
少なくともトランクスやヴォルカ達はそう思っていた。
だが...
「でも、もし奴があの一件とは別で何かを残していたら?以前の転生者協会の人から聞いたのよ...奴は以前一人の弟子を取っていたって...」
「「「「!」」」」
「なんじゃと!?じゃあ、なにか...?今回の一件。奴の弟子が...」
「いいえ、その後聞いた話だと、その弟子は既に他界したらしいわ」
「なら、そこまで心配はいらないのでは...」
「私も最初はそう思った。でもね、考えてみて...もし、奴が他に弟子を取っていたら...もしその弟子が将来的にでも奴に匹敵するような存在だったなら!」
「!そうかっ確かに!なにもあの人の弟子が一人だけとは限らない!現に数年前、あの人が一時的とはいえ弟子の様な扱いをした人間が一人...」
「「「「いる!」」」」
「えっ?いや、その...」
「?」
そう。問題なのは彼が過去に自身の『弟子』。もしくはそれに類する存在を取っていたこと。そしてその弟子は一人とは限らない。過去の弟子が一人死したとて、他に弟子がいないとは言い切れない。現に弟子とは言い難いが、似たような立場の存在ヴォルカが彼女達の目の前にいた。故に油断は出来ない。
何せその弟子がどういった存在なのか、どれほど強いのか、はたまた
それに...
「よくよく考えてみると、ジュエリが探すNとやらと歪みの原因だと思われる存在が同一人物の可能性もありますよね」
「...オレも同意見です。今回の件、よく調査をしてみるべきです」
「やっぱりそうよね...それでヴォルカ、貴女はどう思う...?ヴォルカ?」
エースとトランクスが自身の意見を出し、それに頷きながらヴォルカの方を見る時の界王神。だが、そこには悩ましげな表情を浮かべた彼女の姿があった。
(ロン...やっぱりまだ.....それにこの娘も...!!)
「っごめんなさい!ちょっと考え込んでて!」
「フフッ良いのよ...やっぱりまだ忘れられないよね.....じゃあ、今回はやっぱりトランクス達に任せて「いえ、私が行きます」判断が早い!?」
「確かに色々思うことはあるけど、今回の事は元々解決しておくべきだと思ってたし...それに、ジュエリのことや時空の歪みだけじゃなくて他のタイムパトローラーの子達の事も助けてあげないと...!!」
「!そうね...あの子達の救出の為にも誰かが...より強い誰かに行ってもらわないと.....ヴォルカ、お願い出来るかしら?」
「.....はい!任せてください!!」
ジュエリとN。時空の歪みと謎の気。そしてロンとその弟子。それぞれのことを考えつつ時の界王神からの任務を請け負ったヴォルカ。だが、その脳裏にはまた別の...とある疑問だけが残り続けていた。
それは...
時の界王神様やみんな.....もしかして...いや、そんな筈は無い。それとも、私の勘違い...ソレも無い筈、筈なの、に.....
彼女が感じたのはあまりにも不自然で異質。それでいて支局単純。あまりにも明白と取れるほどの正論。そう呼べるほどの『疑問』なのだ。実際、この時はヴォルカ以外の誰もがそのことに気づいていなかった...
否、
それは.....
(なんでみんな.....!!)
いや...この事は気にしちゃダメだ。気にしすぎたらまた思いだす!!
自身の脳裏の奥の奥。記憶の中でも厳重に保管、管理されたその金庫の中にあるソレをその手で掴もうとした彼女はソレを取れば自身の中の大事なナニカを壊しかねないと判断し、その動きを止め、残る疑問と共に再びソレら全てを金庫の奥底に仕舞い込んだ。もう二度と...永久に出てこない様に.....
「...ねえ、そのお仕事私も行っていい?」
「え.....?」
「「「「?」」」」
そして、彼女の記憶が蓋をされたその瞬間。その場で新たな問題が浮上した。それはもちろん彼ら彼女らの話を聞いていたもう一人。この一件の中心人物の一人。名を...
「あの...それはちょっとやめた方が...」
「!!ええ〜〜!!だって『N』がいるかもしれないのに...!!」
「いや、違っ落ち着いてっ!」
「いやーーーー!!いっしょにいくの〜〜〜〜〜ッ!!!」
「こっ困ったなぁ〜」
「まあ元々こやつの目的は『N』とやらに会うことじゃったみたいだし...その時代に行けば会えるかもしれんと分かってしもうたしの〜」
「本当に困ったわね〜別にそこまで問題がある訳でもないけど...」
皆の話を聞きながら突如としてその場で泣き出した
実際ジュエリ自身も遭遇したことは無いし、その姿を目に納めたことすらない。どの様な存在かもほとんど分からない訳だが、それでも自身がここまで育った理由の大前提はそのNにある。ならば一度はあってみたいというのが彼女の考えである。
「.......」
だが、その様子を見た時の界王神はいち早くこう思っていた。確かにこの任務に同乗することは問題ない。可能と言えば可能だ。だが、どの様なものにも『万が一』がある。そもそも彼女が未だ何者なのかも全てが分かった訳ではないし、ましてやNとやらが本当にいたとして、今回の事件に関わりがあろうがあるまいが...必ずしも味方とは限らない。だからこそこれはそう簡単に決めていい問題ではない。
そしてなにより...今回の時空の歪み。そのことを聞きつけた時より、彼女の中の直感。謂わば第六感が告げていたのだ。
(これは...)
この一件は自身達の想像を遥かに超えた...予測も予想も出来ぬ『未知』との邂逅。今までとは一線を超えた、新しいナニカとの遭遇となると...
そしてこれは.....
(始まり.....何が起ころうとこの一件は序の口に過ぎないこと.....)
これらの考えがよぎった瞬間。彼女の頭には退避、拒否、逃避などの言葉が全てを埋め尽くした。このままでは...今の自身の選択のままでは自身の大切なものを全て失うことになる。そう感じたのである...
だが、それと同時に...
「...!!分かったわ。ヴォルカ、この娘も...ジュエリも連れて行ってあげて!」
「っやったーーーーッ!!」
「「!」」
「なっなんじゃと!?」
「時の界王神様...別に私はいいんですけど.....」
確かにこの件、未だに不安を感じる。むしろ不安以外の要素がない。だが、ソレでも尚不安と並び立つかの様に希望を感じる。この子達なら...みんながいるなら.....
「信じてみようと思ってね...この娘や貴女の可能性を...!!」
「!分かりました.....その代わり、私の言うことにはキッチリ従うこと。分かった?ジュエリ」
「うん!分かったっ!!」
「本当に分かってるの...か?」
「まあ、今更なにを言うても遅いじゃろ?決まったモンは仕方がない。兎にも角にも無理をせん様に行ってくるじゃ!良いな!」
「「はい!」」
この娘達ならどんな困難かあろうとも...乗り越えられる。どこか不思議な...そんな可能性の息吹を時の界王神は感じていたのであった。
こうして二人はエイジ756に存在する天下一武道会の場へと旅立って行ったのであった。
そして...時間は『現在』...
エイジ756.....
新たな始まりの時代へと遡る。