ドラゴンボールschwarz rozen   作:ある日そこに居たであろうクマさん

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「.....じきに...くる...」

光も届かぬ暗闇の中。そこに居座る何者かはゆっくりと立ち上がり、静かに『星』を見た。輝かしく眩しい...自身とは正反対の存在。愚かにもソレと関わって滅んだ自分とは別の...かの者に救われたとも言える存在。

「とな、り...は!!タイ...ムパトロー、ラー」

そしてその隣にはかつて幾度かその姿を目にした紅蓮の女が空を飛んでこちらに向かってきていた。あれからもう何年と経ったことだろうか...あれだけ小さかった小娘があまりに大きく、より強大な存在となってこちらに向かってきている。本当に...『時』とは残酷なものだ。

「でも...問題、ない!!」

そう...相手がどれほどの強さに至ろうと、相手がどれほどの存在であろうと関係は無い。
問題なのは...

「私はただの"語り部,,.....それ以上でもそれ以外、でもない...」

物語を紡ぐ為...その先を託せるかどうかだ。






第四紅 暗黒の呼び声 前編

 

 

「ねえ...本当にこっちであってるの?天下一武道会の会場からは離れてるんだけど...?」

 

「うん!こっちから気配がする!」

 

現在、エイジ756の天下一武道会の会場近くから飛び立ったヴォルカ達。二人は今回同行してきたジュエリを先頭とし、先程の島から約10キロ近くは離れた海上まで移動してきていた。

 

「でも...今回の時空の歪みは会場側だったし...それにアンタがNの気配を辿ってきてるならNと時空の歪みの発生源は別ってことにならない?」

(そもそもNも会場に居る、もしくは手がかりもある筈なんじゃ...)

 

「ん〜そうかもしれない...けど、やっぱりずっと前にその気配や気?は覚えさせられてるから、姿は知らなくてもなんとなく()()()()()っていうのは分かるんだよね」

 

「なるほど...ん?ちょっと待って.....じゃあこれ手分けした方が良かったんじゃないの?」

 

「そうでも無い.....と思う、よ」

 

共に空を飛びながら周囲を警戒しつつ話し合う二人。実はこの時ジュエリが武空術を使えること、そして仮名Nの気配を探知できることを初めて知ったヴォルカは途中明らかに言葉を濁した彼女をジト目で睨んだが、当の本人は笑顔のまま少し冷や汗を流しつつそっぽをむいていた。

 

「そう言えばちょっと思ったんだけど...ヴォルカお姉ちゃんはなんでタイムパトローラーやってるの?」

 

「え?なんでって、それは...」

(なんでタイムパトローラーをやってるか...か。あまり聞かれないからビックリしたけど...)

 

「まあ、最初は成り行きだったんだよね...私、家族といろいろあってさ...両親が昔に他界して...そんな時に今のお兄ちゃんに出会ってね」

 

「お兄さん?あのエースって人?」

 

「うん。それから私は弱い自分を助けてくれたあの人の為に強くなろう.....そう誓った...筈だったんだよ」

 

「?今の話だと誓ったからタイムパトローラーになったんじゃないの?」

 

「確かにね。でも、実際今から数年も前に起こったある事件の時にジュエリと似た様な質問をされて」

 

唐突なジュエリからの疑問。それに答えるヴォルカのその手は静かに震えていた。実際、数年前でも今この時でも...本当に『全て』が消えた訳ではない。実際、今の質問に答えようとするだけで手が震えている。未だに自分自身の中で()()()()()を肯定しきれていない証拠だ。

そしてやはりというべきか...それと同時に数年前のとある人物との会話が頭を横切る。

 

『タイムパトローラーっ...!!貴様は本当に愚かだな.....!! そこまでの強さを有していながら...言うに事欠いて世界を守るだの、兄や家族の為だのと...ここまで哀れな自殺は初めてだ』

 

『なに...を、言って.....!?』

 

『まだ気づいてないのか?我々含めるお前達が遭遇してきた敵対者達。ソレら全て含めても本来の貴様の危険性に比べれば遥かにマシというだけだ』

 

あの時...『彼』は...『彼ら』は気づいていたのだろうか...

 

『当初なぜオリジナルが貴様を気に入ったのか...あの時は中身だけだと思っていたが.....オレの勘違いはあまりにも酷いものだった』

 

『だからなに『中身』え...?どう、いう』

 

よく思いだしてみれば、あの発言はただ見下すだけではない。あの時の彼の目には憐れみの色しかなかった。

 

『重要なのは中にいるソイツではない.....お前自身が重要だったのだ。お前はまだ人でいるから...他の人間と『同じ』になってしまっているから強くも無いし、弱くも無い』

 

『実に勿体無いッ.....!!!お前がその醜い皮を完全に捨て去れば...オレ達やオリジナルと並び歩けていただろうに...』

 

未だに脳裏に残るあの言葉。今ではその意味が少し分かる様になった。その『彼』との戦闘後より更に後。最後の戦いで確かに自身は一度全てを受け入れ、力を解放した。自分でも感じたことのない絶大な力。それをコントロールできたのは悪いことではなかったのだろう...

 

だが、その理解は結果として今の自分をより悩ませる種となっている。

おそらくいつの日か...私が思う『その時』が来てしまう。その可能性を彼は見通していたのかもしれない。

 

(私は.....いつか...)

 

「ヴォルカお姉ちゃん大丈夫?」

 

「えっああ!うん...大丈夫!ありがとうジュエリ」

 

「うん、どういたしまして。急に飛行しながら黙り込んじゃったからビックリしたよ...」

「あっそれともう着いたよ」

 

「そっか心配かけちゃってごめ...なんだって?」

 

急遽かけられた声に一瞬ハッとなるヴォルカ。彼女が隣を向くと少しムッとした顔のジュエリがこちらを向いており、慌てて返事を返したのだが、彼女がそれに気づいた時。どうやらその時には既に目的地へと着いていた様で...

 

「ここ...は洞窟?」

 

「うん。離れ小島...というか多分無人島?であってるかな」

 

彼女達が着いたのは天下一武道会の会場があるパパイヤ島より遥か離れた人気の無い孤島の上。その中にある洞窟の前に二人は降り立っていた。そしてジュエリは感じていた。Nの気配はここにある...と。

 

「ここにNが居るのかな〜?」

 

「どうだろうね.....ジュエリ、いつ何が出てきてもいい様に準備はしておいて」

 

「うん...分かった」

 

そして二人は物静かな洞窟の中へと足を踏み入れていく。この先に何があろうとも...Nという人物の気配があるというのなら、危険を承知で突き進むしかないのだ。

 

 

 

 

 

 

 

「ここ、結構じめじめしてるね...」

 

「そうだね...元々島全体が無人島であろうものだろうし、今まで人は一人も居なかったんじゃないかな?」

 

洞窟内に入って凡そ5分。二人はゆっくりと歩みを進めつつ洞窟の中を道なりに歩いていた。幸い洞窟内は一本道の様な形状であり、迷うなどの心配は無かったし、暗さは二人がそれぞれ気弾を生成することで場を照らしていたのでそこまで困るものでも無かったのだ。

 

「でも、結構奥まで来たんじゃないかな?」

 

「どうだろうね。今のこの感じは下にずっと続いてる可能性もあるし、一本道が真っ直ぐ続くとは限らない。それにこの島が横より下へと続いた方が面積がある場合もあるし...」

 

「そっか、下に続いてれば肉眼じゃ見れないもんね」

 

「そう...それとジュエリ、今Nの気配はまだしてる?」

 

「うん。結構近い...でも、なんていうか...」

 

「?どうしたの...」

 

「なんていうか...気配が周りを移動してる様な...してない様な...」

 

「は?どういうこと...?」

 

「分かんない。確かにここから気配を感じるんだけど...」

 

洞窟の中を進む中。ジュエリが再び気配を探ると、Nの気配はその洞窟の周りを囲む様に...まるでその場を回っているかの様に移動を繰り返していた。これにはヴォルカも驚き、どういうことかと思っていた...のだが。

 

「ん?ちょっと待って...!!」

 

「次はどうし...!!」

 

次の瞬間。二人は洞窟の先から何かの気配を感じた。おそらくNとは違う別の小さな気配。ヴォルカにも探知できる極上で、それでいて禍々しい気の塊。それが複数体、こちらに向かって()()()()()()()

 

「ジュエリっ来るよ!構えてッ!!」

 

「分かった!!」

 

二人にはソレが何かは分からない。だが、三つだけ確実なことは相手はこちら側に明らかな敵対意思を持つ存在であること。二つ目にその敵は複数体...否、大群でこちらに向かってきていること。そして三つ目。

その姿は...

 

キキキキキキキキキキキッッ!!!

 

「「コウモリ!!」」

 

暗闇の狩人そのものであるという事!!

 

次回 暗黒の呼び声 中編

 

 

 

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