ドラゴンボールschwarz rozen   作:ある日そこに居たであろうクマさん

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第五紅 暗黒の呼び声 中編

 

キキキキキキキキキキキッ!!

 

「こいつら、速い...!!ジュエリ、半分は任せてもいい!?」

 

「大丈夫、こっちは任せてッ!!」

 

洞窟内に突入したヴォルカとジュエリ。遥か先に見える暗闇の中から彼女達の眼前に現れたのは謎のコウモリの集団であった。だが、その動きはその宇宙の中でも上積みであろう二人からしても相当の速さを誇り、灯の少ない暗闇の中では圧倒的な有利性を保っていた。

 

キキッ!!

 

「邪魔ァッ!!」

 

「どいて...よッ!!」

 

キキュッ!?

 

だが、いくら素早く、暗闇の中で自由自在に動けても意味はない。現在、二人は生成していた気弾を完全に消していた。だが、いくら場が暗く、その動きが素速いものだとしても気の感知が行える二人にはなんの関係もない。

コウモリ達が数匹がかりでそれぞれを襲いにかかるが、ヴォルカは自身の顔に噛みつこうとした1匹を片手で捉え、同時に首に噛みつこうとした2匹諸共冷たい洞窟の地面へと叩きつけ、ジュエリは周囲のコウモリ達を回し蹴りで吹き飛ばしつつ、それを避けた1匹を手刀て真っ二つに引き裂いた。

 

キキっ!キキキキキキキッ!

 

「それは...!!」

 

無論、コウモリ達もただでは終わらない。彼らの何匹かは同胞達がやられている間に自身の口にエネルギーを溜め込み、ヴォルカとジュエリ。二人に向けて標準を合わせた。それが意味するのは自身達の数少ない生命エネルギーを全て外部へと解き放つこと。即ち、死...しかし、それは別に彼らにとってはどうでもいい。死ぬ直前に本能の赴くままにこの女達の血を吸えればあとはどうでも良い。

暗闇に生きるその存在達はその様にしてほくそ笑みつつ、人生最後のエネルギーを二人に向けて吐き出し.....!!!!

 

 

「っSchneiden(シュナイデン)!!」

 

キキキキキキキッーーーーー!?!?

 

「!その技...!!」

 

吐き出されたエネルギー。それを目にしたジュエリはおそらくそれが数百体ほどの個体全ての生命エネルギーを解き放ったものである可能性に気づいてしまった。そして同時に彼女は覚えていた。かつて父に教えられたことを.....世界によっては異なるが、ソレが魔術などに関わるものである場合。命を投げ捨て何かを手に入れようとすれば、それは等価交換などに等しい行為と見なされ、行った本人の意図せぬナニカを手に入れてしまう場合があるのだと...

 

あのコウモリ達は気づいてない。無意識化で行ったその行為が如何に哀れなことかを...彼らはただ、それをできると本能で知っていたから...自分達にも少なからず届くだろうと分かっていたその牙を使ったのだ...私達に一番通用する、より鋭利な手札(キバ)を.....!!

 

 

そしてこの結果が分かっていたからこそ...

 

「ジュエリ...アンタ、今の.....!!」

 

「っヴォルカお姉ちゃん大丈夫!?今のお父さんの技なんだけど、危なかったから使っちゃった!」

 

「え!?あっうん!だい、じょうぶ...なんだけど.....」

(今の...今の技は.....!!)

 

そしてその一連の動きを見ていたヴォルカにはコウモリ達以上の衝撃が走っていた。その技とジュエリの父の技という証言。間違いなかった...ジュエリの父親は...!!

 

「ロン...!!」

 

キキキキキキキキキキキッ!!

 

「っうるさいッ!!」

 

ギィッ!?

 

それに気づき、一瞬騒然としていたヴォルカ。そんな彼女に新たに数百匹近くのコウモリ達が飛び交ってきており、ジュエリがそれに気づき手を伸ばした瞬間。コウモリ達は一瞬にしてその場にいた数千匹ほどを肉体の一欠片も残さぬほどの業火で炭に変えられており、それを間近で見ていたジュエリも驚きのあまり手を伸ばしたまま固まっていた。

 

「...ごめん、少し慌てちゃって」

 

「だっ大丈夫!でも、何か嫌な事でもあった?私なにかしちゃったのかな?」

 

「違うの...ただ、さっきの技には見覚えがあって...」

 

「さっきの.....!!もしかしてシュナイデンのこと?じゃあ、お父さんとヴォルカは知り合いだったりするの?」

 

「.....まだ、まだ分からない。ただ、もしかしたら私が知ってる人とジュエリが言ってるお父さんは同一人物かもしれない、ね.....」

 

「そっか...お父さん.....」

 

一時的にその場のコウモリを全て無に返した二人。その場でジュエリの放った技のシュナイデンに関して話し合いを始めた二人はお互いに一息入れつつその技の本来の使い手について話し始めていた。

 

だが...

 

キキキキキキキキキキキ!!

 

「ええー!嘘ォ!またなの!?」

 

「こいつら...!!」

 

またしても洞窟内から大量のコウモリが現れ、彼女らの周囲を囲み始める。だが、その動きと先程の時間差を見たヴォルカはある事に気がついた。確かに数は多いし、連携も取れている。更に多少の気の扱いなどもできる様で先程襲ってきた個体の中には気で牙による咬合力を強化していた個体も居た。先程はそれらも当然の様に返り討ちにしたのだが、それを含めてあまりにおかしい。

まず気の操作を当たり前に扱うコウモリ。こんなものが地球上に...それもこの時代のこんな島の中に存在していること。確かに何年も人の手が入っていない島だから当たり前かもしれないが、それでもこの強さは妙だ。

 

そしておかしいのは質より数だ。最初に現れたコウモリ達を含め、あの場に現れたコウモリ達は凡そ数千匹。先程の自身の反撃でそれら全てを焼き尽くした筈。それ故にその直後にはその場で一度動きを止めジュエリと会話をしていたほどだ。だが、消したそれと同じ数のコウモリが()()()()。おそらく一分とかからず...おおよそ三十秒で現れた。それもピタリとした時間差で.....

 

一回だけならいい。ただ、もし自身の考えが当たっているというのなら.....

 

(こいつらは...ただのコウモ.....いや、『本物』ですらない!!)

「ジュエリ!走るよッ!コイツらに構う必要はない!!」

 

「ええ!?どうしちゃったの!!」

 

「いいから、走って!私の炎で道を開くッ!!」

 

突如としてその場を走り出したヴォルカはその場で構えていたジュエリの手を取り、急いでその場から走る様に促すと彼女が走り出したのを確認してから後ろに群がるコウモリ達に自身の気によって作り出した灼熱の炎を浴びせつつその場より奥のコウモリ達が飛んできた方向へと走り出す。

 

まだ一回目。故に本当にその考えがあっているかは分からない。ただ、これが正しいなら、あそこでわざわざコウモリ達の相手をしていた自分達はあまりに滑稽だ。奴らは確かに本物のコウモリだった。だが、それはおそらく種族として...もしくは()()()()()()()のコウモリ。つまりあれらは再現なのだ。コウモリという種を再現した人形とも呼べるなにか。現に自身は数年前に似たような存在に遭遇しているではないか!!

 

「ヴォルカお姉ちゃんっなんで急に!!」

 

「多分、あいつらは贋物(ニセモノ)!コウモリとしての記憶はあるけど、コウモリじゃない存在!」

 

「それってどういうこと...?」

 

「簡単に言うとコウモリの姿形と肉体構造なんかを全部再現してるけど、実際は別のところにいたコウモリ達を100%コピーした人形みたいなもの。ただ、それに造った側の意思や思想、もしくは経験や能力なんかが上乗せされてるって訳!だから普通のコウモリじゃ出来ない気の操作なんかが扱えるし、一度死んでも術者か術式のどちらかが無事なら蘇ってくる!」

 

「なっなるほど〜!もしかして魔術とかに詳しいの?私もある程度は自信あったんだけど...」

 

「前に戦った奴がご丁寧に自分の魔法や魔術なんかを解説してくれてね...戦ってる途中なのに魔術にめちゃくちゃ詳しくなるっていう変な事になっちゃったんだよね」

 

そういうヴォルカはジュエリに一から術式などについての説明を行いつつ、憎っくき金髪を思い出しながら少しばかり歯軋りをならす。先程ジュエリと話した時も思い出したが、あの時の顔はほんっとに腹がたったものだ。戦闘の最中に片手で魔導書らしきものを持ちながらこちらを一方的に地べたに這いつくばらせてくる。なんともムカつくあの時の奴の顔...!!

 

「また会う事になったら次は真正面からぶん殴ってやる!!」

 

「よく分からないけど、凄いんだね。その人」

 

「...まあ、凄いと言えば.....凄い、ね」

 

そうして些細な会話をしつつも徐々に走る速度をあげる二人。道中、前方から先回りしてきたコウモリ達もいたがそれはヴォルカの炎で焼き払い、更に先へと進んでいく。

 

そして...

 

「着いたね...なんか、ぐるぐる回りすぎて少し気持ち悪いような...」

 

「大丈夫?ジュエリ...確かにグネグネと変な道だったし、さっきの感覚でいうともう百メートル以上は余裕で降りてきた感じがするし...」

 

「...はあ、落ち着いた。でもここすっごく明るいね。天井とかに宝石みたいなのがいっぱいあるし...」

 

「確かに、色々と煌びやかというか、なんというか...!!」

 

彼女達が足を止めた先には洞窟の最深部と呼べる空間が広がっており、天井や壁には大きいものから小さいものまで、様々な珍しい宝石や鉱石などが埋まって見えていた。

 

「ここっていった「よく来たわね」!!」

 

「誰?アンタ...只者じゃないよね.....!!」

 

「大きくなったわね...タイムパトロールのおチビちゃん」

 

「!私を知ってるの!?」

 

「ええ、あまり直接的な接触は少なかったけど...トランクス達と一緒に何度か会った筈よ...」

 

そしてそれらの空間を眺めていた二人の背後から何者かが姿を現し、声をかけた。それに対し二人は互いに構えをとるものの、現れたそのフードを被った人物はヴォルカに対してどこか親しげに話しかけており、タイムパトロールやトランクス達の事も知っている様であった。

 

「さて...先ずはお互い自己紹介から始めない?その方が貴女達もやりやすいでしょう?」

 

「いや、人に変なもの消し掛けておいて何が自己紹介だ.....とは思ったけど、確かに。貴女が何者であるかはこちらとしても確認しておきたい」

 

「うふふふふっ貴女、案外面白いのね...」

(出来ればその心の声は留めておいて欲しかったのだけれど)

 

「まあ良いわ...じゃあ私から名乗るわね」

 

「私の名は()()。暗黒魔界出身の科学者でかつての暗黒魔界の王ダーブラの妹.....そして今は世界(トキ)の流れから完全に逸脱した存在。要は.....」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「貴女達の味方ってこと」

 

 

次回、暗黒の呼び声後編

 

 

 

 






次回は1月16日のどこかで数話更新致します。

それでは本日はこの辺りで失礼致します♪

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