ROM専がGANTZ世界に転生した話   作:訥々

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たまには日常回③

感想欄から生まれたレイカ視点です。

本編書け!という自分の声は無視しました。

 

──────────────────────

 

《Sideレイカ》

最初は、あの人のことがよくわからなかった。

胸を凝視するし、こちらに襲いかかってきたとはいえ生き物を躊躇いなく殺した。

日常とはかけ離れすぎていて、人間なのに恐怖を覚えた。

でも······

 

「加藤はレイカさんを守って逃げてくれ!玄野!バイク動かしてくれ!」

「お前の子供を殺したのは俺だ!!首をぶっ飛ばしてやった!!」

 

本当は、みんなの頼れるリーダーなんじゃないか。

人任せでも独りよがりでもなく、みんなの生存にとっての最適解を導き出す。

自ら囮になったのだって、今思えば玄野くんに──仲間に対する絶大の信頼があればこそ。

······たぶん、この時既に半分は堕ちていたんだと思う。

 

 

◆◆

 

 

初めてガンツメンバーの“訓練”に行ったとき。

ビルからビルへ飛び回るなんて、正気じゃないと思った。

不思議なスーツを着ているからといって、本当に大丈夫なのか。もし失敗したら···スーツの機能が本物じゃ無かったら、落下死する高さ。

 

「レイカさん、大丈夫···じゃなさそうですね」

「あの···本当にこれ飛ぶんですか?」

「うん、飛べる距離は元々の身体能力によって多少は変わるっぽいけど、レイカさんなら十分に飛べる距離ですよ」

 

······どう見積もっても10mはある。

本当に行けるんだろうか。

 

「スーツの耐久が満タンなら、ここから落ちても怪我はしないけど···うーん···じゃあ俺がおんぶして飛ぶから、感覚だけでも掴むっていうのはどうです?」

「えっ!?」

 

おんぶ!?

いや普段だったら嬉しいけど···

まあ恥ずかしい体格はしてないはずだけど···

いやいやいや、人間1人を背負ってこの距離を飛ぶのはさすがに無理でしょう。

 

「あ···ごめん。そりゃ嫌っすよね、何か別の方法を考え──」

「待って!嫌じゃないから!」

「っ?わ、分かりました」

 

「······軽いですね」

「···そう?」

「じゃあ、助走をつけてから飛びますよ。飛ぶときの感覚を身につけるためなので、怖くても目は開けていてくださいね」

「うん···」

 

ゴツゴツした、男の子の背中。

···飛ぶことに対する怖さが薄れ、別のことばかり気になってしまう。

いま鼓動が高鳴っている理由が、黒川くんにはどうかまだバレませんように。

 

黒川くんが力強く地面を蹴り飛ばし、瞬きのあとには跳んでいた。

風をきってグングン進んでいき、危なげなく向かいのビルへ着地した。

 

「どうでした?」

「···怖かった、です」

「······そっか。じゃあ今日はもうやめ──」

「でも、もう1回黒川くんがおんぶして飛んでくれたら···頑張れると思い、ます」

「マジで?···じゃあもう一度···」

 

「どうでした?」

「······もう1回」

 

「もう1回」

 

結局その日は自分の足で飛ばなかった。

次の訓練の時にはもう、高所なんか微塵も怖くなくなっていた。

 

 

◆◆

 

 

「今から黒川くんの家行ってもいいかな?」

『家に、今から?』

「うん。ご飯作ろうかと思って···ごめん、いきなりすぎたよね」

『ああいや、俺は平気。むしろ嬉しいよ』

「っ···ほんと?」

『ほんと。レイカさんが来て喜ばない高校生はいないよ』

 

今では当たり前になったタメ口が嬉しい。

高校生じゃなくて、私は“君だけ”に喜んでほしいんだけどな。

でも“嬉しい”という言葉が聞けたから良し。

 

 

「お邪魔します···」

「いらっしゃい」

 

私服···というか寝間着姿の黒川くん。

そういえばシャワー上がりなんだった。

なんというか、色気が···破壊力凄い。

 

「ごめんね、こんな時間に来ちゃって」

「大丈夫。でも変装はした方が···」

「あ···そういえば。慌てちゃって、忘れてた」

 

気遣いが優しい···でも黒川くんとなら、熱愛報道されても別に···いや黒川くんに迷惑だからダメか。

浮かれすぎてたな、気をつけないと。

 

「じゃあ玄関で話すのもなんだし、()()()()()()だけど上がって。あ、荷物持つよ」

「え、あ···ありがとう」

 

気遣いが優しい(2回目)。

 

「レイカさんって料理得意なの?」

「あんまり上手じゃないけど、がんばる」

 

頑張って、美味しいカレーを作ってみせる。

 

 

 

すとん、す······どん

 

包丁が滑ってまな板とぶつかり、大きな音が出てしまった。

にんじん···硬すぎる···。

でもスーツの人工筋肉を使ったら、まな板どころかキッチンが崩壊しちゃうからなあ。

 

()()()、野菜は猫の手で押さえて。こう、指の腹を使って···「こう?」うん。いい感じ」

 

指が触れた。

黒川くんに触られた。

少しゴツゴツしていて、綺麗な指。

しかも呼び捨てまで······。

···声色はともかく、いま私の顔は真っ赤だろう。黒川くんに見られない立ち位置で良かった。

 

 

 

カレーが完成した。

カレーをよそって、ローテーブル越しに向かい合って座る。

 

「「いただきます」」

 

「ん、おいしいな」

「···でも結局、ほとんど黒川くんがやってくれた気がするんだけど」

 

私は野菜を切っただけで、あとは後ろで見ているだけだったような···。

私は味見係じゃないのに!

むくれる私に黒川くんは言った。

 

「そんなことない。レイカさんのカレー、すごく美味いよ」

「······ありがとう」

 

心臓破裂でそろそろ私は死ぬかもしれない。

 

 

◆◆

 

 

カレーを食べ終えて時計を見ると、もう結構遅い時間になっていた。

 

「そろそろ帰る?途中まで送っていくよ」

 

黒川くん家に泊まりたい···とは言わない。

色々と準備があるし、それ以前に親密度がまだ足りない。時期尚早だ。

 

「いいの?さすがに申し訳ないというか···」

「最近は物騒だし、レイカさんが夜道を1人で歩くのは危ないよ」

 

いちいち気遣いが優しい。

そういうところだよ。

 

「名前······」

「え?」

「高校生同士だし、レイカさんじゃなくて()()()って呼んでほしい」

「え?」

 

「······レイカ」

「···うん、()()()

 

今は呼び捨てぐらいで我慢するけど、少しずつ積み上げて、絶対に仕留めてみせる。

──鈍感な彼に“好き”って言わせるための戦いが始まった。

 

 

1番戦いたくないのは?(装備や参加者などは原作通りとする)

  • 千手
  • オニ
  • ぬらり
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