感想欄から生まれたレイカ視点です。
本編書け!という自分の声は無視しました。
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《Sideレイカ》
最初は、あの人のことがよくわからなかった。
胸を凝視するし、こちらに襲いかかってきたとはいえ生き物を躊躇いなく殺した。
日常とはかけ離れすぎていて、人間なのに恐怖を覚えた。
でも······
「加藤はレイカさんを守って逃げてくれ!玄野!バイク動かしてくれ!」
「お前の子供を殺したのは俺だ!!首をぶっ飛ばしてやった!!」
本当は、みんなの頼れるリーダーなんじゃないか。
人任せでも独りよがりでもなく、みんなの生存にとっての最適解を導き出す。
自ら囮になったのだって、今思えば玄野くんに──仲間に対する絶大の信頼があればこそ。
······たぶん、この時既に半分は堕ちていたんだと思う。
◆◆
初めてガンツメンバーの“訓練”に行ったとき。
ビルからビルへ飛び回るなんて、正気じゃないと思った。
不思議なスーツを着ているからといって、本当に大丈夫なのか。もし失敗したら···スーツの機能が本物じゃ無かったら、落下死する高さ。
「レイカさん、大丈夫···じゃなさそうですね」
「あの···本当にこれ飛ぶんですか?」
「うん、飛べる距離は元々の身体能力によって多少は変わるっぽいけど、レイカさんなら十分に飛べる距離ですよ」
······どう見積もっても10mはある。
本当に行けるんだろうか。
「スーツの耐久が満タンなら、ここから落ちても怪我はしないけど···うーん···じゃあ俺がおんぶして飛ぶから、感覚だけでも掴むっていうのはどうです?」
「えっ!?」
おんぶ!?
いや普段だったら嬉しいけど···
まあ恥ずかしい体格はしてないはずだけど···
いやいやいや、人間1人を背負ってこの距離を飛ぶのはさすがに無理でしょう。
「あ···ごめん。そりゃ嫌っすよね、何か別の方法を考え──」
「待って!嫌じゃないから!」
「っ?わ、分かりました」
「······軽いですね」
「···そう?」
「じゃあ、助走をつけてから飛びますよ。飛ぶときの感覚を身につけるためなので、怖くても目は開けていてくださいね」
「うん···」
ゴツゴツした、男の子の背中。
···飛ぶことに対する怖さが薄れ、別のことばかり気になってしまう。
いま鼓動が高鳴っている理由が、黒川くんにはどうかまだバレませんように。
黒川くんが力強く地面を蹴り飛ばし、瞬きのあとには跳んでいた。
風をきってグングン進んでいき、危なげなく向かいのビルへ着地した。
「どうでした?」
「···怖かった、です」
「······そっか。じゃあ今日はもうやめ──」
「でも、もう1回黒川くんがおんぶして飛んでくれたら···頑張れると思い、ます」
「マジで?···じゃあもう一度···」
「どうでした?」
「······もう1回」
「もう1回」
結局その日は自分の足で飛ばなかった。
次の訓練の時にはもう、高所なんか微塵も怖くなくなっていた。
◆◆
「今から黒川くんの家行ってもいいかな?」
『家に、今から?』
「うん。ご飯作ろうかと思って···ごめん、いきなりすぎたよね」
『ああいや、俺は平気。むしろ嬉しいよ』
「っ···ほんと?」
『ほんと。レイカさんが来て喜ばない高校生はいないよ』
今では当たり前になったタメ口が嬉しい。
高校生じゃなくて、私は“君だけ”に喜んでほしいんだけどな。
でも“嬉しい”という言葉が聞けたから良し。
「お邪魔します···」
「いらっしゃい」
私服···というか寝間着姿の黒川くん。
そういえばシャワー上がりなんだった。
なんというか、色気が···破壊力凄い。
「ごめんね、こんな時間に来ちゃって」
「大丈夫。でも変装はした方が···」
「あ···そういえば。慌てちゃって、忘れてた」
気遣いが優しい···でも黒川くんとなら、熱愛報道されても別に···いや黒川くんに迷惑だからダメか。
浮かれすぎてたな、気をつけないと。
「じゃあ玄関で話すのもなんだし、
「え、あ···ありがとう」
気遣いが優しい(2回目)。
「レイカさんって料理得意なの?」
「あんまり上手じゃないけど、がんばる」
頑張って、美味しいカレーを作ってみせる。
すとん、す······どん
包丁が滑ってまな板とぶつかり、大きな音が出てしまった。
にんじん···硬すぎる···。
でもスーツの人工筋肉を使ったら、まな板どころかキッチンが崩壊しちゃうからなあ。
「
指が触れた。
黒川くんに触られた。
少しゴツゴツしていて、綺麗な指。
しかも呼び捨てまで······。
···声色はともかく、いま私の顔は真っ赤だろう。黒川くんに見られない立ち位置で良かった。
カレーが完成した。
カレーをよそって、ローテーブル越しに向かい合って座る。
「「いただきます」」
「ん、おいしいな」
「···でも結局、ほとんど黒川くんがやってくれた気がするんだけど」
私は野菜を切っただけで、あとは後ろで見ているだけだったような···。
私は味見係じゃないのに!
むくれる私に黒川くんは言った。
「そんなことない。レイカさんのカレー、すごく美味いよ」
「······ありがとう」
心臓破裂でそろそろ私は死ぬかもしれない。
◆◆
カレーを食べ終えて時計を見ると、もう結構遅い時間になっていた。
「そろそろ帰る?途中まで送っていくよ」
黒川くん家に泊まりたい···とは言わない。
色々と準備があるし、それ以前に親密度がまだ足りない。時期尚早だ。
「いいの?さすがに申し訳ないというか···」
「最近は物騒だし、レイカさんが夜道を1人で歩くのは危ないよ」
いちいち気遣いが優しい。
そういうところだよ。
「名前······」
「え?」
「高校生同士だし、レイカさんじゃなくて
「え?」
「······レイカ」
「···うん、
今は呼び捨てぐらいで我慢するけど、少しずつ積み上げて、絶対に仕留めてみせる。
──鈍感な彼に“好き”って言わせるための戦いが始まった。
1番戦いたくないのは?(装備や参加者などは原作通りとする)
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千手
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オニ
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ぬらり
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イヴァ