ROM専がGANTZ世界に転生した話   作:訥々

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吸血鬼②

和泉の住むマンションに向かって、マシンガンで武装した100人近い黒服が歩いてきた。

ソイツらは数百m前方に居る和泉だけを気にして、その真上──マンションの3階にステルスで潜む俺たちの存在に気付く素振りも無い。

 

「東郷さん、お願いします」

了解(ラジャー)

 

東郷さんがXショットガンを構え、凄まじい早さで黒服たちをロックオン機能に捉える。

ロックオン機能ってかなり正確に照準を合わせないと作動してくれないから、コレだけの人数を捉えるにはかなりの時間が掛かる。

多分俺なら2秒で1人が精々だ。

だけど東郷さんは1秒で2回は上トリガーを引いている···俺の4倍早い。

僅か1分足らずで全ての黒服を捉え、上下のトリガーを同時に引く。

数瞬後、黒服集団は撃たれたことにも気づけず全員が爆散した。

 

しかし金髪の吸血鬼──氷川たちはどこに居るんだろうか。

原作だと近くに潜んでいたのか、黒服集団が壊滅した後に現れて和泉を殺したんだけど···。

不意討ちを警戒されたのかもしれない。

 

 

 

 

 

「玄野計!黒川零!コイツを殺されたくなかったら出てこい!!」

 

不意討ちを警戒したから来なかったのかな、と思ってたら来たわ。吸血鬼のリーダーである氷川と、その取り巻きの3人···そして氷川に刀を突きつけられている玄野の弟

 

()()()···!?」

 

玄野が震えた声で弟の名前を呼ぶ。

マジかよ···吸血鬼ってこんな分かりやすく卑怯だったか?

 

「仕方ないな···他のみんなは壁から顔を出さないで。玄野、行くぞ」

「···ああ!」

 

幸いなことに、相手は同じ学校に通う玄野と俺以外のメンバーを知らないらしい。

いざとなればみんなに不意討ちしてもらおう。

 

「2人とも···気を付けて」

 

レイカは不安げだけど、スーツの耐久が減った和泉1人でも善戦出来たしイケるやろ(震え)。

内心ではビビりつつ、サムズアップして3階から飛び降りた。

 

下にいた和泉と合流し、吸血鬼4人(+アキラくん)と向かい合う。

 

「情けない話だが···コソコソ隠れて不意討ちされたら敵わねーからな、こちらもゲスいことをやらせてもらったぜ」

「兄貴···」

「アキラを···返せ!」

「まずはお前らの武装解除が先だ···全員、その黒スーツを脱げ」

 

なん······だと······!?

 

「·········分かった」

「おい待て玄野正気かお前」

 

ガンツスーツは参加者の体型に合わせて作られているけど、体にぴったりすぎるサイズだから着るときに一度全裸になる必要がある。

今の俺たちはパンツすらも穿いていないわけで···黒スーツを脱ぐには全裸になるしかない。

しかもスーツを脱ぐということはステルスも解除されるわけで···氷川の命令に従ったが最後、俺たち3人は公共の場で全裸に成るド変態野郎のレッテルを貼られ、少なくとも社会的抹殺は避けられない。

 

「この寒い中で!民間人が見てる前で!マッパになったらそれこそ死ぬぞ!?」

「俺は黒スーツを脱げとしか言ってねーよ」

「俺たちは今()()()()()()()()()()んだよ!!」

「···はァ??なんだお前ら、そういう趣味なのか?気持ち悪いな」

「違うわ!ピッチリし過ぎててマッパにならねーと着れないんだよ···クソがよ···!!」

「············」

 

「···分かった。ならタイマンで闘るか」

 

ゴネ得···!圧倒的ゴネ得···ッ!

 

 

◆◆

 

 

結局、取り巻き3人と一対一で戦うことになった。長身の坊主は玄野、パーマのボクサーは和泉、老け顔のマシンガン使いは俺と戦う。

氷川はアキラを引き続き拘束している。

氷川への不意討ちは···さすがに厳しいか。

 

タタタタタタタタタタタタタタタ

 

「いッてえなクソ!」

 

中距離から延々とマシンガンを連射される。

スーツを着ていても痛いもんは痛い。

早めにケリをつけようとソードを伸ばし、胴を狙ったがあっさりと飛んで避けられた。

和泉だったら足を斬れただろうが、俺は別段ソードの使い方に長けてない。

 

「こーいうのは柄じゃないんだっつの···!」

 

しかし着地隙はどうしても発生する。深く踏み込んでソードを振れば、呆気なく両断できた。

前世やってたス◯ブラでも着地狩りは得意だったし、攻撃のタイミングは何となく分かる。

 

玄野と和泉の方を見ると、既に勝っていたらしい。吸血鬼の死骸がそれぞれ転がっている。

 

「···負けたか」

「もうお前らは終わりだ···アキラを離せ」

「ちッ···なら最後に、お前と戦わせてくれ」

 

そう言うと氷川はアキラを解放し、刀を和泉に向けた。和泉もそれに応えるようにガンツソードを構えて向き合う。

 

原作でもあった和泉と氷川の斬り合い。

しかし取り巻く状況は随分と変化している。

和泉はスーツがほとんど損耗しておらず、黒服集団も最速で全滅させたから、涼子ちゃんが来るタイミングはまだ先だ。

 

「「───!」」

 

二人が同時に踏み込み、最後の戦いが始まった。

刀身がぶつかり合う度に火花が散り、両者譲らぬ互角の戦いが繰り広げられる。

しかし技術や膂力が互角ならば、スーツの耐久が残っている和泉の勝ちだ。

 

攻防を十数度繰り返し···やがて二人の剣が互いの胴を捉え、血飛沫が舞う。

 

キュゥゥン···という音とともにゲルが零れ、和泉のスーツは無力となった。

対する氷川は···腹を断ち切られ、虫の息だ。

 

「···お前に殺されんなら···まァ···悪くねえ···か···」

 

目を閉じて満足げに笑う氷川の首を、和泉が何も言わずに斬り飛ばし···一部の残党を除いて、吸血鬼は全滅した。

 

 

 

──────────────────────

 

加藤「俺たちが来た意味あったか?」

 

 

原作で和泉が涼子を庇って斬られたとき、氷川はなぜかトドメを刺さず、舌打ちだけして去っていったんですよね。

 

※以下に書く内容は私の妄想です。

・氷川は和泉との再戦···それも一対一での再戦を望んでいた。

・しかし吸血鬼という“種族”を護るために、その想いを封じ込めて多対一での戦いをした。

・自分以外が全滅し、“種族”を護るための戦いには敗北したが、氷川にはある種の高揚感があった。

・しかし涼子という邪魔が入り、大振りだった攻撃を好敵手はあっさりと喰らってしまった。

・不満しか残らない決着に腹を立てた氷川は、舌打ちを一つだけして立ち去った。

 

ボスオニ星人にも「コイツ(和泉)には気をつけろ」と言ってましたし、ライバルとしてクソデカ感情を持っていたのかもしれません。

 

 

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