ROM専がGANTZ世界に転生した話   作:訥々

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イタリア

「あ···もしもし」

『黒川か、どうした?』

「臨時の長期休暇って事でさ、学校休もうぜ」

『···え?』

「カタストロフィまでにみっちり訓練するぞ」

『俺たちだけで、どうにかなる話じゃ···』

「まあそうかもな」

『この世界···滅んじまうのかな』

「いやいや、俺たちがなんとかするんだって」

『俺たちが?』

「ああ···この世界を救うのは───」

 

玄野、お前だよ。

 

 

◆◆

 

 

藁ほどの叡智に縋るラストミッション、はーじまーるよー。

 

「なんで部屋の電気消えてんだ?」

「点かねーんだよ」

「この部屋が役目を終えたってことだろ···」

「これが···最後のミッション」

 

ミッション開始を告げる“ラジオ体操の歌”も音が途切れ途切れで、終末の予感を引き立てている。

新規メンバーは無し。

 

「さあ···行くぞ」

 

転送が始まった。

 

 

 

まず視界に飛び込んできたのはイタリアの街並みと···地面に転がるイタリアチームの死体。

それらの中にはハードスーツ着用者も含まれており、玄野たちが顔を青くしている。

 

転送地点から少し先に進むと、まだ辛うじて生きている男がいた。

だけど···もう手遅れだ。

下半身が千切れかかって、内臓が地面に零れ落ちてしまっている。

 

Ormai e' finita···Sono tutti morti(もう終わりだ みんな死んでしまった)

 

男が最後の力を振り絞って、俺たちに何かを伝えようとしているが···イタリア語は分からん。

 

Come chiunque altro(彼らのように)···」

 

Morirete anche voi Creperete tutti···(君たちもみんな死んでしまう)

 

Ormai···non conta piu'nulla(もう何もかも)···」

 

それきり男は動かなくなった。

するとそれをじっと見つめていた東郷さんが、おもむろに口を開いた。

 

「どうやらイタリアのチームは全滅したらしい。大阪以上の難敵が待ち受けているのだろう」

「東郷さんイタリア語分かるんスか!?」

「多少はな」

 

自衛官って第二外国語もイケるくらいハイスペックなのか。

いや東郷さんが特別有能なだけか?

JJさんは···多分北欧出身だし、イタリア語は不得手なんだろう。

 

「そこのハードスーツの死に方を見るに、多分スーツの防御力は意味無いな。素手で戦ったら死にますね。出来るだけ銃を使いましょう」

 

主にJJさんへ向けて注意する。

今回のミッションとJJさんの相性は、考え得る限り最悪だからな。

接近戦が主なのに、触れただけでその箇所が()()()()とかクソゲーにも程がある。

 

上下左右──全ての方向を全員が手分けして警戒しながら先へ進む。

主戦場となっているのは噴水のある広場で、そこでは彫刻に扮した星人たちが多国籍チームを蹂躙している。

Zガンを持ったベテランが天使に蹴られて死に、ハードスーツを着た猛者が神を模した像に潰される様は、破滅の始まりを表しているかのようだ。

 

「まるで“最後の審判”だな」とJJさんが呟く。

じゃあこれから俺たちは神殺しをするわけか?

罰が当たりそうだな。

 

 

 

「久しぶりやね、加藤くん」

「お、お久しぶりです···」

「こんなイカれたところで、またレイカに会うとは思っとらんかったわ」

 

でも人類も負けてはいない。

7回クリア改め8回クリアの男に成った、岡八郎率いる大阪チームが残っている。

しかしあの桑原がキチンとスーツを着ているのは、地味に新鮮だな。

 

「ほな、蹴散らすで」

 

 

 

俺たち東京チームは建物の上に陣取り、狙撃のプロフェッショナルである東郷さんを中心とした陣形を組んだ。

迫りくる彫刻群を緊密な連携で撃墜していく。

JJさんも訓練で、付け焼き刃ながらも銃の使い方を学んだから、ロックオン機能を駆使して天使像を複数撃ち落としている。

 

今回の敵はスーツの防御力を無視しつつ、高い機動力を発揮して襲いかかってくる。

オマケに切れ味抜群なガンツソードも無効化する、特殊能力のオマケ付きだ。

何も知らなければ本当に恐ろしい敵だけど···付け入る隙はある。

 

コイツら、防御力はそうでもない。

Xガンやショットガンといった初期武装でも十分に倒せる。

それに原作で西くんが生き残っていた事を考えると、恐らくステルスも有効だ。

なぜ他のチームが使わないのかというと···味方への誤射を防ぐためだろう。

ステルスは味方からも見えなくなるからな···Zガンを乱射したらうっかり味方を潰してしまう。

 

「大阪の奴らは···相変わらずイカれてるな」

 

玄野が感嘆の声を漏らす。

噴水広場に目を遣ると、大阪の4人が縦横無尽に駆け回り力闘している。

特に岡八郎は別格だ。

最小限の動きで全ての攻撃を避け、ハードスーツの破壊光線で宣言通りに星人を蹴散らしている。

 

「玄野、加藤、和泉!多分あのダヴィデ像がボスだ!“潰して”くれ!」

 

目に見える彫刻群を軒並み狩り尽くすと、数百メートル先に巨大なダヴィデ像が現れた。

Zガンを手にした3人が一斉に飛び出し、衝撃波をものともせずに引き金を引く。

ドドドンッ──と3つの破壊音が響き、ダヴィデは物言わぬ血の池と化した。

 

それを見た各国のチームが歓声をあげ──部屋への転送が始まった。

ラストミッションが終結した瞬間だった。

 

 

 

──────────────────────

 

次回からは終章・カタストロフィ編へ入ります。

この作品を投稿してから一ヶ月、ようやくここまで辿り着けました。

このまま最後まで書き切りますので、どうぞよろしくお願いします。

 

 

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