※玉男のセリフに「ッ」が多用されていますが、これはわざとです。原作の表現です。
※“Vorbereitung Phase”はドイツ語で“準備段階”という意味らしいです。
グーグル先生に聞きました。
“Vorbereitung”は女性が使う言葉らしいですが、細かいことは気にしないで下さい。
※誤字報告感謝!
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ち・り・ん・ん・ん······
全員が無事に部屋へ転送されたあと、いつものミッションとは違う音を合図に採点が始まった。
しかし文字化けが余りに酷く、誰が何点獲ったのかも分からない。
とりあえず和泉と東郷が100点に到達したのは分かるけど、いつ機能停止してもおかしくない。
「おわりって書いてあるぞ···」
「始まるのか···とうとう」
黒玉に表示されている『おわり』の3文字を見た後も、みんなの表情は固い。
俺がカタストロフィの存在を明かしたからだ。
これは地獄からの解放ではなく···地球滅亡の刻が近いのだと察してしまっている。
「···分かってると思うけど、これで本当に終わったワケじゃない。むしろ今までのは前哨戦で、これからが本番だと思う」
巨人族の地球侵攻までは残り2日と10時間。
それまでに、やれることは全てやる。
原作知識をフルに活用して、ここに居る全員が生き残れるように。
「······ガンツ。
少しの沈黙を経て、黒玉の中から裸の男が顔を出した。玉男の暴挙にメンバー全員が仰天する。
「凄いね。なんで分かッたの?」
「ミッションが終わったってことは、アンタも解放されるんじゃないかなって思っただけだよ。···でも、アンタにはこれからやって欲しいことが沢山あるんだ、ごめん」
「大丈夫···出来ることは何でもやるよ。何をして欲しい?」
黒玉を操作していた人間とは思えないくらい親切だけど···まあ玉男は命令通りに動いてただけらしいしな。
「まず、俺たちの頭の中の爆弾···は、もしかしたら既に取り除かれてるか」
「···うん、もう除去してるよ」
「よし。じゃあ次は、俺たちが勝手にあちこち転送されないようにしてくれ」
「分かった···“運営”のコンピューターには“東京部屋は全滅した”って表示されるように偽装するよ」
驚いたことに、目の前の全裸男はブラックボールの運営にも干渉出来るらしい。
「じゃあその調子で、アンタ自身のプロテクトって出来るか?」
「···やッてみる。プログラムを構築してるから···ちょッと待ってて···」
3分後(地味に長え)。
待ってる間、メンバーからの視線が痛かった。
俺が玉男を受け入れるのが不自然に早すぎたか。
「とりあえず完成したよ。どこまで抵抗できるかは分かんないけど」
「ん。俺たちの転送は自由に出来る?」
「言ってくれれば何処からでもできるよ」
「おっけ。次、兵器の量産ってイケるか?」
「量産···は無理かな。このブラックボールのエネルギーが尽きるから」
さすがに武器の無制限供給は難しいらしい。
「俺たちが今着てる、このスーツだけでもどうにかならないか?」
「いくつ欲しいの?」
「あー···それはこれから聞いてみる」
「というわけで。みんなはスーツの替え、欲しい?」
「ちょっと待て、理解が追いつかねえよ」
玄野たちからすれば玉男が動いた時点でも驚きなのに、玉男はやたら親切だし、俺も当たり前のようにこき使ってるし。
うん、最早ちょっとしたホラーだな。
「まあ···そのうち慣れるって。で、みんなスーツは欲しいよね?」
「数着あれば万全だろう。スーツの防御を無視する相手には無駄かもしれんが」
「まあ東郷さんの言う通りっすね。ホント嫌になっちゃいますよ···それからえーと···玉男さんって呼んでもいい?」
そういや玉男の名前知らんな俺。
「いいよ。僕に個体名は付与されてないし」
「ありがとう。それじゃあ玉男さん、
「この部屋に連れてきて、僕がスキャンすれば出来るよ。何人分欲しい?」
「うん、それもこれから聞いてみる」
「はい。というわけでみんな、誰かスーツを着せたい人はいる?スーツを着せればかなり生存率は上がると思うよ」
「もういいよ···俺は突っ込まねえ」
あ、玄野が死んだ目になってる。
俺は悪くねえ、最適解を選んでるだけだぞ。
「それなら涼子のスーツを頼む」
「和泉お前、彼女のこと大好きかよ」
「ああそうだが、問題あるか」
お、おう···(引) 照れも怒りもせず、まさか真顔で言われるとは思わなかった。
コイツ本当に和泉か?
実は生き別れた双子の弟だったりしない?
「じゃあまず1着は確定で。玄野、たえちゃんとアキラの分も要るだろ?」
「え、ああ···うん」
「俺のお袋のスーツも頼む」
「東郷さんのお母さんか···どんな人なんです?」
「一言で表すなら···“暴力”だな」
「はい?」
「心身ともに強靭なのだ、俺のお袋は。おそらく全盛期ならばスーツ無しでもガンツミッションに参加出来ただろう」
「本当に人間ですか?」
筋肉らいだーみたいな人って日本には複数居るのかな···頼もしいけど怖すぎる。
「俺の両親にも着せたい」
「JJさんのご両親はどんな方なんです?」
「本当かどうかは眉唾だが···若かりし頃、シベリアトラを2人で討ち倒したそうだ」
「実は星人だったりしません?」
「いや、さすがにジョークだろう。俺の知る2人はただのおしどり夫婦だよ。今は山梨の山奥で呑気に暮らしているさ」
その後はレイカの両親や加藤の弟に着せることが決まった。
できれば親戚やクラスメートにも着せたいけど、ブラックボールのエネルギーは温存しておきたいからここまでにしよう。
「今言ッた人のスーツは用意できるよ」
「じゃあその人たちは、明日ここに連れてきてスーツを配給するってことで。それとシェルターも一応用意したから、誰か連れて来たい人は俺に言ってね。数百人とか大人数は無理だけど」
「お前···人生何周目だよ···」
今日も玄野の勘が冴え渡っているな。
俺は人生2周目+原作知識持ちの一般人である。
「そんなに大層なものじゃない。ちょうどいい感じの崖を掘りまくって、防空壕みたいなのを作っただけだから」
ガンツウェポンって本当にすごい。
たった1日でそれなりに広い洞窟ができた。
崩落しないようにいくつかセーフティーは設けているし、安全性はそこそこあると思う。
それに洞窟内にはホームセンターやアウトドアショップで買い占めた防災セットを置いたから、数十人来ても1週間程度なら持つハズ。
「ふう···それじゃあこれで最後にしよう。···玉男さん、西丈一郎が今何処に居るか、調べられるか?」
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次回、西くん再登場です。
西くんのイメージ
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オシャカ
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バーッカ
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ステルス
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ママー