「はは···やっぱ凄ェ···」
俺が相討ちになってでも倒そうとした相手を瞬殺かよ。もはや笑えてくる。
「零くん」
「ンッ」
···彼女の冷たい声で現実に引き戻された。
引き攣った笑みのまま、ゆっくりと振り向く。
レイカの目からハイライトが消えていた。
「零くん」
「あはは···いや、まずは様子見で、俺がちょっとだけ攻撃してみようかと」
「零くん」
「ヤバそうだったらすぐ逃げるつもりでしたよ、本当ですよ俺嘘つかない」
「零くん」
「すいませんでした」
「バカ」
「はい···バカです···ごめんなさい···」
シンプルに罵倒された。泣きそう。
◆◆
「この中に誰か···携帯持ってる人居る?それがあれば他のチームと連絡が取れるんだけど」
「え?でもハッキングは···」
「その時は携帯電話を破棄すれば大丈夫」
「あ···俺携帯持ってる」
他のガンツチームの人がたまたま携帯を持っていた。いよいよ母船へ突入か。
もういい加減にイヴァの座標は割れたよな。
「はい···もう繋がったよ」
「あざっす。······もしもし?」
『もしもし···こっちは宮崎のチームです。斎藤って言います。ついさっき母船の中に着いて···世界中のチームが集まり始めてます!』
「母船···って何処です?」
『宇宙です!月と地球の間です!アメリカのチームがこれから敵の本拠地を叩きます!皆さんもこっちに来て下さい!』
「座標は把握してるから、いつでも行けるよ」
「あー···それじゃあ、少し休憩したら向かいます。失礼します」
プツッ、と電話を切る。
それから連戦の疲れをほぐす為に10分ぐらいストレッチして、玉男さんに転送を頼んだ。
いよいよ、最終決戦が始まるんだな···スゲー緊張してきた。
◆◆
「·········これは酷い」
母船の内部は、これまでとは別の方向に地獄だった。
「おらァ!降参しろッ!!」
「そうだ、服脱いで手を頭の後ろに付けろ!」
「はははははははは!」
「動いたら頭“ぱんっ”だぞォッ!」
服にどんな武器を隠し持っているか分からないし、身ぐるみを剥いで銃を突きつけるのは確かに理に適っている。
それはそれとして気分が悪い。
中には巨人をレイプしようと試みている者も居るが、さすがにそれはライン越えだ。
すると前嶋さんが駆け出し、強姦未遂のイギリス人を殴って止めた。
男衆もそれに続いて、外国チームと殴り合いの喧嘩になった。
「そんなことやってる場合じゃないです!こんなこと戦争では日常茶飯事なんですよ!」
この男はさっき電話で話した宮崎チームの···斎藤だったか。
「アンタ···彼女とか···大切な人が襲われても同じ事言えんの?」
「っ···それは···」
「相手の意思を無視して犯すとか、猿かよ」
もしレイカが同じ目に遭ったら、俺はどうするか分からない。こればかりは見ていて気分が悪い、どころの話ではない。
吐き気がするくらい···最悪だ。
「アンタ真っ先に行ったな。アンタもめっちゃブチギレてたな」
その場から走り去りながら、矢沢さんが俺と前嶋さんに話しかけてきた。
「あんな奴らは死ねばいいんだ」
「同感です」
「フェミニストなのか?」
「別に女なんか関係ねーし」
「まさか童貞じゃねーよな!?」
「······」
前嶋さんの頬がほんのりと赤に染まる。
「どッ、童貞なんですか!?僕もですッ!!童貞って何も悪くないですよねッ!むしろ今初めて、童貞に誇りを持てましたッ!前嶋さんが童貞なら!!」
大阪のメガネくんが童貞カミングアウトをして、前嶋さんの傷口を拡げていく。
やめたげてよぉ!
「ふふ···零くん」
「ん、どうした?」
「いや?別に···」
ちろっ、と愉しげにレイカが舌を出した。
刺激が強すぎるのでやめてください。
◆◆
「ここです···」
「このブラックボールで敵の本拠地に行くのか?」
「いえ、このブラックボールは真理の部屋に通じています」
「······真理の部屋」
「ある意味“終わりの場所”です。この先で···全ての答えが出ます!!」
いいよ別に···全部知ってるもん···。
って、もう転送が始まったんだが。
おいまだ頼んでねーぞ斎藤!クソがァ!!
◇◇
ガンツに転送された先は······広くて、高くて、まっさらな···殺風景な空間。
周りにはガンツスーツを着た人たちが大勢いる。
フリーライターの菊池さんもいるな。
そしてこの部屋の中心には···巨大な前衛芸術のオブジェっぽい見た目の···俺が前世で神星人と呼んでいた存在が立っていた。
──────────────────────
次回、神(笑)との対峙。
どれが好き?
-
ねぎ星人編
-
田中星人編
-
仏像成人編
-
チビ星人編
-
恐竜編
-
小島多恵編
-
オニ星人編
-
吸血鬼編
-
大阪編
-
イタリア編
-
カタストロフィ編
-
存在しないエピローグ