ROM専がGANTZ世界に転生した話   作:訥々

47 / 81
カタストロフィ⑧

「なんだ···これ···」

 

転送された全員の両目から赤い涙が零れ、加藤が素朴な疑問を口にする。

痛みは無いが···これ何の意味があるんだ?

 

「玄野くん!黒川くんも久しぶり!」

「菊池さん···お久しぶりです」

 

どこかの国で雇ったのだろう、菊池さんがテレビカメラを抱えた外国人と一緒に居た。

 

「さっきからみんなアレに質問をぶつけている。どんな質問でも答えてくれるんだ」

 

多言語による難解な質問責めを、目の前の生物(?)は逡巡すること無くさばいていく。

 

 

 

Pourquoi les gens ne peuvent-ils pas vivre sans sacrifier la vie des autres?*1

C'est comme ça.*2

 

Por que existe uma lacuna entre os pobres e ricos?*3

Assim é a existência.*4

 

Is "that flow" the only way you can answer?*5

It's because it is the most important shot.*6

 

 

 

「じゃあ···これを聞いてみて下さい」

「俺たちは今まで何のためにッ!」

「何のために戦わされてきたのかッ!!」

 

──君たちが何故今まで何度も部屋に呼ばれ、憎くもない敵と闘わされてきたのか答えよう

 

 

 

玄野と加藤が投げかけた質問に対する神星人の回答は、俺にとっては全て既知だった。

 

・とある惑星系が消滅の危機に遭い、その住人たちが30年以上前から少しずつ地球に移住···もとい不法滞在し始めた。これが“星人”の正体。

 

・一番最後の移民が“巨人族”だった。巨人たちはそれ以前にも神星人の棲む惑星に侵攻を仕掛けているが、敢え無く撃退された。

 

・ガンツウェポンの情報を信号として地球へ送り、それを捉えたドイツの富豪が量産。全世界に配備した。

 

・ゲームのようなシステムを構築したのは人間。賭博の対象にし始めたのも人間。

 

・玉男さんはブラックボールを操るためにランダムに選ばれた人間のコピー。おそらく地球の何処かに玉男さんと瓜二つの人間がいるのだろう。

 

 

 

「ありがとう···人類を救ってくれて」

 

加藤が礼を言ったのを皮切りに、周りの人たちも多言語で神星人へまくし立てる。

たぶん彼らもお礼を言っているのだろう。

···コイツに感謝する必要なんか無いのに。

 

感謝する必要は無い

 

ほら来た。

原作だとこの後、人間の無価値を証明するために人間を蘇らせた後に殺すんだ。

···簡単に死ぬから無価値ってか。

そんな意味不明な理論のために人間を弄ぶなど許さない。俺が止める。

俺は決して強くはないけど、俺が一番この世界を知っているから。

 

 

 

「待てッ!」

「く、黒川?」

「アンタ···俺の()()を知ってるか?」

···黒川零。学校という狭い枠組みの中ではそれなりに優秀。この“戦争”にも少し不自然な程早くに順応した個体だ。それ以上でもそれ以下でもない

「ああそうだな、全部当たってる。アンタからすれば人間なんかちっぽけなもんなんだろ。でも今ので分かった。()()()()()()()()()()()()()()()

 

コイツは俺の前世を把握していない。

コイツは前世のネットではよく“神星人”と呼ばれていたが、何のことはない···高度な文明を持つだけの生物だ。

魂を知覚して人間を蘇らせることは出来ても、生物の生死や生まれ変わりを把握することは出来ても、()()()()()()()()()()()()()んだろう。

ならばコイツは、途方もなく大局的に見れば俺たちとさして変わらない。

コイツが死んでも、モノの位置が変わるだけ。

コイツの理屈で言えば、情報量の大小はあるが、俺をこの世界へ引っ張ってきた“何者か”にとっては塵に等しい。

 

「それが分かったからもう十分だ···アンタに聞きたいことはもう無い。俺たちも暇じゃないから、とっとと元いた場所に返してくれ」

 

ふむ、いいだろう···元より、我々は地球人に深く干渉するつもりは無かッた。これをもッて···全てを終了とする

 

視界が光に塗りつぶされた。

 

 

◇◇

 

 

目を開けると、俺たちは斎藤に連れてこられた場所に戻されていた。

 

“元いた場所に返してくれ”

 

そう願えば俺の前世に引き戻す可能性もちょっぴり考えていたんだが、やはりダメだったようだ。“神”と言ってもこんなものか。

まあ最終決戦前に言いたいことは言えたしスッキリした。

アイツが本当に神なのかどうかはあまり興味なかったけど、胸糞シーンは見たくなかったし見せたくなかった。

地球に干渉してこないんだったら居ても居なくても変わらんのだから、余計な事をせずにとっとと自分の居場所に帰れ。

 

 

──────────────────────

 

カタストロフィに入ってから、黒川が凄く出しゃばるようになりましたね。何やコイツ。

ちなみに黒川が話を遮ってしまいましたが、今作の神星人は地球人類の存在を()()()()()()()()()()()()()

そこらへんはイヴァ戦の後にちらっと描写される予定です。ほむほむガンツの読者様なら既に予想できているかもしれませんが。

 

 

*1
なぜ人は他人の命を犠牲にしないと生きていけないのですか?

*2
人はそのような生き物だからだ。

*3
なぜ人と人との間に溝が生じるのでしょうか?

*4
“同化”しないからだ。“個”として在り続けるからだ。

*5
なぜあなたは“そのようなモノ”という言葉を多用するのですか?

*6
地球人類に限らず、全ての生物の本質だからだ。

どれが好き?

  • ねぎ星人編
  • 田中星人編
  • 仏像成人編
  • チビ星人編
  • 恐竜編
  • 小島多恵編
  • オニ星人編
  • 吸血鬼編
  • 大阪編
  • イタリア編
  • カタストロフィ編
  • 存在しないエピローグ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。