ROM専がGANTZ世界に転生した話   作:訥々

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アナザールート(前)

黒川がガンツ部屋に行かなかった世界線。

 

※別作品として投稿していた話を統合させていただきました。

 

──────────────────────

 

俺の名前は黒川零。

中学を卒業するまで俺は、自分の事を平々凡々・無味無臭な一般高校生だと思っていた。

しかし“家から近い”という理由だけで選んだ高校に入学して、ようやく自分の異端さに気付いた。

 

隣のクラス名簿に書かれた“玄野計”の文字を見た瞬間、脳内に単行本37冊+αの情報量が怒涛の勢いで流れ込んだ。

 

「が···GANTZ······?」

 

道の脇に座って情報を整理する。

 

・俺には前世の記憶がある

・俺は漫画やアニメが人並みに好きだった

・中学と高校どちらも陸上部所属*1

・勉強は学校内だと平均より少し上くらい

・死因は学校帰りのトラック*2

・今世はGANTZの世界

 

ふ···ふふふ···そういう事なのですね。

これが闇(前世の記憶)の力···。

素晴らしいです。全てを理解していきます。

 

死にとうない!!!(発狂)

 

GANTZはとにかく人が死ぬ。

主人公の死から物語が始まり、ネームドやモブを問わずガンガン人が死ぬ。

レギュラーメンバー入りしそうだった人たちも死ぬし、作中最強候補と目されていた男も死んだ。

この漫画の最終編──カタストロフィ編に至っては人がゴミのようにバンバン死ぬ。

具体的な犠牲者の人数は明かされなかったけど、おそらく数千万じゃ利かないだろう。

 

「どうする···?」

 

俺の選択肢は2つに1つ···死んでミッションに参加するか、参加しないか。

原作知識を使えばあの死にゲーを最後まで生き残れるかもしれない。

 

「いや無理だろ」

 

と思っていた時期(0.1秒)が俺にも有りました。

玄野計が生きている以上、ここはスピンオフ*3ではないのだろうが···それでも死ぬ。

ねぎや田中はまだなんとかなるとしても、千手観音*4に殺られるわ。

そもそも死んだら必ずガンツ部屋に行ける、という保証も無いし。

 

「原作メンバーに賭けるしか無えよな···」

 

潜伏する場所の選定や物資の調達はそれなりに難しいだろうし、GANTZのオーバーテクノロジーな武器が手に入らないのも痛い。

いざという時の自衛手段が無いからな。

それでもミッションに参加するよりは断然マシだろうから、原作組が頑張ってくれることに賭けて俺はガン籠りしよう。

 

 

◆◆

 

 

そんなこんなで数ヶ月。

俺は前世と同じく陸上部に入部し、時々ゲ◯を吐きながら日常をエンジョイしていた。

 

「つ···疲れた···」

 

どうやらこの身体は前世よりも少しは優秀らしく、多少の無理が利いてしまう。

今日は練習が特にキツくて、部室で休憩したけどまだ少し足元が覚束ない。

まあこの感覚が癖になるんだけどな。

···一応言っておくと、俺はMではない。

美人に責められるなら吝かではないけども。

···やっぱりMかもしれない。

 

「危ないッ!」

「ん?」

 

1人でアホな事を考えていると、頭上から叫び声が聞こえた。声の方向を見上げれば、建物の上から落ちてくる鉄骨

 

「シュワット!!」

 

迫りくる鉄骨を大きく横っ飛びで回避。

 

「大丈夫かぁー!?」

「こ、腰が···」

 

前世含め人生で初めて腰が抜けた。

助けてくれ。

 

 

◆◆

 

 

鉄骨に潰されかけた翌日。

西くんが更新していると思われる、『黒い玉の部屋』というサイトをチェックした。

実は前世の記憶を得てからは頻繁に覗いていたのだ。原作では登場しなかった星人についての書き込みも多くて、かなり面白かったし。

 

ダークウェブにはブラックボールについて情報共有しているサイトもあるらしいけど、俺はネットに疎いし···下手に手出しすると“部屋”に呼び出されそうで怖いから放置している。

 

「ねぎ星人···」

 

そして昨日の深夜。

“ねぎ星人編”が更新されていた。

そこには平仮名で“くろのけい”という人名も記述されており、原作が始まった事は明らかだった。

 

原作への干渉は適宜行うつもりだけど、とりあえずそれは置いといて。

最近は休みの日を使ってカタストロフィの避難場所を探している。

成人していれば田舎の古民家を買って改装するくらいは出来たかもしれないけど、残念なことにそんな金や権利はどこにも無い。

 

なので目をつけているのは専ら空き家。

もちろんゴリゴリの不法侵入なので、警察に見つかったらかなり面倒くさい。

それに「おっここ良いじゃん!」と思っていた場所にホームレスが住み着いていたことも一度や二度じゃない。

まあそのうち見つかるだろ。

 

 

◆◆

 

 

板橋区のボロアパートが崩壊し、「黒い玉の部屋」の更新もぱったり途絶えた。

つまり現在は田中星人編が終わった頃か。

なら次回のミッションは仏像編か。

 

仏像編はヤバい。

即死攻撃を複数種持ったクソボス──千手観音がいるからだ。原作では優秀だったメンバーを鏖殺し、あまつさえ主人公の玄野すらも戦闘不能に追い込んでいる。

最後は第二の主人公である加藤がギリギリで相討ちに持ち込んだが、最終的な生存者は玄野だけ。

玄野がリーダーの資質を発揮する遠因にもなった重要なターニングポイントで、前世ではかなり人気のエピソードだったらしい。

 

···少し話が逸れたが、仏像編にはちょっぴり首を突っ込もうと思っている。

加藤が倒せたのは本当に奇跡的で、何か1つでも違えば玄野含む全員が死んでいてもおかしくない。

そしてその“何か1つ”とは他ならぬ俺自身だ。

玄野と大した関わりを持っていないからといって、油断するのは死亡フラグ。

ちょいとした対策をとった。

 

「玄野ぉー」

「···黒川?」

「俺、最近“とあるゲーム”をやってるんだけどさー、再生能力持ちの敵がいて困ってんだよ」

「···???なんだよいきなり」

「どうすれば倒せると思う?」

「まあ···ゲームなんだし、なにかしら攻略法はあるだろ。弱点を破壊するとかさ」

「確かに。じゃあ弱点が無かったらどうする?」

「弱点が無い?···粉々に吹っ飛ばせば死ぬんじゃねーの?」

正解(エサクタ)!」

「···で、結局何だよ。わざわざ隣のクラスまで来て聞くことか?」

「大事なことだよ。()()()()()()()

「は?」

「あ、もう休み時間終わるな。じゃーねー!」

 

はい。

ズバリ“千手観音の攻略法をさりげなく伝えちゃえばいいじゃん”作戦である。

全然さりげなくなかったけど。

めっちゃ不自然だったけど!

まあその分印象には残っただろうし、後は玄野の奮闘に期待しよう。

 

 

◆◆

 

 

羅鼎院(仏像編の舞台)が崩壊した後も、玄野が生存している。やったぜ。

他のメンバーが生き残ったのかは知らないけど、玄野の様子は羅鼎院崩壊前と大差ない様に見える。

原作だと加藤や岸本を喪った辛さで相当凹んでいたと思うんだが。

 

ねぎ、田中、仏像とくれば、次のミッションはチビ星人編。

原作では玄野が残り1体を倒せず···その1体がなんと学校を襲撃してきたのだ。

結果として玄野の学級はほぼ全員が死亡。

駆けつけた警官隊も甚大な被害を負った。

 

俺は隣のクラスだけど、もしヤバくなったら授業中でもとにかく逃げよう。避難しよう。

というか学校休んじゃおう。

 

 

◆◆

 

 

襲撃来なかった〜。

ただ1ヶ月間ズル休みしただけで終わった〜。

 

なんでやろなあ···俺が仏像編の前に忠告したから生き残りメンバーが多くて、チビ星人編の戦力が充実していたのかね。

まあ加藤あたりは不意討ちで殺されたようなモンだったし、生存しても違和感は無い。

玄野と加藤のコンビならチビ星人程度には負けないだろう。

 

ちなみに今回のズル休みについては、先生からみっちり事情聴取があった。トホホ〜!

でもこの長期休みでカタストロフィの避難場所も見つかったし、まあいっか。

 

 

*1
※タイムはクソ雑魚。

*2
※今思えばアレが異世界トラックだったのか。

*3
※無理ゲー。

*4
※即死攻撃持ち。

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