ROM専がGANTZ世界に転生した話   作:訥々

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非可逆生命(前)

岸本ルートは書けないと言ったな?

アレは嘘になった。

 

※ただしレイカは原作通り、玄野に惚れます。

前世持ちのバーサーカーではありません。

修羅場を期待していた方には申し訳ありませんが、私は三角関係のドロドロがあまり得意じゃないので、このような形になりました。

 

──────────────────────

 

俺の名前は黒川零。

どこにでもいる普通の高校生(inGANTZワールド)。“黒い球の部屋”へ行かずに生存ルート突入を目指していた(過去形)。

 

そう、過去形である。

 

部活疲れでヘロヘロになりながらの帰り道、その途中で鉄骨に潰されて死んでしまい、ガンツの部屋に招かれてしまったのだ。

 

だけど玄野や加藤をはじめとした、ねぎ星人編メンバーたちがいるタイミングだったのは不幸中の幸いだった。

不本意とはいえ、俺の原作知識が通じるので内心ガッツポーズである。

 

「と、とりあえず、自己紹介しましょうか?名前と職業···、どーやって死んだか」

 

メガネで冴えない男性教員主導の気まずい自己紹介が終わると、“裸の”女性が転送されてきた。

フルカラーの断面がグロい。

 

「計ちゃんッ!!なんだッそれッ!!」

「女か?もしかして」

「また来た!」

「ウゲェッ、気持ち悪りぃ」

 

「あれ?なんだ···コレ···なんだろ···はっ···あっ···ハァ、ハァ」

 

おっぱいでっか。

スタイルも良いし、うわあ···これはヤクザに襲われても仕方のないレベルだ。

彼女は自殺直後(結局未遂だったけど)の精神状態で、まだ事態を把握出来ていないんだろう。

マシュマロメロンを揺らしながら寝転がって呆けている。据え膳やんけ。

 

「きゃあああ!!」

 

案の定、廊下でヤクザの1人に襲われてそうになっている。残念だけど当然。

すると加藤が果敢にもヤクザに殴りかかり、レイプを阻止した。そして「俺も襲っちゃいそうだから、着とけよ」と言って学ランを渡し、颯爽とその場から離れる。

加藤、お前···(尊敬)

 

少しすると黒玉が開いたので、SF的な短銃とスーツケースを2つずつ持って岸本の方へ戻った。

 

「えーっと、名前はなんて言うの?」

「···岸本(けい)

「じゃあ岸本さんって呼ぶか。···岸本さん、この黒スーツも着たほうがいい。コスプレっぽいけど、全裸に学ランよりはマシでしょ。あとこの銃も置いとくから」

「あ、ありがとう」

 

原作だとガンツに痴女判定されてて少し可哀想だったからな。ちょっとしたお節介である。

俺もとっととガンツスーツに着替えよう。

 

 

◆◆

 

 

その後は玄野と共同でねぎ星人を殴り殺し、ガンツによる“採点”が始まった。

黒玉の表面にチープなイラストとフォントがバラバラな文字列が表示される。

 

 

 

『巨乳。0てん。ちちでかすぎ。えろすぎ』

 

「あたしィ!?」

「ハハ···ちちでかすぎ···」

「なにこれ、も〜っ···しかも0点だし!どーでもいいけどなんかムカツク」

「···ぶふっ」

 

“ぱんツはかづにうろつきすぎ”よりは多少マシ、という感じだな。

痴女判定からは逃げられなかったらしい。

堪えきれずに吹き出してしまい、岸本に睨まれた。ごめんなさい。

 

 

 

『くろかわ。0てん。巨乳みてちんこたちすぎ』

 

「······ごめん」

「···きもい」

 

泣きそう。

 

 

 

『くろの。3てん。おまえも巨乳みてちんこたちすぎ』

 

「はアッ!?」

「玄野···同士よ···ッ!」

「きもい」

 

うるせえ!

こちとら思春期の高校生なんだよ!

 

 

◆◆

 

 

原作通りに西くんと加藤たちが軽く揉めた後、家に帰ることになった。

そういや原作の岸本は、大柄な加藤の学ラン1枚しか羽織っていなかったから、そのままマンションの外に出たらガチ痴女になっていた。

だから岸本と体格が近い玄野が学ランを貸してあげて、それをキッカケに玄野と岸本の同居が始まったんだよな。

しかし玄野が少しばかり片想いを拗らせてしまったために破綻し、岸本は千手観音に殺され···2人の関係はそれきり途絶えた。

初めて読んだ時は凄くショックだったのをよく覚えている。

 

原作に思いを馳せつつ外に出て、タクシーを拾ってしばらく走る。

そしてタクシー内でも原作の事を考えていると、俺のドブ色の脳細胞が閃いた。

あれ、岸本の居場所無くね?

 

玄野の学ランにあった生徒手帳が無いと、岸本は玄野のアパートへ辿り着けない。

このままでは岸本が家なき子になってしまう。

無い知恵を絞って解決策を考えていると、いつの間にか岸本の家に着いていた。

 

「ちょっと待ってて、服着替えて返すから」

「···あ、俺もここで降りるわ。家近いから」

 

考えて、考えて···再び閃いた。

“ワンチャン俺が岸本と同棲できんじゃね?”と。

ちなみに咄嗟に出た“家が近い”と言う言葉は真っ赤な嘘である。

ここからだと徒歩で30分は掛かる。

 

俺は前世含めてずっとDTだった。

“本番”どころか異性の胸を揉んだ事さえ無い、筋金入りである。

そんな俺に射し込んだ一筋の光──岸本恵。

彼女を逃したら最後、俺が胸を揉む機会は金輪際無いだろう。

だから今日から俺の目標は“岸本の胸を揉むこと”だ。たった今決めた。

どうせ二度目(というか三度目)の人生だし、胸を揉めたら死んでもいいや、くらいの気持ちで頑張ろう。

玄野にはたえちゃんがいるし···赦してくれ。

 

 

◆◆

 

 

《Side岸本》

私は自分で言うのもなんだけど、優等生だった。

だからこそ親の期待が重くて···耐えきれなくなって、私はお風呂場で自殺した。

 

私は死んだ。死んだはずだった。

 

『大丈夫よ···生きてる···さっき意識が戻ったの···』

「···うそ」

『本当よ、すぐ退院できるって』

 

母親と電話越しに話しながら、あの部屋で会った中学生の言葉を思い出した。

“この部屋にいる人間はFAXから出てきた書類”。

つまり私はコピー人間···偽物だ。

 

泣きながら自分の部屋に戻り着替えだけを済ませて、妹を無視して玄関を飛び出した。

 

「岸本さん」

 

軒先から出た瞬間、ついさっき知り合ったばかりの男の子に声を掛けられた。

彼の印象は強くて、だけど怖くてスケベ。

名前は確か───

 

「···黒川くん?」

 

 

──────────────────────

 

玄野の住所を岸本に教えることも出来たが、今回は黒川が本編(レイカルート)よりもさらに欲望(おっぱい)に忠実だった世界線。

玄野の同棲ライフを奪ってしまうことへの葛藤はあったが、私欲を優先した。クズ。

なお、ヘタレなのは変わらない模様。

 

 

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