ROM専がGANTZ世界に転生した話   作:訥々

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非可逆生命(中)

岸本ルート、中編。

 

※誤字報告感謝!

※「すみません」が正しい表現で、「すいません」は話し言葉が変化した俗な表現らしいですが、該当箇所は会話文なのであえて修正しませんでした。ご了承下さい。

 

──────────────────────

 

「どうしてここに?」

「さっきあの中学生が言ってたことが気に掛かったから。FAXがどうとか···本当なのか確かめようと思って。···家に居たの?もう1人の自分」

「···病院に運ばれたって、お母さんからさっき電話で聞いた」

 

涙を流しながらも話してくれた。

···自分と違う自分がいる。

どんな気持ちなのかは想像するしかないけど、少なくとも岸本にとっては辛いんだろう。

 

「これから、どこか行くあてはあるの?」

「ううん···なんにも、ない」

 

だよな···。

玄野の生徒手帳も無いし。

 

「じゃあ俺の家に来る?」

「···え!?」

「俺一人暮らしだから、家事を手伝ってくれるなら住んでもいいよ」

「え、でも···」

 

岸本は迷っているようだ。

遠慮をしているのか、それとも俺の性欲を警戒しているのか。

 

 

ぐぅ〜〜·········

 

 

「···腹減った?」

「···」コクリ

「とりあえず飯食ってから考えようか」

 

 

◆◆

 

 

長いこと歩き、ようやく俺の住むアパートに着いた。俺も腹減ったな、どうしよう。

 

「···きつね丼でいいか」

 

油揚げを卵でとじただけの簡単な丼だ。

本当はねぎも入れたかったけど···。

 

「はい、おまたせ」

 

レンチンした冷凍ご飯の上に具を乗せて、背の低いテーブルの上に丼を置く。

岸本がメスの顔ならぬ、メシの顔になっている。

 

「「いただきます」」

 

おお、気持ちの良い食べっぷりだ。

よっぽど腹が減っていたんだろう、泣きながらも箸を止めようとしない。

 

「はい、ティッシュ」

「ありがと···」ズビー!!

 

こうして俺は岸本の胃袋をガッツリ掴み、なし崩し的に同居生活が始まることに決まった。

 

 

◆◆

 

 

「あはは···」

 

俺が洗い物をしている間、岸本はバラエティを見て笑っている。

よし、ある程度は元気になったか。

 

「風呂入ったら?」

「あ、うん···着替えどうしよう」

「俺のジャージ貸すよ。洗濯はしてるから平気なはず。···下着は今穿いてるやつをそのまま使うしかないかな」

 

失念してたけど、今岸本の衣服は俺の家に来る時に着ていたやつだけだ。

今日は俺のジャージを着せて誤魔化せるけど···連日はさすがに苦しい。

どうするか考えないとな。

衣服問題を考えながらの洗い物を終えると、ちょうど岸本が風呂から出てきた。

 

「ふぅ···ありがとう、いいお湯でした」

「お〜······」

 

おっぱいぷるんぷるん*1

 

「···えっち」

「すいませんでした」

 

胸をサッと隠す仕草もエロい。

風呂上がりの破壊力凄え。

 

 

◆◆

 

 

俺も風呂に入り、その他の雑事も終えたので後は寝るだけである。

 

「もう1つ布団ある?」

「いや、無いな」

「···一緒のベッドで寝ていい?」

「俺は床でいいから、岸本さん寝なよ」

 

俺の体臭は気がかりだけど、まさか女子を床に寝させるワケにはいかない。

一緒のベッドで寝るのは刺激が強すぎるから論外。俺は胸を何回か揉めれば十分なんだよ。

 

「え、でも···」

「消臭剤は明日買うからさ、とりあえず今日は我慢してほしい」

「そうじゃなくて···1人は···怖いから」

「え?うーん···分かった」

 

添い寝の運命からは逃れられなかった。

嫌ではない、むしろ嬉しいけども。

 

「じゃあ、おやすみ」

「うん···おやすみ」

 

寝れねェ······。

シングルベッドに2人で寝てるから、どうしても体のどこかが触れちゃうし。

しかもなんか、甘くていい匂いもするし···。

 

「黒川くん、起きてる?」

「···うん」

「私···子供の頃元気よくってさ」

 

うん、遊び相手の性癖破壊してそう。

 

「よく体にキズ作ってたんだよね」

「うん」

「でも、全部···無いの」

「···」

「8針縫ったキズも、2ヶ月前のキズも。無いの···全部。それに家に帰ったら、私がもう一人いて···私って何?何なの?」

「···」

 

岸本の背中が震えている。

 

「私には戸籍も無い。帰る家も、親もいない」

「···俺が、代わりになるよ」

「······え?」

「戸籍とか親は、俺にはどうしようも出来ないけどさ。帰る家にはなれるよ」

 

あくまでも仮住まいだけどな。

遅くともカタストロフィが終わる頃には出ていくだろうし。

そうなると戸籍が無いのはキツいな。

国に頼めばどうにかなるもんか?

 

「う、ぅ······」

 

泣いている彼女をどう慰めれば良いのかなんて、俺は知らなくて···触れることも出来ず、俺はただ一晩中そばにいた。

幸か不幸か、性欲も吹き飛んでしまった。

 

 

◆◆

 

 

翌日の朝。

当然ながら俺の純潔は守られたままである。

 

「岸本さん···いやもう、岸本って呼び捨てにしていい?」

「うん、いいよ」

「じゃあ···岸本。とりあえず今日は服を用意しよう。特に下着類」

「でも、お金···」

「服は岸本の家から取ればいいんじゃない?」

「親とか、妹もいるから無理だよ···」

「いや、黒スーツを着ていればいけるよ」

 

ガンツスーツにはステルス機能がある。

西くんがいつも使っている、アレだ。

それを使えば一般市民や防犯カメラには一切姿が見えなくなるから、こっそり服を持ち出すくらいは出来るはず。

“オリジナル”の自分に出くわしたら辛いと思うけど、俺1人で岸本の家に侵入するのは無理だし。

 

「そういう事なら···分かったよ」

「ん。じゃあ朝ご飯食べたらすぐ行こう」

 

2人共ガンツスーツに着替えてステルスモードを起動し、岸本の家のそばまで走った。

岸本のペースに合わせて走ったのに、体感だと10分も経たずに到着。

生活に便利すぎるなこのパワードスーツ。

 

「あ···」

 

岸本の家から、もう1人の···“オリジナル”の岸本恵が出てきた。

 

「···平気か?」

「うん。むしろ清々したかも」

「そっか。じゃあ今のうちに服を···」

 

そういや岸本の死因(にはならなかったけど)って自殺だったな。

詳しくは知らないけど、結果的に親と決別できたのはそう悪くなかったのか。

···もしくはそう思い込もうとしているだけか。

 

「(···境遇が重すぎる)」

 

これでは性欲の割り込む隙が無い。

胸揉みてえとか言ってる場合じゃないな。

 

「黒川くん、取ってきたよ」

 

少し考え事に集中してたら、いつの間にか特大のゴミ袋に入れた大量の衣類を、両手で抱える岸本がいた。

 

「あ、ああ···俺が持つよ」

「ありがとう」

 

透明なゴミ袋だから中身が見えてしまう。

···こういう下着穿いてんのか。

 

 

◆◆

 

 

それからは少しだけ日用品を買い足して、家に帰った。

 

「ありがとう黒川くん、スッキリした!」

 

そう言って岸本が明るく語りだした。

母親に勉強ばっかりさせられて···あの家から出られて良かった、と。

 

「でも、あの“私”はこれからもあんな生活なのかな···可哀想」

「娘が自殺未遂までしたんだから、さすがに多少は配慮するんじゃない?」

「確かに。それなら大丈夫かな、良かった」

 

強がりで言っているふうには見えない。

よっぽど勉強漬けの毎日が辛かったんだろう。

···勉強を教えてもらえないかな、とか考えてたけど、これはやめておこう。

 

「よしっ!!私も生きよう!」

「はは、完全復活だな」

 

誰か好きな人でもできたの?とは聞かない。

分かりきっている事を聞いても悲しいだけだ。

······加藤のことが好きな女子の胸を揉もうとしてんのか、俺。最低だな。

 

 

*1
※総統閣下シリーズ並感。

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