玄野くん視点です。
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なぜか俺は、立花率いる不良グループに呼び出されていた。
まさか報復のつもりか?
それならスーツを着ている今なら平気だけど···
「たえちゃん、大丈夫ッ、大丈夫だから!」
「大丈夫じゃないよ···どーしよう···」
普段は
男の方は2メートル近い身長で、筋肉ムキムキ。
ほとんど上裸に近い格好で、なぜか下駄を履いている。
女の子の方はたえちゃんと同じくらいの背丈で、普通に制服を着ている。
···というか、かなり可愛いな。
そんなことを考えていると、立花から「この2人をボコれ」と言われた。
なんで俺がそんなことしなきゃいけねーんだ。
それに男ならともかく、女の子は嫌だぞ。
「お前がこの学校で一番強いとや···」
「ハァ?んなこと誰が···」
「そこにいる番長モドキに言わせるとそうらしいっすよ。···先輩、この人本当に強いんすか?ぱっと見だと一般人にしか見えねーっすよ」
「そうやな···体も小さいし、目に力が無い。おい、嘘ついてんじゃなかろーな?」
「······」
ここまでボロクソに言われちゃ黙っていられない。仮にも彼女の前だし、いいトコ見せたいという気持ちもあった。
心配してずっと付いて来た女──小島多恵に力強く宣言する。
「ちょっと10分待ってて。すぐ片付けるから」
「おー言うねェ」
「何だよ急にコイツ」
「立花さんの腕ダメにしたのコイツだぞ、分かって言ってんのか」
「玄野くんッ、帰ろうよ!!」
「玄野、お前なら勝てるッ!!」
小島と立花のセリフで俺もスイッチが入った。
とりあえずこのデカブツを倒して···そうすりゃこの女の子も引き下がるだろ。
「おい誰か、救急車呼んどけッ」
「お前のためにな」
「何かやっとーとや?格闘技···」
「近所のジイさんに空手を少々···」
「空手か。そんじゃあ···いつでも来なィ」
やばい、出任せ言っちゃった。
俺は空手なんてやってねーぞ。
···数秒考えて、テレビで見たポーズをとる。
「なんじゃありゃ」
「俺どっかで見たことある」
「すっげー玄野」
「玄野すごいんじゃ?」
「···螳螂拳?でも構えヘッタクソだね」
不良たちは誤魔化せてるっぽいけど、男は構えたまま何も言わないし、女の子に至ってはバカにしてくる始末。
恥ずかしー、カッコつけるのやめよ。
気を取り直して、ボクシングふうに構える。
こっちはケンカなんかしたことねーっつの···構えってこんな感じで合ってるのか?
うおお、でけえ···こええ···
普通に考えたらこんな奴勝てねーよな。
だけど相手は人間だ、本気出したら殺しちまう。
手加減を心がけて···ッ、動いた!
「あァッ! おらァ! っ、らァ!」
正面に一発──避けられ、後ろに回り込まれる。
顎へ一発──背を後ろに反らして避けられる。
鳩尾に一発──背を前に反らせて避けられる。
なんだよ、全然当たらねえッ。
こんなにでけえ図体してんのに!
「ぐッ」
「ゥ゙っぐ」
パンチと膝蹴りを顔面へもろに受けた。
スーツを着ているのによろめく程の一撃。
何だよコイツ、本当に人間か?
むこうは俺が倒れないことに驚いているっぽいけど、俺からすればバケモンはそっちだ。
···そうこうしているうちに、俺は背中からの体当たりを受けて派手に吹き飛んだ。
信じらんねー、スーツ無しでもねぎ星人よりは強いぞコイツ。
心配した小島が駆け寄るが、俺は怪我一つしていないからそこは問題ない。
「玄野くん、玄野くんっ」
「大丈夫、何ともない。···ちょっと考えてた」
どうすればコイツに勝てるのか。
星人との戦いだと思いながら考え、1つの案が浮かんだ。
立ち上がり、前傾のまま走って突っ込む。
「なんで···耐えられるんや···?」
コイツは力もヤベーけど、それ以上に問題なのは技術だ。
どーいうわけか、いくら殴ろうとしても全て避けられるか受け流される。
なら直接しがみついて、そのまま押し切ってしまえばいい。
肉体のスペックだけなら、スーツを着ている俺の方が上のはずだ!
「ウオオオオ!!」
「ぐッ!!?」
抱きついたまま後ろに押し出し、飛び上がって俺もろとも建物の壁に叩き付けた。
···よし、大男は死んでねえ。
ちょっと気絶しただけだし、どうせすぐに目を覚ますだろう。
「小島ッ、行くぞ!」
不審がられる前に早くトンズラしないと──
「待てッ!!」
女の子に大声で呼び止められた。
「アンタ何者?」
「···別に」
「不自然すぎる。技術ゼロだし、体も貧弱に見える。それなのに先輩を押し切るなんて···普通じゃあり得ない。どんなカラクリ?」
ここでバカ正直に「ガンツスーツを着てるから」と言うわけにはいかない。
情報を漏らせばガンツに殺される。
「とりあえず服脱いで、どんな体してるのかボクに見せてよ。着痩せ···っていうレベルじゃないけど、脱いだら凄い体してたりするのかな?」
服を脱げって、ムチャクチャ言いやがるぜ。
冗談じゃない···やってられるか。
いったん小島を置き去りにしてでも逃げないと。
···あのカップルは弱いものいじめをするタイプに見えないし、まあ平気だろう。
そうと決まれば後は行動あるのみ。
俺はスーツをフルに使って、脱兎の如く逃げ出した。
「逃げるなーッ!逃げるな玄野ーッ!!」
嘘だろ追いかけてきやがった!?
しかも結構早い!
結局、あの女を撒くのに体感で10分は掛かった。
2人揃ってバケモンかよ。
◆◆
「あっ、お前らはあの時の!」
「あっ、先輩をぶっ飛ばした奴!」
まさか再会するとは夢にも思っていなかった。
···よりにもよって、ガンツの部屋で。
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風くんと舎弟ちゃんの出会いから、ガンツ部屋参戦までが本編。
この後は1話だけダイジェストを流して完結。