ROM専がGANTZ世界に転生した話   作:訥々

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後編

玄野くん視点です。

 

──────────────────────

 

なぜか俺は、立花率いる不良グループに呼び出されていた。

まさか報復のつもりか?

それならスーツを着ている今なら平気だけど···

 

 

「たえちゃん、大丈夫ッ、大丈夫だから!」

「大丈夫じゃないよ···どーしよう···」

 

 

普段は人気(ひとけ)の無い校舎裏に、いつもの不良メンバーと···知らないカップル(?)がいた。

男の方は2メートル近い身長で、筋肉ムキムキ。

ほとんど上裸に近い格好で、なぜか下駄を履いている。

女の子の方はたえちゃんと同じくらいの背丈で、普通に制服を着ている。

···というか、かなり可愛いな。

 

 

そんなことを考えていると、立花から「この2人をボコれ」と言われた。

なんで俺がそんなことしなきゃいけねーんだ。

それに男ならともかく、女の子は嫌だぞ。

 

 

「お前がこの学校で一番強いとや···」

「ハァ?んなこと誰が···」

「そこにいる番長モドキに言わせるとそうらしいっすよ。···先輩、この人本当に強いんすか?ぱっと見だと一般人にしか見えねーっすよ」

「そうやな···体も小さいし、目に力が無い。おい、嘘ついてんじゃなかろーな?」

「······」

 

 

ここまでボロクソに言われちゃ黙っていられない。仮にも彼女の前だし、いいトコ見せたいという気持ちもあった。

心配してずっと付いて来た女──小島多恵に力強く宣言する。

 

 

「ちょっと10分待ってて。すぐ片付けるから」

「おー言うねェ」

「何だよ急にコイツ」

「立花さんの腕ダメにしたのコイツだぞ、分かって言ってんのか」

玄野くんッ、帰ろうよ!!

玄野、お前なら勝てるッ!!

 

 

小島と立花のセリフで俺もスイッチが入った。

とりあえずこのデカブツを倒して···そうすりゃこの女の子も引き下がるだろ。

 

 

「おい誰か、救急車呼んどけッ」

「お前のためにな」

「何かやっとーとや?格闘技···」

「近所のジイさんに空手を少々···」

「空手か。そんじゃあ···いつでも来なィ」

 

 

やばい、出任せ言っちゃった。

俺は空手なんてやってねーぞ。

···数秒考えて、テレビで見たポーズをとる。

 

 

「なんじゃありゃ」

「俺どっかで見たことある」

「すっげー玄野」

「玄野すごいんじゃ?」

「···螳螂拳?でも構えヘッタクソだね」

 

 

不良たちは誤魔化せてるっぽいけど、男は構えたまま何も言わないし、女の子に至ってはバカにしてくる始末。

恥ずかしー、カッコつけるのやめよ。

 

 

気を取り直して、ボクシングふうに構える。

こっちはケンカなんかしたことねーっつの···構えってこんな感じで合ってるのか?

うおお、でけえ···こええ···

普通に考えたらこんな奴勝てねーよな。

 

 

だけど相手は人間だ、本気出したら殺しちまう。

手加減を心がけて···ッ、動いた!

 

 

「あァッ! おらァ! っ、らァ!」

 

 

正面に一発──避けられ、後ろに回り込まれる。

顎へ一発──背を後ろに反らして避けられる。

鳩尾に一発──背を前に反らせて避けられる。

 

 

なんだよ、全然当たらねえッ。

こんなにでけえ図体してんのに!

 

 

「ぐッ」

 

「ゥ゙っぐ」

 

 

パンチと膝蹴りを顔面へもろに受けた。

スーツを着ているのによろめく程の一撃。

何だよコイツ、本当に人間か?

むこうは俺が倒れないことに驚いているっぽいけど、俺からすればバケモンはそっちだ。

 

 

···そうこうしているうちに、俺は背中からの体当たりを受けて派手に吹き飛んだ。

信じらんねー、スーツ無しでもねぎ星人よりは強いぞコイツ。

心配した小島が駆け寄るが、俺は怪我一つしていないからそこは問題ない。

 

 

「玄野くん、玄野くんっ」

「大丈夫、何ともない。···ちょっと考えてた」

 

 

どうすればコイツに勝てるのか。

星人との戦いだと思いながら考え、1つの案が浮かんだ。

立ち上がり、前傾のまま走って突っ込む。

 

 

「なんで···耐えられるんや···?」

 

 

コイツは力もヤベーけど、それ以上に問題なのは技術だ。

どーいうわけか、いくら殴ろうとしても全て避けられるか受け流される。

なら直接しがみついて、そのまま押し切ってしまえばいい。

肉体のスペックだけなら、スーツを着ている俺の方が上のはずだ!

 

 

「ウオオオオ!!」

「ぐッ!!?」

 

 

抱きついたまま後ろに押し出し、飛び上がって俺もろとも建物の壁に叩き付けた。

···よし、大男は死んでねえ。

ちょっと気絶しただけだし、どうせすぐに目を覚ますだろう。

 

 

「小島ッ、行くぞ!」

 

 

不審がられる前に早くトンズラしないと──

 

 

待てッ!!

 

 

女の子に大声で呼び止められた。

 

 

「アンタ何者?」

「···別に」

「不自然すぎる。技術ゼロだし、体も貧弱に見える。それなのに先輩を押し切るなんて···普通じゃあり得ない。どんなカラクリ?」

 

 

ここでバカ正直に「ガンツスーツを着てるから」と言うわけにはいかない。

情報を漏らせばガンツに殺される。

 

 

「とりあえず服脱いで、どんな体してるのかボクに見せてよ。着痩せ···っていうレベルじゃないけど、脱いだら凄い体してたりするのかな?」

 

 

服を脱げって、ムチャクチャ言いやがるぜ。

冗談じゃない···やってられるか。

いったん小島を置き去りにしてでも逃げないと。

···あのカップルは弱いものいじめをするタイプに見えないし、まあ平気だろう。

 

 

そうと決まれば後は行動あるのみ。

俺はスーツをフルに使って、脱兎の如く逃げ出した。

 

 

「逃げるなーッ!逃げるな玄野ーッ!!」

 

 

嘘だろ追いかけてきやがった!?

しかも結構早い!

 

 

 

 

 

結局、あの女を撒くのに体感で10分は掛かった。

2人揃ってバケモンかよ。

 

 

◆◆

 

 

「あっ、お前らはあの時の!」

「あっ、先輩をぶっ飛ばした奴!」

 

 

まさか再会するとは夢にも思っていなかった。

···よりにもよって、ガンツの部屋で。

 

 

──────────────────────

 

風くんと舎弟ちゃんの出会いから、ガンツ部屋参戦までが本編。

この後は1話だけダイジェストを流して完結。

 

 

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