カタストロフィも大詰めとなり、ボクたち日本ガンツチームが巨人の母船内を駆けている今。
新宿から始まる、ボクたちの身に降り掛かった一連の大事件を振り返ろうと思う。
まずは新宿大虐殺──
優しい先輩に逃げろと怒鳴られ、ボクは泣きながら言われた通りにした。してしまった。
銃声が止んだのを察して先輩のもとへ戻ると、先輩は無惨な姿で亡くなっていた。
両足はへし折れ、腹にも銃撃を浴びていた。
顔面はズタズタにされて···思い出すだけでも辛い。吐き気がする思いだ。
とりあえず犯人は絶対に許さない。
見つけたら絶対に殺してやるつもりだ。*1
···消えてゆく先輩に抱きつき、泣きじゃくっていると───気付いたら黒い球の部屋にいた。
今思えばガンツの転送に巻き込まれたわけだ。
そしてそれが、全ての始まり。
恐竜星人*2──
初めてのミッション。
勝つか負けるかではなく、生死を賭けた戦いは端的に言って
それでも戦えたのは先輩がいたからだろう。
玄野さんの力の源が黒いスーツである事は察せたから、ボクたちもスーツを着るという選択が出来たことも大きかった。
黒服の男という脅威は残されたが。
人間を標的としたミッション──
ゆびわ星人をあっさり蹴散らしたと思えば、まさかの連続ミッション。
玄野さんたちが戸惑っているのを見て、ボクたちも何が起こるのか分からず怖かった。
そしてガンツに表示されたターゲットは、人間···それも玄野さんの彼女だった。
点数を稼ぎたい和泉と恋人を助けたい玄野さんに勢力が二分され、仲間同士での殺し合いが始まった。
ボクたちは玄野さんの味方につき、多恵さんを逃がそうと努力した。
ガンツに招かれた原因と思しきフィルムをレイカさんが破壊し、多恵さんをエリア外へ逃がすことにも成功した。
敵勢力となってしまった人達も味方の犠牲無しに鎮圧できて、あとはミッションの制限時間切れを待つばかり···そのハズだったのに。
タイマーの表示がバグり、制限時間が消滅した。
ガンツは多恵さんを逃がす気など最初から無かったらしい。
結局玄野さんを想ってエリア内に引き返した多恵さんを、隙を突いた和泉が斬り捨ててミッション完了。
あの場面ではアレしか方法が無かったことは理解しているけど、心情的には辛かった。
オニ星人──
人間社会に溶け込み、人間として生活してきた恐るべき星人。
口からガンツスーツの耐久を無視する強酸を吐き出してきた時は肝が冷えた。
強酸を最初に浴びたサラリーマンたちには悪いが、彼らの犠牲でボクは生かされていると言っても過言ではない。
さらに特殊能力を持った幹部級や、それらを束ねていたボス星人···いずれも強力な能力を保有していた。
それでも幹部級の各個撃破に成功し、ボスオニ星人も無事に倒せた。
ボスにトドメを刺したのは玄野さんと和泉だけど、先輩とボクもダメージを与えて勝利に貢献できた···ハズだ。
タケシくんの保護──
オニ星人の時からミッションに参加した新人であり、まだ幼い子供であるタケシくん。
そんな彼を野外で野宿させるのは流石に抵抗を覚えたため、一刻も早く部屋を用意したかった。
そして居住場所は意外や意外、鈴木さんの家にボクたち3人でお邪魔することが出来た。
なんというか、本当に徳の高い方だと思う。
吸血鬼──
和泉が殺され、玄野さんもあと一歩のところで完全に死んでしまうところだった。
キルビル似の吸血鬼をボクが殴り飛ばしたおかげで、玄野さんの部屋への転送がギリギリ間に合ったから良かったものの···。
大阪──
吸血鬼・氷川のメンバー加入からシームレスに移行したミッション。
行き先はまさかの大阪。
これまでは東京近郊だったのに?
···そう戸惑っている間にも、戦場の状況は目まぐるしく変化していった。
妖怪を模した夥しい数の星人。
それらを軽く蹴散らす大阪チーム。
そして──妖怪共の首魁、ぬらりひょん。
ボクが経験したミッションの中では、抜きん出た強さを持つ星人だった。
大阪の周回クリア勢が殺され、先輩も追い詰めたように見えたけど決定打は与えられなかった。
岡さんから意識外からの攻撃について教わっていなかったら全滅していたと思う。
最後は加藤さんが意識外から“押し潰す銃”を連射して辛勝。
···それにしても、岡さんの動きは半端じゃなく凄かったな。
鈍重そうなパワードスーツを着込んでいるのに、機敏かつ無駄のない動きだった。
ステゴロなら先輩だけど、武器アリなら岡さんの方が強いかもしれない。
先輩は武器術を好まないからね。
でもボクは岡さんの戦い方興味あるなぁ···機会があれば習ってみたい。
イタリア──
触れるだけでこちらの体が“千切れる”彫刻群とかいう、クソゲーが相手だった。
ボクは普段から取り回しやすいXガンを使っていたけど、先輩は銃器を使わないし体も大きいから彫刻を避けるのがキツそうだった。
Xガンは2丁持っていたから試しに渡してみたけど、擁護できないくらい下手くそだった。
うん、先輩は先輩のままでいて(目そらし)
そしてカタストロフィ──
現在も続く巨人族による地球侵攻。
ガンツを掌握していると言うクソ野郎の手先になったりしつつ、なんだかんだで玄野さんとレイカさんの発案で巨人に囚われた人間を助けに行くことが決まった。
ガンツの中にいた人の助けで全国のガンツチームの人達に呼びかけ、大阪から4人、地方から6人が来てくれた。
戦力が大幅に増えたことは素直に喜ばしい。
だけどその中には1人だけ、メアリーという外国の女(なぜか英語は喋れないらしい)が混じっていて···この時点でボクは嫌な予感がしていた。
そしてその予感は的中してしまった。
◆◆
巨人族の女性を犯しあまつさえ射殺した、クソを下水で煮込んだような外国人グループをみんなで殴り飛ばし、走り去る途中。
矢沢さんの発言がきっかけで童貞談義になった。
「アンタ真っ先に行ったな」
「あんな奴らは死ねばいいんだ」
「フェミニストなのか?」
「別に女なんか関係ねーし」
「まさか童貞じゃねーよな!?」
「······」
「どッ、童貞なんですか!?僕もですッ!!童貞って何も悪くないですよねッ!むしろ今初めて、童貞に誇りを持てましたッ!前嶋さんが童貞なら!!」
前嶋さんの頬がほんのりと赤に染まる。
そしてトドメを刺すように、大阪のメガネくんが童貞カミングアウトをした。
そこまでは──この女が会話に参加していなかった先輩に話しかけるまでは──問題なかった。
「ねえ、なんでシカトすんの?私の目、一回も見てくんないよね。その子と付き合ってるの?」
「······違う」
「ならどうして?女嫌い?ゲイ?···まさか童貞じゃないよね」
ボクがいるのに無言で顔を赤らめた先輩。
そんな先輩に抱きつく女。
「なッ、なんばするとやッ!?」
「てめェ、先輩を離せッ!!」
「あたしも一緒、格闘だけッ」
「離れんやッ!」
「初めて会った!あたしと同じ人!」
そして────
「ああああああぁぁ!!?」
女が背伸びして顔を寄せ、2人の唇が触れた。
···その後のことはよく覚えていない。
だけど「すけべするんですね、ボクとは一度もしてくれなかったのに!」とか、「やっぱり先輩も金髪ボインなチャンネーが好きなんだ!ボクみたいなぺちゃパイなんか眼中に無いんだぁぁ!!」とか。
色々叫び散らかして醜態を晒した気がする。
穴があったら入りたい。
というか先輩にブチ込みたい。
ボクに竿は無いけど。
◆◆
巨人族の首魁を倒し、地球に残していたタケシくんも見つかり、玄野さんと加藤さんも生還。
カタストロフィが終結した後、ボクたち3人──ボクと先輩とメアリーは鈴木さんの家に集まっていた。
タケシくんは鈴木さんに頼んで、少しの間外へ連れ出してもらっている。
公園にでも行ってるんだろう。
「メアリー。クソ鈍感な先輩ならともかく、あんたはボクの気持ちに気づいてたっすよね?それなのになんで、よりにもよってボクの目の前でキスしたのか言ってみろオラ」
「ごめん、2人が付き合ってないって聞いたから···テンションが上がっちゃって」
「なんて大胆な···っていうか流される先輩にも原因があるっす!抱きつかれたなら強引に引っ剥がせば良かったんですよ!」
「仕方ないじゃん、大左衛門は童貞なんだから」
「先輩を名前で呼ぶなッ!···ああもう、こうなるなら人の家だからって遠慮せずに、とっとと押し倒せば良かったっす···」
「飛鳥も中々に凄いこと言ってるよ?」
後悔先に立たず。
メアリーも先輩を手放すつもりは無いと断言しているし。
まあ確かに先輩は無口で心優しくて格闘一筋の漢だから、同じく格闘バカなメアリーとは相性抜群かつ希少性の塊なのだろう。
でもだからってボクが譲るハズもなくて。
それならいっそ、2人で先輩を“共有”しようという選択に至るのは当然の帰結だった。
「お、おい飛鳥···なんやその目は」
「ボクは先輩に負けてからずっと、先輩にゾッコンだったんすよ。好きなんです。乙女の純情を弄んだ責任を取って下さい」
「そういう事だから···ごめんね、大左衛門」
「メアリーまで···ッ!?飛鳥やめろ押し倒すな、服を脱がすなッ!」
「先輩の“初めて”はボクが貰います」
「その次はあたしね」
「ほら···早くヤろうよ、先輩♡」
──────────────────────
早く
···私が書く作品は毎回こうなる。
というわけで完結。
風くんは本編随一の勝ち組だけど、本人の能力を考えればもっと女性が寄ってきてもおかしくないハズ。
ステゴロ最強で寡黙、そして“漢”らしい優しさすらも兼ね備えた超ハイスペ野郎だし。
なぜ彼はずっとDTだったのか···多分近くに理解者が居なかったからだよな···閃いた!
そんなわけで生み出されたのが舎弟ちゃんです。
白髪ロリをもっとすこれ。