恐竜編
All Endings - ROM専GANTZ
もしもこの結末が夢じゃなかったら?
──────────────────────
早く私を彼のところへ連れて行って。
そう希いながら私はあの時死んだ。
死んだ
目を開けたら私はとあるマンションの一室に、
なんで私はガンツスーツを着ていないの?
しかもこの服装は、この部屋に始めて来た時と酷似して···というより全く同じだ。
混乱しながら顔を上げると、そこには死んだはずの“彼”が立っていた。
◆◆
もし人生における“幸福の総量”が決まっているなら、多分俺は今日で死ぬ。
GANTZ屈指の美少女にして、グラビアアイドルのレイカに泣きながら抱きつかれるなんて、一生分の幸運を使い果たしていてもおかしくない。
「零くん···零くん···!生きてる···よかったよぉ······」
2,3分前からずっとこんな調子である。
···一周回って少し冷静になって考えてみると、色々とツッコミどころが満載だ。
まず新宿大虐殺が起こっていないのに、なぜレイカが死人しか来れないはずの部屋に居るのか。
なぜレイカは俺の名前を知っているのか。
なぜ俺に対する好感度が異常に高いのか。
レイカは超有名人だから、俺は彼女の事を原作知識以外でもメディアを通じてよく知っている。
対する俺はごく普通の男子高校生。
テレビに出たこともないし、レイカに会ったことなんて
あと「生きててよかった」ってどういう意味?
俺死んでないよ···いや一度死んでるからこの部屋にいるんだったわ。
あと千手観音にも殺されかけた。
「あの···レイカさんで合ってる?···とりあえず周りの目線も凄いし、一旦離れt「イヤ」···え?」
「もう離れたくないよ···零くん···」
余計に悪化したかもしれん。
どうすればいいんだよ···誰か助けてくれ。
玄野と加藤も露骨に目を背けないでくれ。
途方に暮れていると、雰囲気をガン無視したラジオ体操の明るい音楽が部屋中に響き、レイカが俺の拘束をようやく解いてくれた。
「···スーツ」
「え?」
泣き腫らした瞳でこちらを見つめながら、今度ははっきり聞こえるように言い直してきた。
「スーツ···着てくるね」
「え、はい···」
ガンツスーツの事も知っているのか···
何がどうしてこんな事に···?
喜びと戸惑いと少しの恐怖がグチャグチャになって、もうミッション前から疲労困憊だ。
◆◆
つい取り乱してしまったけど、ラジオ体操の音楽が流れたという事はミッション開始まで時間が無い。
まずはガンツスーツを着て、自分に合った武器を持っていく。
生き残るための鉄則だ。
「いきなり刀?」
零くんの呟き通り、この武器は初参加者向きじゃない。
化け物と真っ向から立ち向かうには相応の経験が必要だから。
「大丈夫、私も戦える」
何も分からず震えていた“あの頃”とは違う。
誰かに守られるだけの私じゃない。
「勝つよ」
黒玉からレーザーが照射され、私の“転送”が始まった。
恐竜群との戦いは呆気なく終わった。
というか雑にガンツソードを振り回しただけだ。
ボス格の巨大な恐竜──ブラキオサウルスの動きもやたら遅く感じられたし。
まだあの巨人の方が速かったと思う。
「レイカさん、初めてなのに凄いですね。何かやっていたんですか?」
「······時代劇の撮影で刀は使ってたから。勿論偽物だけど」
私が死に戻った事については今はまだ秘密にしておく。
彼が信じようと信じまいと、これから先の戦いには不要な情報だ。
もしミッション中に何かが起きても今の私なら対処すれば間に合う。
無駄に混乱させて零くんとの関係がややこしくなる事だけは避けたかった。
「···そうですか」
流石に色んな意味で暴れすぎたからか、零くんの私を見る目が不審者に向けるソレだ。
もう少し段階を踏むべきだったかも。
「気になることは山ほどありますけど、それは後で聞くとして。···凄く心強いです。これから宜しくお願いしますね」
“これから”よろしく···か。
私と出会った“事実”すら無くなってしまったみたいで少し悲しいけど、これは大きなチャンスだ。
今度こそ2人で生き残ってみせる。
──────────────────────
・レイカ
この番外編の主人公にして、本編のヒロイン。
神星人に殺されたけどなぜか死に戻った。
ステータスは最後に死んだ時のまま。
つまり
これが“愛の力”だよ()
・黒川零
本編の主人公にして、この番外編のヒロイン。
レイカの奇行の理由を部分的に察しているが、本人はヘタレなので確かめない。
味方でいてくれるなら何でもいいや(思考放棄)
ちなみに次の話で喰われる。