ROM専がGANTZ世界に転生した話   作:訥々

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大阪編(中)

「ぬらりひょん···何処にいるんだ?」

 

 

この100点ボスの攻略法は“意識の外からの攻撃”···つまりは不意討ちである。

原作で岡がハードスーツを犠牲にしてようやく掴んだこの情報を知っているということは、間違いなくレイカも前世持ち。

 

ただし恐らく、俺とは違って別世界から転生してきたわけじゃない。

逆行する(死に戻る)タイプの転生だ。

これなら俺に対して異様に執着する理由も···まあ、一応説明は出来る。

 

前世で俺とレイカは交際関係を持ち···どっかで俺が死んだんだろう。

普通は初対面で「生きてて良かった」と言いながらギャン泣きしない。

原作とキャラが違うのも、俺の死に原因があるのかもしれないな···。

 

 

「だとしたら、前世の俺はどうやってレイカを惚れさせたんだ···いや、そんな事考えてる場合じゃないか」

 

 

さっきからXショットガンのスコープを覗き、ビルの屋上から辺りを見回しているけど、目に付くのは一般人か雑魚妖怪ばかり。

···あ、レイカが天狗と犬神を倒した。

大阪チームの三人衆も全員生き残っている。

これはかなり大きい戦力になるかも。

 

他方に目を向ければ、岡の操る巨大ロボと牛鬼がタイマンを張っている。

こちらは原作通り、岡がロボットを捨ててハードスーツで直接撲殺する流れになりそうだな。

···スコープ越しとはいえ、リアルタイムで見ると凄まじい迫力だ。

あんなの岡にしか出来ない。

 

 

「···おかしいな、今ごろはレイカ達の場所にいるハズなんだけど。原作からズレてるぞ」

 

 

雑魚戦や中ボス戦はかなり順調に推移しているだけに、ぬらりひょんの姿が見えない事がより不気味に思えてくる。

このまま1人でいるのは危険かもしれない。

とりあえず一旦、レイカの所へ戻って────

 

 

「ッ!!!」

 

 

背後に謎の“圧”を感じ、脊髄反射で屈む。

何が起こったのか、それを脳が認識した瞬間には白い腕が空を切っていた。

息つく暇も無しに今度は蹴り飛ばされる。

ビルのフェンスに叩きつけられ、防御した右腕がビリビリと痺れる。

 

 

ふむ···なかなか興味深い···

 

 

2mを越す背丈、スキンヘッドで肌は真っ白。

まるでマネキンのような体だけど、顔だけは人相の悪い老人。

どうしてぬらりひょんがここにいる?

それにこれは、俺の記憶が正しければ第()形態。本来なら終盤で見せる姿だ。

岡やレイカとは接敵していないはずなのに、なぜ序盤の形態をすっ飛ばした?

 

 

素晴らしい···今宵は強者が多い···

「···強者って?」

お前と···一際面妖な鎧を纏った人間···そして刀を振るう黒髪の女だ

 

 

玄野や加藤を差し置いて俺をマークするとか意味分からん···と思ったけど、ぬらり視点だと自らの弱点(意識外)を突いてくるヤベー奴なのか。

最初から狙われてたのか、たまたま見つけただけなのか···それは分からないけど、とにかく俺を優先して潰しに来たことは確かだ。

 

そうと分かれば、取るべき行動は逃げ一択。

まずは撒かなきゃ始まらない。

Zガンを投げ捨て、腰のホルスターから取り回しやすいXガンを抜き放ち、威嚇射撃をしながらビルからビルへ跳躍。

光溢れる大阪の街を駆け回る。

 

足の速さには自信があるから、上手く行けば撹乱しつつレイカや玄野と合流できるかもしれない。

Zガンを持ってるのは俺だけじゃないからまだ勝ちの目はある。

そう思わなきゃやってられない。

 

 

ピンポロパンポン ピンポロパンポン

 

 

「クソッ、エリア外か!!」

 

 

このデスゲームのクソ仕様の1つ、『“運営”が定めたエリアの外に出たら頭の小型爆弾が爆発する』。

脳内に響く音は警告だ。

引き返せ、戦場に戻れ。

敵前逃亡を防ぐ為の理不尽なシステムだ。

 

 

「(俺、死んだな···)」

 

 

 

 

 

それからの俺は、自分で言うのもなんだけど結構頑張ったと思う。

初めの方は意外と優勢だった。

訓練でレイカの動きにある程度順応できたから、それより雑な攻撃なら凌げる。

 

しかしこの星人は“学習”する。

俺の動きを完璧に模倣するどころか、戦いの中で昇華してオリジナルをあっさりと越えていく。

 

この星人は無限に再生する。

切っても、斬っても、終わらない。

前世で言うところの“最終形態”を引きずり出すのが限界だった。

死闘の最中、視界の外に移動する暇は無い。

 

おそらくほんの数分も保たなかった。

俺が稼いだこの時間でレイカは異常に気づいているだろうか、それは分からないけど、どのみち俺の命運は尽きた。

 

 

「···いっそ殺してくれよ」

 

 

血の塊を吐き出しながら、ズタボロになった自分の体を見下ろす。

左目は潰され、両足は圧し折られて骨が見える。

右肩は脱臼、左腕はレーザーで消し飛ばされた。

腹にはピンポン玉くらいの穴が空き、貯水タンクに寄りかかって一歩も動けない。

なんで生きているのか不思議なくらいだ。

 

 

もう終わりか···

 

 

ああそうだ、()()もうすぐ死ぬ。

だけど皆が──レイカが残ってる。

 

ずっと一緒に鍛えてきたから分かるんだ。

誇張した言い方をすれば、おそらくレイカの強さに上限は無い。

きっかけさえあれば、きっと壁を打ち破れる。

俺の命が起爆剤になるなら悪くない。

レイカに頼ってばかりで情けないけど、今の俺には託す事しか出来ない。

 

···俺は目を閉じて、数秒後に訪れるだろう死を覚悟した。

 

 

 

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