ウマ娘~医者の競馬人生~   作:気まぐれな変人

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マヤノ、ウンスファンでお気に入りしてた人申し訳ないです。マヤノとウンスの登場はもうしばらく先になります。


仕事と同期

<リタ視点>

記憶が戻っておよそ半年

驚くほどに順調に物事は進んだ。前世の医者としての知識、勘。それに今世のリタが必死に勉強して築いた知識。これが合わさり驚くほどあっさりと試験は通過できた。なんだったら医者としての免許もついでに取れてしまったのだ。二兎追うものは一兎をも得ずとは言うが、もともと2匹とも追い詰めた状態で仕上げに捕まえるだけだったから手加減して取りこぼすなんてことが無ければ当然と言えば当然なのだが、それを当然としてしまえば多方面から怒られそうだ

 

話は変わるが、トレセン学園の試験はかなり特殊だ。ウマ娘という"人"を預かる職業であるため、合格基準の最低点数がしっかり設けられている。その影響もあり、トレーナーの人数は常に不足しているのだ。言ってしまえば最低点数を超えれば中央のトレーナーになれる。リタからすればめちゃくちゃ難しいというほどでは無かったが、常人からすればそれがかなり高めの合格基準であることも理解していた。

 

(それでもその仕組みの割には合格人数が少ないのはどういうことなんだろうか)

 

心の中でそんなことを思いながら、少し考え一度自問自答したのだが、答えはすぐにわかった。試験には面談がセットなのだ。先ほども言ったとおりトレーナーというのは"人"を預かる仕事だ。この業界に来る人間が全て不純な気持ちを持ってないわけでは無いだろう。もちろん面接で全ての人を落とせるかといわれれば違うだろうが、合格人数が少なくなってる要因の一つなのだろう

 

 

「まあ、そんなことはいいや。やっとここまで来たか...近いところに家を借りられてよかった」

 

 

入学するウマ娘とは違い、トレーナーには寮というものはない。そのため、田舎育ちのリタはトレセン学園の近くに家を買うなり、マンションを借りるなりしないといけなかった。さすがに一軒家とまではいかなかったが、家具などはトレーナー自体給料が高いこと、医師免許を取り、トレーナーとして大成しなくても返せる見込みがあること、あとは親から純粋に信頼されていたことなどから出世払いでいろいろとそろえて貰ったのだ。感謝してもしきれない

今日はトレセン学園に正式に雇われる日となる。時間が来たためトレセン学園へ向かう。今年の合格者は例年と比べ少ないらしい。どれぐらい少ないかというと毎年平均で15人ぐらいが合格して中央のトレーナーとなるのだが、今年は10人しか合格していないらしい。人数が多いときは2,3回に分けるらしいのだが、今年は全員集まって説明をするらしい。

 

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「うーん...少し早く着きすぎたかな?」

 

 

今いるのはトレーナー室前だ。トレーナーは専用の部屋が一つ渡される。まだ所属ウマ娘がいなくても渡されるのはありがたいが、所属ウマ娘がいるかどうかで部屋の広さは変わるらしい。まあそれも仕方ないだろう。所属ウマ娘がいないトレーナーの部屋を広くしてもどうしようもない。それなら所属ウマ娘がいるトレーナーの部屋を広くした方が効率的だろう

 

 

「もう少し遅く出るんだった......」

 

「あなたも早いですね。まあ合格してから初めての登校日ですからね。緊張して早く来てしまうのもわかりますよ」

 

「あはは、緊張していたわけでは無いけど結果的に早かったですね」

 

「ええ......?まあいいでしょう。ですがこれからは気をつけてくださいよ。あまり早く来すぎると他の方に迷惑です」

 

 

緊張というよりこればっかりは癖のようなものなのだろう。医者という仕事柄、それだけでなく巻き込まれてきた事件。全て早いに越したことはなかったのだから。早くついてないと落ち着かない体になってしまっているのだ。ただ、それをここで言うわけにもいかないので素直に返事を返す。

 

 

「わかりました。気をつけます」

 

「はい。えーと名前は......リタさんですね」

 

「ええ。リタです。あなたは?」

 

「私は藤原です。藤原 紀香(きか)です。よろしくお願いしますね」

 

「こちらこそよろしくお願いします」

 

 

どうやら名前は知られていたようだ…いや知られてたというより今見られたが正しいのかもしれない。トレセン学園の合格者一覧は関係者であれば誰でも見れるようになっているのだ。もちろんその見れる側にウマ娘も入っているのだが、どうやら見てる娘は少ないらしい。

 

 

「さて、あと20分ぐらいあるけど、おしゃべりでもしてましょうか」

 

「そうですね。何の話をします?」

 

「そうねえ...トレーナーが集まって話すことなんて一つじゃないかしら」

 

「あー...ですね。藤原さんはどんなウマ娘と契約したいとかって決めてますか?」

 

「そうですね、私はやっぱり王道の三冠路線ですかね。皐月賞、ダービー、菊花賞。3つを制覇するウマ娘と契約したいです」

 

 

いわゆる王道、ただしそれを目指すのは茨の道だ。何かしらの執着があるのだろうその一言には、強い感情がこもってるように見えた。聞いて確認してもいいのだが、それを聞くほどの関係性は築けていない。

 

 

「ああ、王道ですね。確かに魅力的だと思います。その路線に進むウマ娘は少ないですからね」

 

「ええ。リタさんはどうです?」

 

「私ですか?......そうですね。私は特に進みたい路線とかは決めてないですね」

 

「あらそうなの?珍しいですね」

 

「そうですか?まあ私が契約したウマ娘次第で路線は変わっていくと思います。私はウマ娘の行く末を見守って、悪い方向に行かないように手助けをしたいだけなので」

 

「ふむふむ。あなたの考え方は私と異なりますね。私はウマ娘を育てたいというよりは三冠路線を走りたいと思っていますから」

 

 

これが一つの本音なのだろう。“管理主義”に近い形とでも言おうか、ウマ娘の心情より実績を最優先に置く考え方。一歩間違えれば破滅するかもしれない危険性を秘めている。

 

 

「ああ...藤原さんの考えも珍しいかもですね。普通はウマ娘を育てたいと思う人が多いですから。正反対の珍しさですけどね」

 

「そうね。まあそういう考え方もあるってことです」

 

「なるほど、確かにそうかもしれませんね」

 

「さて...そろそろ時間ですね。行きましょうか」

 

「そうですね。行きましょうか」

 

 

珍しいとは言ったが、極端に少ないわけではない。トレーナーの中にはそのような思想を持ってる人も一定数いる。その人が大成するかどうかはまた別の話ではあるのだが……いい時間になったためそろそろ向かおうとするとちょっとだけ呼び止められる。

 

 

「あ、そういえばリタさん」

 

「なんですか?」

 

「一つ聞き忘れていました。あなたは中央のトレーナーになれて嬉しいですか?」

 

「ええ。もちろん嬉しいですよ。夢が叶ったんですから」

 

「そう...それは良かったわ」

 

「ん?大丈夫だと思いますよ?中央のトレーナーになって嬉しくない人の方が少数派でしょう」

 

「ええ確かにそうですね。私の夢は中央のトレーナーになって3冠を獲るウマ娘を育てることでしたから、中央に入れなきゃどうしようかと」

 

「後がないと確かにかもですね。まあ無事には入れて良かったじゃないですか」

 

「ええ...まあそんなことはいいから。さっさと行きましょう」

 

 

表ではこう言ったものの、記憶が戻ってから半年ほど。正直落ちる心配はしていなかったため、心情はかなり違う。本来なら相容れない思考。しかしそれは璃断にとって関わらない理由になることはなく、むしろウマ娘との意見の乖離での破滅の兆候を見ているようですごく不安になったのであった。

こうして2人は説明場所へ向かうことになった。

 

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「以上!これで新人説明会は終わりとする!」

 

 

そう言いながら歓迎と書かれた扇をヒラヒラさせる理事長が満面の笑顔で締めくくると、場の空気は一気にほぐれた。形式ばった空間から、これから何が始まるのかという高揚感が満ちる空間へと移り変わる。

 

(...それにしても、やっぱり濃いな)

 

リタは周囲を見渡しながらため息をつく。わずか10人とは思えない個性の強さ。先ほどの簡単な自己紹介で、それぞれの色がしっかりと見えていた。

 

その中でも印象的だったのは、明るくのんびりで場の空気を自然と和ませていた笹川詩織、そして逆に口数少なく鋭い目つきで全体を見回していた天城澪。正反対とも言える2人の存在感が特に際立っていた。

 

 

「今年はまともな奴が何人いることやらって思ってたけど、意外と面白そうなメンツだな」

 

 

と、そんなリタの隣で呟いたのは相馬 蓮。気さくな態度の中に、どこかこちらを試すような眼差しを向けてきていた。

 

 

「リタさんだっけ?さっきの自己紹介、妙に落ち着いてたな。こういうの初めてじゃないだろ?」

 

「...さあ、どうでしょうね。落ち着いてただけかもしれませんよ?」

 

「へぇ、そっか。じゃあ僕が見誤ったかもな」

 

 

笑いながらそう言うが、その目はまるで医師の診察のように、相手の奥を見通そうとしている。初対面だからが1番の理由なのだろう。その目は誰も信頼せず、手の内を見透かそうとしてる。これは1番教えてもらえると思ったのだろうか?警戒よりも強い興味の目線だ。そんなことを考えていると別の方向から声がかかる

 

 

「おーい!皆さん、そろそろ移動の時間ですよ」

 

 

声を張ったのは春日 未来。元気な声に皆の注意が向けられる。周囲の空気がわずかに引き締まり、これから始まる実務研修改め、スカウトへの期待と不安があたりを交錯していく。

 

(いよいよかな)

 

リタは心の中で呟いた。

 

(誰と契約することになるのか、どんな運命を歩んでいくのか……。それはまだわからないけど、この手に預けられた命を、絶対に見捨てたりはしない。バッドエンドは好きじゃないからね)

 

そう思いながら、リタは選抜レースへと足を進めるのだった。

 

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選抜レース場へと向って一戦目が終わると同時に歓声が上がる。

 

〈トウカイテイオー、またしても圧勝の一着!中距離部門をかっ攫っていきました〉

 

軽い実況から聞こえてきた名前、それは来年の3冠候補とも噂されるトウカイテイオー。それを見るやいなや、紀香と蓮がスカウトに走っていった。

 

 

「藤原家のトレーナーです。私についてくるなら3冠を取らせてあげますわ」

 

「君なら史上最速のウマ娘も夢じゃなさそうだ。僕と一緒に走ってくれないか?」

 

 

二人の声が混ざるようにして他にも大量のスカウトが飛ぶ。

 

 

「すごいですね...私も行った方が良かったんでしょうか...?」

 

「あの中に混じる必要は無いと思いますよ?スカウトしたいなら個別で何かしらのアピールポイントを持ってアピールした方が聞こえると思いますし」

 

 

不安そうに話しかけてくる桐生院 葵に軽く返答を返しながら遠目で"脚"を見る。前世で言う"ガラスの脚"それを引き継いでいる彼女らの脚は非常に繊細だ。脚が強い子、変な癖が無い子は怪我をしづらい。逆に脚が弱い子もいる。

脚の筋肉なんかで力強さを見極められたりもする。人間が面接で相手の顔を見てある程度の判断を決めるように、ウマ娘を見極める上で一番重要な場所だ。

 

 

「遠目だから見えづらいけど...めちゃくちゃ丈夫ってわけでもなさそう?軽やかなステップはあるけど...あの踏み込み方にしては脚の丈夫さが足りてないような...」

 

 

そう呟きながらメモを取る。覚えられないわけでは無いが、メモに書いておくと比較するときにいろいろと便利なのだ。情報収集はスカウト出来なくても対戦相手となったときに生かせる基本だ。初めから強い子をスカウト出来るなんて思っていない。

 

 

「うーん、やっぱりリギルやスピカ以上に魅力を感じないな~、ねぇねぇ!誰かそれ以上ってアピールできるトレーナーはいないの?」

 

 

ちらっとこちらを見られる。新人トレーナーが入ってくる日程は毎年同じだ。当然ウマ娘側にもその日程は周知のこと。何事も無ければトウカイテイオーのデビューは今年だから最後に確認がてら来たのだろう。本人の考えなのか誰かの入れ知恵なのかはわからないが

その言葉を聞いてほとんどのトレーナーが黙ってしまう。当たり前だ。スピカは今は名を上げてないとはいえ、昔はリギルと同レベル、そのリギルは学園で一番強いグループだ。そこに勝るアピールなんてそうそう出来るはずも無い。リタ自身もあの2強に勝てるとは思ってなかったため静かに他のウマ娘の分析も一緒に書いて退散することにしたのだった。




現在公開できるQ&A
Q なんで見られたの?
A そりゃ小声で呟いたの聞かれてるから


後々の話にはなりますが(前世の璃断に大きく関係している)2名ぐらいがウマ娘化して出てきます。オリジナルトレーナーもちょこちょこ出てきます。

世界観設定は現実の競馬を元にウマ娘"アニメ"に"ゲーム"の要素を加えたキメラ的なものになっております。URAファイナル等はやる......かも?

正直AIに投げてそれを深掘りして新規キャラを作っても良いのですが、役割かぶりがありそうなので活動報告の方でオリジナルトレーナー(元の競馬を参考にしているのでそれを壊さない程度であればオリジナルウマ娘も可)を募集しときます。期限はありません。
興味があるのであれば活動報告見ていってください。

↓活動報告
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=326115&uid=428256

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