あーあ、また失敗だ。何をやっても上手くいかないや
「おぎゃあぁぁぁ!」
産婦人科の病院の、とある一室。
そこで神に愛され、神に奪われた赤子が産まれた。
「元気な男の子ですよ~」
母親から取り上げられたその子供は、自らの母親と邂逅した。
「あなたは、あなたの名前は
その言葉は眼差しは、誰よりも愛に溢れた物だった。
◇◇◇◇
神様って思考も覗き見れるのかな?
ってことで、ヒロアカ世界に転生した僕だ。今世では
ある程度自由に動けるようになって、神様から貰った少し高い身体能力が実感できるようになったんだよね。友だちとのじゃれ合いやヒーローごっこでは勇者になれるんだなこれが。まぁ、異形系個性の子には敵わないから勝てはしないんだけどね。
平均以上の顔も当然既にあるんだけど、それは今はあんま効果が実感できないんだよね。このぐらいの子供ってよっぽどじゃなきゃ顔で判断しないし、大人は子供ってだけで可愛い!ってなるからさ。
そして、
まぁ、今考えてもしょうがないか。
そんなことより、実は今悩みがあるんだよね。いや、悩みっていうか問題に突き当たってるって言ったほうがいいかな。それで、その問題っていうのが──
「──待って!ごめんなさいっ私が悪かったわ!?」
「…………はぁ……これ以上失望させないでくれ、もう俺たちは終わったんだ」
「っこれはなにかの間違いなの!私はあなたのことを愛して──」
『《──旦那さんとの予定はいいの?》《いいのよ、あんなのただのサイフだもの》』
「──っえ?」
「もうその芝居はしなくていい、早くこれにサインして俺を解放してくれ……」
はい、ということで両親が不倫で離婚しそうっていうね。
いやー困った。主に親権関係で困ってる。一般的に離婚するとなると親権は母親側なんだけど、母親側が原因で離婚するわけだからこの場合親権は父親側になるわけだ。ところがどっこい、なんと僕は不倫相手の子供らしいんだな。つまり父親側の親権になる可能性は低い。だって僕赤の他人だったんだもん、じゃあ仕方ないよね。
でも普通に考えて、不倫する尻軽母親よりも多少厳しくてもしっかり者の父親の方がいいだろう?誰だってそうさ、僕だってそうだもん。
だから両親の離婚を止めなきゃいけないんだ。よって、ここで僕がするべきなのは──
「おとーさん、おかーさん、なかよくしてよ…」
二人が僕のほうへ顔を向ける。そしてお母さんが口を開いた。
「っそうよ!つくもがいるんだから離婚なんて嫌!」
「九十九を利用するな!俺たちの問題に子供を理由にするなんて最低だぞッ!?」
「そんなのどうでもいいのよっ別れたくないの!」
「だから無理だっていってるだろ!さっさとサインしろ!」
「嫌よ!嫌嫌っ嫌なの!!」
「嫌じゃない!サインをしろ!」
あーあ、失敗だ。喧嘩が激化しただけだった。
うーん、何でだろ、転生してから何やっても上手くいかないんだよね。これ、直したいんだけど原因が分からないから直しようがないんだよなぁ……はぁ、なんで僕ってこうなんだ。
自己嫌悪で嫌になる。僕は楽しい第2の人生を夢見たのに、まるで違う人生じゃないか。何もかも上手くいかなくて、世界から「お前は間違ってる」って否定されてる気分だ。僕を転生させたのはそっちだろうに。
「ねぇつくもっ?つくもはお父さんと一緒がいいわよねっ!?ね、そうよね!?」
「なっ!?……俺は何と言われようがお前とこれ以上過ごすなんて無理だ!」
「ね!?つくもっそうって言って!?」
あぁ、でも、
こんな僕でもいていいんだって思える。だって僕以下がいるんだぜ?そりゃあこんな
──その時、自分の中でナニカがカチリと嵌まったような、ナニカが抜け落ちたような感覚がした。
直感的に理解する。僕にもやっと
僕には分かる、この
これはモノを弄んでいじくり倒す
【
うん、これにしよう。
さて、それじゃあ最初のお仕事だぜ?【
「つくもっお父さんと一緒がいいって言って!!?」
「うん、そうだねお母さん!」
「なっ……だが離婚は決定事項だっそこは九十九でも変えられない!」
「【
杭を何処からともなく取り出して、お父さんに突き立てる。そしてそのまま突き刺して。
「お父さんはお母さんと離婚したくない。そうでしょ?」
「?あ、あぁ……そうだな」
「………っえ?」
あ、ついでにお母さんにも杭を刺しとこう。喧嘩のない仲睦まじい夫婦になって欲しいからね。
また杭を何処からともなく取り出して、それを呆けてるお母さんに向ける。
「やっやめっ──」
「【
「?えぇ、そうね」
「うんうん、よかったよかった!これでお母さんとお父さんは離婚せず喧嘩せず、平穏で平和的な生活を送れるね。すごく良いことをした気分だよ」
僕は満足気にうなずく。
あ、因みにこの杭には直接的なダメージはないから安心してね!
◇◇◇◇
「あ、それじゃあ私、あの人のところに行ってくるわね」
「あぁ、いってらっしゃい」
あれから僕たちの日常は変わった。
お母さんの不倫は公認のものになり、当たり前のように不倫相手と出かけるようになった。それにお父さんは優しく見送るし、むしろ不倫相手との時間を作れるようにしている。
お父さんはなぜか厳しさが抜け落ちて、ただお母さんに甘いだけの存在になってしまった。でも、僕への愛情は尽きているようで、僕には一切構ってくれやしない。
こんなつもりじゃなかった。僕はこんな歪な関係じゃなくて、普通の家庭に戻したかっただけなんだ。
やっと分かったよ。僕の
望み通りいかないし、皮肉に達成される。物事は気味が悪くて気色悪い形に成就するんだ。
あーあ、また失敗だ。
何やっても上手くいかないや。
まぁでも、こんなクソみたいな家庭も僕以下のやつらをずっと見てられる箱庭ってことだからね。気味が悪いことは変わりやしないけど、代わりに下をみて安心できるのは良いことだ。
神様見てる?
何もかもを僕以下に改悪する。これが
余談にも満たない蛇足だけど、僕の名前はちゃんとめだ箱の命名規則とヒロアカの命名規則に則って付けられてるんだぜ。どうでもいいって?君にとってはそうかもしれないけれど、他の神様にとってはそうじゃないかもだろう?今どき、少年ジャンプでも伏線や設定がしっかりしていないと叩かれる世の中だからね。それにどうこう言うつもりはないけれど、というか僕としては考察の余地があるほうが楽しめるけど、僕としてはそこが大事だと思ったわけさ
そう言うわけで、僕の個性が気になる神様は僕の名前をボケッと眺めて、君のその頭で考えてみてくれよ。肝は苗字と名前の区切り方だ。皆割石九十九……めだ箱を履修している神様たちならば分かるはずだぜ?
おっと、言い過ぎたな、ここまでヒントを上げるつもりはなかったのに……
あーあ、また失敗だ。何をやっても上手くいかないや