ヒロアカ世界に過負荷をひとつ   作:しらないひと

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-5話 嘘の災害や事故

 

 

「では、それでは」

 

そう言って黒霧さんは僕を残して消え去った。

 

 

ってことで木っ端だけどヴィラン連合入りを果たした僕、皆割石(みのろし)九十九(つくも)だ。

 

今は雄英襲撃の決行日が決まって黒霧さんが伝えてきたところだね。それがいつかというと、それはもう明日や昨日よりも直近の直近、というか今日。いやー、もっと事前に連絡して欲しいんだけどなぁ。まぁ、木っ端にはこのくらいがお似合いだね。

 

 

だから今は木っ端ヴィラン仲間たちと一緒に襲撃の待機している途中だ。待機場はそこまで狭いわけじゃないけど、男しかいないからむさ苦しいね。もっと綺麗でキュートな美少女ヴィランはいないのかな?

 

 

 

まぁそれはともあれ、相手がいくらこれ以上描写されないモブ以下だとしても、同じ志を持つ者として自己紹介は大事だよね!

 

 

どうも!背景にしか成れない皆さん!僕は皆割石九十九、みんなと同じ、どうでもいい志を持って適当な理由で折れ、いい加減な死に様を晒す予定の木っ端ヴィランの内のモブMです!今日は一緒に精一杯のつもりで手を抜きつつあえなく捕まりにいきましょう!

 

突然ヴィラン仲間たちは真っ青な顔になり、バタバタと僕の近くにいたやつらが倒れていく。

どうやら、僕のマイナスに当てられたらしい。

 

……あれ?おかしいな、僕の想定では和やかでハートフルな空気になるはずだったんだけど。あーあ、また失敗だ。何をやっても上手くいかないや

 

どうやら僕の挨拶が盛大に失敗したみたいだ。まぁでも、それも僕だ。

それにしても、なんかこれ覇王色の覇気みたいな状況だね。もしかしたら僕なんかでも王の素質があるのかも!いや、この世界には過負荷(マイナス)なんていないし、実質もう王様みたいなものだよね!まるで民のいない虚しい王様。うん、カッコいい!

 

……あ、困ったな。せっかくの貴重な木っ端ヴィラン仲間だっていうのに、ダウンしたままじゃあこいつらを連れて行けないや。うーん……あ、そうだ。こんなの気にしないくらいまで性根を改悪すればいいんだ!僕なんかには似合わない名案じゃないかな?そうと決まればすぐさま実行だ。僕はよく『その無駄な行動力どうにかならないか』って褒められるくらいの即断実行の権現なんだぜ

 

 

何処からか出現した杭が、倒れ伏したヴィランたちにいつの間にか刺さっていた。

 

お厄所勤め(バッドワーカー)】、こいつらのメンタルを強くした

 

 

すると、むくりとヴィランたちが起き上がってくる。だけど、その様子は明らかにおかしい。ある者は感情が抜け落ちたような虚ろな目をして、ある者は壊れたように嗤い、ある者は自傷をし始めた。

 

……あー、メンタルは壊れてしまえばもう壊れないってことね。あーあ、また失敗だ。何をやっても上手くいかないや

 

いつものように独り言をこぼす。

 

 

「……これを、貴方がやったのですね」

 

──独り言、と思っていたんだけど、どうやらそれを聞かれていたらしい。恥ずかしすぎて火でも噴きそうだ。

 

仮にそうだとしてなんなんだい?君らにとっては僕らは代わりのきく消耗品でしかないんだぜ。その消耗品のほんの十数%無駄に消費しちまっただけだ。そんなの、生きていれば数え切れないほどあることじゃないか

 

想定通りとはまるで違うけど、理想からはかけ離れてしまったけど、それでも僕は此処ぞとばかりにこの台詞を吐く。

 

 

『僕は悪くない』

 

「っ、そうですか……まぁいいでしょう。では、私をくぐってください。私の先に雄英高校が、オールマイトがいます」

 

 

まぁ、いないんだけどね。

いやはや、失敗するって分かりきってることをやるのは初めてだからドキドキするぜ。ん?なんで神様はそんな不思議そうな目で見てるんだい?僕はいつだってできると思って行動している生粋の負け犬だよ。全くといって良いほど上手くいくことがなくて本当に弱ってるよね。

 

 

 

 

 

そんなことをブツブツダラダラ脳内で呟きながら黒霧さんを通り抜けていく。そしてその先の景色は、想像通りで、期待を裏切るものだった。

 

 

遠くに見えるだらしない男と、宇宙服を着込んだ人物。

あれがプロヒーロー、イレイザーヘッドと13号。

 

 

へー、ヒーローってこんなに威圧感あるもんなんだね。これが成功者(プラス)……いや、異常(アブノーマル)か。危うく失禁しそうだぜ

 

特にイレイザーヘッドの敵意が強く刺さる。それはまるで子を守る母猫のような目つきの鋭さだ。もっとも、イレイザーヘッドの目はゴーグルで見えないからそういう雰囲気というだけだけど。

 

 

瞬間、イレイザーヘッドがこっちに向けて降りてくる。

 

それに向けて射撃系個性持ちのヴィランたちが一斉に射撃しようとするけど、それは発動せずに失敗に終わる。

 

 

「ばかやろう!あいつは見ただけで個性を消すっつうイレイザーヘッドだ!!」

 

へー、この木っ端ヴィランの中には解説担当もいるんだね。僕は何もせず実況解説のお喋りを聞きながら眺めるだけでいいんじゃない?どうせ失敗するんだしこれ。

もちろん、やるからにはそれなりに上手くいくようするつもりだけどさ。

 

異形系個性持ちがボコボコにされるのをボケッと眺めながら、プロレスを見るような感覚に浸る。

 

結構面白いね!神様の誰か、コーラとポップコーンでも持ってないかい?あ、正直言う必要はないけれど、コーラはコーラでもペプシコーラだからそこは注意してくれよ。僕はペプシコーラの方が好きなんだ。ムリ?そう、それは残念だな。

 

あーあ、また失敗だ。何をやっても上手くいかないや。

 

 

 

さて、僕も突撃するとしようか。僕は個性なんて下らない手品を頼りに戦わない主義だからね。イレイザーヘッドの個性は通用しないから、痛手を負わせるくらいはできるかもしれないしさ。

 

 

何処からか杭を取り出して両手に握り、低姿勢でイレイザーヘッドに突っ込んでいく。

 

すれば、当然のように捕縛布が飛んできた。

あえなく僕の足は捕まって、グイッと引っ張られる形で身体は宙に浮かぶ。

 

「こんな子供も居るのか…っ!」

差別するなよ、僕はヴィランだぜ?

 

僕が子供だからか、僕を攻撃する手に一瞬、躊躇がうまれた。

それを見逃すほど僕は生ぬるくない。右手に持った杭を突き刺そうとする。

 

「──ッ!?」

 

が、突き立てたその瞬間に捕縛布によって大きく振り回される。それによって杭はさせなかった。

 

 

ビダンッ!と強く地面へ叩き付けられる。

 

いったいなぁ、子供への遠慮ってものがないのかい?プロヒーローってのは残酷なんだね。……それにしても、あーあ、また失敗だ。何をやっても上手くいかないや。流石プロヒーローと言うべきかな?直感というか、危機察知が尋常じゃないぜ。僕にもわけて欲しいくらいだ

 

ぐらりと僕は立ち上がる。足に巻かれていた捕縛布は既に解かれているから、転倒の危険はない。

 

「……何者だ、お前。ただの寄せ集めかと思えばお前なんていうもんが隠れてた。お前からは殺意も敵意も感じなかった。……だが、悪意だなんて言えないほどドス黒いものが突き刺さった。何なんだお前は……!」

おいおい、教師が『教えてください』だなんて言うもんじゃないぜ?まぁ、僕は優しいから答えてあげるけど。……あー、でも、僕は僕という以外に説明がないな。っていうことで、僕は僕さ

 

半身で両腕を広げてヘラヘラと笑う。

仕方ないだろう?実際、僕の名前に付随するものなんてひとつもないんだから。でもまぁ、これが僕さ。

 

「……そうか」

 

イレイザーヘッドは再び戦闘態勢にはいる。

いや、今までもそうだったんだから、気を入れ直したことの表現くらいだと思って欲しい。

 

 

 

今度はイレイザーヘッドが突っ込んでくる。

器用に捕縛布を僕へと飛ばしながら、忍者のように忍び寄ってくる。

 

流石の僕も、一度喰らった攻撃をもう一度無抵抗で受けるなんてバカな真似はしない。よく軌道を見て捕縛布の射程内から急いで抜ける。

 

 

うおっ!?

 

だけど、イレイザーヘッドの方が何枚も上手だったらしい。捕縛布は突然軌道を歪ませ、僕を追尾し巻き付いた。

 

ちょっわっ……わぁぁぁあああ!!!?

 

さっきの接近戦のスタイルはして貰えず、僕はイレイザーヘッドを中心にグワングワンと振り回されてしまう。

おえっ吐きそう……!

 

 

そのまま遠心力を助けに投げ飛ばされる。

投げ飛ばされた先はUSJ(嘘の災害や事故ルーム)に備え付けられた噴水。

 

 

わ!?あいきゃんっふらぁ───

 

 

 

水飛沫を上げて僕はダイナミックな入水を果たした。

 

 

 

 

 

 






神様のみんな、今回の僕は戦闘が下手だっただろう?適当な傲慢で突っ込んで、弄する策もなくただ敗北するだけ。そのことについて存分に文句を垂れればいいさ。でも、僕だって全力なんだぜ?神様たちが思ってるよりはこんな僕もそれなりに悪足掻きしてるんだ。それをなんの思慮もなく一言で否定するなんて、神様はよっぽどの完璧超人なんだね!僕にはこの程度のことすら満足にできないぜ

あーあ、また失敗だ。何をやっても上手くいかないや

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