遊戯王世界で遊戯王するわけないだろ!! 作:アステリアス
アトリエの朝は、いつも慌ただしくも賑やかだ。陽が差し込む大広間では、ウィッチクラフトたちがそれぞれの作業に没頭しながら、楽しげな声を響かせた。
「マスター、そろそろ朝食にする?」
ヴェールが手を振りながら声をかける。増田は作業机に向かいながら、湯気の立つスープの香りに誘われて振り返った。
「お、もうそんな時間か。悪いな、すっかり集中してた」
「ふふ、朝食を抜いたら体に悪いです」
ハイネが優雅にテーブルを整え、焼きたてのパンとバターを並べる。その隣でポトリーとピットレが、楽しそうにジャムの瓶を揺らしながら何か話している。
「ねえねえ、どっちのジャムがいいと思う? オレンジとストロベリー!」
「いや、やっぱりストロベリーのほうが風味があるし、美味しいんだよ!」
ポトリーとピットレがジャムの魅力を熱く語り合っていると、シュミッタが紅茶をすすりながら口を挟んだ。
「そんなに言うなら、半分ずつ塗って食べればいいんじゃない?」
「それは……それでいいかも!」
「うーん、どっちも美味そうだけど……今日はストロベリーで頼むよ」
増田がそう言うと、ピットレが得意げに胸を張った。
「ほらね! やっぱりストロベリーだよね!」
その後ろでは、シュミッタが頬杖をつきながら、のんびりと紅茶をすすっていた。時折、ヴェールの食べるスピードを見ては、「そんなに急いで食べたらお行儀が悪いわよ」と軽く窘める。
「えー、好きに食べさせてよ~」
ヴェールが頬を膨らませながら言うと、エーデルは優雅にナプキンを広げながら微笑んだ。
「食事はゆっくり味わうものよ。ほら、ゆっくり頂きましょう」
「はーい……」
ポトリーとピットレはそんな二人を見てくすくす笑いながら、ジャムを塗ったパンを交換して食べ比べている。
ジェニーはその様子を横目で見つつ、増田の隣に座ると、穏やかな笑みを浮かべた。
増田は苦笑しながらパンをちぎり、スープをひと口飲んだ。その横では、アルルが黙々と食事をしている。彼女は無表情ながら、時折ヴェールやピットレの会話に耳を傾け、小さく頷いていた。
「アルルもジャム試してみる?」
アルルはじっとポトリーの顔を見た後、静かにパンを受け取った。そして、ジャムの乗った部分を慎重に観察しながら、ひと口かじる。
ポトリーが差し出した小さなパンを受け取り、アルルは少しだけ首を傾げた後、一口かじる。そして、何かを考えたようにじっとパンを見つめ、もう一口。
「……甘い」
「そりゃそうでしょ!」
ヴェールが興味津々とアルルを見つめながら尋ねた。
「ねえねえ、どっちのジャムがいいと思う? ポトリーとピットレの論争に決着をつけちゃって!」
アルルは少し考え込んだ後、もうひと口食べる。そして、静かに一言。
「……どっちも、美味しい」
「そ、それじゃ決着つかないじゃん!」
ポトリーとピットレが同時に声を上げると、ジェニーがクスクス笑いながら紅茶を飲んだ。
「結局、好みの問題なのよね。マスターはどう思う?」
増田はスープを飲み干しながら、ゆっくりと答えた。
「うーん……どっちも美味いけど、たまには違う味も試したいな」
「じゃあ明日はハチミツジャムね!」
ピットレが得意げに宣言すると、アトリエは和やかな笑い声に包まれた。アルルは静かにもう一口食べる。増田はそんなやり取りを微笑ましく眺めながら、ゆったりとした時間を楽しんでいた。
「たまにはこういう時間もいいな……みんながいるって、すごく落ち着くよ」
「でしょ?」
ヴェールが得意げに微笑む。そのまま、穏やかな時間が流れていく。
窓の外では鳥がさえずり、アトリエの一日はゆったりとしたリズムで始まる。増田はそんな日常に溶け込みながら、ふと、心の奥に温かな幸福感が満ちていくのを感じていた。
こうして、ウィッチクラフトたちとの賑やかな日々は、これからも続いていくのだった。
この辺で切り上げます。
小噺ばかりでしたが、お付き合いありがとうございました。