遊戯王世界で遊戯王するわけないだろ!!   作:アステリアス

15 / 15
ウィッチクラフトとの日常

 アトリエの朝は、いつも慌ただしくも賑やかだ。陽が差し込む大広間では、ウィッチクラフトたちがそれぞれの作業に没頭しながら、楽しげな声を響かせた。

 

「マスター、そろそろ朝食にする?」

 

 ヴェールが手を振りながら声をかける。増田は作業机に向かいながら、湯気の立つスープの香りに誘われて振り返った。

 

「お、もうそんな時間か。悪いな、すっかり集中してた」

「ふふ、朝食を抜いたら体に悪いです」

 

 ハイネが優雅にテーブルを整え、焼きたてのパンとバターを並べる。その隣でポトリーとピットレが、楽しそうにジャムの瓶を揺らしながら何か話している。

 

「ねえねえ、どっちのジャムがいいと思う? オレンジとストロベリー!」

「いや、やっぱりストロベリーのほうが風味があるし、美味しいんだよ!」

 

 ポトリーとピットレがジャムの魅力を熱く語り合っていると、シュミッタが紅茶をすすりながら口を挟んだ。

 

「そんなに言うなら、半分ずつ塗って食べればいいんじゃない?」

「それは……それでいいかも!」

 

「うーん、どっちも美味そうだけど……今日はストロベリーで頼むよ」

 

 増田がそう言うと、ピットレが得意げに胸を張った。

 

「ほらね! やっぱりストロベリーだよね!」

 

 その後ろでは、シュミッタが頬杖をつきながら、のんびりと紅茶をすすっていた。時折、ヴェールの食べるスピードを見ては、「そんなに急いで食べたらお行儀が悪いわよ」と軽く窘める。

 

「えー、好きに食べさせてよ~」

 

 ヴェールが頬を膨らませながら言うと、エーデルは優雅にナプキンを広げながら微笑んだ。

 

「食事はゆっくり味わうものよ。ほら、ゆっくり頂きましょう」

「はーい……」

 

 ポトリーとピットレはそんな二人を見てくすくす笑いながら、ジャムを塗ったパンを交換して食べ比べている。

 

 ジェニーはその様子を横目で見つつ、増田の隣に座ると、穏やかな笑みを浮かべた。

 

 増田は苦笑しながらパンをちぎり、スープをひと口飲んだ。その横では、アルルが黙々と食事をしている。彼女は無表情ながら、時折ヴェールやピットレの会話に耳を傾け、小さく頷いていた。

 

「アルルもジャム試してみる?」

 

 アルルはじっとポトリーの顔を見た後、静かにパンを受け取った。そして、ジャムの乗った部分を慎重に観察しながら、ひと口かじる。

 

 ポトリーが差し出した小さなパンを受け取り、アルルは少しだけ首を傾げた後、一口かじる。そして、何かを考えたようにじっとパンを見つめ、もう一口。

 

「……甘い」

「そりゃそうでしょ!」

 

 ヴェールが興味津々とアルルを見つめながら尋ねた。

 

「ねえねえ、どっちのジャムがいいと思う? ポトリーとピットレの論争に決着をつけちゃって!」

 

 アルルは少し考え込んだ後、もうひと口食べる。そして、静かに一言。

 

「……どっちも、美味しい」

「そ、それじゃ決着つかないじゃん!」

 

 ポトリーとピットレが同時に声を上げると、ジェニーがクスクス笑いながら紅茶を飲んだ。

 

「結局、好みの問題なのよね。マスターはどう思う?」

 

増田はスープを飲み干しながら、ゆっくりと答えた。

 

「うーん……どっちも美味いけど、たまには違う味も試したいな」

「じゃあ明日はハチミツジャムね!」

 

 ピットレが得意げに宣言すると、アトリエは和やかな笑い声に包まれた。アルルは静かにもう一口食べる。増田はそんなやり取りを微笑ましく眺めながら、ゆったりとした時間を楽しんでいた。

 

「たまにはこういう時間もいいな……みんながいるって、すごく落ち着くよ」

「でしょ?」

 

 ヴェールが得意げに微笑む。そのまま、穏やかな時間が流れていく。

 

 窓の外では鳥がさえずり、アトリエの一日はゆったりとしたリズムで始まる。増田はそんな日常に溶け込みながら、ふと、心の奥に温かな幸福感が満ちていくのを感じていた。

 

 こうして、ウィッチクラフトたちとの賑やかな日々は、これからも続いていくのだった。




この辺で切り上げます。
小噺ばかりでしたが、お付き合いありがとうございました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。