遊戯王世界で遊戯王するわけないだろ!!   作:アステリアス

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縁側でお茶!

 異世界に飛ばされた俺、増田。

 

 ウィッチクラフトの仲間たちとの日常はいつも賑やかで騒がしい。けれど、そんな中にもたまに訪れる静寂のひとときがある。

 

 今日はアルルと縁側でお茶をすするという、なんともシュールな時間を過ごしていた。

 

「うん」

「……」

 

 縁側に座り、アルルと並んで茶を啜る。遠くで雪がしんしんと降り積もる音が聞こえるだけで、俺たちは一言も言葉を交わさない。縁の下に積もった雪が朝の光を反射して、微かに輝いていた。

 

 アルルはゴーレムとしてウィッチクラフトが生み出した傑作だ。その無言の佇まいは、言葉がなくても妙に存在感がある。

 

「……なあ、アルル」

「……」

 

「これ、何の時間なんだ?」

「休憩。マスターも、気を使わない方がいい」

 

 俺が問いかけると、アルルは茶碗を静かに持ち上げ、また一口含んでから、こちらをじっと見つめた。その瞳には何も語らない静寂が広がっている。

 

「いや、なんというか、これでいいの? お茶って普通、もっと会話を楽しむものじゃない?」

 

 アルルは再び茶を啜り、茶碗をそっと置くと、首を小さくかしげた。それがまるで「お前は何を言っているんだ?」とでも言いたげな雰囲気で、俺は思わず苦笑いしてしまった。

 

「まあ、いいけどさ。これがアルル流のくつろぎ方ってことだよな」

「……」

 

 アルルは小さく頷くと、今度は少し首を回して空を見上げた。白い息が空に溶けていく。その動作一つ一つが妙に人間らしく、ゴーレムだということを忘れそうになる。

 

「アルル、凄くのんびりしてるね」

「……のんびりは効率的な休憩。でも、マスターは急いでいるみたいに見える」

「そんなことはないさ」

 

 アルルの瞳に映る穏やかな空の色を見ていると、なんだか俺まで心が落ち着いてくるから不思議だ。

 

「ほら、これ」

 

 俺はポケットから持ってきた小さな茶菓子を差し出す。アルルはそれをじっと見つめ、そっと受け取ると一口で食べた。どことなく満足そうな仕草を見せる。

 

「おいしいか?」

「……」

 

 頷き一つ。どうやら気に入ったらしい。

 

「そうか。それならよかった」

 

 再び訪れる静寂。雪の冷たさがじわじわと足元から伝わる中、俺とアルルはただ縁側で湯気の立つお茶を啜る。

 

 しばらくして、ふとアルルが何かを思い出したように立ち上がる。そして縁側に降り積もった雪をそっと掬い取り、手の中で丁寧に丸め始めた。

 

「何をしてるんだい?」

「飾り。雪玉。マスター、これで遊ぶ?」

「……」

 

 無言のまま作業を続けるアルル。その動きは滑らかで、雪玉を一つ一つ同じ大きさに仕上げていく。数分後、彼女は手を止め、こちらを振り返る。

 

 そこには綺麗に並べられた小さな雪玉があった。アルルがそっと手のひらで撫でるように触れると、雪玉が柔らかく光を反射して輝いて見えた。

 

「これ、俺に?」

 

 アルルは静かに頷き、雪玉を手渡してくる。その小さな贈り物に、俺は思わず笑顔を浮かべた。

 

 俺は雪玉をぽいっと外に投げた。雪玉はふわりと宙を舞い、積もった雪に柔らかく着地する。静かな冬の空気に、小さな音が響く。その瞬間、何かが満たされたような、不思議な感覚が胸をよぎった。

 

「風情あるな」

 

 呟く俺を見て、アルルが小さく微笑んだ気がした。それが本当なのか、気のせいなのかはわからないけれど、その穏やかな時間に心が少しだけ暖かくなる。

 

 アルルは再び席に戻り、お茶を啜る。その横顔はどこか誇らしげで、俺は彼女の不思議な魅力にますます惹かれていく。

 

 これが日常だ。奇妙でシュールだけど、なんだか悪くない。

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