遊戯王世界で遊戯王するわけないだろ!! 作:アステリアス
ウィッチクラフトは、日々の生活もまた魔法と隣り合わせだ。晩御飯の準備一つとっても、彼女たちの手にかかれば、それだけで一つのドラマとなる。
今日はシュミッタ、ポトリー、ピットレの三人が晩御飯の買い出しに出かけることになった。
「シュミッタお姉ちゃん、今日は何を作るの?」
買い物袋を抱えたポトリーが軽やかな足取りで問いかける。彼女の手にはリストが握られており、子供らしい字で材料が書き込まれている。その横でピットレは、手を振りながら「何作るの?」と声を重ねる。
「今日は鍋にしようと思ってるよ。寒い日にはぴったりだからね」
シュミッタは腕を組みながら歩き、真剣な表情で商店街を見渡している。頼れるお姉さん役をこなす彼女だが、どこか少年のような無邪気さも感じさせる。
「鍋かぁ! ピットレ、鍋っていろんな色にできるかな?」
ポトリーが隣を歩くピットレに目を輝かせて話しかける。彩色を得意とする彼女は、考え込むように顎に手を当てた。
「うーん……スープの色を変えるのは難しいけど、具材ならカラフルにできるかも」
「すごい! ピットレ、じゃあ何色にするの?」
「全部!」
ピットレの即答に、ポトリーが拍手をしながら笑う。その無邪気なやり取りを聞いて、シュミッタも思わず笑みを浮かべた。
「でも、全部の色ってどうやるの?」
「にんじんはオレンジ、大根は白、ほうれん草は緑……それをいっぱい入れるだけ!」
「なるほどね。それなら美味しそうだ」
三人は商店街の八百屋に足を運び、賑やかに食材を選び始めた。ポトリーとピットレは野菜の色に注目し、シュミッタは二人を見守りながら適度に助言を送っていた。
「これで全部かな?」
「うん、あとはお肉だね!」
シュミッタがリストを確認すると、三人は次に精肉店へと向かう。そこでも、ポトリーとピットレのやり取りは止まらない。
「お肉って、どれが一番美味しいかなぁ?」
「やっぱり、柔らかそうなやつじゃない?」
「ピットレ、それってどれ?」
「わかんない! お姉ちゃんに聞こう!」
「私もそんなに詳しくないけど……えっと、これが良さそうだね」
シュミッタが指差したお肉を店主に注文し、三人は満足げに店を後にした。
「ねえねえ、シュミッタお姉ちゃん!」
「どうしたの、ポトリー?」
「鍋の中に、魔法で光る具材とか入れたらどうなるかな?」
「えっ、それは……食べ物としてどうなんだろうね」
ポトリーの提案に、ピットレが目を輝かせて飛びつく。
「ピットレ、やってみたい!」
「ダメダメ、それは後で実験用の鍋で試して! 実際の鍋でやったら大変なことになるよ。」
シュミッタが素早く制止するが、ピットレは腕を組んで「でも絶対面白い!」と納得しない様子だ。
「それなら、魔法でちょっとだけ鍋を光らせるのはどう?」
「それなら安全そう!」
ポトリーとピットレが目をキラキラさせながら盛り上がる中、シュミッタは肩をすくめて微笑む。
「もう、二人とも落ち着いて。鍋はみんなで楽しむものだから、変なことはなしね」
「はーい!」
そのやり取りを終えると、三人の間に自然と軽やかな笑い声が広がる。商店街の喧騒に混じって、彼女たちの声が楽しげに響いている。
「よし、これで準備完了! 帰ったら美味しい鍋を作ろう」
「うん!」
「全部の色を入れよう!」
「……無理のない範囲でね」
三人は顔を見合わせ、再び笑い合いながら帰路についた。
☆
夜になり、魔法でゲーミング風に七色に光る鍋がテーブルに置かれた。その派手な光景に、増田は思わず椅子から身を乗り出す。
「これ……食べて平気なんだよな?」
ポトリーが得意げに胸を張る。「もちろんだよ! ピットレと一緒に少しだけ魔法を足したの!」
「ほんの少しよ」とピットレも笑顔で応じる。
「いや、そういう問題じゃなくて……これ、本当に食べ物なんだよな?」
シュミッタが増田の肩を軽く叩きながら笑う。「大丈夫。味には何の影響もないよ。それに、見てるだけで楽しいでしょ?」
増田は鍋の中でキラキラと光る具材をじっと見つめながら、小さくため息をついた。「楽しいかどうかはともかく……」
「マスター、早く食べないと冷めちゃうよ!」
促されるまま、おそるおそる一口を口に運んだ増田。口の中に広がるいつもの鍋の美味しさに驚き、思わず箸を止める。
「普通に美味い……いや、めちゃくちゃ美味いじゃないか!」
「でしょ?」とポトリーが得意げに笑う。
「ほら、光る鍋も悪くないでしょ!」とピットレ。
増田は鍋を囲む三人を見回し、呆れながらも微笑んだ。「まあ、こういうのもアリかもな。」
こうして、光る鍋を囲むウィッチクラフトの賑やかな夜が幕を開けた。