遊戯王世界で遊戯王するわけないだろ!! 作:アステリアス
エーデルの一日は、誰よりも忙しい。
ウィッチクラフトのメンバーたちのまとめ役として、工芸の指導から日常の雑務まで、あらゆることを取り仕切る。彼女がいなければ、このギルドの平穏な日々は成り立たないと言っても過言ではない。
そんなエーデルに、今日は久しぶりの休息が訪れていた。
「ふう……ようやく一息つけた」
静かな部屋の中、エーデルはお気に入りの紅茶を淹れ、テーブルに並べられた宝石のサンプルを眺めていた。それらは彼女が手掛けた作品の一部で、どれも細やかな輝きを放っている。
「どれも綺麗だけど……まだ何か物足りない気がする」
彼女はそっと宝石を手に取り、光に透かしながら呟く。完成度の高さに満足しつつも、常に新しい可能性を模索する姿勢が、エーデルらしさだった。
窓の外では、降り積もった雪が陽の光を反射し、部屋の中に柔らかな明かりを届けていた。その静けさに包まれると、エーデルの心も穏やかになる。
「たまにはこんな静かな時間も悪くないけど……もう少し何かしたいね」
彼女が紅茶に手を伸ばしたその時、ふいに扉がノックされた。
扉を開けて顔を出したのはヴェールだった。小さな身体を揺らしながら、彼女はにこやかに部屋に入ってきた。
「エーデル、ひとりで寂しくない? お茶、飲みに来たわよ」
「寂しくはないけど……まあ、来るのは構わないよ。座ったら?」
ヴェールが椅子に腰掛けると、エーデルはもう一つのティーカップを取り出して彼女の前に置いた。
「今日は珍しく静かだね。何かあったの?」
「ううん、何も……。ただエーデルが部屋にこもってるから、気になっただけ」
ヴェールの屈託のない笑顔に、エーデルは小さく微笑んだ。
「たまには、こうやってのんびり過ごすのもいいかもね」
「確かにね。でも、エーデルはやっぱり仕事してる方が似合う気がするわよ」
「それはどういう意味?」
「だって、みんなをまとめるのが上手だし、頼りになるし」
ヴェールの素直な言葉に、エーデルは一瞬だけ驚いた表情を見せた。そして、ゆっくりと笑みを浮かべる。
「たまにはこうやって休まないとね。誰かさんみたいにサボるんじゃなくて」
「私はこれが仕事みたいなもんよ」
ヴェールがティーカップに手を伸ばすと、エーデルは再び宝石に視線を戻した。
二人の間に流れる静かな時間。紅茶の湯気がふわりと立ち上り、窓の外では雪がさらさらと舞っていた。
しばらくの間、部屋には言葉がなかった。ただ、雪の音と紅茶の香りが静かに満ちていた。エーデルがふと手元の宝石を置き、視線をヴェールに向けた。
「そういえば、ヴェール。最近みんなの様子はどう?」
「みんな元気ね。でも、ポトリーがまた変なもの作ろうとしてて、ピットレが巻き込まれてたわよ」
エーデルは少し眉を上げ、苦笑を浮かべる。
「またあの二人ね……目を離すとすぐ騒ぎになるんだから」
「でも、エーデルが戻れば、すぐに落ち着くわ」
ヴェールの言葉に、エーデルは軽く肩をすくめた。
「まったく、休んでる間くらいは何も起きないでほしいよ」
二人は顔を見合わせて笑い、また紅茶を啜った。
「さて、少しのんびりできたし、また新しいデザインを考えましょうか」
エーデルは微笑みながら呟き、再び宝石を手に取るのであった。
ビーステッドのせいでエーデルが使えないんですよ。
だからデッキに入らなくて、思い入れがあんまりない……