遊戯王世界で遊戯王するわけないだろ!! 作:アステリアス
ある日の夜、ウィッチクラフトのアトリエに、なぜかハイパーヨーヨーの箱が置かれていた。
「これ、なんだ? えっ、ハイパーヨーヨーじゃん!!」
増田が疑問と驚きの声を上げると、ヴェールがにこやかに箱を開ける。中には、鮮やかな色合いのヨーヨーがいくつも入っていた。
「見て! これ、ハイパーヨーヨー・アクセルって言うんだって。友達のエンディミオンがハマってるのよ!」
ヴェールは早速一つを手に取り、軽快に糸(ストリング)を巻き始めた。その手つきは慣れているわけではないが、無邪気な楽しさが溢れている。ハイネはあきれたように見ながらも、興味津々といった様子だ。
「引けば引くほど回るッ! これがハイパーヨーヨーアクセルの実力かッ!?」
増田は基本トリックのポーズをキメながらシャーっと気持ちの良い音を響かせた。その姿に、ウィッチクラフトたちは興味津々の表情を見せている。
「サムライ・アクセルッ! どうだっ!」
増田が張り切ってポーズを決めると、ヴェールが小さく拍手をして応援する。
「おお~、これは……お見事!」
ハイネも丁寧にストリングを調整しながら、早速試してみる。
「ストリングプレイ、スパイダー・ベイビー!」
これは過去ヨーヨーの名人が必殺技として用いていたトリック! ハイネが声を上げると同時に、ヨーヨーを綾取りのように操り、トリックが完成する。その動きは滑らかで、周囲の光を反射して美しく輝いていた。
「す、すごいな、ハイネ! すぐにできるのかよ!」
増田が感嘆の声を上げると、ハイネは軽く肩をすくめて笑った。
「ストリングの扱いには慣れているから、こういうのは得意よ」
その隣で、ヴェールが何やら呪文を唱え始める。
「えっ、ヴェール? 何してるの?」
増田が驚きながら尋ねると、ヴェールは満面の笑みを浮かべた。
「見てて! 魔法を使ったヨーヨートリックを見せてあげる!」
すると、ヴェールのヨーヨーが宙に浮かび上がり、まるで生きているかのように複雑な軌道を描き始めた。スピンする光の軌跡が、部屋中を幻想的に彩る。
「ヴェール、それ反則じゃない!? 魔法を使ったらずるいわよ!」
ハイネが笑いながら抗議すると、ヴェールは舌を出して肩をすくめた。
「だって、魔法を使ったほうが綺麗でしょ。私は結晶の魔女だし~」
「おいおい、すごすぎるだろ……」
増田は目を輝かせながら、ヴェールのトリックに見入っていた。ヨーヨーが宙を舞い、光の輪が次々と生まれるその光景は、まさに魔法そのものだった。
「でも、魔法が使えなくても、ヨーヨーって十分楽しいわね」
ハイネが再びヨーヨーを手に取り、糸を器用に操りながら新たなトリックを披露する。その最中、ヴェールが魔法でヨーヨーをそっと操作すると、それが勢い余って滑り落ち、ハイネの胸元に引っかかってしまった。
「ちょっと、ヴェール! わざとやったわね!」
ハイネが顔を赤らめながら抗議すると、ヴェールは舌を出しておどけた。
「えへへ、ごめんごめん! でも、ハイネが慌てるの、ちょっと可愛くてつい……!」
増田は目のやり場に困りながらも、二人のやり取りの尊さに感激した。無邪気な感動を言葉にする。
「ハイネ、本当に上手だな! プロみたいじゃん!」
「ふふ、ありがとう。でも、やってみればマスターもすぐに上達するわ」
ハイネが微笑みながらヨーヨーを増田に差し出す。増田は少し戸惑いながらも、再び糸を巻き直し、チャレンジを始めた。
その夜、アトリエは笑い声とヨーヨーの音に包まれ、特別なひとときとなった。増田が慣れない手つきでトリックに挑戦するたびにヴェールやハイネが手を叩きながら応援し、失敗しては大笑いする。
「よし、次はこれだ! クレイジー・ブランコ!」
増田が意気揚々と新しいトリックに挑むが、ヨーヨーは糸に絡まって宙ぶらりんになる。その姿に、ヴェールが再び笑い声を上げた。
「ますたぁ、トリックよりもまずは基本をちゃんと練習したほうがいいんじゃない?」
「くそっ、確かにその通りだ……でも、絶対に成功させてみせる!」
一方でハイネは、黙々と新しいトリックを試みながら、静かに微笑んでいた。
「こうしてみると、みんなで遊ぶのって楽しいわね。」
「本当だよな。このヨーヨー、ただの遊び道具じゃないな……なんだか魔法みたいだ。」
増田の言葉に、ヴェールが意味深に頷く。
「そうよ。この世界には、私たちが思っている以上に、特別なものがたくさん隠されているの。」
その言葉が部屋に響き渡り、ふと一瞬だけ静寂が訪れた。だがすぐに、再び笑い声が響き渡る。
「でも、特別なものに頼りすぎちゃダメだよね。ほら、マスター、次はもっと上手くやってみせて!」
「よし、今度こそ見てろよ!」
こうして、魔法とヨーヨーが織りなす不思議な夜は、笑い声と共に更けていった。