ゴジラVSポケットモンスター「ポケモンでゴジラパーティー 」 作:GMKゴジラ
一番原作に近い戦いです。
ベトベトン(ヘドラ)VSマダツボミ
相手にとっては勝てる気がしない一方的な蹂躙になります。
1番お気に入りの話です。
セキエイ大会、第3回戦。
アニメ原作通りの展開なのだろうか、俺の対戦相手はサトシが戦った相手と同じカオルコだと告げられた瞬間、胸の奥で何か“原作の修正力”のような運命を感じた。
しかし、この展開を迎えるために俺たちはここまで戦ってきたのだ。勝利を目指すのみ。
「よろしくお願いしますわ」
お互いに一礼を交わし、審判がバトル開始を告げる。熱気に包まれたスタジアムには、無数の観客が押し寄せ、興奮と期待が渦巻いていた。
スタンドにはサトシとシゲル、そしてピカチュウの姿が見える。
サトシが「あれがカオルコか……すごい美人だな、ピカチュウ!」と言うと、ピカチュウは「ピカ!」と力強く尻尾を振っている。
シゲルは腕を組みながら「ふん、ここまで来たならレッドにもチャンスはあるだろうが……そう簡単にいくかどうか、見ものだな」と目を細めた。
カオルコは迷わずモンスターボールを投げる。
「行きなさい、スピアー!」
フィールドに降り立ったのは鋭い針を両腕に構えたスピアー。見た目通り高い素早さで翻弄することが得意なポケモンだ。だが、俺は静かにボールを構え、ゴジラを最も苦しめた怪獣を呼び出す。
「行け、ヘドラ!」
フィールドに現れたヘドラの姿を見た瞬間、会場には一瞬、奇妙な沈黙が落ちた。
ヌメヌメとした粘液で構成されたベトベトン──その名も“ヘドラ”。見るからに不気味で、黒い体にあらゆる汚染物質を混ぜ合わせたような毒々しい色だ。
そして敵を見つめる目、大きな大きな縦に裂けた目。
縦に裂けた目と不気味な海坊主のようなヘドラは原作映画でゴジラを最も苦戦させた怪獣の名を継ぐだけあり、どこか常識を超えた不気味さを感じさせる。
「ヘドラが駿河湾から飛び立ちました。その大きさは60メートル、いや2メートルを超える大きさです」
実況が声を張り裂けて叫ぶ。
「駿河湾?ってどこ」
「ヘドラ?ヘドラは海のおばけだろ」
観客席から驚きの声が上がる。
< 水銀コバルトカドミウム~鉛硫酸オキシダン~」>
スタジアムに流れる音楽はまさにヘドラの歌、
この世界でもヘドラのテーマソングは存在するようだ。
「百万人ゴーゴー、ヘドラに占領される前にさ!」
ある若者、見るからに遊び人に見える青年が女の子を引き連れながら発言する。
近くの客が「何を言ってるんだ!」と苦笑するが、声を上げた青年はまったく意に介さないようだ。
客席のやり取りをよそに、ヘドラとスピアーのバトルの火蓋は切って落とされた。
「スピアー、ダブルニードル!」
カオルコが攻撃を命じると、スピアーは一瞬で間合いを詰め、鋭い針を連続で繰り出す。そのスピードに観客席からも歓声が起こるが──
「なっ…何よ、これ…?」
カオルコが唖然とする。
スピアーのダブルニードルは見事にヘドラの身体を“突き抜けた”はずなのに、まるで空を切るかのように手応えが無い。逆に、スピアーの針がヘドラの粘液に触れた瞬間、シュウッと音を立てて白い煙が上がった。
「スピッ…!?」
スピアーの針先が酸に焼かれ、思わず体をのけぞらせる。痛みに耐えかね、その攻撃を続行できない。
「ヘドラはヘドロ、いやヘドリウムの集まった群体生物だ。物理攻撃は通用しない…!」
「黄色いのは硫黄だ、ヘドリウムって名前は僕(俺)が付けたんだがね」
「ヘドリウムは硫黄を硫酸に変える触媒作用があるんだ」
俺はゴジラ対ヘドラのセリフをそのままカオルコに告げる。
一方、スピアーは混乱しながら後退を試みるが、その間に俺は落ち着いて指示を出す。
「ヘドラ、ヘドロ弾を放て(へどろばくだん)!」
ヘドラの体の一部から小さなヘドロの塊が発射される、スピアーは針がダメージを負った状態でうまく避けきれず、頭に直撃を受けた。
直撃を受けた部分から硫酸で溶かされたかのような白煙が上がり、地面へ叩きつけられる形となった。
「スピアー、ダウン!」
審判の声に呼応するように、観客席からは大きなどよめきが起こる。
「自衛隊はヘドラを攻撃するも、攻撃は全てヘドラの体を突き抜けて効果なく被害甚大であります」
「自衛隊?スピアーだろ?」
物理攻撃が一切効かないという、常識外れの戦法にみな衝撃を受けたのだ。
「こんなヘドラがいる限り、人間に未来はないかもしれない…!」
周囲の人が「え、そんな危機的状況だっけ……?」と苦笑するが、会場の熱気はますます高まっていく。
カオルコは苦い表情でスピアーをモンスターボールに戻し、すぐさま次の手を打つ。
「行け、ストライク!」
スピアーと同じく高いスピードを誇るストライクがフィールドに降り立つ。鋭い鎌状の前腕を構え、すぐに突撃の構えを見せた。
「ストライク、きりさく!」
緑色の残像を引きずりながら一気に切り込むストライク。そのきりさくは金属すら断ち切る威力を持つが──しかし、その鎌がヘドラの体に入った瞬間、またしてもまるで手応えがなく素通りしてしまう。
「また、ヘドラの中を、抜けちゃった…?」
カオルコの声が響くと同時に、ストライクの鎌にも嫌な煙が上がり白骨化してしまったのだ。
「ヘドラは地球上の生物とは全く違った鉱物生命体だ!」
俺は誇らしげに叫ぶ。
ヘドラの体に含まれる硫酸に触れた部分が焦げ付き、ストライクは思わず悲鳴を上げた。
「スト、ストライク! すぐに離れて!」
必死に後退させようとするが、ストライクの動きがわずかに鈍る。
その隙を逃さず、俺は追加の指示を下した。
「追撃だヘドラ!」
ヘドラはその粘性の体からは想像もできないようにゆっくりと大きくジャンプし、ストライクの頭上を飛び越えて着地した。
ジャンプしながら、ヘドラが放つ強酸のヘドロ弾(へどろばくだん)をストライクの頭上に落とし、頭に直撃させる。
猛毒が身体を蝕む。もはやストライクは攻撃を試みる余裕などない。
そのまま崩れ落ち、立ち上がることができなくなった。
「ストライク、ダウン!」
まさかの二連続ダウンに、会場はますます騒然となる。
「火に弱いんだ!松明をぶつけろ!」
「ヘドラの弱点といったものはないんでしょうか?」
「ヘドラはネガティブな死の世界、ヘドロの海から生まれた怪物だ、案外と酸素なんかが効くんじゃないんですかね?」
「酸素を巻け、酸素を!」
観客が推測で物事を語る愚かな大衆のような言葉を発する。
しかし、俺とカオルコの反応は正反対だった。
「何よこいつら?何を無責任なことを言ってるのかしら?」
カオルコが観客を睨むと客席は黙った。
しかし俺の頭はゴジラシリーズの会話を聞けて満足だった、前回の戦いでも感じたことだが、この世界は確実にゴジラの常識に塗り替えられつつあるらしい。
カオルコはかすかに唇を噛んでいたが、すぐに最後のボールに手を伸ばした。
「まだ終わらないわ。行け、マダツボミ!」
細長い体をくねらせながら登場したマダツボミ。
アニポケでサトシのエースピカチュウすら倒し、最終的にベトベトンに敗北した強敵だったマダツボミだ。
見た目はやや頼りないが、その実力はあなどれない。
何よりマダツボミは高エネルギーの特殊技を使える──もしソーラービームを持っていればヘドラに唯一ダメージを与えられるかもしれない。
「ヘドラ、硫酸ミスト(スモッグ)だ!」
「続いてヘドリューム光線(火炎放射)!」
俺は先手を打って視界を奪い、硫酸ミストとヘドラの目から発射されるヘドリューム光線(かえんほうしゃ)も交えて確実にダメージを与える作戦だ。しかし、カオルコはすかさず命令を飛ばす。
「マダツボミ、はっぱカッター!」
シュパッという音を立てて、鋭い葉っぱがヘドラに向かって飛んでいく。ところが、そのはっぱカッターですらヘドラの液状の体を突き抜け、ヘドラにダメージを与えないまま地面に突き刺さった。
むしろ酸に触れた葉っぱが、ジジジと焼け焦げた煙が立ち上る。マダツボミもダメージこそないが、一瞬怯む。
「やっぱりダメ…物理技は通じないのね」
カオルコは苦い表情でマダツボミを見やる。だが、次の瞬間には意を決したように叫んだ。
「マダツボミ、ソーラービームを溜めて!」
やはりきた。マダツボミは太陽光を吸収し始める。ヘドラの弱点は乾燥だ、なかでも強力なエネルギーを放つソーラービームのような高エネルギー技は天敵と言っていい攻撃だ。
スピアーやストライクの攻撃は無効化してきたが、特殊攻撃への耐性は“絶対”ではない。油断はできない。
「ヘドラ、妨害しろ!ヘドロ弾(ヘドロばくだん)を撃ち続けろ!」
ヘドラはヘドロ弾(へどろばくだん)を発射し続けるが、カオルコの指示でマダツボミが必死に回避行動を取る。フィールドを素早く動き、酸をかすめても一撃で落ちないように距離を保つ。少しずつソーラービームをチャージしているのがわかる。
その様子に、俺の心臓がドキリと高鳴る。もし直撃を受ければ、ヘドラでも乾燥させられ無傷では済まないだろう。
「マダツボミ、ソーラービームっ!」
カオルコの声が響き、まばゆい光がマダツボミの口元に集約される。次の瞬間、閃光のようなビームが一直線にヘドラに直撃した。
ヘドラの表面、そして全身が乾燥していく。
ヘドラが乾燥して崩れ落ちる。
物理攻撃ではないソーラービームの直撃は確かに効いたはずだ。
「ヘドラダウン!次のポケモンを繰り出してください」
実況が俺に指示をする。
しかし、俺は次のポケモンを出すのを拒否する。
なぜなら、ヘドラが倒れていないことを映画から知っているからだ。
ゴジラ対ヘドラでは、一回目に電極板で乾燥させられたヘドラは表面が乾燥しただけで、内部まで乾燥仕切っておらず、中から別のヘドラが飛び出したことを思い出す。
そのヘドラをゴジラがバラバラに引きちぎって再度電極板で乾燥させて、やっとヘドラは絶命したのだ。
俺のヘドラも同じことができるはずだと信じていたのだ。
その思いに応えるように、乾燥した泥の山の中から少し小さくなって上陸期の姿になったヘドラが飛び出す。
「嘘でしょ…!? ソーラービームを耐えるなんて…」
カオルコは信じられないというように目を見開く。
ヘドラは大きくうねり、上陸期の姿のまま、低い音でファファファと鳴いた。
そして、ヘドラの頭から脳みそがはみ出すように赤い光が漏れてくる。
まだまだ戦える、と言わんばかりだ。
「いいぞ、ヘドラ…!ヘドリューム光線(かえんほうしゃ)最大出力だ!」
ヘドラの目からヘドリューム光線(かえんほうしゃ)が発射される、マダツボミが攻撃を回避しながら次のソーラービームをチャージしようにも、大技を撃ったばかりで連続攻撃されれば、その方向感覚を狂わされるのだ。
追い打ちをかけるように、俺は叫ぶ。
「ヘドリューム光線を撃ち続けろ!」
ヘドリューム光線がマダツボミを直撃する。
不一致とはいえ、苦手な炎技は先ほどソーラービームを放ってやや消耗していたマダツボミには、十分すぎるほどの決定打だった。
バタリ!という音が響き、マダツボミは炎と毒の煙に焼かれながら地面に倒れ込む。
審判は旗を振り下ろし、高らかに宣言した。
「マダツボミ、戦闘不能!!」
その瞬間、大歓声がスタジアムを揺るがす。誰もが理解したのだ。ヘドラの液状の身体に対して、通常の物理攻撃はまったく歯が立たないことを。
そして、唯一有効なソーラービームすら一撃では仕留めきれない防御力があることを、バラバラに引きちぎって乾燥させない限り生き残る力を持つ恐るべき怪物であることを観客も審判も理解したのだ。
カオルコは苦笑いを浮かべながらマダツボミをモンスターボールに戻し、静かに俺のほうへ視線を向けた。
「参りました。物理攻撃を無効化するだけでなく、攻撃した側が酸にやられるなんて…想像以上でした。まだまだ修行不足ね」
「ヘドラ、ありがとう。お前がいたから勝てたよ」
ヘドラは気持ちよさそうに、縦に裂けた目を細めている。
ヘドラはファファファと奇妙な笑い声のような鳴き声を立てる。
まるで返事をしているかのようだ。
アナウンサーが興奮気味にマイクを握りしめ、会場に向かって叫ぶ。
「驚異の粘液モンスター、ベトベトン、いや公害怪獣ヘドラ! いったいこのポケモンの弱点はどこにあるというのでしょうか!? まさにゴジラを苦しめたあの昭和の最強怪獣ゴジラ対ヘドラを彷彿とさせる戦いぶりでした!」
すると、スタンドの最前列付近で観戦していたサトシとシゲルが大きく立ち上がる。
サトシは「すげーぞ、あのベトベトン、ピカチュウもびっくりだろ?」と興奮を抑えきれない様子で、ピカチュウが「ピカァ!」と尻尾を揺らして同意している。
シゲルは腕を組みながら口元に笑みを浮かべ、「フン、液状の身体か…… さすがに物理無効はえげつないな、俺なら炎技で倒せるぜ」と感心したように呟く。
スタンドからの拍手喝采に包まれながら、俺は深く息をつく。
「次の相手は、さらに強い技を使ってくるかもしれない。でも、俺たちはこの怪獣と共に、また戦い抜ける。そうだろ、ヘドラ?」
ヘドラの表面がふるりとうねり、静かに答えるように揺れる。海坊主のようなその姿はどこまでも不思議で、同時に最高に頼もしいパートナーの証だった。
こうして俺は、圧倒的な公害怪獣となったヘドラと共に、セキエイ大会の次なるステージへと駆け上がっていく。
この怪獣の力は、まだまだ底が知れない。物理攻撃を寄せ付けない防御力と、相手を酸で焼くカウンター能力。
それは、まさに“ポケモン世界版のヘドラ”そのものだった。
「ゴジラ対ヘドラ」のように圧倒的な強さを発揮したヘドラ。
3回戦を突破した俺のゴジラパーティ─次はいよいよ準々決勝だ。
俺は気を引き締め、次のバトルに向けて闘志をつのらせた。
ベトベトン
NN ヘドラ
特徴は大きく縦に裂けた目、物理攻撃を無効化する強酸性の液状の体である。
ヘドロ弾(へどろばくだん)を主力として戦い、目の上からはヘドリューム光線(かえんほうしゃ)を発射できる。
過去、グラードンと格闘戦を繰り広げ、全ての物理攻撃を無効化し、片目と右腕を白骨化させ、圧倒した。
次回、
「世紀末覇王誕生」