【Fate×呪術】もしも虎杖悠二と東堂葵がカルデアのマスターになったら...   作:矛盾ピエロ

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タイトル見てくれたら分かると思いますけど、原作とは少しズレます。

とはいえ、FGOは勉強中なので上手い具合にこねくり回して脱線しても問題ないような落としどころを探っていきたいですね


呪術ブラザーズ ちょいやらかす

 

 マシュを見送って案内された個室へと入ると、なんと先客がいた。

 

「はーい、入ってま――――って、うぇええ!?だ、誰だい君は!?」

 

「うぉっ!...びっくりした。そっちこそどちら様?」

 

「ボク?ボクはロマニ・アーキマン。ここは空き部屋だよ?誰の断りがあって入っているのかな?」

 

 ロマニさん?の言葉に「空き部屋ならアンタも使っちゃダメなんじゃ...?」と思ったけど、ぐっと言葉を飲み込んで話を続ける。

 

「...?ここが個室だって案内されてきたんだけど?」

 

「あっ...あーそっかぁ、ついに来たんだね僕のサボり場の本当の(あるじ)が...まぁ、いいか。空き部屋はもう一つあるし」

 

「それって隣の部屋のこと?だったら、俺と一緒に今日来たけど...」

 

「...マジ?」

 

「マジ」

 

「...はぁ、うん。とりあえず新たなサボり場については今度考えるとして...改めて自己紹介でもしようか。さっきも言ったけど、ボクの名前はロマニ・アーキマン。ここカルデアで医療部門のトップを務めているよ」

 

「へぇ、お医者さんなんだな」

 

「うん。みんなからはDr.ロマンと呼ばれている。理由は分からないけど、言いやすいし君も遠慮なくそう呼んでくれ。実際、ロマンって響き好きなんだよね。カッコいいし、どことなく甘くていい加減な感じもするし」

 

「かっこいいってのは分かるけど、甘いのってあれじゃね?あの、栗の...」

 

「マロン?」

 

「そう!それそれ!」

 

「フォゥ...」

 

 談笑をしていると肩のフォウさんが話のしょうもなさにため息を吐いた。

 

「あれ?君の肩にいるのって...」

 

「あぁ、フォウさんのこと知ってるの?」

 

「いや、初めて見たけど...もしかして噂の怪生物?おぉ...!初めて見た!マシュから話は聞いてたんだけどね。ホントにいたんだぁ...どれ、ちょっと手なずけてみるか。はい、お手。上手くできたらお菓子をあげよう」

 

「...フゥ」

 

 とても残念なものを見る目でフォウさんはロマンのことを見つめていた。

 

「...なんだか、いますごく憐れなものを見る目で無視されたような気がするけど...コホン!と、とりあえず話を戻そうか。イタドリくんは今日隣の部屋の子と一緒にカルデアに来たばかりの新人で説明会でいきなり所長のカミナリを受けたってことだね」

 

「そうそう。いやぁここに来た時の漁師ダイブってのが思ってたよりきつくてさぁ...思わず寝ちゃってたんだよな」

 

「あぁ、初体験の人間にとってはあれは中々新鮮な体験だろうからね。それも仕方ない。実はボクも同類でね。なにを隠そう、所長に叱れらて待機中だったんだ」

 

「なんかやらかしたの?」

 

「いやいや、今から始まるレイシフト実験のためにスタッフは総出で仕事をしてるんだけどね?ボクの仕事はみんなの健康管理だからさ。正直、暇してたんだよね。霊子筐体(コフィン)に入った魔術師たちのバイタルチェックは機械の方が確実だし、そうしたらさ所長に「ロマニが現場にいると空気が緩むのよ!」って追い出されちゃったんだ。それで、仕方なくここで一人拗ねてたってわけさ」

 

「なんか分かるかも。まぁでもお医者さんとしてはそれぐらいでいいんじゃない?」

 

「ありがと。そんな風に拗ねてると君が来てくれたのさ!地獄に仏、ぼっちにメル友とはまさにこのことだね!所在ない同士、ここでのんびり世間話でもして交友を深めようじゃないか!」

 

「例えはよく分かんなかったけど、そういうことならここのことについて色々教えてくれ。まだ来たばっかりでこのままだと迷子になりそうなんだよな...」

 

「もちろんさ!そうだな...どこから説明しようか。うん、それじゃあまずはカルデアができた経緯から話していこう!」

 

「おぅ!」

 

 ドクター・ロマンに教えてもらったカルデアのことは専門用語が多すぎて正直あんまり理解できなかった。

 

 ずっと眉間に皺寄せてうんうん唸りながら話についていこうとしてたんだけど...あとで東堂にも聞いてみないとダメかもなぁ。

 

「――とまぁ、以上がカルデアの構造だ。標高6,000メートルの雪山の中に造られた地下工房で...」

 

 pipipi...pipipi...

 

 分かりやすいように噛み砕いて説明してくれるドクターと話し込んでいるとドクターの時計?みたいなのからレフさんの声が聞こえる。アップルウォッチみたいだな...と思っていながら二人の会話をドクターの近くで聞いていた。

 

『ロマニ、あと少しでレイシフト開始だ。万が一に備えてこちらに来てくれないか?Aチームの状態は万全だが、Bチーム以下、慣れていない者数名に若干の変調が見られる』

 

「やぁレフ。状況は分かったよ。ちょっと気の毒だし、少し麻酔をかけに行こうか」

 

『あぁ、急いでくれ。今医務室にいるな?そこからなら2分で到着できるはずだ』

 

pi...

 

「ここ、医務室じゃないけどどーすんの?」

 

「あわわ...無慈悲に現実を突きつけないでくれよ。ここからじゃどうあっても5分はかかるぞ...」

 

 慌てた様子のドクターだったけど、深呼吸をするとケロっとした様子で続けた。

 

「ま、少しぐらいの遅刻は許されるでしょ。Aチームは問題ないようだし、Bチーム以下のマスター候補者はAチームから少し遅れて順次レイシフトするはずだし」

 

「...早く行かないと所長どころかレフさんまで雷落としそうだけど」

 

「うっ...たしかに。っていうか、レフのこと知ってたんだね?」

 

「ここにきてすぐにマシュと一緒に会ったんだ」

 

「なるほど...っと流石に急いで向かわないとまずいな。お喋りに付き合ってくれてありがとうイタドリくん。レイシフト実験が落ち着いたら医務室を訪ねに来てくれ。今度は美味しいケーキでもご馳走するよ」

 

「マジか!分かった。こっちこそ、色々教えてくれてありがとなドクター・ロマ――――

 

 瞬間、視界に映っていた無機質な白い景色が暗転した。

 

「あれ?」

 

「なんだ?明かりが消えるなんて聞いてな――」

 

『緊急事態発生。緊急事態発生。中央発電所、および中央管制室で火災が発生しました。

 中央区画の隔壁は90秒後に閉鎖されます。職員は速やかに第二ゲートから退避してください。

 繰り返します。中央発電所、および中央――――』

 

 ドガァーン!!!

 

 緊急事態を知らせるアナウンスと共に全身を襲う揺れと少し遠くで聞こえた爆音にただ事ではないと再確認する。ドクターもこの異常事態に慌てて状況を把握しようと動き出す。

 

「今のは爆発音か...!くそ...!一体何が起こってるんだ...モニター、管制室を映してくれ!?みんなは無事なのかい!?」

 

 モニターには燃え盛る炎と崩れ落ちた瓦礫の山で構成された管制室が映し出された。

 

「...!マシュ、東堂!」

 

「待つんだ!」

 

 走りだそうとする腕をドクターに掴まれる。

 

「イタドリくんはすぐに避難してくれ。ボクは管制室に行く、もうじき隔壁が閉鎖して完全に閉じ込められることになる。その前にキミだけでも外に出るんだ...!いいね?」

 

 そう言うと、念を押すように黙ってこちらを見つめるドクター。視界の端ではフォウさんも静かにこちらを凝視している。しかし、一瞬の迷いもなくドクターを担ぎ上げる。

 

「俺は大丈夫だ。それよりあそこにはマシュも東堂もいる。急ぐぞドクター...!」

 

「ちょっ!なにしてるんだいイタドリくん!?いいからキミは早く――」

 

「舌噛むなよ。ドクター」

 

 逃げるんだ、と言おうとして突如襲い掛かってきた風圧にドクターは思いっきり舌を噛んでいた。

 

 

#####

 

 

「痛っー、ひははんら(舌噛んだ)

 

「だから言ったじゃん。舌噛むなよって」

 

ほんらほほひっはっへ(そんなこと言ったって)ふいははふへよ(無理があるでしょ)!」

 

 痛そうな表情で口を押えるドクターはいったん置いておいて管制室へと続く扉の前に立つ。本来は扉の前に立つと自動で開くはずだがしかし、電気が通っていないのかピクリとも動く気配はない。

 

「ぐっ...これじゃ、中の確認もできないな。仕方ない、ボクは予備電源に切り替えるために地下の発電所に行ってくるよ。ここまで連れてきてくれたことには感謝するけど、イタドリくんは今からでも避難するべきだ」

 

 触れた扉は高温で熱されているかのように熱い。反射的に手を離し、扉を睨みつける。

 

「嫌だ。それよりドクター、少し離れててくれ」

 

 扉の前で深く腰を落とし集中力を研ぎ澄ましていく。握り込んだ右拳に呪力を集める。左手を添えてさらに呪力を練り上げる。

 

ッスゥー...フゥー...

 

「なんの...いや待って。嘘だろ!?そんなの――」

 

「ッフ...!!」

 

 轟音。黒い火花は微笑まず、さりとてたかが厚い扉一枚。剛拳を前に風に靡く柳が如し。

 

「特殊合金が混ぜられた特注の扉だぞ?!そんな馬鹿な...」

 

「ッ!東堂!マシュ!」

 

 驚きすぎて口が開きっぱなしのドクターを伴い管制室に入ると...辺りは地獄絵図の様相を呈していた。天井(・・)一体が黒々と焼け焦げ、中心にある不思議機械はいつだったか理科の授業で見た太陽のように燃えている。

 

 燃え盛る炎と瓦礫の山、緊急事態を告げるアラートが鳴り響き生存者の声が届かない。

 

「ッ!...これは...」

 

 何かを悟ったようにドクターが悲痛な表情を見せる。しかし、状況は待ってくれない。

 

『動力部の停止を確認。発電量が不足しています。

 予備電源への切り替えに異常...が...あります。職員は...手動で、切り替えてください。

 隔壁閉鎖まで...あと、40秒。中央区画に残っている職員は速やかに――』

 

「マズい...イタドリくん!ボクはやっぱり地下の発電所に行ってくる!カルデアの火を止めるわけにはいかない。キミは急いで元来た道を戻って!まだギリギリ間に合うし、間に合わなくてもキミなら隔壁を壊しながら脱出できるはずだ!」

 

「...」

 

「いいかい?!絶対に寄り道するんじゃないぞ!外に出て外部の助けを待つんだ!」

 

 そう言い残すと、ドクターは駆け出していった。辺りは轟々と燃える炎の音が木霊する。

 

『システム:レイシフト最終段階に移行します。

 座標 西暦2004年 1月30日 日本 冬木

 ラプラスによる転移保護 成立。特異点への因子追加枠 確保。

 アンサモンプログラム セット。マスターは最終調整に入ってください。』

 

「...東堂...マシュ」

 

 思い起こされる過去の記憶。宿儺を打倒せんと赴いたかつての死地、その最後の局面で迎えた焦げ付いた別れを...思い出していた。

 

「――――脹相」

 

「ブラザー!」

 

「!!」

 

 感傷に浸ってしまっていた自分に喝を入れんとばかりに聞こえてきた聞きなれた声に全力で声の元へと駆けだした。辿り着いてから気づく。そこは“仕込み”を用意していた場所だった。

 

「東堂!」

 

 見つけた相棒の変わらない姿に少しだけ口角が上がる。壁に寄りかかり気絶した所長を膝枕している姿は正直よく分かんなかったが、無事でなによりだ。

 

「来てくれたか、ブラザー」

 

「応!」

 

「悪いが所長を頼む。それと、生存者を探そう。まだ居るはずだ」

 

 東堂に従い、気絶した所長を担いで辺りの探索を続ける。その中でカルデアに何があったのか、東堂はかいつまんで話し始めた。

 

「簡単な話さ、カルデア内に敵対者(スパイ)がいる。そいつがマスター適性者が揃い踏みするレイシフト実験に合わせて管制室の真下に仕込んでいた爆弾を起爆したんだ」

 

「...裏切者か。ソイツは操られてたりするのか?」

 

 今回の事件の犯人が知らず知らずのうちに協力させられていた可能性について聞いてみるも、結果は残念なものだった。

 

「いや、正真正銘の悪党(ヴィラン)だな。存在としても人よりは呪霊に近い...まぁ、格は絶しているがな」

 

「そうか...爆弾は真下に会ったんだよな?天井が焦げてるのはどういうことだ?」

 

「俺の術式で上に飛ばしたのさ」

 

「...?てことはその爆弾って術式かなんか込められてたのか」

 

「いや、型月世界(ここ)には呪力はない。ここにあるのは魔力だな。呪力とは根本から異なる力だ」

 

「はぁ?ってことは呪力使えないんじゃないのか?俺さっき呪力使えたぞ?扉ぶっ壊したし」

 

「ブラザーなら素手でもいけそうだが...それはともかく、これは仮説に過ぎないが呪力や術式は俺たち二人にだけ許された異分子(イレギュラー)だろうな。ブラザー、カルデア(ここ)に来る前のことは覚えているな?」

 

「そりゃまぁ」

 

「であるならば、あまり深く考えても詮無き事だ。呪力も術式も使える、その事実だけ把握していれば問題ない。ドクターたちへの言い訳なら任せておけ。良案がある」

 

「...当たり前のようにドクターのこと知ってるんだな。まぁいいか、それなら言い訳は頼んだぜ」

 

「あぁ...おっと、ようやく見つけたぞ」

 

 東堂の視線を辿っていくと、そこには瓦礫に下半身が埋もれたマシュがいた。

 

「っ...マシュ!」

 

 所長をそっと床に下ろし、マシュに大声で呼びかける。

 

「しっかりしろ!マシュ!」

 

「...あ...せん、ぱ...い...」

 

「今助けてやるからな!」

 

 熱した瓦礫に手をかけて必死に持ち上げる...が、どうやら複雑な崩れ方をしてしまったようでテコでも持ち上がらない程にがっしりとした感触が帰ってくるだけだった。

 

「...いい、です...助かりません、から。それより、はやく、逃げて...くだ...さい...」

 

 瓦礫の隙間から血だまりが広がっていく。膝を濡らし、尚も広がり続けるそれが誰のものかは明白だった。

 

「...ブラザー」

 

「バカ言うな!東堂!手伝ってくれ、まだ間に合うはずだ...!」

 

「ブラザー!」

 

「!!」

 

「落ち着け。無理に瓦礫を撤去しても悪化するだけだ。瓦礫に圧迫されていることで止血されている可能性もある」

 

「でも...!」

 

「反転術式は他者に使えない。それに...マシュは...いや、今はとにかく俺を信じろ!ブラザー!」

 

『観測スタッフに警告。カルデアスの状態が変化しました。

 シバによる近未来観測データを書き換えます。

 近未来百年までの地球において人類の痕跡は 発見 できません。

 人類の生存は 確認 できません

 人類の未来は 保証 できません』

 

「...せん、ぱい」

 

「!...マシュっ、どうした!」

 

『中央隔壁 封鎖します。館内洗浄開始まで、あと180秒です。』

 

「...かく、へき...しまっ、ちゃい...ました...ね」

 

「大丈夫だ、マシュ」

 

 隣に来た東堂が安心させるように堂々と言い放つ。同意するように俺もうなずく。

 

「東堂の言う通りだ。なんとかなるって」

 

『コフィン内マスターのバイタルが基準値に達していません。

 レイシフト定員に達していません。該当マスターを検索中...発見しました。

 適応番号47番、48番 東堂葵、虎杖悠二をマスターとして再設定します。

 アンサモンプログラム スタート。霊子変換を開始します。』

 

「あの...せんぱい...」

 

「どうした?マシュ」

 

「てを...手を、握って...もらって、いい...ですか...?」

 

「あぁ...!」

 

 弱弱しく伸ばされた手を両の手でしっかりと握る。華奢で小さな手を離してしまわないようにしっかりと。東堂も重ねるように右手を乗せる。

 

「...せん、ぱい...」

 

『レイシフト開始まで あと3 2 1

 全行程 完了(クリア)。ファーストオーダー実証を開始します。』

 

「行くぞブラザー...俺たちの戦いはこれからだ!」

 

 それ終わる時のやつじゃねーか!というツッコミは遠のく意識のせいで口に出すことができなかった。

 

 

 

【炎上汚染都市 冬木】 開幕

 

 




ちょっと長い話になりますが...
東堂が『魔力≒呪力』みたいな感じ事を言ってますけど、実際は違います。

東堂のセンスで魔力と呪力が相互作用するように術式の解釈を広げた感じです。この辺りは完全に独自解釈なので“そういうもの”と認識していただければ。

それと、虎杖は魔力を呪力に変換したりはできません。魔力に関する理解とイメージの強固さが足りてないのを原因としてます。
東堂に関しては持ち前のIQ53万と(脳内)高田ちゃんがフォローを入れてくれたんだと思います。

さらにさらに、東堂の不義遊戯にも弱体化入ってます。
・呪力同士(虎杖と東堂)だと拍手と入れ替えの誤差0.01秒以内。
・魔力同士(マシュやサーヴァント)だと誤差0.5秒。
・呪力と魔力(ブラザーズとサーヴァント)だと誤差1秒。

って感じです。対サーヴァント戦において1秒の誤差はデカいと思います。まぁ、東堂ならそれすら活かしそうですけど
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