【Fate×呪術】もしも虎杖悠二と東堂葵がカルデアのマスターになったら...   作:矛盾ピエロ

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呪術ブラザーズ 涙目所長を発見する

 

 見知らぬ土地に飛ばされてカルデアとの通信を安定させるため、霊脈地探しへと乗り出した一行だったが...進捗は思うように進んでいなかった。

 

「うぅ~ん...なぁ、そのレイミャクチ?ってやつはなんかこう、目印とかないのか?」

 

「そうですね...霊脈地は魔力が収束する場所のことなので魔力が多い方に辿って行けば自然と合流できるはずなのですが...」

 

「ですが?」

 

「実は先程から魔力を辿ろうと試してはいるのですが、大気中の魔力濃度が異常に高くていまいち上手くいきません。まるで古代の地球にいるかのような異常な魔力濃度です」

 

「デミ・サーヴァントとして成り立てというのも影響しているかもしれん。時間の経過でそこら辺は解決されるだろう」

 

「東堂先輩の推測通りならいいのですが...」

 

 雑談の間にも時たま襲い掛かってくるスケルトンを粉砕しつつ、進んでいく中で自身の右手の甲に奇妙な赤い紋様があることに気づいた。

 

「あれ?...なぁ、二人とも」

 

「どうかされましたか?先輩」「なにかあったかブラザー」

 

「この、タトゥーみたいなのって何?こんなの付けた記憶ないんだけど」

 

 ぶらぶらと見えるように右手を振って見せるとマシュは納得したように東堂は驚いたように目を見開いて自分の右手を確認しだした。

 

「画が少ないと思ったら...これまた厄介なことになったな」

 

 それまでよりも静かな独り言になにかあったのかと目を向ければ東堂の右手にも同じような文様が浮かんでいるのが見えた。

 

「えっ!?」

 

「どしたん?マシュ」

 

「えっと...先輩方の右手に浮かんでいるそれは令呪と言って、簡単に言えば契約したサーヴァントに対する命令権のようなものです。

 本来であれば三画あるはずのそれが一画しかないのは、恐らく私が未熟だったかつ不測の事態ゆえの不完全なものだから、と納得していたのですが...東堂先輩にも同じものがあるとなると、話が変わってきます」

 

「...マスターが二人いるってこと?」

 

「はい。これは本来ならあり得ない事象です。これでは――」

 

 焦り、あるいは不安の表情を隠せずにいたマシュの言葉を遮るように、パチンッと小気味良く指が鳴った。

 

「切り替えろ。今ここで自罰的な思考に陥ることにメリットはない。そもそもマシュに責任のある話とも限らん」

 

「?...緊急事態だからイレギュラーなことが起こってるんじゃないのか?」

 

「あぁ、俺もそう考える。だがマシュは自分に責任があると思ってしまっているのさ。今回契約を結んだのはマシュ側だからな。余計にそう考えてしまうのだろう」

 

「...」

 

「現状確認できる事は俺とブラザーで所持している令呪は一画ずつであること。これだけが分かっていればいい。それに俺とブラザーが力を合わせれば不可能など皆無!令呪が本来よりも少ない程度のことは問題にもならないさ」

 

「魔力だの、レイジュだの...まだよく分からないことも多いけど俺もあんまり不安はないよ。だからさマシュ、落ち込んでる暇があったら今すべきことをやろう。この先何があるかは分かんねーけど三人いれば怖いもんなんか無いだろ?」

 

「先輩方...はい!マシュ・キリエライト、心機一転精進します!」

 

「おっしゃ!それじゃさっさとレイミャクチとやらを見つけて――「キャアーーーー!」おわっと、なんだぁ?」

 

「女性の悲鳴です!急ぎましょう先輩!」

 

 全力で駆けだしたけどすぐにマシュが表情を歪めているのに気づき声をかける。

 

「どうした?マシュ」

 

「ッ!いえ、私は大丈夫です。少しばかり...自信を無くしそうなだけなので!」

 

「?...それ大丈夫なのか?」

 

 今は悲鳴の元へと急ぐのが先決だろうとさらにスピードを上げる虎杖と東堂にマシュは自分の力不足を痛感していた。

 

(先輩たち、早い...!デミとはいえサーヴァント化した身体能力でついていくのがやっとだなんて...!)

 

 一分もしないうちに現場に着いた三人は燃え盛る街並みの中、半泣きで魔術を連発しながら大量のスケルトンから命からがら逃げ続ける所長の姿を発見した。

 

「何なの、何なのよコイツ等!?なんだってわたしばっかりこんな目に遭わなくちゃいけないの!?もう嫌!来て、助けてよレフ!早くっ!」

 

「オルガマリー所長です!」

 

「ブラザー!頼んだぞ、マシュは俺とスケルトン共の足止めだ」

 

『了解!』

 

 東堂の簡素な指示を察し、今にも追い付かれそうな所長の元へと全速力で向かう。猛追する虎杖の姿を目にした所長が声を上げようとするが、それよりも速く虎杖は所長を抱き上げる。

 

「ちょっ!?あ、あなた――」

 

「背中は任せた」

 

「は?!ちょっと、なに言って――」

 

 ゴシャァ...!

 

 これまでよりも一層強く踏み込んだ足が熱されたアスファルトを抉る。視界を流れる背景がその速度によってさらに曖昧になる。

 

(あ...どこで合流すればいいんだ?...まぁいいか、適当なところ一周して戻ってくるか)

 

「へぶっ!」

 

 見た目以上に軽い女性を抱えたまま青年は朱に染まった街を駆け抜けた。その脳裏でいつかの記憶に思いを馳せながら。

 

 

#####

 

 

「人一人抱えてるのに凄い走力...!」

 

「余所見は厳禁だぞ?マシュ」

 

「!はい、東堂先輩!」

 

 人並み以上の速度を持つスケルトンですら置き去りに速度で遠のいていくもう一人の先輩から目を離して、雪崩のように迫ってくるスケルトンを倒すべく盾を握りなおす。

 

 錆の浮いた剣を受け止め、弾く。隙を晒した胴に蹴りを見舞う。

 

 がむしゃらに走り込んでくる個体を横合いから盾による殴打で粉砕する。

 

 数体のスケルトンを纏めて盾で押し潰す。

 

 その姿はまさしく一騎当千の戦士にふさわしく英霊(サーヴァント)たる戦いぶりだった...隣でそれ以上の戦いぶりを披露する男に目をつぶれば。

 

(ふん)ッ!」

 

 両腕のラリアットで4体のスケルトンを粉々にする。

 

(とう)ッ!」

 

 足首を掴み上げ纏まった数のいる場所に力で投げ込む。当然、ストライク。

 

()ぁッ!!」

 

 鍛え上げられた肉体が体現する暴虐の嵐。スケルトンは見る見るうちにその数を減らし、数分の戦闘を持ってその場は静寂に包まれた。

 

「戦闘終了、お怪我はありませんか東堂先輩」

 

「心配無用だ。それより...来たか」

 

「ッ!」

 

 東堂の言葉に急ぎ警戒態勢に入ったマシュだったが、現れたのは息切れ一つ起こしていない虎杖と口元を抑え先程以上の涙目で虎杖を睨みつける所長の姿だった。

 

「先輩!所長!ご無事で何よりです!」

 

「おう!マシュの方も大丈夫そうで良かった!」

 

「...」

 

 無言の抗議の視線を向ける所長の姿に遠慮がちに疑問を呈す。

 

「ところで、所長は先程から口元を抑えてどうしたのでしょうか?」

 

ほおははんひんのへいへひはほはんはのお!(この野蛮人のせいで舌を噛んだのよ!)

 

「あー多分、舌でも噛んだんだと思う。走ってるときに「へぶっ!」って言ってたし」

 

はんはのへえへそ!(あんたのせいでしょ!)

 

「今は安静にしていろミス・オルガマリー。俺たちがここに来てから現在までの状況について分かっていることを話す。休憩ついでに静かに聞いていろ」

 

 余程思いっきり噛んでしまったようで語彙のほとんどがは行になってしまった所長。それを見てこれ幸いと東堂は口を挟めない今のうちに現状について所長に説明し始めた。

 

「...んぐ、はぁ...ようやくまともに喋れるようになったわ...」

 

「あー...なんかごめん」

 

「もぅいいわよ。私があなたたちに助けられたのは事実だし...はぁ、緊急事態の特異点Fのレイシフトだけでもお腹いっぱいなのに...今更成功するデミ・サーヴァント実験に壊滅状態のカルデア。

 おまけに二人のマスターが一人のサーヴァントと契約状態にあるなんて...片方は私の演説中に居眠りするような野蛮人だし、もう一人はゴリラだし......もー!!なんでこんなことになるのよ!」

 

 今まで溜め込んでいたストレスが爆発してしまったのだろう。人目もはばからずに叫び始めた所長を見て虎杖とマシュはどうしようかと顔を合わせた。

 

「どうする?」「いえ、私にもさっぱり...」

 

「叫びたいだけ叫ばせてやればいいさ。この辺りのスケルトンはさっきの戦闘で粗方片付いたはずだ。問題もないだろう」

 

「そっか」「そうですね」

 

「ちょっと!何勝手に納得してるのよ!...フン、まぁいいわ。状況は大体整理できたし...いいですか?これからは私の指示に従ってもらいます。

 ロマニの指示に従うのは少し癪だけど現状のベストがカルデアとの恒常的な通信であることは間違いない...まずは霊脈地を探すわ。そこでベースキャンプを作成します。この街の霊脈地は...」

 

「所長。この街の霊脈地、つまりレイポイントは所長の足元にあると進言します」

 

「うぇ!?あ...コホン、えぇ、もちろん分かっていたわ。もちろんよ!...マシュ、貴女の盾を地面に置きなさい。その宝具を媒介にして召喚サークルを設置するから」

 

「了解です。先輩方、周辺の警戒はお任せすることになってしまいますが...」

 

無問題(モーマンタイ)!」

 

「...なんでデミ・サーヴァントのマシュが戦闘面であなたたちを頼ってるのよ...その辺りの話もカルデアと連絡が取れ次第きちんと聞かせてもらいますからね!」

 

「元よりそのつもりだ、案ずるなミス・オルガマリー」

 

「フン...どうだか」

 

 マシュの盾が地面に置かれ、所長が何らかの仕掛けを施す...あれが魔術なのか?空中に幾何学的な模様が展開される様子に映画を見ているような気分に少しだけ浮かれつつ、カルデアと通信を繋げる様子を虎杖は静かに見持っていた。

 

 




地の文に違和感あったら教えていただけると助かります。

今回もそうなんですけど、やっぱり展開的に色々イレギュラーな部分が出てきちゃいます。自分の実力不足もありますが、そもそも二次創作ですのでね。

本家様へのリスペクトは忘れずにある程度の事象は例外というか“そういうもん”だと思って楽しんでいただければ助かります。(上手い理由付けができそうなら感想等で教えてくださると嬉しいです)

ダブルマスター(二人で一人)とか悩んだんですけど...でも、分けちゃうと令呪が最大6回使えちゃうんですよね?カルデア戻れば回復するらしいですし...
ただでさえ、宿儺戦後の二人なのにそれは流石にやり過ぎかなと...

今後もお楽しみいただけたら幸いです
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