ただ一つのシャングリラ〜縛りゲーマー、一度きりの人生に挑まんとす〜 作:ナナシノ
「『超人』の確認、やっておくか」
家に帰ってから風呂など諸々を済ませ、シャンフロにログインした私は、新たに手に入れたサブ職業『超人』の性能確認を始めた。
色んなものを犠牲にして手に入れたのだ、これで弱かったりしたら許さんぞ……だからと言って仕返しできることなんてないけど。
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【超人】
・サブ限定職業
・環境耐性強化
・獲得経験値量ー50%
・レベルアップ時のスキルポイント獲得量+5
・スキル習熟率上昇
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──ふーむ……強い、とは言えるかな?
wikiを読む限り、普通のサブ職業はスキルの覚えやすさなどに補正を掛けるようだが。この『超人』は、プレイヤーのステータスそのものを強化してくれるタイプのサブ職業のようである。少なくとも戦闘面では何の効果も及ぼさない。
またしても経験値量が減っているが、言ってしまえばそれだけだ。元々通常時の25%しか貰えなかったものが、12.5%になっただけ……いや結構痛いなコレ?まぁプラス補正が結構あるしそのデメリットとしてはコレだけなのは軽い方か。
「いや、そもそも超人になる過程で経験値とスキル全部取られてるんだけどね?」
あとは書かれてない効果があるかだが、一つは既に察しが付いている。それが実際にどうなのかを確かめてみるべく、第八層に移動して戦闘用人形相手に実験を行った。その結果……ステータスは確実に下がってしまっているものの、実際のアバターの性能はかなり上がっていることが分かった。
握力や瞬発力といった、STRやAGIのステータスを参照しない身体能力や、動体視力などといったステータスには表示されないような能力がかなり強化されている。アバターをより動かしやすく調整し直したり、そもそもの操作に慣れてきているということもあるだろうが。始めたての頃と比べて明らかに今の方がアバターが強くなっている。
『R.C.Sでは、レベルを代償にあなた達の能力を強化改造ができます。『超人』はその改造が限界まで行われている状態なのですよ』
「成る程、職業の補正じゃなくて就職にあたっての副産物ってことなのね」
ということは、この身体能力の強化は超人をサブから外しても残るということか。本来なら莫大な経験値を必要とする肉体改造を、一括で全て終わらせられるのはお得かもしれないね。普通にやる時にどれくらい経験値が必要なのかが分からないと、実のところは何とも言えないけど。
そしてメイン職業。傭兵(片手剣)が進化して新たに『歴戦兵』という職業に変化した。どうやら隠し職業のようだが、どんな条件で変化してどのように変わったのか。こちらも早速どう変化したか内容を確認していこう。
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【歴戦兵】
転職条件:『傭兵』をメイン職業に設定した状態で、レベル上限を解放することで変化する隠し上位職業
・全ての武器種に適性補正が掛かる
・全ての魔法に不適補正が掛かる
・プレイヤーの行動によって覚えやすい・覚え難いスキルが変化する
・専用スキル「傭兵歴程」を習得(メイン職業設定時のみ)
・メイン職業のスキル習得制限緩和(サブ職業設定時のみ)
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──成る程、物理職には嬉しいね。
物理・スキル特化で魔法をほぼ使わない私にとってはメリットばかりの良職業と言えるだろう。魔法はますます覚え難くなるけど、必要な時はヘルパーT細胞の奴にでも協力を頼めば良いか。
そして専用スキル「傭兵歴程」の効果は、初見でない相手との戦闘時、ステータスに補正が掛かるというもの。戦闘経験が増える程強くなる、まさに歴戦の名に相応しいスキルと言えるだろう。このスキルを得る前の経験も対象に入っているなら、周回を減らせて助かるのだけども。
職業の確認は終わった。あとは取り戻せるスキルを取り戻してから攻略を再開するとしよう、フラッシュメモリーで覚えられるスキルと"
──取り敢えず……「
ステータスの低い今の時点でも十分に使い道のあるスキルを優先して再修得し、そのまま第五層に向かい現れた"禍刃剥命"を撃破。「佳人薄命」も再習得して私はベヒーモスを後にした。ちなみにヨハンナが私の武器に憑くことはなかった。
当面の目標は、失ったスキルをできる限り取り戻すというものになるだろう。通常スキルはプレイの過程で勝手に集まるだろうが、問題はエクゾーディナリーを倒して得る
「取り敢えずは、水晶巣崖をもう一度目指すか」
水晶巣崖までの道中、千紫万紅の樹海窟でワンチャン"
そうと決まれば出発だ。レベルもある程度上げておきたいし、ユニークの布石にもなるみたいだしヴォーパルバニーでも狩るか。水晶巣崖に行けるようになるまでには、最低限レベル30くらいまでは上げておきたいものである。何処かに経験値効率が良い感じのスポットは無いものか。
──経験値効率が良いスポットを攻略するために経験値効率が良いスポットを探すのか……
本末転倒な気がするが、それをするだけの価値があるのだから仕方ない。超人の情報をライブラリに提供して、見返りに教えてもらおうかな?
「ん……こいつは確か、
攻略へ動こうとしたその時、私の元へ1羽のハヤブサが飛んで来た。フレンドに対してゲーム内でメッセージを送る時に、その手段として使われる伝書鳥である。差出人はシュトーレン……ある程度装備ができたからその分は納品したいとのこと。
まだあれから1日しか経っていないはずだが、もう装備が完成したのか。仕事の早さに驚きながらもそれならファステイアで待ち合わせをしようと返事を返す。私からの返信を受け取ったハヤブサが飛び立っていき……そしてその数分後に、シュトーレンとアクアリエがやって来たのだった。
「こんばんは、八ち……ロンミン。全部ではないけど幾つかの装備は完成したから、完成した分は先に納品しておくわね」
「こっちも、
「ありがとう、じゃあ場所を移そうか」
いったいどんなものができたのか、今からとても楽しみである。
……
…………
………………
「まずは私からね。エンパイアビー・セクスタ"毒震貴族"の素材に、アクアリエの宝石布を合わせて作った一式装備『ポイゾレータ』シリーズよ!」
「おお、かわいい装備。イメチェンしたこのアバターならより似合いそうだね」
「いつの間にアバター変えたのよ?サイズ調整って結構面倒なんだから一言くらい欲しかったわ」
「それはごめんなさい」
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【ポイゾレータ・シリーズ】
頭:ポイゾレータ・ハット(+800)
胴:ポイゾレータ・ドレス(+800)
腰:ポイゾレータ・フォールド(+800)
足:ポイゾレータ・ブーツ(+800)
[効果]
[1部位装備時]
・毒無効(頭)
・麻痺無効(胴)
・振動無効(腰)
・移動速度低下無効(足)
[複数部位装備時]
・攻撃対象への追加効果付与率上昇(2部位)
・攻撃対象への状態異常効果上昇(2部位)
・ソロプレイ時装備VIT+200(3部位)
[一式装備時]
・『
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見た目は軍服とドレスを足して2で割ったような感じで、胴回りはカッチリしてるけどスカートや装飾なんかはヒラヒラして華やかな感じ。カッコ良さとかわいさを両立した、私好みで良い感じのビジュアルと言えよう。
性能も良い感じ。火力には直接貢献はしてくれないけど、その分防御力や耐久力が高く長時間の戦闘にも普通に耐えられる。装備するための条件や装備したことによるデメリットも無いし、今の私にはピッタリの素晴らしい逸品だ。
「早速装備していく?」
「勿論!どう、似合う?」
「似合ってる似合ってる。バトルファンタジー系漫画のヒロインみたいだ」
「それじゃあ次はコレね。同じく"毒震貴族"の素材を使った大剣、
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【
[カテゴリ]
・大剣
[効果]
・この武器は刃に通常毒・麻痺毒・壊毒を持ち、刃に触れた者に毒を蓄積させる。蓄積量が一定値に達した時、毒の効果が発動する。
・『
[
・
[装備条件]
・STR100
・DEX80
・TEC80
・VIT1600
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「こっちも強そう!今は装備できないけど……」
「強そうじゃなくて強いのよ……使い心地は実戦で確かめてみなさい。他にもまだまだ新装備はあるから、どんどん出していくわよ!」
渡した素材の量が膨大だったこともあり、完成した装備はまだ一部とはいえ、それでも大量にあるとのこと。
この一気に装備が充実していく感覚、これまではほぼ初期装備で頑張ってきたこともあって、中々に気持ちいい感覚だ。しかもまだ新アクセサリーまで控えているのだから恐ろしい。私の初期装備達がどんな真化を遂げたのかも楽しみだ。
──次はどんなのが来るのかな……?
新装備のお披露目は、まだまだ続く。
40話を超えて遂に装備更新