ただ一つのシャングリラ〜縛りゲーマー、一度きりの人生に挑まんとす〜 作:ナナシノ
「まず大前提としてね?ロンミンはアクセサリースロットを5枠も刻傷に侵されてるんだったよね」
「うん。その内二つは壊れないアクセサリーで埋められたけどね」
その通り。私のアクセサリースロットは刻傷付きなので、装備したアクセサリーは累計3分で確実に破壊されロストしてしまう。ベヒーモスでの改造のおかげで、今では更に二つ刻傷無しの新しいスロットが空きはしているけども。
刻傷付与部位のアクセサリーは、そもそも破壊不可能な格納鍵インベントリアと、出自が同じ故に競合しない
「刻傷の効果は、付与部位に装備された武具を累計3分で破壊してしまうというもの。だから俺は発想を逆転させてみたんだ……『3分で装備が壊れてしまうのなら、3分だけ効果を発揮する使い捨てのアクセサリーで良いじゃない』と!」
「確かに」
「その発想を元に造られたのがコイツらだ!」
「コレは……注射器?」
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【
[カテゴリ]
・アクセサリー:注射器タイプ
[効果]
・内部に満たされたラピステリア星晶体から抽出された魔力を使用者の体内に流し込み、180秒間使用者のMPと任意のステータスを上昇させる
【
[カテゴリ]
・アクセサリー:耳飾り
[効果]
・耳飾り中心の宝石を握ることで、特殊状態 『
・『
【
[カテゴリ]
・アクセサリー:耳飾り
[効果]
・耳飾り中心の宝石を握ることで、特殊状態 『
・『
【アロンカレス・ローション】
[カテゴリ]
・アイテム:塗り薬
[効果]
・対象に塗り付けることで、180秒間その魔法耐性を大きく上昇させる
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「きっちり180秒なんだね」
「ちなみに、一回使ったら刻傷関係無しに壊れる使い捨てだから、効果時間の温存とか考えずにきっちり使い切って良いからね」
「こんな綺麗なのに使い捨てなのねぇ。なんだか酷く勿体無く思うわね」
「大丈夫だよ、いっぱいあったそこまでレアリティの高くない宝石で作ってるからね。それに使い捨てな分数もたくさん用意してあるから」
そう言って、机にボロボロと落ちてくる同じ形状のアクセサリーとアイテム達。言葉通り何十個もストックが存在しているようだ。
"
「でも、こんなの作っちゃって良かったの?NPCってこういう、作ったものを雑に扱うようなことは嫌うじゃない。使い捨てのアクセサリーなんて作って師匠からの好感度下がるんじゃないかしら?」
「大丈夫でしょ。アクセサリーはあくまで開拓者のためにあるものだし、プレイヤーの需要に合わせてアクセサリーを作ることこそ、
「職人だねぇ」
「それに、今後刻傷の付いてないスロットが空いた時のために、普通のアクセサリーもちゃんと作ってあるんだよ。さぁ見惚れるがいいさ!」
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【
[カテゴリ]
・アクセサリー:手袋
[効果]
・親指部分の宝石で左胸を叩くことで、10分間特殊状態『
・『
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──飛行能力!
「へぇ……戦術機に飛行を可能にするものがあることは知ってたけど、アクセサリーでも空を飛ぶことができるんだね」
「戦術機を使うよりメリットは大きいわよ。戦術機で飛ぶなら合体のためにカラーパレットを一式で装備する必要があるし、何より合体するとその間はスキルや魔法が封じられる……でも、こっちならアクセサリースロット1枠で飛べるし、スキルも魔法もそのまま使えるんだから」
テキストの書き方的に、飛行能力はオマケで主題は虹の追加ダメージの方のようだが。今までできなかったことができるようになる、飛行の方が誰にとっても魅力的に映るだろう。MPをしばらく使えなくなるデメリットがあるし、最後のダメ押しとかで使うのが適当かな?
他にも飛行に使うMPの量とか、追加ダメージやスリップダメージがどの程度の火力かとか、無分類のダメージってのがどんなものなのかとか、色々と気になるところはあるので後で試してみよう。まぁ何にせよ、ここまで出てきた中では極と名前に付くだけあって一番の強力なアクセサリーだ。
「手袋型のアクセサリー……サンラクが持ってたのを使わせてもらったけど、癖がある分かなり強かったのを覚えてるよ。テキストの書き方的にあのアクセサリーの仲間になるのかな?」
「多分そうなんじゃないかな?一応この封虹の撃鉄・極を含めた『密封の琥珀』シリーズは、材料になったローエンアンヴァ琥珀晶の中身によって、その効果が変化するんだ」
アクアリエの説明が入る。『密封の琥珀』シリーズには
確かに、サンラクから借りた封雷の撃鉄には多大なスリップダメージを受ける効果と、挙動がいちいち過剰になるというかなり面倒な効果があった。私はアレを借りてからは真っ直ぐ走っていただけだったので、あまり目立った印象は無いのだが。普段使いしていると身に染みるのだろうか?
「あと二つ、最後は一気に行くよ!」
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【
[カテゴリ]
・アクセサリー:浮遊物
[効果]
・このアクセサリーは、同じサイズ・重量の片手剣としても扱う
・このアクセサリーは、同じ物は最大4つまでしか同時に装備できない
・このアクセサリーは、装備したプレイヤーの思考によって自由に浮遊させることができる
・アンデット特効
・このアクセサリーによる攻撃は、対象のカルマ値が高い程与えるダメージが大きくなり、一定以上の場合即死させる
・このアクセサリーによる攻撃は、スキル・魔法の効果を追加できない
[装備条件]
*複数を同時に装備する場合、同量のステータスを追加で要求される
・STR80
・DEX100
・TEC100
【
[カテゴリ]
・アクセサリー:外套
[効果]
・女性専用アクセサリー
・このアクセサリーは、リュカオーンの刻傷を付与された部位に装備しても時間経過で破壊されない
・このアクセサリーを装備したプレイヤーは、このアクセサリーのフードを被っている間、他のプレイヤーから認識されなくなる
・効果中、このアクセサリーを装備したプレイヤーは新たにパーティを結成できず、既にパーティに加入していたならその登録は解除される
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「成る程……アクセサリースロットに剣を持てるってことね、最大六刀流ができるのか」
「そういうことだね。擬似的に『剣聖』職業を取った時と同じ動きができるよ、まぁ本職と違ってスキルの補助は受けられないけど」
「アクセサリー自体の性能が高いから、そこまで大きなデメリットにはならないはずよ。ちなみにコレも私とアクアリエの合作ね」
「ああ……そういえば、アクアリエは"
机に並べられた四振りの黄金と黒の剣、 【
手数が増える、ただそれだけのことがめちゃくちゃ強いのは常識のようなもの。全てを装備できるようになるのは先の話になるが、コレを使えるようになった時は、それはもうDPSがこれまでとは別世界のようになっているはずだ。本職の剣聖が使ったらもっとヤバくなるだろう。
──でも、問題はこっちだよね?
「【
「チャンネルを変える、ってのが近いかな?同じ宿屋でセーブした人が同時にリスポーンしても、重なってリスポーンしないのと同じ原理」
メタ的な話になるが、シャンフロというゲームは複数のチャンネルを用意してあまり多くのプレイヤーが重ならないようにしているそうだ。
何せ、シャンフロには何千万ものアクティブプレイヤーが居る。これら全てが一堂に介すると街もダンジョンも人でごった返して、まともなプレイなんてできたものではない。なので混雑を予防するために取られている措置……【
「試してみよっと……おお、人が消えた」
試しに一瞬だけ装備して、刻傷のカウントが始まる前にすぐに外す。するとどうだろう、装備したその瞬間だけNPC以外の存在が影も形も無くなったではないか。
目の前に座っていたアクアリエとシュトーレンも消えて見えなくなり、またあちらからも私が忽然と姿を消したように見えたとのこと。装備している間は孤独になるが、人間関係の面倒事を事前に回避できるというのが素晴らしい。ある意味これが一番のぶっ壊れアクセサリーと言えるだろう。
「ツチノコさんとか欲しがりそうね。あの人いつも情報目当てのプレイヤーが血眼になって捜索隊組んでるから、それを無視できるなら絶対欲しがるわ」
「例え頼まれたとしても、もう作れるか分かんないけどね。だって材料が"禍刃剥命"の防具と、 【
確かにそれは希少品だ。あのサンラクでも口振り的に影リュカオーンの素材は持ってなさそうな感じだったし、この外套を得られるとしたら今は私の他はヘルパーT細胞くらいか。
「さて、今渡せる物はこれで全部ね。是非攻略に役立ててあげなさい、素材になったモンスターもそれで浮かばれるわ」
「また新しいアクセサリーが欲しくなったらその時は連絡してよ。宝石匠の腕によりをかけて最高のアクセサリーを作ったげるからさ」
「それじゃあ私は行くわ。目当ての素材が新大陸にあるから、またテレポートのスクロール補充しないといけないのよね」
「ありがとう、それじゃあまたね」
用事を終えた二人が退席し、私は一人その場に残される。大量に追加された新戦力を整理して、私もまた攻略を再開するのだった。
「よーし、早速試しに行くか!」
新装備を紹介するだけで丸々2話も使うとは