ただ一つのシャングリラ〜縛りゲーマー、一度きりの人生に挑まんとす〜 作:ナナシノ
「ふぅ……やっとログインできた」
昨日ぶん投げた諸々の家事だったり、仕事だったりを終わらせてまたシャンフロにログインする。明日のヘルパーT細胞……黎桜との決闘に向けて、できる限りの準備を今日でしておくのだ。
幸と言うか、明日は特に何の予定も入っていないので今日は夜更かししても問題無い。ギリギリまで時間を使い万全の用意をしよう。そのためにもまずやるべきことと言ったら、コレだ。
「という訳で象牙、よろしく頼むよ」
『R.C.Sを用いた肉体改造ですね。ロンミンのこれまでに得た経験を代償として消費しますが、未練はありませんか?』
「今更だよ。さぁ、やってくれ」
『では、こちらへどうぞ』
ベヒーモスでの肉体改造、パート2。
レベル99の時は、レベルが1になりスキルも職業専用スキル以外全部消えた代わりにHP・MPが大幅に上昇した。これをルルイアスでの戦いの経験値が入りレベル150になった今、もう一度行うことで更なるパワーアップを目論んでいるのだ。
果たしてどうなるだろうか……前回と同様にレベルは1に戻り、スキルも初期化されるだろう。だが今回は前よりも多くの経験を代償とするし、能力の上がり幅はより大きくなるはずだ。
R.C.Sに入って数分が経ち、改造の完了を示す『チーンッ!』というご機嫌な電子レンジのような音が鳴る。早速外に出て変更点を確認するべくメニューからステータス画面を開く……そこには期待以上の数字が広がっていた。
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[ステータス]
PN:ロンミン
LV:1
JOB:
SUB:真人類
1635536マーニ
HP:10000
MP:3000
STM:200
STR:200
DEX:200
AGI:200
TEC:200
VIT:200(+16000)
LUC:200
[スキル]
職業スキル
・傭兵歴程
・竜討歴程
[装備]
右:無し
左:星天槍アステヴァル
頭:
胴:
腰:
足:
アクセサリー:格納鍵インベントリア
アクセサリー:
アクセサリー:
アクセサリー:
アクセサリー:
[特殊状態]
・小さな矜持
・リュカオーンの刻傷
────────────────────
「ほうほう?」
やはり、まず目を引くのはステータス。
HPは10000の大台に乗り、MPも3000と月天霊装の装備条件に足る数値になった。他の各ステータスも一律200に上昇し、最初からかなりの強さを保証されている。
次にジョブ。
メインジョブの『
サブの『真人類』に関しては、『超人』の純粋強化といったところか。このジョブの目玉は獲得経験値量の更なる減少と、レベルアップ時のスキルポイント獲得量の増加……経験値量が通常の4分の1になる代わりに、スキルポイント獲得量が+15される。ポイント効率4倍だ。
装備欄は特に変わったことは無い。レベル140を越えたことで8つ目のアクセサリースロットが解放されて、刻傷の影響下に無いスロットが一つ増えたくらいだ。今はそこに
最後に特殊状態……『小さな祝福』から変化して『小さな矜持』になっている。以前よりもカルマ値の条件が厳しくなっているが、その分効果も強力になっている。具体的にはレベルアップ時のスキルポイント獲得量が+15から+25に上がった。カルマ値の条件も、私のプレイスタイルなら特に問題は無いし純粋な強化と言えるだろう。
「目論見通り……いや、それ以上だね」
さて、ここからは失ったスキルをできる限り取り戻していく工程に入るが……折角だし、月天霊装を装備できるようにしておきたい。
必要なポイントがえーと、2300ポイントで1レベル毎に45ポイント入るから、53レベまで上げればステータスは足りる。その後に130レベまで上げれば条件は達成だ。そこまでやっている内にスキルもほぼ取り返せるだろう。
そうと決まれば早速行動だ。まずはベヒーモス第五層で"
ベヒーモスでの用事は以上、次はレベル上げ……の前に他の
「ヒステリア、よろしく!」
「あいよ、かつての追憶をするのかい?」
ユニークシナリオ・
この追憶シナリオで倒したモンスターからは、経験値もアイテムもドロップしない……が。それを倒したという経験自体は確実に蓄積され、実績解除などは可能であると説明に書いてあった。それならばエクゾーディナリーモンスターを倒した証である不世出の奥義も、追憶シナリオで修得できるんじゃないかというのが私の予想であった。
「何と戦いたいんだい?」
「エンパイアビー・セクスタ"
「あいよ、行ってきな!」
【ユニークシナリオ・
魔法が掛けられ、視界が暗転しすぐにファステイアのそれとは違う場所に出る。
この鬱蒼と生い茂る草木は見覚えがある……千紫万紅の樹海窟だ。"毒震貴族"の出現エリアまで再現されたということか。
「………………!!」
「よう、久しぶり。早速だが、死ね!」
羽をブブブ……と震わせ飛ぶ"毒震貴族"に突撃しララ=ルーナを振り下ろす。
先制攻撃を回避しようとする"毒震貴族"であったが、その前に長杖の一撃が脳天を打ち抜いた。鈍い打撃音が響き渡り甲殻を砕き割る。
「ハハっ、こりゃ強えや!『
まだ特に何の能力も発動していない、素の一撃でもこの威力。これなら性能を強化する『月纏』を発動した今はより凄いことになるだろう。発動時の耐久値の減少量に若干ビビりながら、私はこのまま畳み掛けていくべく
「…………!!」
「どうしたどうした、オメーはそんな一方的にやられるような奴じゃなかっただろ!?」
打擲、打擲、打擲。上から下から、右から左から一方的に叩きのめし"毒震貴族"に反撃の隙を与えずずっと俺のターンを続ける。
何度も何度も打ちのめすと、やがて相打ち上等の捨て身で攻撃を仕掛けてくるが……突き出した牙を「ジャストパリィ」で弾き、反撃の一発で砕き割ることで咎める。
「『
顎を砕かれ、フラフラと揺れている"毒震貴族"の翅を煌月サイドに展開した鎌刃で斬り裂き地面へ蹴り落とす。もう身動き一つ取らせない。
さぁ、トドメだ。ララ=ルーナの必殺技、甦機装の共通機構である超過機構。耐久値を全消費して超火力・超範囲の斬撃を繰り出すその名は──
「
「………………!!」
【『雄蜂は孤独に震える』をクリアしました】
【
"毒震貴族"にできることは無い。私の身長の何倍にもなろう黄金の刃が、「避けよう」「守ろう」などの思考をする時間すら与えず、その既にボロボロの身体を引き裂き跡形も無く消滅させた。どう考えてもオーバーキルだな、試してみたかったからワザと撃ったが流石にやり過ぎた。
しかし、もう少し苦戦するものだと思ってたけど想定よりだいぶ呆気なかったな。ステータスも装備の質もかなり上がっているし、当然と言えば当然ではあるが……かつては二人掛かりでもそれなりに苦戦していたのに、今じゃ一人でも楽勝か。何だか物寂しさのようなものを感じるなぁ……
──ま、いいか。スキルちゃんと取れたし。
さ、このまま他の不世出の奥義も取り戻そう。
ぶっ壊れたララ=ルーナにMPを与えて、耐久値が満タンまで戻ったら……はい修復完了っと。次はどいつにしてやろうかな?
「さぁヒステリア、次よろしく!」
「あいよぉ」
【不世出の奥義「
【「
【「
【「
【「
【「
【「
順調順調。そして──
「其はあり得ざる槍、断章積み編みて紡がれし非実在の輝き……
「これで、ラストォ!」
──金色の光を帯びた
これが引き金となり、ほぼ垂直に傾いていた地面が大きく揺れ動き滑り落ちていく。それに合わせて封虹の撃鉄で空へ退避して顛末を見守る……
空気すらも震わせる地響きが、"
【不世出の奥義「
「ありがとう、ヒステリア。また頼むよ」
「アッハッハ、いつでも呼びなぁ。アンタの頼みなら聞いてやるさ」
これで、私にできるエクゾーディナリースキルの回収は一通り完了した。
後は、レベル130を超えるまで水晶巣崖でひたすらレベリングをするのみ。早速「起晶転結」を発動してエイドルトまで移動し、奥古来魂の渓谷から水晶巣崖へ。水晶の地面へ着地した瞬間に大量に湧き出してきた蠍共を片っ端から相手取っていく。
「っしゃあ、掛かってこいやぁ!」
目標レベルに達するまで、蠍との戯れは夜明かし続くのであった……
『真人類』
レベル150到達後、サブジョブ『超人』をセットした状態でベヒーモス第十層のR.C.Sを使用することで超人から変化する。
それまでの戦闘スタイルやステータス、所持スキル・魔法を参照して新たな肉体を作成する。色々と経験している程強くなりやすい。そしてテキスト外なのでロンミンは気付いていないが、レベル上限も150から200に上がっている。
評価・感想など、よろしくお願い致します。