ただ一つのシャングリラ〜縛りゲーマー、一度きりの人生に挑まんとす〜 作:ナナシノ
「お疲れ様ー。いやぁ、強敵だったねえ」
「良くぞ全員生きて終われたもんだな……」
「私も、漸く動けるようになりました……」
エレクトロン大暴れによって、かなり平たくなった地面に3人して座り込む。さっさとフォルティアンにでも行ってから休めば良いと、自分でもそれが安全だとは分かっているのだが……いかんせん激しい戦いの後で動く気力が残っていないのだ。
動けないのは仕方無いので、この場で戦利品の確認を行うことにする。エレクトロン……『明るい未来』と書いてそう呼ぶ竜を撃破したことで、私達が得た物とは──コレだ!
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【
[カテゴリ]
・槍
・
[効果]
・この武器は光を当てる、または所有者のMPを消費することで耐久値を回復する
・対竜特効
・アンデット特効
・この武器による攻撃は雷属性を持つ
・この武器による攻撃は、実態を持たない相手にもヒットする
・『共なる槍』:この武器は所有者の手元を離れた時、耐久値を消費して分解・所有者の手元に再構築できる
・『
・『
【真説星答:エレクトロン】
・『
・『
・『
・『
【
[カテゴリ]
・
・
・
[効果]
・対竜特効
・『
・『
・『
【真説解炎:エレクトロン】
・『
・『
【真竜の宝証:
[カテゴリ]
・アイテム
[説明]
・
真なる竜種とは肉持つ恐怖の
人はそれを繰り返し前に進んできた。
ならば真なる竜種、肉持つ恐怖を討ち滅ぼしたあなたは、彼の理解者なのだ。
我が身は鉄でできている。
それはかつて流れた血であり、打ち棄てられた過ぎ去りし過去。進歩の犠牲となりしもの。
だが、その弛まぬ歩みが時代を創り、また次を歩む誰かの礎となる。我らは歩みの果てに道となり、先を照らす光となるのだ。
人よ、進め。我が名は常に、君の行く先を照らしている。
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「明るい未来、か……いい名前じゃないの」
「厨二チックな感じはあるけどな」
「私も
星天槍アステヴァル改め、
特に大きな変化は、雷属性の追加と手離しても手元に戻せるようになったこと、そして遠距離攻撃手段の追加と切札の変更か。竜魂解禁……ではなく真説星答でエレクトロンの力を呼び覚ますことで、元のサポート寄りの性能からかなり攻撃的になる。
──新しい切札……『
アステヴァルには元々、
纏めると、とても強くなりました。少なくとも今の私の手持ちの中では一番強いと言える。ただ、これでもまだ過程……シュトーレンに加工して貰って『神化』することで、漸く完成となるのだ。完全体になるまではもう少し掛かる。
「ロンミン氏のアステヴァルは、シュトーレン氏に預けることになるんだよな?」
「まぁ、そうだね」
「て、ことは……シュトーレン氏がプレイヤーでは初の『神匠』になるってことか。これまで装備はビィラックやイムロンに作って貰ってたけど、これを機にシュトーレン氏にも依頼してみるか……?」
「鍛冶師の最上位職だっけ?」
あんまり意識してなかったけど、そう言えばそういうことになるのか。いや『神匠』ってなんだよ?聞いたことあるような無いような……まぁ良いか何でも。私がまだ見てないリヴァイアサンの攻略第一号とか、『古匠』到達も一番乗りだったし、こうして見るとシュトーレンって結構攻略の先を行ってるんだなぁ。
一刻も早くアステヴァルの最終強化をして貰いたい所だけど、流石にもうログアウトしてる時間帯だし後日にしよう。エレクトロンを倒した報告をすれば向こうの方からも来てくれるはずだ。
「目的は果たせたし、時間もアレだし、今日はこの辺でお開きにしようか。ありがとうね二人とも、また機会があれば一緒に遊ぼう」
「そうですね、徹夜は体調に響きますし……」
「お疲れっした、またやりましょう!」
こうして私達は解散し、街に戻った私は直ぐにログアウトして水を飲み渇いた喉を潤した。勝利の後に飲む水は気のせいか最高に美味い。
時計を見ると、まだ時刻は4時になろうかというところであった。もう少しくらいは時間が経っているものだと思っていたが……どうやらそこまで長く戦っていた訳では無いらしい。暗い内に眠れるから良いことなんだけどね、明るいと目が覚めちゃって全然眠れなくなるからなぁ……
──明日以降は何をしようかな……?
そろそろ新大陸とやらにも行ってみたいが、旧大陸にもまだやれることが残ってるんだよなぁ……直ぐ思い浮かぶものだと"
新大陸へは、私なら行こうと思えば船を待たずとも最悪徒歩で行ける。
「……後のことは後で考えるか」
今考えても仕方ないかと、思考を打ち切る。
どうせ、次ログインする頃にはシュトーレンに預けた素材が新たな装備になってるだろうし、何ならエレクトロンみたいなまだ倒されてない強敵の情報を貰えるかも知れない。
それよりも、もうそろそろ眠気がヤバい。仕事にも差し支えるし寝ないとマズいな……シャンフロ優先するために後回しにしたことも多いし、それらの消化もしないといけないからね。体調はしっかりと整えておかなければ。
という訳で、今日1日を締めくくるべく義肢を外してベッドに潜る。既にかなり眠くなってきているので熟睡するまでは大分早かった。
「ZZZ……」
……
…………
………………
「ふあ……うわ、もうこんな時間……」
翌朝、目が醒めて時間を確認すると既に昼を過ぎていることが分かった。どうやらしっかり8時間以上は眠っていたらしい。
かなりの長時間睡眠になってしまったが、私は基本的に外出することは無いので問題は無い。外に出る予定があるなら、ちゃんとアラームセットするし大丈夫だよ、うん、大丈夫……一回寝坊して百姉さんにガチ説教食らってからは、遅刻なんてしたこと無いから大丈夫だよ……
「あれ、知らんトコからメール来てる」
少し遅くなった昼食を食べながら寝てる間に何か連絡が来てないかとパソコンを確認すると、いつもの出版社や身内とは違うアドレスからメールが送られてきていることに気付いた。
件名から察するに、仕事の依頼のようだが……はてさていったいどこのどいつか。本文を確認して私は思わず「マジかよ……?」と呟いた。
『ユートピア社』
ゲーマーならば、その名を知らぬことは最早恥であるとさえ言える企業名。言わずと知れた『シャングリラ・フロンティア』の運営会社である。
そんな企業から依頼が来たのだ……私に
そろそろラストバトルに向けて動き出す頃合い。実際にそこに辿り着くまでは、まだまだ掛かりますけども。