ただ一つのシャングリラ〜縛りゲーマー、一度きりの人生に挑まんとす〜   作:ナナシノ

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87:輝きの証明

「お疲れ様ー。いやぁ、強敵だったねえ」

「良くぞ全員生きて終われたもんだな……」

「私も、漸く動けるようになりました……」

 

 エレクトロン大暴れによって、かなり平たくなった地面に3人して座り込む。さっさとフォルティアンにでも行ってから休めば良いと、自分でもそれが安全だとは分かっているのだが……いかんせん激しい戦いの後で動く気力が残っていないのだ。

 動けないのは仕方無いので、この場で戦利品の確認を行うことにする。エレクトロン……『明るい未来』と書いてそう呼ぶ竜を撃破したことで、私達が得た物とは──コレだ!

 

 ────────────────────

真説輝星(トゥルーナク)アステヴァル】

 [カテゴリ]

 ・槍

 ・輝槍証明(ブリューナク):第六

 [効果]

 ・この武器は光を当てる、または所有者のMPを消費することで耐久値を回復する

 ・対竜特効

 ・アンデット特効

 ・この武器による攻撃は雷属性を持つ

 ・この武器による攻撃は、実態を持たない相手にもヒットする

 ・『共なる槍』:この武器は所有者の手元を離れた時、耐久値を消費して分解・所有者の手元に再構築できる

 ・『満月の槍(フルムーン)』:この武器による攻撃は対象のカルマ値が高い程威力が上がり、味方にヒットした時ダメージを与える代わりに回復する

 ・『母なる槍(ジ・アース)』:戦闘開始と同時に自身と任意の対象に『星の加護』を与える(他者はこの効果の適用を拒否でき、適用後も好きなタイミングで解除できる)。『星の加護』状態の対象は既に掛かっている状態異常・ステータスのマイナス補正が解除され、プラス補正の効果量が上昇し、状態異常にならなくなり、継続的にHP・MP・STMが回復する

【真説星答:エレクトロン】

 ・『火星の槍(マーズ)』:この武器の耐久値を消費して、一時的に属性ダメージを強化する。特効対象への与ダメージはより上昇する

 ・『木星の槍(ジュピター)』:この武器の耐久値を消費して、瞬間的に当たり判定を強化する。投擲時の命中率・威力にプラス補正が掛かり、より高い所から放つ程補正が大きくなる

 ・『土星の槍(サターン)』:この武器の耐久値を消費して、この武器と同じ攻撃性能を持つ光輪を生成する。最大生成数は所有者のレベルと同数となる

 ・『輝神に示す星突(エオフ・バルヘ)』:①『土星の槍(サターン)』最大数の4倍の光輪を生成し、一斉に対象へ放つ。②その後、光輪の生成数×0.05倍の威力補正を受けたこの武器を投擲する。③使用後は【真説星答】状態が解除され、この武器の耐久値が0になる

 

真説輝炎(トゥルーナク)アラドヴァル】

 [カテゴリ]

 ・雑種の剣(バスタードソード)

 ・英傑武器(グレイトフル)

 ・輝槍証明(ブリューナク):第四

 [効果]

 ・対竜特効

 ・『(イグナイト)』:攻撃ヒット時、『焔』を刃に蓄積する。蓄積された『焔』の数に応じて刃の色が段階的に変化する。(赤→青→銀→金→プラズマ)

 ・『纏雷(トロン)』:『(イグナイト)』が最大強化状態になった時、60秒間状態が固定され、その強化はプレイヤー自身にも適用される。『纏雷』状態のプレイヤーに触れたプレイヤー・MOBは、その間継続的にダメージを受ける

 ・『焼燬一閃(ダイン・キャール)』:『焔』を消費して斬撃を放つ。威力・射程は『焔』の消費量に応じて変動する

【真説解炎:エレクトロン】

 ・『文明開花(リライトニング)』:この武器の耐久値が0になった時、それまでに蓄積していた『焔』を全消費して復活する。復活する度にこの武器の基礎性能は向上し、更に『焔』の最大蓄積量が上昇する

 ・『輝神に示す燬斬(エオフ・バルヘ)』:発動から5歩までの間、AGIが3倍ずつ上昇し一部の自傷ダメージを無効化する。効果中は1歩毎に自身のAGI実数値と同量の『焔』が蓄積され、5歩目を踏み出すと同時に『焼燬一閃(ダイン・キャール)』が自動発動する(1〜4歩目までの間に任意で発動させることも可能)。使用後は【真説解炎】状態が解除され、武器とプレイヤーのステータスが大きく低下する

 

【真竜の宝証:明るい未来(エレクトロン)

 [カテゴリ]

 ・アイテム

 [説明]

 ・明るい未来(エレクトロン)を撃破した証。竜滅装備(バスターアームド)でない装備に使用することでそれを竜滅装備(バスターアームド)に変化させる

 

 真なる竜種とは肉持つ恐怖の概念(カタチ)。知らぬこと、立ちはだかることを恐れというならば……理解し、乗り越えた先にあるものはあなたの力になる。

 人はそれを繰り返し前に進んできた。

 ならば真なる竜種、肉持つ恐怖を討ち滅ぼしたあなたは、彼の理解者なのだ。

 

 我が身は鉄でできている。

 それはかつて流れた血であり、打ち棄てられた過ぎ去りし過去。進歩の犠牲となりしもの。

 だが、その弛まぬ歩みが時代を創り、また次を歩む誰かの礎となる。我らは歩みの果てに道となり、先を照らす光となるのだ。

 人よ、進め。我が名は常に、君の行く先を照らしている。

 ────────────────────

 

「明るい未来、か……いい名前じゃないの」

「厨二チックな感じはあるけどな」

「私も竜滅装備(バスターアームド)が使えそうで良かったです……」

 

 星天槍アステヴァル改め、真説輝星(トゥルーナク)アステヴァルとなったことでその性能は大きく向上した。

 特に大きな変化は、雷属性の追加と手離しても手元に戻せるようになったこと、そして遠距離攻撃手段の追加と切札の変更か。竜魂解禁……ではなく真説星答でエレクトロンの力を呼び覚ますことで、元のサポート寄りの性能からかなり攻撃的になる。

 

 ──新しい切札……『輝神に示す星突(エオフ・バルヘ)』は使うと耐久値を全損するみたいだけど……コイツはロストしないから大丈夫かな。

 

 アステヴァルには元々、甦機装(リ・レガシーウェポン)のように耐久値を全損してもロストせず破損状態で残る仕様がある。耐久値を消費する効果は多いが、私はMPも多いし使い倒すのに支障は無いだろう。『共なる槍』が使えなくなるのはまぁ痛いかな?

 纏めると、とても強くなりました。少なくとも今の私の手持ちの中では一番強いと言える。ただ、これでもまだ過程……シュトーレンに加工して貰って『神化』することで、漸く完成となるのだ。完全体になるまではもう少し掛かる。

 

「ロンミン氏のアステヴァルは、シュトーレン氏に預けることになるんだよな?」

「まぁ、そうだね」

「て、ことは……シュトーレン氏がプレイヤーでは初の『神匠』になるってことか。これまで装備はビィラックやイムロンに作って貰ってたけど、これを機にシュトーレン氏にも依頼してみるか……?」

「鍛冶師の最上位職だっけ?」

 

 あんまり意識してなかったけど、そう言えばそういうことになるのか。いや『神匠』ってなんだよ?聞いたことあるような無いような……まぁ良いか何でも。私がまだ見てないリヴァイアサンの攻略第一号とか、『古匠』到達も一番乗りだったし、こうして見るとシュトーレンって結構攻略の先を行ってるんだなぁ。

 一刻も早くアステヴァルの最終強化をして貰いたい所だけど、流石にもうログアウトしてる時間帯だし後日にしよう。エレクトロンを倒した報告をすれば向こうの方からも来てくれるはずだ。

 

「目的は果たせたし、時間もアレだし、今日はこの辺でお開きにしようか。ありがとうね二人とも、また機会があれば一緒に遊ぼう」

「そうですね、徹夜は体調に響きますし……」

「お疲れっした、またやりましょう!」

 

 こうして私達は解散し、街に戻った私は直ぐにログアウトして水を飲み渇いた喉を潤した。勝利の後に飲む水は気のせいか最高に美味い。

 時計を見ると、まだ時刻は4時になろうかというところであった。もう少しくらいは時間が経っているものだと思っていたが……どうやらそこまで長く戦っていた訳では無いらしい。暗い内に眠れるから良いことなんだけどね、明るいと目が覚めちゃって全然眠れなくなるからなぁ……

 

 ──明日以降は何をしようかな……?

 

 そろそろ新大陸とやらにも行ってみたいが、旧大陸にもまだやれることが残ってるんだよなぁ……直ぐ思い浮かぶものだと"綺憶喪失(ロストメモリー)""禍刃剥命(エンプレスキラー)"のユニーク探しとか、無果落耀の古城骸の古城地下への移動法捜索とか、色々とスルーしてきた他の街やエリアの探索とか。あと、ゴルドゥニーネももう一回出会ったらまた何かしらイベントがあるかな?

 新大陸へは、私なら行こうと思えば船を待たずとも最悪徒歩で行ける。月天霊装(プルーク・ラ・ルナ)のおかげでどんな環境でも構わず過ごせるし、スキルをフル活用すれば下手な船より私の方が速いからだ。海中にはセーブポイントは存在しないだろうことと、深海のモンスターは強い上に相手のホームであることから目を背ければ、私はその気になれば海を単騎で渡ることができるのだ。

 

「……後のことは後で考えるか」

 

 今考えても仕方ないかと、思考を打ち切る。

 どうせ、次ログインする頃にはシュトーレンに預けた素材が新たな装備になってるだろうし、何ならエレクトロンみたいなまだ倒されてない強敵の情報を貰えるかも知れない。

 

 それよりも、もうそろそろ眠気がヤバい。仕事にも差し支えるし寝ないとマズいな……シャンフロ優先するために後回しにしたことも多いし、それらの消化もしないといけないからね。体調はしっかりと整えておかなければ。

 という訳で、今日1日を締めくくるべく義肢を外してベッドに潜る。既にかなり眠くなってきているので熟睡するまでは大分早かった。

 

「ZZZ……」

 

 

 ……

 

 …………

 

 ………………

 

 

「ふあ……うわ、もうこんな時間……」

 

 翌朝、目が醒めて時間を確認すると既に昼を過ぎていることが分かった。どうやらしっかり8時間以上は眠っていたらしい。

 かなりの長時間睡眠になってしまったが、私は基本的に外出することは無いので問題は無い。外に出る予定があるなら、ちゃんとアラームセットするし大丈夫だよ、うん、大丈夫……一回寝坊して百姉さんにガチ説教食らってからは、遅刻なんてしたこと無いから大丈夫だよ……

 

「あれ、知らんトコからメール来てる」

 

 少し遅くなった昼食を食べながら寝てる間に何か連絡が来てないかとパソコンを確認すると、いつもの出版社や身内とは違うアドレスからメールが送られてきていることに気付いた。

 件名から察するに、仕事の依頼のようだが……はてさていったいどこのどいつか。本文を確認して私は思わず「マジかよ……?」と呟いた。

 

『ユートピア社』

 

 ゲーマーならば、その名を知らぬことは最早恥であるとさえ言える企業名。言わずと知れた『シャングリラ・フロンティア』の運営会社である。

 そんな企業から依頼が来たのだ……私に()()()『シャングリラ・フロンティア』の作画を担当してほしいという依頼が。




 そろそろラストバトルに向けて動き出す頃合い。実際にそこに辿り着くまでは、まだまだ掛かりますけども。
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