俺の家がセーブポイントにされてるんだけど!?   作:新月

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第26話 魔法少女の独白

 ──あは、あははっ♪♪

 

 楽しい、楽しい、楽しい!!

 私はマホ。魔法少女になってから、ここまで楽しいと思える日はとても久しぶりだった。

 

 遊園地、水族館、動物園。

 

 これらは、私の世界では悪の組織の拠点となるメインの場所だった。

 昔は人を楽しませる場所だった、と言う事は聞いたことあるけれど、私が物心ついた時には、既に敵の手に落ちていたらしい。

 

 他にも、いくつかの娯楽施設が敵の手に落ちて、拠点にされてることが多いらしい。

 例えば、大人の遊び場で言うとカジノとか、競馬場とかかな?

 

 そもそも私たちの世界は、例の三幻魔を中心に悪の組織が沢山いる。

 戦いの無い日なんて、ほとんど無いと言って良い世界だ。

 確かに魔法少女も沢山いるけれど……数が追いついておらず、対処し切れていないと言うのが現状だ。

 

 ──そもそも、その“魔法少女が減り続けている”のが大問題だ。

 

 死人も、いる。しかし大半は、“行方不明者”となっている。

 フラッといつの間にか連絡が取れなくなってる魔法少女が最近多いらしい。

 原因は不明。悪の組織との戦いで何かされたのか。それとも……“魔法少女を辞めたのか”。

 

 ──その中には、私の“親友”もいた。

 

 探しても探しても、未だ見つからない。

 何処に行ったのか、検討がつかない。魔法少女を続けているのかさえ、分らない。

 

 魔法少女は、キラキラしたもの。そんなイメージアップを広報は行なっている。

 行方不明の魔法少女の代わりの、新しい仲間を少しでも集めるために。

 ……そんな綺麗なものじゃ無いのに。

 

 私の親友は、一体どうなったんだろう。

 魔法少女を辞めて、幸せに暮らしているなら、まだ良い。私に連絡取らないのは思うところがあるけれど、責められない。

 けれど、実家の家族にも会っていないから、多分違うだろう。

 あの子は、人の不幸せな事を許せない子だった。勝手に人を心配させるようなそんな事をする子じゃ無かったはずだ。

 

 ……だから私は、ずっとずっとずっとずっと、ずっと心配で。

 

 心が休まる時が無くて。

 

 

 ──だから、今日は少しでも元の世界の事を忘れられて、ありがたかった。

 

 薄情なのかもしれない。けれど、本当に私にとってはギリギリだった。

 ああ、これでまた頑張れるって──

 

 

 ☆★☆

 

「あー、楽しかったわね!!」

「はい! すっごく気分転換になりました!」

「クッッッソ疲れた……」

 

 私たちは、日が暮れてから遊園地から出て、思い思いに感想を言い合っていた。

 お兄さんにはとても感謝してる。ソラちゃんにも感謝してる。

 遊園地が、こんな楽しい場所だなんて知らなかった。

 私の世界の遊園地だと、こんな思いは出来なかっただろう。

 この世界にこれて、本当に良かったと思えた。

 

「でも、アトラクション全部周りきれなくて残念……まだ3分の1は残ってるわ」

「そもそも、来たのがお昼以降だったからなー……朝からまわっても周りきれない事があるし、しょーがねーよ」

「またすぐリベンジに来たいわね!! ね、マホちゃん!」

「──そう、ですね」

「……ん? どうした?」

 

 私の様子がおかしいことに気づいたのか、お兄さんがそう声を掛けてくれました。

 ……やっぱり、誤魔化せませんよね。

 

「いえ、ただ、その……」

「ただ?」

 

「──“また次の機会が、私に残されているのかな”って。そう思っただけですから」

 

「────」

 

 ……私の言葉に、お兄さんは言葉を失っているようでした。

 ごめんなさい。気分を悪くするつもりはなかったんです。

 

「……私の世界では、沢山の魔法少女が行方不明になってます。原因は不明ですが、いつ私がそうなるか分かりませんから」

「……それ、は……」

「だから、今日はありがとうございます。こんなに楽しい思い出が作れて、本当に嬉しかったんです」

 

 これは、私の心のそこからの本音だった。

 この思い出があれば、またしばらく頑張れると思ったから。

 

「──大丈夫よ」

「……え?」

「だからこその、セーブポイントよ」

 

 すると、ソラちゃんが私の手を握って、私の目を見つめて来た。

 それは、確かな自信に満ち溢れてい流ようで。

 

「セーブポイントさえあれば、あなたに何があろうと何度だってやり直せる。大怪我は勿論、死んだとしてもね」

「──死んで、も?」

「だから、安心しなさい。あなたには、次がある。明日がある。それを作るために、やり直せる力が味方になっているのだから」

 

 ……そう言ったソラちゃんの表情は、とても10歳には思えなくて。

 まるで女神様だと思えるような、慈愛に満ちた表情だった。

 

「──あは、あははっ」

 

 私はつい、笑い声を漏らしていた。

 そっか……そっか! 私には次があるんだ! 保証されてるんだ!!

 

「だから、また遊園地に来ましょう? 次の機会にね」

「はい! その時は、よろしくお願いします!」

「ったく。金払うの俺だぞ。まあ、良いけど……」

 

 そうぼやくお兄さんの表情は、困り顔だけど、けれど何処か満足気のように見えたのは錯覚だったのだろうか?

 けれど、私はそれを指摘する気になれず、そのまま受け止めることにした。

 

 

 ☆★☆

 

「──二人とも、今日はありがとうございます!!」

「おう、満足したようで何よりだよ」

「また来てね! セーブポイント、定期的に使いに来るのよー!」

「はい! また来ます! それじゃあ!」

 

 そうして、私は二人にお礼を言って、クローゼットに入っていく。

 元の世界に戻るために。

 

 ああ、本当に良かった。

 

 

 ──私には、“死んでも次があるんだ!!”

 

 ああ、これで。

 

 ──私は、まだ頑張れる/終われない

 




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