俺の家がセーブポイントにされてるんだけど!?   作:新月

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第33話 戦う理由

「君たちは、何故彼の……カイトの家にいるんだい!!」

 

 こんにちは、カイトです。

 戦い始めて、30分くらい経った頃。そろそろだれて来たなー、とか思っていたら、ユウカがそう大声を出していたのが聞こえて来た。

 遠くでよく見えないが、その表情は必死な顔をしているようだった。

 

「──ボクは、彼らに恩がある!!」

 

 その声は、離れていても耳に届くほど、大きな声で放たれていた。

 

「死んで終わりだった、“ワタシ”の人生に“次”をくれた事……! 死の恐怖に怯える“ワタシ”に対して、自分の富を削ってまで“ワタシ”を支えてくれた事……!! あの二人には、ボクは感謝しても仕切れない!!」

 

 片手を胸に当て、その事を実感するかのようにメタルマンとマホに向かって話している。

 

「だから、そんな二人に対して……彼らに迷惑を掛けている奴らは、許せない!! 特に、空に浮かんでいる君!! 君たしか、カイトにめちゃくちゃ文句言ってたらしいじゃないか!! 助けてもらっている立場にいながら、なんて奴なんだ!!」

 

 今までと比べて、比較的大きな飛ぶ斬撃を振り下ろしながら、ユウカはそう叫んでいた。

 

「ッハ! そんな事は知らんな! 誰が助けてくれと頼んだ!! だがまあ、感謝が一切無いと言えば、嘘にはなる!! カイトという、あの青年のお人好しさには呆れている程だ! 貴様らこそ、そんな彼に漬け込んでいい様に利用してやろうと企んでいるんじゃないのか? だとしたら、流石に見過ごすには気分が悪い! 貴様らが何を企んでいるか、この場で洗いざらい吐いて貰おうじゃないか!!」

 

 そう言って、メタルマンは先ほどより大量のミサイルを射出する。

 それらはユウカ、マホそれぞれに半分ずつ向かって行った。

 

「企んでいるなんて、人聞きの悪い!! 私はただ、お兄さん達に美味しいものを食べさせて貰ったり、楽しい所に連れて行って貰ってるだけです!! それがどれだけ私にとって有り難かったか、あなた達に分かりますか!? 娯楽を消費する暇も余裕もない、戦いだらけの日常で、それがどれだけ救いになったか、想像も出来ないでしょう!? それを邪魔しようとする人は、許せません!! そんな親切をしてくれるお兄さんに態度が悪いのも、許せません!!」

 

 そう言って、マホは比較的大玉な魔法弾を二回発射した。

 それぞれ、メタルマンとユウカに向かって飛んでいく。

 

 斬撃、ミサイル、魔法弾が空中で衝突し合い……相殺される。

 

「……少し、本気で叩きのめさないと話を聞いてくれなさそうだね」

「ふん。それはこっちのセリフだ」

「あなた達が反省するまで、私は許しません!」

 

 そっか。なら……と。

 

「斬り倒す!!」

「打ち倒す!!」

「防ぎ切る!!」

 

 そうして、3人は大きく構えた。

 

 ユウカは、両手で剣を持って大きく振りかぶり。剣が、巨大な光に包まれて。

 メタルマンは、両手を前に構えて。形成した砲身を合体させてチャージして。

 マホは、ステッキを両手で持って。その目の前に、花柄の大きな盾が現れて。

 

「──“シャイニング・レイィィィッ!!!”」

「──“ハイパー・ブラスタァァァッ!!!”」

「──“マジカル・シールドォォォッ!!!”」

 

 巨大な光が。極太なビームが。大きな盾が。

 

 互いに衝突し合い────衝撃が、爆発した。

 

 

 ☆★☆

 

 

「うおおおいッ?!! あいつらどんだけやる気なんだよ!? こっちまで爆発の衝撃がやって来たぞ!?」

「アハハハハ!! めっちゃ盛り上がってるわねー!」

 

 俺は3人の切り札的な何かの衝突を見て、大慌てで叫んでいた。

 離れていても、あまりにも爆発の規模が大きい。体育座りしていた俺達が、ゴロゴロと背後に転がって行くほどだ。

 それを受けて、ソラは寝転がりながらも笑い声を上げている。

 

「つーか、これ無事!? あいつらちゃんと無事なのか!?」

「大丈夫でしょ、多分。この程度で倒れるほど、ヤワな人材じゃないと思うわよ──あっ」

「おい、あってなんだ、あって。何か気づいたのか、何かヤバい事に気づいたのか、おい!?」

 

 まさか、三人のうち誰かが大怪我したのか!? 流石にそれは看過出来ねえぞ!?

 仮にもあいつら全員もう俺の知り合いだ!! いくらセーブポイントで治るからと言っても、目の前で大怪我されるのは流石に嫌だぞ!?

 そう思っていたのだったが……

 

「カイト、ちょっと不味いかも……」

 

 タラーっと冷や汗を掻きながら、そう言ったソラの顔は、先ほどまでの余裕が一切無くなっていた状態だった。

 ただし、視線の先は3人ではなく……背後の廃屋に対して。

 

 

「──マーカー、ちょっと壊れた。“このまま完全に壊れると、カイトの家帰れないかも”」

 

 ──は?

 

 ☆★☆

 

「──ゲホっ、ごほっ、……まだ、倒れないんだね」

「ぐっ、この……当然、だ……!!」

「ま、まだまだ……! 私は、やれるよー!!」

 

 ボクはユウカ。

 先ほどの爆発の衝撃を受けて、大分後ろに吹き飛ばされてしまったけど、なんとか体勢を立て直して元の位置まで戻って来ていた。

 他の二人も同様で、多大な疲労はしていそうながらも元の場所まで戻って来ている。

 

 ただ……

 

「体力が、もう……」

「くそ、武装が殆ど尽きたか……」

「うわーん、魔力もう空っぽ……」

 

 ボク達3人とも、全員疲労困憊だった。

 先ほどと同等規模の大技は、もう出せないだろう。

 

「……まだ、やるかい?」

「……ああ、まだだ」

「……まだ、行けるよー」

 

 フラフラになりながらも、ボク達は互いに続行の意思を提示する。

 

「……そうか。なら……行くよ!!」

 

『おおおおおおおおおッ!!』

 

 そうして、ボク達は全員中心に向かって走り出した。一人は、飛んでいるけれど。

 もはや遠距離攻撃を放つエネルギーすら残っていない、ここからは全員接近戦だ!!

 

 ボクは剣を。金属の彼は腕からブレードを。フリフリの少女は伸ばしたステッキを。

 

 全員それぞれの武器を、振り上げて──

 

 ──“目の前に、何かが放り込まれた”

 

「は?」

「な!?」

「へ!?」

 

 呆けるボクを除いて、金属の彼とフリフリの少女はそれが何か気付いた様で。

 

 直後──“激しい閃光と音”。

 

「目があああああああっ?!!」

「ぐおおおおお!? センサー類が?!!」

「うわーん?! 耳がキーンってするー!?」

 

 い、一体何が……!? 

 今投げ込まれたものが爆発して、激しい光と音に包まれた!?

 爆弾!? いや、それにしては物理的なダメージが殆どない!?

 

「ちょっと!? これってまさか、“スタングレネード”ぉ!?」

「くっそお!? 流石に目の前で爆発されたら!? センサーの感度を上げていたのが裏目に出た!?」

 

 くそ、なんだ!? 目が見えない!? 耳も、よく聞こえない?!

 多分、目の前の二人が何か叫んでいるんだろう程度の事は分かるんだけど、内容がよく聞き取れない!!

 さっきの爆弾の様なもの、一体誰が……!?

 

 そう思っていると、まだ真っ白のままの視界の中で、薄ら誰かの人影が。

 位置的に、金属の彼でも、フリフリの少女でもない。

 という事は、この場所にいる残りの人といえば……!!

 

「──テメエら、いい加減にしろやああああアアアアアァッ!!!」

 

 ……そんな、よく聞こえない、おそらくカイトが上げた声で。

 ボク達の戦いは、終了を迎えた。

 




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