長くなりそうなので前後編に分けました。
その後、ケータはひとりから借りたスマホを使い、母親に急遽ひとりの家に泊まることになった、ということを連絡した。母親は強く驚いていたが、ケータから電話を代わったひとりが、ケータには自分たちから頼んで着いて来てもらっていることを連絡すると、ケータに「迷惑のかからないようにしなさいね」とだけ言い残し、納得した様子で電話を切ったのだった。
金沢八景駅に辿り着き、歩くこと数分。ケータたちにとってはもはや見慣れた家の屋根が見えてきた。家の扉を開くと、クラッカーを持った直樹と美智代、そしてふたりが4人を出迎えた。
「「「喜多ちゃん、いらっしゃ〜い!!」」」
「……けいくんはお帰りなさい、かしら?…ふふっ」
「…相変わらず外堀の埋め方がえげつないニャン」
「美智代さん今声のトーンがちょっとガチでしたね…」
三人が元気良く郁代を出迎えると、美智代が続けて小声でそう付け加えた。ジバニャンとウィスパーは引き気味に美智代を眺めた。
「突然すみませんっ!お邪魔させていただきます!」
「気にしないで良いのよ〜。自分の家みたいにゆっくりしてってね〜」
郁代がそう言うと、ケータも続けて二人に向けて挨拶をした。
「こんにちは、直樹さん、美智代さん!オレもお邪魔することになっちゃいました!本当に突然ですみません。お世話になりますっ!」
「良いんだよけいくん。けいくんなら本当にいつでも来てもらって良いから。むしろ来て」
ケータがそう言いながら頭を下げると、直樹がこれまた半分ガチトーン気味に言った。
ふたりは、久し振りのケータたちの来訪に目を輝かせてはしゃぎ回りながら言った。
「ふたりけいくんと遊ぶー!あと白いほにょほにょさんともー!」
「はいはいふたりちゃん。私たちは向こうで遊んでましょうね〜。ケータ君はまだお姉ちゃんたちとのお話があるみたいでうぃすからね〜」
「は〜い!」
ウィスパーはそう言って、ふたりと共にリビングへと消えて行った。ひとりはその光景を見ると、ウィスパーの執事としての手腕の高さに心の中で軽く戦慄した。
(ウィスパーさん、あのふたりにあそこまで懐かれるなんて…。さ、流石けいくんの執事…!)
ジバニャンも続けて、リビングの方に足を出しながらケータに声をかけた。
「オレっちも久し振りにジミヘンと語り合いたいから先に行ってるニャンね」
「うん。行ってらっしゃい」
ケータがそう言ってジバニャンに手を振ると、ひとりはケータの服の裾を握りながら、ひとりの書く歌詞への理解を深めようと張り切る郁代に向けて口を開いた。
「あっ私はけいくんと下の階にいるので部屋自由に使ってください。それじゃ…」
「温度差酷くない!?」
「ひ、ひとりさん今日の目的忘れちゃダメだよ!」
「そうよひとりちゃん!何の為に来たと思ってるの〜!!」
ケータが慌ててそう言うと、郁代もそれに続いて半ば無理矢理ひとりを部屋に押し込んだ。
そして、ひとりの部屋にて。
「あ、あの〜。今更なんですけど、オレ本当にここに居て大丈夫なんですか?」
「むしろ居てお願いけいくん私をこの部屋に一人にしないで」
「そうそう!ケータくんがいた方がひとりちゃんの落ち着き度合いも5割増しくらい上がるもんね!」
「そ、そんなに…?」
ケータが困惑気味にそう呟くと、部屋の扉の隙間からその光景を覗いていた美智代が静かに心の中で呟いた。
(ひとりちゃん、けいくんのおかげで気まずくなさそうね!…これなら、私も女子高生として話に加わらなくても大丈夫そうかしら)
美智代は、嬉しいながらもどこか物足りなさそうにそう呟くと、静かにリビングへと歩いて行った。
ケータは、ふと思い出したように郁代に尋ねた。
「あ、そう言えばなんですけど『理解を深める』ってどういうことなんですか?」
「…大槻さんに、歌の内面的なことを良く知りなさいって言われてね。歌詞のことだと思うんだけど、そう言えば私、今まで歌詞の意味をそこまで深く考えたことなかったなって思ったのよ」
郁代はそう言うと、早速ひとりに質問を投げかけた。
「ひとりちゃんの作る詩ってどういう意味が込められてるの?どの曲も比喩が多くて抽象的よね」
「あっ聴く人が各々自由に解釈してくれたら良いなっていうか…」
「え〜!でもひとりちゃんが込めた意味が知りたいわ〜!」
「えっいや…」
ひとりが苦悶の表情を浮かべながらどう答えたものかと頭を悩ませていると、ふとケータが口を開いた。
「───じゃあ、オレの解釈…と言うか、オレがひとりさんの書いた歌を聴いて思ったことを言って良いですか?」
「えっ気になる気になる!教えて!」
「わっ私も聞きたい…!」
二人がそう言うと、ケータはゆっくりと言葉を紡ぎ出した。
「ひとりさんの書く歌詞からは、何と言うか───生活の中でひとりさんが感じた、不満とか、不安とか、恐怖とか。そう言った暗い感情を、ひとりさんなりの言葉でぼかして、仄めかして、だけど必死に伝えようとしているような感じがします。
聴いていると、魂を掴まれる、というか、心が震える、というか。…とにかく、心の奥深いところに突き刺さるような、そんな歌詞なんです。不満を感じながらも、それでももがいて、必死に生きている。ひとりさんのそんな生き方が現れている歌詞が、オレは大好きです」
ケータがそう言い終えると、郁代は深く感心したような表情になり。───そして、当のひとりはと言うと。
「……っ…」
───ケータのその言葉に、ただただ静かに笑みを浮かべながら、涙を流していた。
郁代とケータは、慌ててひとりに声をかけた。
「ひ、ひとりちゃん!?どうしたの!?」
「わああっ!?ひとりさん!?大丈夫!?オレなんか言っちゃいけないこと言っちゃった!?」
「…ううん、違うの。嬉しいんだよ、私。けいくんは本当に、私のことをなんでも分かってくれてるんだなって思って。
………一番分かって欲しいことは、まだ分かってくれてないんだけどね」
「?……まあ、ひとりさんが悲しくなっちゃった訳じゃないなら良かったよ!」
ケータはひとりのその小さな呟きに首を傾げつつも、ひとりが悲しくて泣いた訳じゃない、ということが分かった為、気を取り直してひとりに笑いかけた。
「とりあえず涙拭こ?今オレが拭いてあげるからさ」
「うっうん…!」
ひとりは頷くと、鞄から綺麗なハンカチを取り出すケータに涙で濡れた頬を差し出した。
にっこりとした深い笑顔を浮かべながらケータに涙を拭われているひとりを見遣ると、郁代は心の中で静かにごちた。
(…ケータくんの言ってた言葉の意味は半分くらいしか分からなかったけど、とりあえずケータくんがひとりちゃんへの理解度が半端ない鈍感さんってことは分かったわ…)
ケータがひとりの涙を拭い終えると、郁代はふと、思いついたように口を開いた。
「あっそうだ!ひとりちゃん、今から私のことは気にせずいつも通りに過ごしてみて!ひとりちゃん自身への理解を深めれば、きっと何か分かるはずだから!」
「あ、じゃあオレは居ない方が」
「良いなんてこと絶対にないからここに居て」
「は、はい…」
ケータがそう言いかけると、ひとりは食い気味にケータを制した。その様子を傍から見ていた郁代は、どこか憧れるような表情をひとりに向けながら、心の中でごちた。
(ひとりちゃん、ケータくんのことになると人に凄んだり怒ったりすることもできるのよね。私もやられたことあるし…。
…でも、さっき私が大槻さんに色々言われた時も、ひとりちゃんは怒ってくれたっけ。ひとりちゃんはきっと、誰かの為なら、怖さを振り切って怒ることができるのね。やっぱり、かっこいいな。……今のは絶対私欲100%だろうけど)
郁代がひとりに憧れ半分呆れ半分のような表情を送っていると、ひとりは徐ろにギターとパソコンを取り出して、いつもやっているような宅録の準備を始めた。
ひとりが宅録を始めてからしばらくして、淡々と作業を進めるひとりを間近で眺めていた郁代が、初めて見る光景に楽しげな表情を浮かべながら言った。
「へ〜!宅録ってこんな感じなんだ〜!」
「はっはい…。いつもこんな感じで曲を録って、それから編集作業を進めてます…」
ケータは徐ろに立ち上がりながら、二人に向けて声をかけた。
「ひとりさん、喜多さん。もし喉渇いてたら、オレが美智代さんに頼んでお茶淹れさせてもらってきますよ」
「…私は少しでも長くけいくんと一緒に居たいから、お茶淹れてもらうよりもここに居て欲しいな。でも嬉しいよ。ありがとね」
郁代がお願いしようかと悩んだその時、ひとりは徐ろに口を開いた。
ケータは少し悩むと「じゃあ」と言いながらひとりの真後ろに回り込みながら言った。
「ずっと同じ姿勢でギター弾き続けて肩凝ってると思うから、マッサージしてあげようか?」
「お願いっ!!!」
「わわっ!?」
振り向き様に今日一のボリュームの声量でひとりに懇願されたケータは、驚きつつも少し嬉しそうに肩揉みを始めた。
「…じゃあ、始めるね。よいしょっと!」
「………んっ……ああっ…そこっ……」
マッサージを受けている最中、ひとりはずっと謎に艶めかしい声を上げ続けていた。郁代は、その光景にもはやなにもツッコむまいと無の表情を浮かべていた。
ケータはひとりの肩を揉んでいる最中、時々どこか不思議そうな表情を浮かべていた。
(ひとりさんの肩、虹夏さんやリョウさんの肩よりもずっと硬いな。……なんでなんだろう)
そして、マッサージを終えると、ひとりはケータに向けて満足気に口を開いた。
「すっごく気持ち良かった…!またやって欲しいな…!」
「良かった!言ってくれればまたいつでもやってあげるよ!」
そしてケータは郁代の方を向きながら、続けて言った。
「喜多さんももし良かったら、マッサージしますよ!」
「ありがとうねケータくん。でも私、実は肩凝ったことないのよね。一体何故なのかしらね」
「そ、そうなんですね…」
郁代が暗い目をしながらそう言う様を見て、ケータは口を噤んだ。ケータもひとりも気づかなかったが、郁代のその目線は、どことなくひとりの胸の方へと向いていた。
そして郁代は、その時ふと何かに気づいたように口を開いた。
「そう言えばケータくん、気遣いとかサポートがやたらと手慣れてたような気がするけど…」
「ああ、この前リョウさんの家に泊まった時に、作曲作業の手伝いしてたんですよ。肩揉んだり、お茶を淹れたり」
ケータのその言葉を聞いたひとりは、心の中で恨めしげに呟いた。
(…リョウ先輩、けいくんと5日間も二人っきり、しかもずっと付きっきりで肩揉んでもらったりしてたなんて。……本当に、ずるいや)
ひとりの身体から妖力のオーラが放出されかけたその時、ケータが続けて口を開いた。
「ひとりさんの家に泊まるのは今日が初めてだから、なんか楽しみです!……オレもまさか、ひとりさんの家よりも先にリョウさんの家に泊まることになるなんて、思ってもみませんでしたけどね」
(……えっ、てことはけいくん、リョウ先輩よりも私の方が身近な存在って思ってくれてるってこと…?
……うへへへっ)
たははと笑いながらそう言うケータを見たひとりは、頬をだらんと綻ばせながら心の中で小さくガッツポーズをした。
ひとりの表情が変わる様を見ていた郁代は、心の中で小さく呟いた。
(ケータくんのせいで、ひとりちゃんの情緒はもうぐちゃぐちゃね…)
それから更に数時間が経って。郁代は、ひとりの部屋の畳の上ですっかりと眠りこけていた。
「……喜多さん、寝ちゃったね」
「やっぱり私の日常って人から見たらつまらないんだ…」
ひとりが落ち込みながらそう言うと、ケータは優しく微笑みながら言った。
「オレは好きなんだけどね。何だか落ち着いて」
「ほ、ほんとっ!?……じゃあ、今日からけいくんは後藤景太として…!」
ケータのその言葉を受けたひとりは、期待を滲ませながら言った。
ケータは楽しそうに笑いながら、その言葉に返事を返した。
「あははっ。そうなるとオレは、ひとりさんの弟になっちゃうのかな?……でもそれはそれで、きっと楽しいんだろうな。
……お姉ちゃん、なんてねっ!」
(
ひとりが心の中で静かにそう呟いていると、ケータはふと、ひとりに向けて神妙な面持ちで口を開いた。
「……ねえ、ひとりさん。オレ、これからきっと、今までよりもずっと、ひとりさんたちにワガママになっちゃうと思う。
…ひとりさんたちなら何があっても、きっとオレを見捨てないでいてくれるって分かっちゃったから」
「やっと分かってくれたんだね。…良いよ、なんでも言って。遠慮なんて、しなくて良いから」
ひとりがケータをはっきりと見据えながらそう言うと、ケータは不安そうに、それでも期待を滲ませながら言った。
「……本当に、良いの?きっとひとりさんにだって、酷いこと沢山言っちゃうよ?」
「全然良いよ。…それよりも私は、けいくんが私に何も言ってくれなくなって、誰にも何も言えずに悲しい思いをしている方が、ずっと、ずっと、ずーっと辛いから」
「下らない理由で呼び出しちゃうよ?構って欲しくてイタズラだってしちゃうかもしれないよ?
───本当に本当に、良いの?」
「むしろして欲しいんだけど…」
ひとりがそう言うと、ケータはぎゅっとひとりに抱き着きながら言った。
「……ひゃっ、けいくん!?」
「そっか、そっかあ…!はははっ!じゃあもうこれからは遠慮なくひとりさんに甘えちゃおっと!嫌って言ってももう聞かないもんね〜!」
「そっちこそ、どんなこと言ってももう絶対離してあげないから!」
「あははっ!ひとりさん重〜!」
二人がそう言い合いながら抱き合っていたその時。ふと部屋の扉が開き、そこから美智代の声が響いた。
「ひとりちゃ〜ん、けいく〜ん、喜多ちゃ〜ん、晩ご飯できたわよ〜!
……あらごめんなさい、お邪魔しちゃったかしら〜!」
「わあ美智代さん違うんですこれはそのあの〜っ!!」
「けいくん、急に私に甘えたくなっちゃったみたいで…。今から行くからリビングで待ってて!」
「分かったわ〜!
……ご飯冷めちゃってても平気なら、喜多ちゃんを今起こしちゃって二人で楽しんでから来ても良いからね?」
美智代はひとりに向けてそう囁くと、静かに部屋の扉を閉めながらリビングへと向かって行った。
そして、ふとその時。
「……ん?私、寝ちゃってたのかしら…?」
「あ、喜多ちゃん、起きたんですね。晩ご飯出来たみたいなので、先に行っちゃっててください」
「ご、ごめんなさい!私から頼んでおいて…。
……ところで二人とも、どうして抱き合ってるの?」
目が覚めた郁代は、抱き合うひとりとケータの方を見遣りながら怪訝そうに尋ねた。
「あ〜あの、喜多さん、これは違くて〜そのっ!
……ひとりさん、そろそろ離してくれない?…って力強っ!?」
「うへへ…。けいくん、なんか急に甘えたくなっちゃったみたいで…。私たちはしばらく二人でこうして抱き合いながら互いの温もりを感じ合ってから行くので、喜多ちゃんは先に下で晩ご飯食べててくださいっ…!」
「そ、そうなのね、分かったわ。ケータくんもまだまだ甘えたい時期だものね!私は先に行ってるわっ!」
郁代は頬を赤らめながらそそくさと部屋を出て行った。「後は若いお二人でごゆっくり〜!」との声が廊下から響き渡ると、ひとりとケータは、そのまま部屋にぽつんと取り残された。
「も〜、なんであんな誤解されるようなことばっかり言うの!ひとりさんのばかっ!」
「うへへ。ごめんねけいくん。…でも私、もうしばらくはけいくんと離れたくないんだ」
「オレももうお腹空いてるからご飯食べたいんだけど!?」
「じゃあ、このまま食べよっ…?」
「抱き合いながらご飯食べるなんて正気の沙汰じゃないから!?」
───その後、ひとりはケータを抱き上げながらリビングまで行き、抱き上げた状態でケータの口に箸で器用に食べ物を運ぶことで夕食を食べさせようとした。……結局、見かねたウィスパーとジバニャンと郁代によって半ば無理矢理気味に引き剥がされたが。
直樹と美智代は、そんな娘の姿を見ても、決して止めようとはしなかった。可愛い娘が、恩人でかつ想い人に珍しく甘えられ、そのチャンスを我が物にしようとしているのだ。この二人にとっては、むしろ止める理由を探す方が余程難しいだろう。
ちなみに、ケータは口ではあれこれ言っていたが、本気でひとりを拒絶することは絶対になかった。……彼もなんだかんだで、満更でもなかったのだろう。ウィスパーたちに引き剥がされた時も、彼の瞳には安心の感情の奥に、どこか名残惜しげな感情が浮かんでいた。
そして、風呂の時間。郁代が居るにも拘らず、ひとりは頑なにケータと一緒に入ろうとしたが、案の定郁代たちに止められた。尚後藤夫妻はと言うと、そんな娘の姿をただただ優しく見守っていた。この二人にとっては世間一般の倫理観よりも、娘の深い幸せの方が100万倍は大事なようだ。
結局のところ、風呂はケータ、郁代、ひとり、美智代、直樹の順で入ることとなった。着替えは、郁代はひとりが普段着ない服を。ケータは、ひとりが昔着ていた服を借りることにした。ひとりは昔からスカートタイプの服をあまり好んで着なかった為、ケータの服装は、男子小学生が外で着て歩いていてもあまり違和感のない服装となった。
最後に、就寝の時間。ジバニャンはジミヘンと共にリビングで。ウィスパーは後藤夫妻からふたりを寝かしつけるように頼まれ、そのままふたりと共に寝てしまった。
そして、肝心の天野景太はと言うと。
「……あの、流石に二人と同じ部屋で寝るのはちょっとまずいような…」
「私は全然大丈夫よ?」
「わっ私もけいくんに何かされても全然大丈夫だから!覚悟はできてるよっ…!」
「……ひとりちゃんはむしろなにかする側じゃない?」
「ギクゥッ!?」
───あろうことか、華の女子高生二人と同じ寝室にブチ込まれていた。思春期が間近に迫った少年にとっては、頭を金棒でぶん殴られる程の衝撃である。
しかし、そこは流石の妖怪マスター。二人が良いならと納得して、すぐにこの状況に適応してしまった。この適応力は、彼がどんな妖怪ともすぐに仲良くなれる所以の一つなのである。
「…まあ、二人が良いなら別にいっか。同じ布団で寝る訳でもないもんね。………って、あれ?なんか布団二つだけしかないような…?」
「なんかお母さんがお布団足りなかったからって。
……たっ、足りなかったならしょうがないよねっ!私とけいくんは同じお布団で寝るので、喜多ちゃんはどうぞ広いお布団で寝てくださいっ…!」
(み、美智代さん…。あの人やっちゃったわね…)
郁代は明らかに滲み出た美智代の意図を感じ取ると、静かに戦慄した。
「い、いや、ここはひとりさんと喜多さんが同じ布団で寝た方が良いんじゃあ…」
「けいくんはまだ私たちよりも身体がちっちゃいから、広いお布団は喜多ちゃんに譲ってあげた方が良いんじゃないかな」
「じゃ、じゃあオレはリビングでジバニャンたちと寝るよ…」
「ダメだよ。あっちにはペット用のブランケットしかないし、まだまだ夜は寒いからけいくんが風邪引いちゃう」
「……そ、そっか。じゃあしょうがないね…」
ケータはそう言いながらも、満更でもなさそうにしてひとりの布団に潜り込んだ。
「じゃ、じゃあ電気消しますね…」
ひとりはそう言いつつ自室を消灯し、既にケータが入っている布団に自身もいそいそと潜り込んだ。
───結局その日、郁代はひとりの書く歌詞への理解を掴むことがないまま、眠りに就いてしまったのだった。
みなさんの感想がモチベーションなので、もっとぽんぽこ感想投げつけちゃってくださいますと私とっても嬉しいです。
…もちろん、感想を書くのだって少なくないお時間を要します。ですが、もしも貴方様がこの二次創作にはそれだけの時間を使っても良いと思ってくださるのならば、感想をお書きいただけると恐悦至極にございます。
どっちだと思う?
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ぼケー
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ケーぼ