私の名前はミネバ・ラオ・ザビ。ザビ家最後の生き残りです。ネオ・ジオンが滅亡した後シャアに保護されたと思ったら、彼が突然失踪したり、彼を騙る全然似ていない男に庇護されたりして大変でした。いや本当に大変でした。
現在マーサ殿に保護された私は彼女に頼み込みエドワウ・マス……シャア・アズナブルに会える事になりました。彼には色々と言いたい事がありますが、彼にもきっと事情があったのでしょうし、まずは再会できる事を喜びましょう。
「いやぁ~、まさかスカウト先でミネバ様にお会いできるとはねぇ。失敗作の身で殿下に拝謁できるとは恐悦至極に存じます」
移動先で最初に会ったのはゾルタン・アッカネンと名乗る男性でした。慇懃無礼な態度を取りつつも彼の目からは私に対する敵意と憐憫を察せられました。
「初めましてゾルタン殿。今の私はネオ・ジオンの神輿ではなくマーサ殿に保護されたただの民間人です。敬う必要はありません」
「へぇ、そうですか。じゃあ遠慮なく……まさかアンタが生きてたとはなぁ。成功作が討ち取られた後は音沙汰なかったから、てっきり野垂れ死んでいたのかと思ってたぜ」
「ええ、ジンネマンがいなければそうなっていたでしょう。ところで貴方が言う成功作と言うのは、フル・フロンタルの事ですか?」
「ああそうさ。失敗作の俺とは違って赤い彗星の再来として調整された強化人間……それがアンタが会っていたフル・フロンタルさ。いい機会だからアンタに色々教えてやるよ」
そして彼の口から語られたのは色々と衝撃的でした。フル・フロンタルが強化人間だと言うのは気づいていましたし、地球連邦政府も宣伝していましたが、当事者だった人物から詳細を聞くことができるとは思いませんでした。
「それは、正気の沙汰ではありません……!」
「いやいや、元々クローン幼女兵士なんてもん造る連中だし、赤い彗星モドキを造っても別におかしくないだろ?でもそうやって倫理に中指を立てる真似ばかりしてるから民衆の支持をなくしたんだけどな!もうジオン残党に求心力なんて残ってないしざまあみろ!って感じだな」
そう言ってケラケラと笑うゾルタン殿は心から嬉しそうな様子でした。
「まあ今となっては失敗作でよかったとは思うけどよ」
「え?それはどういう」
しかし真顔に戻ってぼやいたゾルタン殿に不思議に思い聞いてみました。
「だってさぁ、成功作は今の地球圏でどんな扱いされてるか知ってるか?……ケツアゴシャアの後輩キャラだぞ?自分の存在を殺されて赤い彗星になるよう調整された挙げ句、死んだ後はネットのオモチャだぜ?それなら失敗作の方が億倍マシだろ」
「ああ……」
地球圏で話題となっているAV男優の存在に言及され、ゾルタン殿の失敗作でよかったという言い分に納得しました。
「なぁんでフル・フロンタルなんて名乗っちまったのかねぇ?ケツアゴシャアがいるのにそんな名前にしたらネットのオモチャになるのも当然だろ」
「そうですね……もっと他になかったのでしょうか?」
死後も道化として笑われているフル・フロンタルに同情した私は彼の為に祈る事にしました。……その後シャアの居所へ移動しつつ雑談した結果、ゾルタン殿とはほんの少しだけ打ち解けたような気がします。
「……………シャアは、本物の赤い彗星は優しい人でした。ザビ家の後継者として育てられている私を尊重し、私個人を見てくれていました」
「おう」
「幼い私がバイオリンを弾いた時も、じっと聞き入ってくれた後褒めてくれました。今でも私の大切な思い出です」
「そうかい」
「あの陰鬱なアクシズの生活でもシャアとハマーンが居てくれた時は寂しくありませんでした。私は、シャアの事を父親のように見ていたのかもしれません」
「その、うん」
「そのシャアが生きていて平穏に暮らしていると聞いた時は嬉しく思いました………………ですが、ですが」
「見ろニコ、私の投稿したケツアゴシャアのMAD動画が瞬く間にランキング一位となったぞ」
「ヴォースゲー!滅茶苦茶高評価じゃん!ケツアゴシャアと一緒に踊っている赤い彗星がまるで本物みたいだって絶賛されてるし!」
「ハッハッハ、本物だからな。もう中年となったがトレーニングは欠かしてないので、体のキレは衰えてなかったようだ」
「あんな、あんな……!あんな風にケツアゴシャアの動画を見てゲラゲラ笑う人ではありませんでした……!」
「うん、その……アンタも気の毒にな。後でジュースでも奢ってやるよ」
シャアのあまりの変わり様に思わず崩れ落ちた私をゾルタン殿は本気で憐れんでいるようでした。
「成功作はあんな奴の再来として生贄になったのか。いやそれでいいのかよオリジナル様。色々言いたい事があったけど、お姫様の落ち込みようが酷いから別にいいか。しかしオリジナル様の隣で笑っている奴が俺の師匠になるのかぁ……元失敗作の俺が言うのもなんだが大丈夫なのかよ?」
ゾルタン殿が何か話していましたが、意気消沈する私はそれどころではありませんでした。
「お久しぶりですなミネバ殿。行方がわかりませんでしたが生きておられたとは」
「……お久しぶりですねシャア。とりあえず元気そうでよかったです」
その後落ち着いた私は、久々にシャアと話し合う事ができました。
「その、シャア、随分様子が変わられたというか」
「シャア・アズナブルは死にました。今ここにいるのはエドワウですミネバ殿」
「もう赤い彗星に戻るつもりはないと?」
「ええ、ケツアゴシャアが地球圏で有名になった現状では赤い彗星の求心力などもはやありませんからな。仮に戻った所で世間の笑い者になるだけでしょう」
「ケ、ケツアゴ……それは、そうなのですが」
薄々は予想していましたが、シャア……いや、エドワウ殿が過去を完全に捨てたことを私は理解しました。
「いえ、貴方がそう決めたのなら私は何も言いません。ですが一つだけ教えてほしいのです。何故貴方は誰にも伝える事なく突然失踪したのですか?」
「ララァに導かれたのです」
「はい?」
「……というわけで私はニコのお陰でララァに再会しました。ララァに諭された私は重荷を捨てて、これからはエドワウ・マスとして生きようとニコ達に付いて行く事にしたのです」
「な、何故そうなるのですか!?」
「無責任だなオイ、あんなのが赤い彗星だったとは信じたくないんだけど。自分を犠牲にして赤い彗星の再来になった成功作が気の毒過ぎるだろ、お姫様も怒りを通り越して呆然としてるじゃねえか」
「人様に迷惑をかけるテロリストの親玉より、今のちゃらんぽらんなオッサンの方が遥かにマシだと思うんですけど(名推理)」
「いやそれはそうだけどさぁ」
経緯を聞いた私は思わず頭を抱えていました。エドワウ殿が話す内容が衝撃的過ぎて、私の脳は理解する事を拒んでいたのです。
「なにはともあれ、ミネバ殿が生きておられてよかった。これからはザビ家の名を捨てて、貴方自身の人生を歩むべきですな。私のように」
「………………まあ、はい、そうしてみます」
エドワウ殿の話を聞いて色々と馬鹿馬鹿しくなった私はミネバ・ザビの名を捨て、平凡な一市民として生きる事を決意したのでした。
「……だよなぁ!やっぱりアンタもジオンはクソだと思ってたかぁ!」
「当たり前だよなぁ?私の生まれを知ってるなら、私がジオンを好きになると思うか?洗脳されない限りあり得ないだろ」
「そうだなぁ!そりゃそうだよなぁ!しかしカイ・シデンの記事でアンタの事が書かれてたけど、娼館で客取ってたってマジなのか?」
「そうだよ(肯定)世の中ロリコンが沢山いて驚いたゾ〜。まあフォースのお陰で清い身体のままだしまあええやろ」
「おおう、アンタも大変だったな…………まさか失敗作の俺より悲惨な境遇のスーパーニュータイプ様がいるとはなぁ」
「クローン幼女兵士より悲惨な境遇ってなんだよ(哲学)」
「だなぁ……俺も何時までも僻んでないで前向きに生きるとするかね」
少し自棄になっているミネバの近くでは、ニコとゾルタンがジオンはクソだという事で意見が一致し意気投合していたのであった。
<人物紹介>
●ミネバ・ザビ
→エドワウと再会できたので少し文句を言おうとしたら、エドワウがハジケているのを見て宇宙猫になり頭を抱える。呆然とした後何時までもザビ家に拘っている自分が馬鹿らしくなりザビ家の名を捨てる。今後は別の名前を名乗り平穏な人生を過ごすだろう。
ジンネマンはミネバの選択を尊重するつもりだが、それとは別にエドワウをボコボコにしたいと考えている。
●ゾルタン
→新生ネオ・ジオンが壊滅した後は地球連邦政府に保護され平穏に暮らしていたが、地球連邦議会議長からスカウトされ、暇を持て余していたゾルタンはスカウトに応じたのであった。
死後もネットのオモチャになっている成功作を見て、失敗作でよかったかもしれないと考えている。そして自分より悲惨な境遇だったニコと出会い意気投合、前向きに生きようと決意した。
●エドワウ(シャア)
→久しぶりにミネバと出会い喜ぶ。決して彼女の事を忘れていたわけではない。本当だ。彼女には自分のように重荷を捨てて自分の人生を送ってほしいと思っている。
それと初めて作ったケツアゴシャアのMAD動画がいきなりランキング一位となったので喜ぶ。内容は赤い彗星(本人)とケツアゴシャア(BB素材)とフル・フロンタル(BB素材)の3人が華麗な動きで踊っているという物であった。
●プルツー(ニコ)
→エドワウが作ったMAD動画を見て出来の良さに感心した後ゲラゲラ笑っていた。ゾルタンについては「ジオン……糞」という点で意気投合する。
○ェダイ(仮)の創設については前世ホモガキに準備などできるわけないのでマーサの部下に丸投げした。なんか地球連邦政府も関与すると聞いてスゴイことになってるなぁと呑気に考えている。
語録についてはもう治る気がしないし、使っていると安心できるので開き直ってバンバン使うようにした。精神状態については安定しているので大丈夫だ、問題ない。
●○ェダイ(仮)
→地球連邦議会議長がスカウトしたりして集めた人達が来る事になった。詳細については次話にて。
今後は少しずつ投稿していく予定ですがよろしくお願いします。